彼岸より、愛を込めて。   作:インビジブルです男

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出会い


入試

6日後。

遂に受験当日の2月26日となった。

白哉は珍しくスーツを着用し、訓練を終えた時間で買った鞄を肩にかけている。

普段の“国連の悪魔”としての雰囲気とは違う、受験生らしさを纏っているのに、その内に秘められたものは一般中学生のそれではなかった。

 

玄関でネクタイを指で整えながら、ボソリと呟く。

 

白哉「よし…行くか。」

 

総太郎は微笑み、深く頭を下げた。

 

総太郎「白哉様。ここから先は、あなた様が切り拓く、あなた様だけの人生でございます。

どうか、ご武運を。」

 

白哉「ご武運をって…入試でそんな事言う保護者が居るかよ。」

 

そう毒を吐きながらも、

わずかに口角が上がっているのを総太郎は見逃さない。

 

白哉の表情は落ち着いている。

だが静かな瞳の奥で、11年間、戦場で研ぎ澄まされた集中力が確かに感じ取れた。

 

英霊として復活したアレクセイの言葉。

11年と3ヶ月の鍛錬。

そして今日、ヒーローを目指す1人の少年としての白哉の人生が始まる。

 

白哉「…さて、お手並み拝見と行きますか…。」

 

玄関を出ると、冬の朝特有の冷たい空気が頬を刺した。

それが逆に、彼の覚悟をより強固なものにした。

 


 

白哉「ダメだな…基地と比べると小さく感じる…。」

 

雄英高校に到着した彼は、巨大な校門を前にしながらも、白哉はまるでベテランの兵士のように呟いた。

 

周囲の受験生達は緊張で固くなったりする中、白哉だけは静かに、尚且つ存在感を放ちながら校門へ向かう。

その雰囲気は、明らかに同年代とは一線を隠していた。

 


 

白哉「実技試験会場Aはここか。」

 

白哉は余裕で筆記試験を突破すると、実技試験のために演習会場に到着した。

彼は到着すると、手に背丈よりも大きな大剣のグランを召喚する。

三叉に分かれて見えるその剣は、ところどころ赤白い光を放っており、禍々しいを通り越して最早神々しささえ感じる。

 

白哉「何気に、お前を使うのは10ヶ月振りだな。」

 

その大剣を軽々と扱う彼に、皆が注目する。

中学生とは思えないほど筋骨隆々で威圧感を放つ彼に、人々は皆、複雑な感情を抱きながら彼を見つめていた。

 

白哉「…何見てんだよ。」

 

白哉がそう言い放った時、彼の胸部から赤白いエネルギーが出たかと思うと、それは再びアレクセイへと姿を変えた。

 

アレクセイ「まあまあ、しょうがねえだろ?お前はマジでガタイと顔が良すぎる。お前の魅力に引き寄せられてんだろ!」

 

周囲の人々は突然白哉から現れたアレクセイに驚き、場違いなその剽軽さに呆然としながら目を見開いた。

白哉はそれを気にせず、45%の出力を開放しようとすると、そこに1人の少年が向かって行く。髪がつんつんしていて、常に苛立っていそうな少年の爆豪 勝己である。最近幼馴染である緑谷 出久に反抗されてしまったのか、あるいは彼が雄英の試験を受けて“底辺市立唯一の合格者”という肩書きを手に入れられないからか、はたまたアレクセイのうるささに我慢できなくなったのかは分からないが、とにかくストレスを発散したいようだ。

 

爆豪「おいテメェら!!さっきから集中出来ねえんだよ!!少しは黙って…」

 

プレゼント・マイク「はいスタートぉぉおおお!」

 

爆豪が白哉に文句を言い始める前に、プレゼント・マイクが爆音で開始の合図を行う。

 

白哉「???お前が何したかったのか俺には分からんが、怒りは戦地において判断力を欠かせる。戦場だったら死んでるぞ。」

 

アレクセイ「白哉の言う通りだ!八つ当たりしたいなら他を当たりな!!!」

 

白哉は戦場での経験を活かしアドバイスをし、アレクセイが白哉の言葉に同意すると、アレクセイは白哉の体に帰って行き、彼は多重加速であっと言う間に何処かに消えてしまった。

 

爆豪「あの筋肉野郎共ッ…!!」

 

