ドライバー ~ 運転手 異世界で道を創る ~   作:アンクルソー

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【2話】別の世界

「とりあえず、一旦落ち着こう」

 

自分に言い聞かせた。

 

モモも居ないし、今の状況・・・・。

 

周りを確認するように、運転席・助手席のウィンドウをフルに下げた。

 

風が気持ちよく、草木がなびく音しか聞こえない。

 

時折、犬の遠吠えのようなものもしてくる。

 

けど、この声は明らかにモモじゃない。

 

タバコが吸いたくなった。ムーンルーフを開けた。

 

年末の丸の内みたいな星空だった。  

 

タバコが美味い。

 

ーーーーーーーーーーかなり落ち着いた。

 

時計を見たが、針は止まっている。

 

現在時刻‥‥17時30分。

 

これはなんか怖かった。1時間も時間が戻ってるし。

 

一服終わって缶コーヒーを口にすると急に腹が減ってきた。

 

そう思いながらも、とにかく今からどうすべきか、状況整理を頭の中で行った。

 

‥‥整理できない。

 

よし!!

 

まずは明るくなるのを待ってから行動しよう。

 

辺りがわからないまま、車を走らせるのは自殺行為な気がするよな。

 

外灯を全て落とし、室内灯をつけて荷室に目をやる。

 

やっぱりモモは居ない。

 

「モモ~~。モモ~~。」

 

小声で叫んでみる。

 

運転席の窓から呼んだところで、やはり応答はない。

 

あまり騒ぐと、動物とか寄ってきそうで直ぐやめた。

 

なんかもう、車から外出るのが怖い。

 

未知の場所だし・・・・・で、そのまま俺は車中でバタバタと動き回った。

 

―――――――――――思い出した。腹が減ったのだ。

 

 

エアマット、寝袋、毛布、枕その他をセットして、テーブル開いてからケトルで湯を沸かす。

 

手っ取り早く定番のカップラーメンを作った。 

 

カップラーメンで腹を満たした後、ケトルの残り湯でコーヒーを淹れた。

 

フロントガラス越しに、遠くのほうがぼやーっと光ったりする。

 

民家でもあるのだろうか、民家なら明かりはついたままの気がするのだが・・・

 

とりあえず歯磨いて寝ちまおう。

 

朝明るくなれば状況がわかる。

 

腕時計の針はいつの間にか動いていた。

 

時刻は夜9:00になっていた。

 

 

・・・・・・・・

 

 

夢を見た。例の若い女性の夢だ。

 

会った時と違って、なんか・・・恰好が仰々しい。

 

転生マンガに出てくる女神様のよう・・・・な???

 

ん?・・・・・マジ?転生なの?

 

こんなデカい車持ったまま?

 

なんて考えてると、その女性が・・・

 

クルマの運転席側に寄ってきて、手招きする。

 

ああ・・・ウィンドウ下げろ!って事?

 

するといきなり・・・・。

 

『あなたのこの世界での役割は特にありません。・・・・・が、しいて云うなら』

 

・・・話始めた。

 

『ほんの少し、この世界の人の力になってほしい・・・ですかね?ニコ』

 

「え?ちからになって・・・・とは?」

 

『あなたの知識と能力で文明を進化させ、経済を活性化させること。あと‥‥ちょっとした諸悪から人々を救う事ですかね。』

 

「あの~・・・自分はごくごく普通のトラック運転手なのですけど?」

 

「異世界転生者を生むべく、人を跳ねたことも無いですし!!」

 

「なんで自分なのですかね?」

 

『あはは!ウケる(笑)』

 

「ウケる?(汗)」

 

「あと、質問です!!いいですか?」

 

「モモはどうしたのですか?元の世界で生きているんですよね?」

 

「モモは無理だったとか・・・」

 

『モモちゃんは、魂が貴方より大きくて、肉体ごと持ってくることが出来なかったんです。』

 

『あなたは魂がそれほど・・・・ですので。』

 

え?そりゃ、俺は平凡ですけど!

 

それほど・・・ですけどね・・・・。 

 

「モモは普通の柴犬じゃないのですか?」

 

『あー、それは~・・・・。モモちゃんの前世は、神獣ですから!』

 

え?シンジュウ?

