今までの比じゃないレベルで介入しまくります。
力有る者の責務、という言葉がある。
それは、「正しく」力が振われる為に必要な事。
使い手をも害する武器に、意味は無い。
引き金を引けども弾の出ない銃に、価値は無い。
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連邦捜査部シャーレ。それは言わずと知れた先生の活動拠点として立ち上げられた機関である。
キヴォトスで暮らすあらゆる生徒の相談に応じ、所属や学籍によらず不特定多数の生徒の協力を仰ぐことができ、そのため各自治区における規約や法律による規制や罰則を免れる超法規的機関。
当然ながら毎日のように膨大な仕事をこなす必要があり、先生一人ではどうしても限界というものがある。
それを解消するためのシステムが、当番制度だ。各学園の生徒たちと協力を取り付け、持ち回りで日々の業務を手伝ってもらうというもの。
そして当番に選ばれた生徒はその間シャーレの所属となり、先生本人ほどでは無いもののそれに準ずる権限を有する事になる。
例えば、先生に随行すれば余所の学校に手続きなしで立ち入る事ができる、など…
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「…暇ですねぇ」
”いや、全然そんなふうに見えないけどね?!”
シャーレの部室にて、今日の当番であるカイカがそんなことを呟いた。
「そう言われましても…。実際、この程度であれば然程労力も掛からないので」
”ええ…その量の仕事が?”
同時に3枚の書類を片付けながら私に話しかけてくる。
そう、
両手と尻尾、それぞれで全く違う仕事をしながら、その上で私と会話しているのである。
…私はもう見慣れたけど、やっぱり人間業じゃないと思う。
この前一緒に当番になったハスミとか、思わず三度見してたもんね…
「強制的に休暇を言い渡されてしまったので、やる事が無いのです。万魔殿の仕事も手伝わせてもらえませんし、風紀委員会が普段に増して精力的に動いているので見回りをしていても何も起こらないのです。今日此処へ来たのも、余りにもする事が無いからと頼み込んだ結果ですし…」
”いや~、でも仕方ないと思うよ?みんなカイカに休んでほしいんだよ。この前の一件で、君1人に一体何人分の仕事をさせてしまったのかわからないからね”
「私が勝手にやっただけの事なのですがねぇ…」
この前の一件とは勿論、アビドスとそこに独断で介入してきた風紀委員会との衝突未遂事件のことだ。一歩間違えれば政治問題となりかねない事態を未然に防いでくれたどころか、風紀委員会の大半が出払っていたせいで起きたゲヘナでのいざこざの後始末もほとんど1人で片付けてしまったとあの後ヒナから聞いた。
うん。どう考えても働きすぎだと思う。そりゃあ無理矢理にでも休ませたくもなるよね。
…私が言えたことじゃないかもしれないけど。
”でもせっかく時間があるんだから、趣味に時間を使ったりとかは?”
たしか料理が趣味だって言ってたし、普段だったら時間が足りなくて作れないような手間のかかる料理も作れるのでは?
と、思ったんだけど、
「既に殆ど試した後ですよ。今では迷走した挙げ句、こんな物を作る始末ですから」
そう言いながら、私の口になにかを投げ込んできた。
”ムググッ!…なにこれ?”
「うま○棒(自作)です」
絶対買ったほうが安い。
”あっ、でもおいしい。これは…コンソメ味?”
「一度コンソメスープを作ってからそれで味付けをしました」
”そのまま飲むという選択肢はなかったのかな?!”
想像以上に迷走してた。
そんな話をしながらも手を動かし続けていたカイカがピタッ、と動きを止めた。
その手には封筒と、その中に入っていたと思われる手紙が。
「ん~~~~」
”ど、どうしたの?”
「…まあ、読んだ方が早いですね」
「…コホン、
『ゲーム開発部は今、存続の危機に陥ってます。生徒会からの廃部命令により破滅が目前に迫っている今、助けを求められる相手はあなただけです。勇者よ、どうか私たちを助けてください!』
…との事です」
”おお~、上手!カイカ声優になれるんじゃない?”
「大げさですよ」
”なかなかに個性的な手紙だとは思うけど、そんな渋い顔するほどかな?”
「…いえ、此方はまだ良いのです。いやまあ、これはこれで十分すぎる程にツッコミ所が満載なのですが。問題はもう一枚の方です」
そう言うとカイカは、裏面に大きく「ボツ」と書かれた手紙を取り出した。
「…
『勇者よ、あなたを待っていました。
私は、女神「モモリア」。
私たちの世界「ミレニアムランド」は今、過去に類を見ない機器に瀕しています。
この危機を乗り越え、生徒会の廃部命令からゲーム開発部を……いえ、ミレニアムランドを救えるのは、あなただけです。
過酷な道のりになるかもしれません……それでも、どうかお願いいたします。
これから始まる、あなたの冒険のその先に……どんな試練や逆境が待ち受けているのか、今はまだ分かりません。
ですが……どうか最後まで、勇気だけは失わないでください。
勇者様のそばには、旅路を共にする少女たちもいるはずですから。
新しい世界で、あなたはその少女たちから「勇者」ではなく……もっと特別な、ふさわしいなで呼ばれることになるでしょう。
――「先生」という名で。』
…ずっと何言ってんだ?」
迫真の演技だった。
”やっぱりカイカ声優向いてると思うよ”
「その話は後にしませんか?」
略。
「それで、受けるのですか?」
”うん。生徒が困ってるならそれを助けるのも先生の役目だからね”
「そうですか…」
カイカが少し悩むそぶりを見せる。
「私も行きます」
”え!いいの?”
「少し用事も有りますし、何より暇なので」
”ああ…。そういえばそんなこと言ってたね”
「休暇中はミレニアムに滞在する事にします。今決めました」
”判断が早い!?”
そんなこんなで、速攻で仕事を全て終わらせた私たちは、早速手紙の差出人に会いに行くことにした。
行き先は、キヴォトス三大校がひとつ、
ミレニアムサイエンススクール
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「そう言えば、電車に乗るのはこれが初めてですね」
”えっ!じゃあ今まではどうしてたの?”
「走った方が速いので」
”おお…”
カイカにとって、キヴォトス全域は徒歩圏内である。
暇すぎてカイカがめっちゃ饒舌になっとる。
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カイカの知能について
通常、人間の脳は平均して3%程度しか使用されていないと言われています。それ以上働かせようとすれば、酸素と栄養を供給するためにより多くの血液を回す必要があり、そんなことをすれば脳の至る所で内出血を繰り返すことになります。
これをカイカは、自らの不死性に物を言わせてクリアしました。
その結果、記憶力、演算能力が大幅に上昇し、一目見ただけで状況を把握する高い看破能力、未来予知にも匹敵する超直感、相手の表情変化から感情を推測する術を手に入れました。
当然ながら、脳内では内出血による脳細胞の壊死と再生が絶えず繰り返されているので、常に激痛に苛まれています。それを悟らせることは一切ありませんが。
何の代償も無しに、凡人が天才を凌駕することなどできないのです。