振り返りも兼ねているので作っていると楽しくていいですね、愛着が湧いてきます。
それでは、本編をお楽しみくださいませ。
毒薬が町で売れたことで、思わぬ商機に気づいた。
あの子――竜に餌をくれてやるついでに、鱗や毒を少しずつ確保していたのだけれど、その“ついで”が金になるとはね。
毒は弱いモンスターや害虫を退治するには十分で、町じゃ大好評。
それに鱗だよ。紐を通してネックレスにしてみたら、これがまた面白いほど売れた。匂いがついているおかげか、あたしのような婆さんが護衛もなしに襲撃ゼロで街まで行けたなんて、長い人生で初めてさね。
数さえ確保できりゃ、街で露店でもやってみるのも悪くない。
……とまあ、そんな風に前回の日記を締めたわけだが。
売れたよ。大当たりだよ。
毒薬は予想通りとして、鱗のネックレスまで飛ぶように売れて笑いが止まらない。
“あの婆さんが怪我ひとつないのが証拠だ”と、客たちが勝手に宣伝してくれたおかげらしい。
帰りに露店を覗いていたら、偶然魚を見つけた。
最近とんと見なかったが、魔法使いが冷やして運んだのだろうね。
売れた祝いに、あの子への土産として一袋買ってやった。
持って帰って渡すと、それはもう嬉しそうに食べること。
親元にいた頃に食べたことがあるのかねぇ。
竜のような高位種は、幼い頃に食べたものしか口にしないと言うし……まあ、あの子は例外も色々ありそうだが。
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鱗の獣避けの効果が抜群すぎたせいか、廃村を調べにきた兵士たちまで此処を訪れた。
怪我をしていた者がいたから手当てしていたら、外が騒がしい。
――どうやら、あの子が帰ってきたらしい。
兵士たちが半ばパニックのまま矢を放った時には、あたしも肝を冷やしたが……
当の本人は気にも留めず寝床へ向かった。
助かったような、心配なような。
詫びとして鱗のネックレスを持たせ、街へ戻る兵士に渡させた。宣伝しておいで、とね。
彼らの話じゃ、戦ったオークの装備が妙に良かったらしい。
森で死んだ冒険者か、街に入れない無法者がやられたのだろうと。
「村を焼いた連中が巻き込まれたのでは?」とも言っていたが、あれは相当な規模だったはずさ。
あたしらはどうにかなるが、さて他の者はどうなるやら。
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魚といえば、森の奥に清流があることを思い出した。
時々あの子が水浸しで帰ってくることがあるから、今もあるんだろう。
ふと思いついて、昔見たドラゴンライダーの真似事をしてみた。
ふてぶてしい顔をしていたが、冷気を使われるのが嫌なのか、案外スムーズに乗せてくれたよ。
魚も捕れたし、思ったより役に立つじゃないか。
久しぶりに若い頃を思い出して楽しかったが、腰が痛い。
……鞍でも作るべきかね。
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兵士たちが街で宣伝してくれたおかげで、ネックレスをつけた客が次々と訪れるようになった。
病気を診てほしい者、オーク対策の相談をする者……まあ、理由の分かる客も多い。
しかし、商人が荷馬車で来た時はさすがに驚いたね。
竜のいる場所に馬を連れてくるとは。
それでいて口にしたのは「あの竜を買い取りたい」「鱗をくれ」なんて無茶。
頭に来たから、あの子に霜を飛ばす“ふり”をしたら、護衛込みで大慌てで逃げていった。
全く、いい気味だ。
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で、今日だ。
あの子が怪我をして帰ってきた。
うっかり者だし、前に小屋を壊した前科もあるが、今回の傷は刃物だ。
オークにやられたんだろう。
あの子が大人しく寝ている間に、街へ知らせを飛ばしておいた。
もしあの子を恐れないオークが増えたら、ネックレスを過信した時一大事だからね。
ところが、寝ていると思ったあの子は、また何かやらかしたらしい。
凄まじい音がしたので敵かと飛び出してみれば、木の幹に残る巨大な跡と、尻尾を痛めてピィピィ鳴くあの子。
……もう、肩の力が抜けたよ。
いいから大人しく寝て、傷を癒しておくれ。
最後まで読んでくださりありがとうございます。
オークの装備の良さは果たして?大きくなっていた吾輩君を恐れなかったのは何故?魔女殿の強さは?
これからも是非、本作をお願いいたします。
感想評価いただけるとありがたいです。