 

『こちらに来る直前までは一緒に居られましたよね?』

 

「え?モモのことですか?」

 

『はい、ですが、転生実行の際に、モモちゃんを肉体ごとは連れては来れませんでした。残念ですけど・・・・・。』

 

そうかぁ・・・モモ置いてきちゃったのか・・・・

 

「モモ生きてはいるのですよね?」

 

『ええ・・・まぁ、生きていると言えば生きている・・・・死んではいないです』

 

―――――――――何それ。

 

『まぁ。あの方‥‥モモちゃんは、この世界とは別の世界の神獣で、あのままこちらに来ると、いろいろと問題があったので‥‥。』

 

『前世では、別の世界のある国に、銅像もあるような方で。時の勇者と邪神を滅し、世界を魔物から守り、天命を全うした後に、地球に創造神様が転生させた方なのですよ。』

 

「創造神?」

 

『はい、あちらに!』

 

・・・・・・・(昨日の横断歩道のばあさんかよ!)

 

『失礼ですよ!ソーさん!あの方は創造神ネイエス様、ちなみにわたくしはこの世界リーバイエスの女神リースです』

 

リーバ〇スて、ジーンズかよ?

 

『リーバイエスです‥‥リースでいいですよ!』

 

「すいません‥‥リース様‥‥。」

 

『話を戻します。あなたはこの世界で唯一保持するスキル‥‥”ドライブ”で世界の活性化をお願いします。』

 

「ドライブ?・・・・ですか?確かに運転手ですけど・・・・・・・でしたけど。」

 

「それは具体的にどんなスキルですか?」

 

『それはまだ言えません。成長とともに様々なことができるようになります。ただ、重要なことだけ教えます。』

 

『あなたも魔法は使えるようになります。そのスキルの成長とともに・・・』

 

「魔法!!!(やった!)」

 

『しかし、主にはモノづくりの魔法です。攻撃魔法で無双することはあきらめてください。』

 

「あらら。」

 

『また、あなたのその乗り物は、あなた自身の成長とともに質量変化し、用途によって形を変えることが可能になります。』

 

『ただし、空を飛んだりはできませんけど。』

 

「飛行機には変化しないということか・・・・まあよし!高所恐怖症だし。」

 

『また、その乗り物は燃料を必要としないよう細工してあります。大気中の魔素または魔石をもとに動きます。物理と魔法攻撃による耐性も十分に備えました』

 

『それと、トラブルを避けるため、魔動技師という職能をこの世界に追加してあります。あなたはこの世界唯一の魔動技師ですね。』

 

「ありがたい・・・のか?手厚い保護をありがとうございます。あと・・・・」

 

「自分は地球に帰れますかね?」

 

『‥‥』

 

『正直言って良いですか?』

 

「いえ‥‥結構です!!」

 

「あっと‥‥モモちゃんですが‥‥。」

 

そう!モモ!モモの今後が気になります!!

 

『そのクルマに魂だけ乗り移ってます!!』

 

え?マジで?

 

「モモが俺のRVに?」

 

「モモ‥‥。」

 

「念じても、何も返答無いですよ?」

 

『あー・・・そうでした。ソーさんレベル1でした(笑)』

 

恥ずかしい事やらせんな!

 

『犬種は本来魂が小さいのですが、モモちゃんの魂が大きすぎて、魂だけ置いてくることになりそうでしたので‥‥。』

 

『しかし魂だけでももってくれば、この世界でもやはり神獣。よって、無機物個体に乗せるの方が貴方の為になると思ったのです。』

 

いえいえ!結果的にモモも連れてきてくれたなら‥‥うれしいです!

