守護龍はシアワセを望む   作:五行天元

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そう毎回毎回気の利いたタイトルなんて思い付かねんだわ。


パヴァーヌ一章の先生は殆ど空気

「あり得ないわ」

 

早瀬ユウカは歩いていた。

 

「ゲーム開発部に新入部員が入ったなんて、あり得ない…っ!」

 

言わずもがな、ゲーム開発部に資格審査を執り行うため、部室に向かっているのである。

何せ廃部について再通告した翌日の出来事なのである。本当に正規の手段で獲得した部員なのか、そう疑いたくなるのも宜なるかな。

 

…誤解が無いように言っておくが、ユウカはモモイ達の事を嫌っている訳では決して無い。

彼女の権限であればゲーム開発部を問答無用で廃部にする事も可能である。それを思えば、現状は寧ろ有情であるとさえ言えるだろう。

 

だが、ゲーム開発部が過去に起こした事件(他部活への襲撃や違法賭博の開設等)。

そんなやらかしの数々は、彼女達に対する負の信頼を積み上げるには余りにも十分すぎた。

 

ゲーム開発部の部室に辿り着いたユウカが扉をノックする。

 

「入るわよ」

 

そして、部室に入ったユウカの目に飛び込んで来たのは、

 

モモイとミドリに挟まれている見覚えの無い黒髪の少女

 

と、

 

何故かユズと格ゲーに興じているカイカの後ろ姿であった。

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「何でカイカがここにいるのよ?」

「あ、御構い無く」

 

モニターに顔を向けたまま、カイカが返事をする。

 

発端は、ユズの隠れていたロッカーをカイカがいきなり開けた事。モモイ、ミドリ、アリスの三人には戦いを通じて覚悟を見せて貰ったので、部長であるユズについても知りたいと思ったカイカの暴挙である。

 

取り敢えず相手の土俵で戦うのが一番手っ取り早いだろう、と考えたカイカがユズに対してゲームで対戦する事を提案。終始困惑していたユズも、いざ対戦が始まってしまえば意識が切り替わる。

 

そして現在、二人は指の動きが全く見えない程の高度な戦いに明け暮れていた。

因みに、ユズは集中し過ぎているせいでユウカが来ている事にも気付いていない。

 

「一応、私はシャーレの部員としてミレニアムに来ているので、ゲーム開発部(此処)に居る事自体は何ら不思議では無い筈ですが?」

「…言われてみれば、そうね」

 

そう言った諸々の事情はユウカには知る由も無いが、一先ず納得する事にしたようだ。

 

そもそも、今回の本題はカイカ(それ)では無い。

 

「それで…。あなたが噂のアリスちゃんね。ゲーム開発部に入った、4人目のメンバー」

 

アリス(これ)が本題である。

 

「ふーん、ミレニアムの生徒ならほぼ全員把握してると思ってたけど…。私がこんなに可愛い子のことを知らなかったなんて、ちょっと信じられないわね」

「昨晩セミナーに忍び込んで調べ物をしていた時点では『天童アリス』と言う名の生徒はミレニアムのデータ上に存在していなかったからなぁ…」

「「「なんて?!」」」

「隙有り」

「ああっ!しまった!」

 

だがしかし、こんな状況でも平然と爆弾を投げ込むのがカイカである。

 

「カイカ?今なんて?」

「よし、これでストックは並んだ。それとユズ、ユウカ先輩が来てるぞ」

「え?…ひゃぁぁあ!?」

「おお、よしよし。怖かったな」

 

しかもそんな爆弾発言も、ユズとの対戦における盤外戦術に過ぎないと言うのだから恐ろしい限りである。

 

「いやいやいや…、そんなので誤魔化されないわよ。さっき確かに言ったわよね、セミナーに忍び込んだって」

「…一応、セミナー所属の生徒に許可は得ましたし、その人物の端末しか触れてませんよ」

「誰よ、そんなイカレた許可出したのは」

「まあ、その本人は現在反省部屋在住なのですがね」

「コユキィィ!!」

 