負け惜しみのように一言呟き、爆豪は自身の個性である爆破を使って、前線へと飛び出して行った。

 

白哉「確か…1から3Pの敵を撃破すればいいんだよな。」

 

白哉はPTSDによるパニックを起こさないための薬を服用すると、1から3Pのロボットが複数居るのを発見。

グラムを肩に担ぎ、多重加速を使用する。

 

白哉「…多重加速を使うのも悪くは無いが、これはこれで面白くないな…。」

 

彼はそう呟くと多重加速を切り、複数のロボットを一刀両断する。

これで一瞬で10P…数々の死線を乗り越えた彼にとって、この入試はいわば無双ゲー。

3Pのロボットにも油断せず、気付けば開始4分程で60P以上まで稼げていた。

 

白哉「さてと…アレクセイ達。出番だ。」

 

アレクセイ「待ってましたー!」

 

砲手「やっと呼んでくれた…案外お前の精神世界もやることが多いけど、退屈だったしなぁ。」

 

白哉の胸から現れたのは、アレクセイと軍服姿の中年の男の砲手であり、砲手は肩を回すと右腕が榴弾砲のような金属質の大砲に変形する。

彼の個性は大砲。砲弾を大体何でも発射できる個性だ。

 

白哉「お前らは北西に行って、困ってるヤツらを救助したり、敵を始末してこい。俺は北東当たりをカバーする。いいか?」

 

「「了解!!」」

 

白哉から召喚された2人は、猛ダッシュで北西方向へ向かった。

 

白哉「さて、そろそろ出力を上げようか。」

 

そう言うと、白哉の身体が赤黒いエネルギーの渦に包まれ、黒い甲冑と鉄仮面の75%の姿に変化した。

彼の目線の先には複数体のロボットと受験生がおり、その受験生は自力で立ち上がれない様子だった。

 

白哉「先に救助しておくか。」

 

彼は片手でグラムを持ち上げ、エネルギーを纏わせる。

そして勢いよく振り下ろしたその瞬間。赤黒い飛ぶ斬撃が、地面を切り裂きながらロボットを両断する。

 

すかさず白哉は多重加速を使用し、その受験生の元に駆け寄る。

 

白哉「大丈夫か?」

 

「は…はい!ありがとうございます!」

 

その受験生はその言葉を聞くと、走って去っていってしまった。

白哉の75%開放で出来ることは大きくわけて4つ。

1つは審判剣という技の使用とそれによる飛ぶ斬撃。

2つはエネルギーの散布による敵の動きの予測。

3つは浮遊。

4つは個性の組み合わせによるグングニルという槍の召喚だ。

 

先程の飛ぶ斬撃は審判剣によるもので、その斬撃は海をも分かつ。

 

白哉「これで70ポイント近く…か。合格はできるかな。」

 

その瞬間、地面が大きく揺れた。

ビルが崩れ、周囲の人は慌てふためき逃走。その人々が逃げた先に、超巨大ロボット、ロボ・インフェルノが立ちはだかる。

 

白哉「遂に出たか…。」

 

白哉は戦地で出会った誰よりも大きなそれに驚愕していた。

だがしかし、戦地で見た阿鼻叫喚よりも全然マシなそれは、白哉にとってただのデカイ的でしかなかった。

 

白哉「避けるべきだとは言っていたが、ここで倒さなければ被害を被るやつが出るだろうな。“あれ”を試すか…。」

 

その時、彼は1人の少女を見つけてしまった。巨大な瓦礫に押し潰されそうになり、身動きが取れない。

耳郎 響香である。

 

白哉「ッ!?」

 

思い出す戦地の阿鼻叫喚。

瓦礫に潰される子供達。

 

白哉「ダメだ…!落ち着け…!!これはテストだ…!死ぬわけなんかない…!!」

 

白哉は一瞬パニックに陥るが、薬の効果もあってすぐに落ち着いた。

そして彼は耳郎の元に駆けつけると、瓦礫を砕き始める。

 

耳郎「何してんのあんた!!逃げなって!!ここにいたらあれに…!!」

 

耳郎はそう言うが、どう見ても逃げられる状況ではない。

白哉は元軍人で、人を殺す時は躊躇いもないが、元々はお人好しだ。

人を助けられないのは彼にとって苦痛なのだ。

 

