彼岸より、愛を込めて。   作:インビジブルです男

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どうも、インビジブルです。
ヒロアカにどハマりしたので、アニメ見るついでに小説を書いていきます。
え?他作品も書け?
大変申し訳ございません、投稿速度は亀になってしまいますが、ちゃんと書くので見守っててください。


プロローグと入学編
彼岸 白哉:オリジン


戦場こそが、彼等の居場所であった。

 

「誰か!誰か援護を頼む!」

 

耳障りな爆音と、甲高い悲鳴が入りまじる。

火薬の匂いが肺を焼き、喉はもう声を出すには擦り切れていた。

 

「助けてくれ!うわぁぁぁぁぁぁぁぁあ!」

 

誰かが力を使う度に、死体は山を成し、腐った肉の臭いが鼻を突き抜ける。

 

事の始まりは、中国 軽慶市。

光り輝く赤子が生まれたというニュースだった。

それ以降、各地でそれに類似する“超常”は発見され、原因も分からぬまま時は流れる。

 

いつしか、“超常”は“日常”へ変化し、“架空(ゆめ)”は“現実”に。

世界総人口の約8割が、何らかの特異体質である超人社会となった現在。

 

混乱渦巻く世の中で、かつて誰もが憧れた1つの職業が脚光を浴びていた。

それを世間はこう呼ぶ――ヒーローと。

 

 

…だがしかし、光もあれば必ず影も存在する。

現在でも世界のどこかで、紛争は起きている。

かつての銃と砲丸のみの戦争ではなく、今では“個性”を行使し、さらに苛烈な争いが繰り広げられていた。

 

そんな地獄を食い止めるべく、各国の“個性”と呼ばれる力を持つ者達の中でも、強力な者を所持する人々を掻き集めて作られた全く新しい平和維持機関…それが国連平和維持超常軍、通称“UNPPF(United Nations Peacekeeping Paramilitary Force)

 

ヒーローが陽の明かりを浴びて世界の秩序を守るのであれば、UNPPFは影で世界を守る集団だ。

そして、今日はそのUNPPF最期の任務である。

世界各国のヒーローは益々強力になり、UNPPFの役目は消失。

彼等は、もう必要ではなくなってしまったのだ。

 

「白哉!!準備は出来てんな!???」

 

白哉「ああ、勿論だ。アレクセイ。」

 

アレクセイ「行くぜ、相棒!!」

 

白哉「おう。」

 

彼岸 白哉…年齢15歳。

幼い頃に個性を暴走させ、親を失い、その後UNPPFに引き取られ、今となっては“UNPPF最強”とも揶揄される少年だ。

異常な訓練の結果、身長188cm、体重87kgという化け物が誕生した。

 

白哉「はぁぁぁぁぁぁぁぁあ!」

 

彼の個性は“ウェポンマスター”と“多重加速‘’、そして“英霊(エインヘリアル)”である。

世にも珍しい、個性を複数持ち合わせる人間の一人だ。

ウェポンマスターは武器と認識したものの知識、技術を完全にインプットし、多重加速は超加速。

英霊(エインヘリアル)は身体能力に大幅な補正をかけると同時に、身の丈よりも大きい剣を召喚、そして仲間が死亡するとその魂をエネルギーに変換し、エネルギーの霊体として召喚、その個性を行使するというものだ。

 

「「「ぐぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!」」」

 

白哉「遅い。」

 

彼が剣を振るう度に50もの敵は一斉に真っ二つにされ、多重加速で気付けば敵の背後を取っている。

尚、今まで彼は仲間の力を使ったことはない。

自分の力で戦ってこそ、仲間への鎮魂へなると考えているからだ。

死してなお働かされるなど、考えたくもない。

 

アレクセイ「うおりゃぁぁぁぁぁぁあ!」

 

彼の名はアレクセイ・スミルノフ…年齢22歳。

ロシア連邦から排出されたUNPPFメンバーで、白哉の相棒だ。

個性は“パイルバンカー”で、拳を対象に思い切り突き出すと、腕の杭のようなものが突き出し、圧倒的な火力を生み出すというもの。

彼が戦車や硬くなるタイプの個性を持つ人間にパンチをすれば、たちまち装甲は砕け散り、破壊する。

対装甲タイプの個性だ。

 

そう言っている間にも、彼は敵戦車を1台、また1台と破壊していく。

 

アレクセイ「くっそ...敵がどこからとも無くやってきやがる!下手すりゃ今までの任務よりきついんじゃないか!?」

 

白哉「そうだな…とてもじゃないけど必ず全員生き残れるかすら分からん。」

 

「撤退命令はまだかぁぁあ!???」

 

「白哉!アレクセイ!助けてk…うわぁぁぁぁぁぁあ!」

 

彼らがそうしている間にも、仲間はどんどん死んでいく。

それに対して敵はというと、どれだけ白哉たちが敵を殺しても、敵の数はどんどんと増えていく。

 

白哉「くっそ…撤退命令はまだか?」

 

「お母さん…まだ死にたくないよ…。」

 

その声が聞こえた先に白哉が目を向けると、そこには瓦礫の下敷きになってしまった子供が1人。

当然、これは戦争だ。

人が避難を終えられる筈もなく、当然被害者だって出てしまう。

 

白哉「子供か!?待ってろ、すぐ助けに行く!!」

 

彼がその子供に“多重加速”を使って接近すると、見た感じは“無個性”のようで、全く身動きが取れていない。

 

「ヒー…ロー…??」

 

白哉「…生憎、俺はヒーローなんかじゃない。ただの軍人だよ。」

 

白哉は手に持っていた大剣、“グラム”を地面に突き刺し、瓦礫を殴り壊す。

 