嗚呼、あの時曲がり角でぶつからなければ、こんな事にはならなかっただろうに。

 

「そもそも、あんな簡単に侵入出来るセキュリティなのが駄目だと思います」

「あなたまでコユキみたいなこと言わないでくれる!?」

「本題から脱線してますよ」

「誰のせいだと…」

 

既にカイカはゲームに戻っていた。自由人が過ぎる。

 

「いや、もういいわ。それじゃあ…アリスちゃん、いくつか簡単な質問をさせてもらうから…」

「やったな、モモイ。ユウカ先輩の思考能力を鈍らせる事に成功したぞ」

「逆効果じゃない、コレ?!」

「シラネ」

 

ほんまこいつ…。

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結論から言おう。

 

無事、アリスはゲーム開発部の部員として認められ、それに伴い規定人数を満たした事でゲーム開発部は正式な部活として認定された。

 

ただし、

 

「結果的に、まだゲーム開発部は存続の危機…ってことだよね」

「だから言っただろう。気を抜くには早い、と」

 

部としての成果を証明できなければ、来学期には廃部となってしまう。おまけに猶予は来月末。

 

「でもこんなの、どう考えても詐欺だよ!謀略だよ!!」

「概ね、身から出た錆では?」

「ぐはぁ!」

 

かいしん の いちげき !

 

知らなかったのは部長会議をサボったモモイの責任だし、前日にユウカに対して啖呵を切ったのもモモイである。

そんなカイカの正論にモモイはあっさりとダウンしてしまった。

 

「とにかく、もうやるべきことは一つ」

 

そんな姉の様子を無視して、ミドリが告げる。

 

「ミレニアムプライスで受賞できるような、すごいゲームを作ること」

「ってことは、結局G.bibleが必要なんじゃん!またあの廃墟に行くの!?やだぁ!!」

 

復活したモモイが早速駄々を捏ねる。とは言え、これに関してはミドリも同意だった。

 

(…責任、取らないと)

 

そんな中、決意を固める少女が一人。

 

「G.bibleを探しに、また廃墟に行くなら……わたしも、一緒に行く」

 

モモイとミドリが驚愕する。ユズの内面を良く知る二人にとって、この発言はそれだけ衝撃的だったのだ。

 

「…元々は、わたしのせい…だから。それに、この部室は…もうわたしだけのものじゃない」

 

ユズは震えていた。ちっぽけな、本当にちっぽけな勇気。()()()()()()()()()のために彼女がどれ程の覚悟を要したのか、それは誰にも分からない。

 

それでも、

 

「…一緒に、守りたいの」

 

その言葉は、確かに心を動かす力があった。

 

ポンッ、と頭に手が置かれる。

先生のそれとは違う、冷たい手。それでいてどこか包み込まれるような安心感を与える手。

気付けば、震えは止まっていた。

 

「勿論、私も同行しよう。…約束、だからな」

 

少し照れたようにカイカが言う。純粋な感情に、カイカは弱いのだ。

 

「ユズちゃん…、カイカさん…」

「パンパカパーン、ユズとカイカがパーティに参加しました!」

 

決意を新たに、

頼もしい仲間を引き連れて、

勇者パーティは立ち上がる。

 

「よし、行こっか!今度こそ、G.bibleを手に入れるために!」

「先生が来てからな」

 

出鼻を挫かれて、モモイは盛大にずっこけた。

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「そう言えば、なんでユウカのこと先輩呼びしてるの?」

「私は一年なのだから当然だろう?」

「「「同学年!!?」」」

 

普通に年上だと思われていたそうです。




アリスがユウカを妖怪呼ばわりするくだりをスキップする隠れたファインプレー。

因みに、カイカとユズの格ゲー対決は2-3でユズの勝ちでした。
どうでも良いですね。
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