白哉「俺はな…もう逃げないって誓ったんだ…!」

 

グラムを突き刺し、甲冑となった身体の拳で思い切り瓦礫を粉砕すると、耳郎を救出した。

しかし、ロボ・インフェルノはすぐそこまで来ている。

 

白哉「お前は下がっていてくれ。俺がアレを倒す。」

 

耳郎「倒すって…どうやって!?どうやってアレを…!」

 

白哉「火力。」

 

そう言うと白哉は赤黒い渦に身体を覆うと、その姿は100%の時の黒騎士の姿に変化する。白哉はグラムを引き抜き、一瞬で空まで飛び立つ。

耳郎は驚くが、それを気にせず白哉はエネルギーをグラムに纏わせ、その刀身を延長するとその刀身は空高く伸び、白哉は構えをとる。

赤黒いエネルギーを纏ったその大剣は、あまりの熱量に周りの空気が歪んでみえた。

 

白哉「審判剣究極奥義…!」

 

大審判…!

 

白哉「うおらぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

白哉が空高くからそれを振り下ろすと、ロボ・インフェルノも負けじと拳を振るうが、それは届かず。

《大審判》がクリーンヒットしたロボ・インフェルノは一瞬にして一刀両断され、爆発する間もなく蒸発。

少しだけ残った残骸が飛び散った。

 

耳郎「ヤバ…あんなのくらったら一溜りも無いじゃん…。」

 

白哉が空からゆっくりと着地すると同時に、プレゼント・マイクが『修了!!!』と試験終了を知らせた。

 

アレクセイ「おーい!白哉ー!」

 

白哉「戻ってきたか。」

 

砲手「指示通り、ロボットの殲滅と救助を行ってきた。しかし、さっきのアレはなんだ?」

 

白哉「なら良かった。さっきのは《大審判》。必殺技とでも言っておこうか。」

 

アレクセイ「殺意が高すぎるぜ相棒…。」

 

白哉は腰を抜かしていた耳郎の元に歩いて行き、その手を差し伸べる。

 

白哉「怪我は無いか?」

 

耳郎「うん…大丈夫。助かった。」

 

耳郎は白哉の手を掴み立ち上がると、アレクセイ達は白哉の身体へと帰っていく。

 

耳郎「あんた…何者?さっきのも中学生の火力じゃなかったし、プロヒーローでも見た事ないよ…?」

 

白哉は100%開放を解除し、肩の埃を払うと、いつもの淡々とした顔で答えた。

 

白哉「…トレーニングの賜物?」

 

耳郎「トレーニングで…あんなのできる?」

 

白哉「分からん。個性による。」

 

白哉は用を終えたので『またどこかで』と言って去ろうした。

 

耳郎「ちょっと待って!!」

 

白哉「…何だ。」

 

耳郎は白哉を引き止めると、白哉は少し威圧するように返事してしまう。

 

耳郎「ウチ、耳郎響香って言うんだ。あんたは…?」

 

白哉「彼岸 白哉だ。またな、響香。」

 

白哉はグランをエネルギーにして霧散させ、帰路に着いた。




白哉がエインヘリアルの出力上昇でできること
0%から10%(見た目変化なし)
・英霊の召喚(話すだけ)
・グラン召喚
11%から50%(髪が少し伸び、赤白い光を放つ。)
・英霊の召喚(戦闘等)
・エネルギーによる身体能力の強化
・エネルギーの爆発

75%(黒い甲冑に鉄仮面、右肩から赤いぼろぼろのマント)
・審判剣(グランの技の総称)の使用
 1.審判・断(延長した刀身による高火力・直線破壊攻撃)
 2.審判・絶(延長した刀身による連続攻撃)
 3.審判・極(居合型の一撃必殺)
・飛ぶ斬撃
・エネルギー散布による未来予測(空気の流れをより強く感じ取る)
・浮遊
・グングニル召喚
・身体能力強化

100%(黒い甲冑に筋肉ぽい胴の甲冑、背中から黒いマント、2本の角が生えた黒騎士)
・審判剣究極奥義 大審判(めちゃくちゃ延長したグランから放たれる核爆弾級の一撃)
・スレイプニル召喚(八足の黒い馬、空飛べるし速い)
・巨大化(10mとかにまででかくなる)
・超強化される身体能力
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