「白哉!白哉!!助けて…助けてくれよおぉぉぉおぉ!!」

 

「アレクセイは!?あいつは何してんだ!?」

 

周りの悲鳴も聞こえず、白哉は子供を助ける。

 

「ありがとう…お兄ちゃん!」

 

白哉「ここは危険だ。俺の“個性”でお前さんを安全なとこまで連れてってやる。」

 

「わかった!」

 

「おい!白哉!何する気だ!!」

 

白哉「この子を避難させんだ!皆、持ち堪えてくれ!!」

 

「結局、民間人の命を優先するか…まっ、当然か。」

 

「何時までもお前を待っててやる!早く帰ってこいよ!!」

 

白哉「わかってる!!頼んだぞ!」

 

「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」」」

 

白哉は“多重加速”で高速移動を行うと、急いで戦場から離れた…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お兄ちゃん、ありがとう!!」

 

白哉「ああ、親御さん心配させんじゃねえぞ。早く行け。」

 

「うん!!!」

 

子供はそう言い残して、走って去っていった。

 

白哉「まずいな…アイツら、死んでねぇといいけど…!」

 

彼がそう呟いたその時、一際大きな爆発音が聞こえた。

しかも先程の激戦区でだ。

 

白哉「ッ!!!…アレクセイ…死んでくれるなよ!」

 

彼は“多重加速”を使い、激戦区へ向かう。

 

「ッ!おい!!出たぞ!『国連の悪魔』だ!!!『悪魔』が出たぞぉぉぉぉぉぉおおおおおお!!」

 

悪魔とは、UNPPFで戦っているうちに敵からつけられた、白哉の異名である。

 

白哉「邪魔だ!!退け!!!!」

 

「「「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!!」」」

 

彼は大剣を振るい、10人ほど居た敵は纏めて細切れに。

白哉の敵を全員抹殺する戦いぶりから、その悪魔という異名がついたのだ。

 

白哉「頼む…死ぬなよ…。」

 

その永遠とも思える5秒を経て、白哉は激戦区へ到着。

だが、つい先程までの爆発音や銃声はなく、風の音だけが耳を突き抜ける。

 

白哉「嘘だ…嘘…だよな…?」

 

そこにあったのは、敵味方両方の数千はあろう死体の数々。

そして、真ん中には死体の山が形成されており、その頂上には見覚えのある影が見えた。

 

白哉「嘘だ…嘘だ嘘だ嘘だ…そんな…アイツが…アイツらに限って死ぬなんて、そんな…。」

 

白哉は息も忘れてその死体の山に走り出す。

死体の山を登り、その見覚えのある影を確認しようと顔を見る。

そしてその顔は…明らかにアレクセイの顔そのものだった。

 

アレクセイ「ああ…?やっと…来てくれたか…相棒…。」

 

白哉「何があったんだよ…何があったんだよ!!なぁ!!俺が居ないあの数分の間に何があったんだよ!!」

 

アレクセイ「ヤベェやつがいたのさ…全身が刃と装甲で形成された…そんな個性の奴さ…。」

 

アレクセイは吐血しながらそういった。

もう時間が無いんだろう。

 

アレクセイ「なあ、白哉。お前があのガキンチョを助けに行った時よ…『あぁ、やっぱりアイツらは誰よりもヒーローだな!』っつって、皆で笑ってたんだぜ?」

 

白哉「よせよ…そんな冗談…!出血が…!」

 

アレクセイ「冗談なんか言うかよ…!俺はヒーローにはなれねぇ…。けどな、お前なら…今のお前の年齢なら…日本に帰って、普通の生活をしながら…」

 

白哉「もうここまで来たんだ…!普通の生活なんて出来やしねぇよ…!」

 

白哉の目から涙が流れる。

相棒の死を目前に耐えられず、軍人として初めて泣いた。

 

アレクセイ「白哉…お前なら行ける…日本に帰って…雄英を受けろ…!“俺達の魂”をここに置いていく…そうすりゃ、死んでもお前に貢献できる筈だ…!」

 

白哉「何言ってんだよ…!まだ…まだ大丈夫だって…!諦めんなよ…!魂って何だよ…!!」

 

白哉はえずきながら言葉を紡ぐ。

彼自身、相棒の死が確実だって言うことはわかっている。

ただ、その現実を否定したい。

 

アレクセイ「お前の個性…“英霊(エインヘリアル)”だ…!死んだ馬鹿共の力をお前が継いで…強くなる力だ…!最初からわかってたんだ、上層部のカスが俺達を見殺しにすることなんて…。だから、俺らは最初話し合ったんだ。『万が一死んじまったら、神様のとこなんて行かず、白哉に全てを託そう。』ってな…!!」

 

白哉「やめろ…やめてくれよ!!そんな顔で…そんな声で…最期はまだ先だろ!!なのに…こんな…早すぎるだろうが…!!」

 

白哉は顔を涙でぐちゃぐちゃにしつつ、そう言った。

アレクセイは22歳…死ぬには若すぎる歳だ。

そして、白哉にとって家族同然の存在。

できることなら、天寿を全うして欲しかったのだ。

 

アレクセイ「だから… 忘れないでくれ…俺達が、何時までもお前の傍に居ることを…。」

 

白哉「ああ、忘れるわけないじゃないか。だってお前らは…俺の家族なんだから…。」

 

アレクセイと白哉は男同士の熱いハグを交わすと、アレクセイの身体から完全に力が抜け、彼は息を引き取った。

 

白哉「ああ…あああ…あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!

 

白哉は泣き叫んだ。

 

人は、生まれながらに平等じゃない。

これが、齢15歳にして経験した社会の…いや、世界の現実。

そして、彼岸 白哉の最初で最後の挫折だ。

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