 

『では他に質問はありますか?』

 

「いえ、特には・・・またリース様に会えますかね?」

 

『はい、会えますよ、私からは今回同様、夢に出ます。あなたからは教会で祈ることが、私との接触機会となりますね』

 

「わかりました、ありがとうございます」

 

『では、よい旅を!!』

 

『あ・・・・』

 

「え?・・・」

 

『身体・・・若返らせときました・・・・』

 

「ええっ?」

 

『それとパートナーも付けましたから!❤』

 

「--------ええええ?」

 

 

その日の夢・・・・夢見というには、息苦しく体中に痛みが走る悪夢のような感覚があった。

 

目が覚めてからは、打って変わって頭がすっきりし、体も軽かった。

 

若返るって言ってたけど、どの程度なんだろうか。

 

せめて30前くらいまでは若返って欲しいけど。

 

この世界の人間って寿命どのくらいなんだろうか・・・まぁ大丈夫かな。

 

あたりは薄明るくなっていた。日の出のようだ、外に出てみる。

 

 

 

≪異世界2日目 朝6:30≫

 

ガチャ・・・ドアは開く・・・自動ドアだったのには驚いたけど。

 

ガサガサ・・・草を踏みつけて周りを歩いた。

 

だけど、何かスースーするなぁ‥‥。

 

下を向くと、ちょっと出始めた腹が引っ込んでいる。

 

ズボンもウエストがブカブカだ。

 

中腰でサイドミラーに顔を出す。

 

「な!・・・・おい!高校生だ!数少ない若いころの写真がこんな顔だった。」

 

「こりゃもう別人だな‥‥。」

 

周りをよく見渡すと・・・辺りはキャンプするには絶好の場所だ。

 

全方向障害物なし、大草原だ、所どころ岩肌や土の地面が露出しているが火事にしたらま

ずいから、焚火はやめておこう。

 

ヒヤリとした気持ちいい空気を大きく吸って、車に戻った。

 

コーヒーを飲もうと思う。

 

ポタ電につなげたケトルに水を入れ、インスタントドリップをカップにセットした。

 

窓とルーフを全開にし、風を感じながらコーヒーを一すすり・・・煙草に火を着けた。

 

「ゴホッゴホッ!!!まーずーい!昨日は旨かったのに。18歳の身体には、そりゃタバコが不味く感じるわな。」

 

この世界には魔法があるらしいって事だし。スキルもあるならステータスが面もあるかな?

 

年甲斐もなくワクワクしながら念じてみる。

 

「ステータスオープン!!」

 

ソー シシバ 18歳

レベル 1

職業 魔動技師

称号 ****

HP 30

MP 30

魔法適性 火・風・土・水・闇・光

スキル 生活魔法 *** ***

レアスキル ドライブ、*** ***

ex: 魔道車(神獣憑依)

 

おい、HP・MPの30って高いのか?

 

俺すぐ死なねーか?これ。

 

けど、18歳かぁ・・・やば・・・18歳でタバコ吸ってら。

 

そういえばもう時効だけど、タバコ初めて吸ったのも、そのくらいだったか?(笑)

 

しかし、これからどうすりゃいいかなぁ‥‥。

 

GPSナビは使えんよな?

 

‥‥‥‥!!!!

 

使えとるがな!

 

拡大!拡大!拡大!おお!湖発見!街もあるやん!

 

現在地は?

 

「スクワド平原?タキ沼ってところが近いな・・・これ沼なんだ。」

 

「スクワド平原かぁ(知らんわい)・・・・しかも滝沼(タキ沼)って、嫁の旧姓やん。一番近い街は・・・スクル・・・・スクルの街か。」

 

これもドライブスキルの恩恵?

 

異世界にGPSって使える環境なんかぁ?

 

「えーっと‥‥現在地からスクルまで、地図上で目的地セット・・・・!!!」

 

「600km!!!」「おい!千葉~青森間だぞ!遠!燃料もつかなぁ・・・・」

 

「あっ‥‥女神なんか言ってたなぁ。」

 

‥‥ガソリンじゃない燃料で走るとか。

 

FUELゲージは?‥‥満タン!!

 

ガソリン入れてないけど、まあ、普段もこのPHEV車には、ガソリンあんまり入れないけどな!

 

「よし!朝飯食ったら出発するか!目指せスクル!行こうぜモモ!!」

 

「--------------返事はないけど、レッツゴーだ!」

 

 

こうして、キャンプで残ったロールパンをかじりながら、道なき道を走って行った。

 

ところどころ岩がゴロついていたが避けながら走った。

 

 

 

草の上は比較的なだらかで、スピードも出せて走れることが出来た。

(雑草・・・踏みつけてごめんなさい)

 

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