守護龍はシアワセを望む   作:五行天元

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今回は先生視点で話を進めていきます。それと原作と大差ない部分はダイジェストとさせてもらっています。

あ、女先生の想定です。


白いあの子は変わり者

リンちゃんに案内されてエレベーターを降りると、そこには5()()の生徒がいた。その内の4人の女の子が待っていたかのようにリンちゃんに詰め寄り、矢継ぎ早に質問を浴びせかけている。でも私は、そこに参加していない残り1人の子に目を引き寄せられていた。

 

我関せずとでも言うように少し離れた場所に立っていたその子は、なんというか、他の子とは違った。肩より少し下くらいまで伸ばした真っ白な髪にこれまた真っ白な肌、それでいて目だけは紅いという典型的なアルビノの特徴。ぱっと見は華奢で背もそこまで高くないその姿は本来、儚げな印象を与えてもおかしくない。でもその子からはむしろ、歴戦の戦士、とでも言わんばかりの力強い雰囲気を醸し出していた。

服装も少し変わっていた。制服の上から大きめのジャケットを羽織り、冬でもないのに真っ赤な薄手のマフラーを首に巻いている。そして何より異質だったのが、他の子はみんな銃を携行しているのに対し、その子だけは「刀」を腰に提げていた。

 

「……この先生こそが、フィクサーになってくれるはずです」

おっと考え事をしていたらいつの間にか私の話になっていたようだ。その後みんなと互いに自己紹介する流れになった。4人からそれぞれ名前と所属を聞き終わると、さっきまで離れたところにいた5人目が近寄ってきて私に挨拶した。

 

「初めまして先生。ゲヘナ学園が生徒会組織、万魔殿所属の一年、竜胆カイカと申します。此処へは行方不明となった連邦生徒会長について事情を聞いてくる…」

随分と芝居がかった口調をする子だなぁ…

 

「という体で、その連邦生徒会長が直々に指名した先生なる人物について私の目で見定めてこい、と送り込まれました。どうぞ宜しくお願いします」

やばい、他の子の印象全部この子に持ってかれちゃったかもしれない。

 

”えっと…それって言っちゃって大丈夫なやつなの?”

「駄目だったら始めから私に任せはしなかったと思いますよ」

実はけっこう天然な子だったりする?

 

それから、外郭地区にあるシャーレの部室に徒歩で向かうことになった。なんでも矯正局に収監されていた生徒が騒ぎを起こしているらしい。

 

「丁度ここに各学園を代表する、立派で暇そうな方々がいるので私は心強いです」

とのことで、彼女たちを護衛として連れて行くことになった。のだが、

 

「ふむ、つまり私が先に行って暴徒共を一掃してこれば良いのですね?」

なんかカイカが怖いことを言い出した。

 

「ちょ、ちょっと待ってください、カイカさん。まさか1人で戦うつもりですか!?」

「どうした、チナツ。私がたかが不良の百や二百程度に遅れを取るとでも?」

「カイカさんの実力は知っています。ですがあなたの戦い方はその、こちらの心臓に悪いんですよ!」

「そういえば私、カイカとは何度か顔を合わせたこともあるけど戦ってる所は見たことが無いわね。そんなに強いの?」

「一人で、キヴォトスを滅ぼせる程度には」

 

空気が凍りついた。

 

冗談だと思いたかった。けど、それを言った本人は決して嘘をついている様子ではなかった。

 

「…っ、だとしても、です!そもそも今回はあくまで先生の護衛、ですから…」

「ああ、万が一があるか。ならば私は先生の盾に徹するとしよう」

そう言うとカイカは私に向き直り、

「改めて宜しくお願いします。先生には掠り傷一つとして負わせないことを約束しましょう」

そう告げた。そこで私もよろしくと返そうとして、

 

「まぁ、囀ることしか取り柄の無いトリニティが真面な戦力に数えられるとは思えませんが」

「なんですって!」

ーどうしてこの子はこうも気軽に爆弾を落とすかなぁ!

 

ハスミとカイカが言い合いを始めてしまった。いや、言い合いというと少し語弊があるかもしれない。激昂するハスミに対し、カイカが皮肉交じりの返答をする。それでさらにハスミが怒って…という悪循環が引き起こされている。

スズミが近づいてきて教えてくれた。トリニティとゲヘナは昔から仲が悪く、何度も衝突を繰り返しているらしい。とはいえ、スズミとチナツはそこまで互いの学園に思うところはないみたいだ。

 

ひとまず喧嘩をしているなら止めないと先に進めない。私はまだ幾分か冷静さを保っているカイカに対して話しかける。

 

”カイカはさ、トリニティのことが嫌いなの?”

「ああ、大嫌いだ。他者を蹴落とすか足を引っ張ることにしか頭を回せない滓共や、己の保身のために他人に責任を擦り付けることを厭わない屑共の、どこに好きになる要素があるというのか」

「くっ」

ハスミが言葉を詰まらせる。どうやら思い当たるフシがあるらしい。

 

「もちろん全員がそうだと言うつもりはありませんよ」

チラリとスズミに目を向ける。が、再びハスミに向き直り、

 

「貴女方のように『これだからトリニティは』などといった思考停止した発言をするつもりなど、毛頭ありませんので」

「ふぐうぅっ!」

…凄まじい皮肉をかました。

 

「雑談は済みましたか?」

そんな言葉に振り返ると、リンちゃんが青筋を浮かべながらこちらを睨んでいた。

 

「御目汚し、失礼致しました」

カイカが迷わず頭を下げる。続いてハスミも慌てて頭を下げた。

それを見たリンちゃんは溜息をつくと踵を返した。さっさとシャーレの部室まで案内することにしたみたいだ。慌てて追いかける私たち。

 

(”大丈夫かな…”)

なんとも不安になる幕開けだった。

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