守護龍はシアワセを望む   作:五行天元

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ロマンすぎた。


それは、銃と呼ぶにはあまりにも

G.bibleを手に入れるため、再び『廃墟』へと足を踏み入れた彼女達。

 

前回はモモイ、ミドリ、そして先生の三人だけだったが、今回はそこに三人、新たなメンバーとして加わっている。

 

”まさか君がゲーム開発部のみんなと一緒にいるなんてね”

「不思議ですか?」

”いや?そうでもないかな”

 

その三人の内の一人、カイカが先生と会話していた。

随分と暢気に思えるかもしれないが、前回はたった二人で突破した道程なのだ。そこにアリスとユズが加わった事で、態々カイカが介入する必要も無い程度に戦線は安定していた。

そんな訳で、先生もゲーム開発部の指揮をしながらでも会話出来る余裕があった。

 

”ところでカイカ、刀はどうしたの?見当たらないけど…”

「無いですよ。打ち直して貰うために預けてますからね」

”えっ!じゃあ、どうやって戦うつもり?”

「ええ、ですから今回は銃で戦います。態々用意して頂きましたから、その実戦テストも兼ねて、と言った所ですね」

 

”銃使えたんだ”

「失礼な」

 

無理も無い。

何せ先生はカイカが銃を用いて戦闘している場面に遭遇した事など一度も無い。

否、そもそもカイカはゲヘナ学園に所属して以来、ゲヘナ自治区で銃を使った事は一度も無い。故に、カイカの銃の腕前を知る者は本当に極々一部に限られるのだ。

 

そうこうしている内に敵の殲滅が終わったようだ。やはり広範囲高火力持ちのアリスの存在は大きい。

だがそれ以上に、彼女達の支えとなっている大きな要因がある。

 

「ねえねえ、私たちってもしかして実はすごく強いんじゃない?C&Cとか、他の学園の戦闘集団と戦っても勝てちゃうかも!」

「少なくともC&Cは絶対に無理だと思うけど……確かに、自分でもちょっとびっくり」

「きっと、先生とカイカがいるから……二人が後ろにいると、安心感が全然違う…」

 

そう、先生の指揮により戦いやすくなっている事に加え、カイカと言う絶対的強者が控えているという事実は、モモイ達の心に余裕を齎していた。

 

「ふっふーん。あのくらいの相手だったらいくら出てきたところで今の私たちの敵じゃないね!」

「お姉ちゃん、それフラグ」

 

だが、得てして余裕とは慢心へと繋がるのが世の常である。

モモイもまた、その例に漏れなかったようで、

 

「御要望に応えて追加が入ったぞ。軽く先程の三倍は居るな」

「お姉ちゃん!」

「ええ!私のせいなの?!」

 

進行方向から新手が出現する。しかも残念ながらこれで終わりでは無かった。

 

「さらに悪い報せだ。聞きたいか?どの道聞かざるを得ないが」

「じゃあ聞くしかないじゃん!」

”…!、全方位から敵対反応多数!このままじゃ、30秒もしない内に完全に囲まれる!”

「…と言う訳だ」

 

「ほらぁ!お姉ちゃんがフラグなんて立てるからぁ!」

「だから私のせいなのぉ?!」

「うわーん!負けイベの匂いがプンプンします!」

「どうしよう…、どうすれば…!」

”みんな、落ち着いて!”

 

先程までの余裕はどこへやら、一転して混乱に陥ってしまう。

 

「…ふむ」

 

だがそんな状況において、冷静さを保つ者がここに一人。

 

「走れるか」

「「「「”…え?”」」」」

「交代だ。此処からは私が戦う」

 

満を持して、カイカが動く。

それは最早、勝利宣告に等しい。

 

「付いて来い。全て蹴散らしてやる」

 

懐に右手を差し込む。

取り出されるは、カイカのためだけの新たなる武器。

 

「さあ、初陣だ」

 

その名は、

 

「…ハートフル・エゴ」

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それは、随分と異質な外見をしていた。

 

一応、()()()()片手で扱う事を想定された銃である。ただし、どこからどう見ても真面に使用出来無いと思わせる見た目をしていた。

 

先ず、銃身が異常に太い。明らかにカイカの腕よりも太い、どころか倍近くはある。

そしてその先端には銃口が上下に二つあり、それぞれ口径が違う。

さらに反対側には、銃身と同程度に長大なマガジンが取り付けられている。

 

そんな奇天烈な銃「ハートフル・エゴ」を、カイカは当然のように片手で握る。

 

ーーパパパパパッーー

 

走りながら銃を構え、引き金を引く。

直後、最前列にいた五体のオートマタが構えていた銃が同時に暴発した。

 

「まさか、銃口を狙って…?!」

 

誰かが思わずといった様子で呟く。

 

今度は三発の銃弾を放つ。それらはドローンの動力部と電源を繋ぐ経路を穿ち、三台のドローンが同時に墜落した。

 

否、落とされただけでは無い。

 

その向こう側に居た、丁度バズーカ砲を撃とうとしていたオートマタ。その射線を遮るように撃墜されたドローンが割り込む。その結果は、火を見るよりも明らかだ。

爆煙を翼で起こした風で吹き飛ばしながら、足を止める事無く走り続ける。

 

それ以降もまた、一方的な蹂躙が繰り広げられる。

 

ある時は、関節を撃ち抜く事で動きを止め、擦れ違う瞬間に蹴り飛ばす。

またある時は、銃そのものを撃つ事で狙いを逸らし、同士撃ちを誘発する。

 

「すごい…!」

 

それは、正しく神業だった。

そこには一切の無駄弾が無く、必要な場所に必要な数だけ引き金が絞られる。そうして放たれた銃弾は、まるで始めからそう在るべしと定められているかの如く、最善以上の結果を叩き出す。

 

有り得ない? 否、それでこそ守護龍だ。

普段は使わぬ武器と言えど、その腕を錆び付かせる事は決して無い。

 

”!、カイカ!”

「大きい!」

 

足を止める。

そこには一際大きなロボットが、工場の入り口で立ち塞がっていた。

 

「問題無い」

 

それでも、カイカの心に焦りは無い。

くるり、と銃を手元で一回転させてからロボットに向けて構える。

直後、

 

ーードゴォォッ!!ーー

 

先程までとは比較にならない発砲音が轟き、ロボットの胴体に巨大な風穴を開けた。

ゲーム開発部の面々だけではそれなりに苦戦したであろう相手。

それをたった一発。唯それだけで、本来強敵と成り得た筈の存在は地に伏せる。

 

「…クリア」

 

それを成した張本人は、何の感慨も込めずにそう小さく呟くのみ。

当然だ。何故ならカイカの目的は、ゲーム開発部と先生を無事に辿り着かせる事。その道中にて相対する敵の強弱なぞ、カイカにとって何の意味も成さないのだ。

 

味方にすれば誰よりも頼もしい。

逆に敵に回せば、それは敗北と同義。

 

それが、それこそが『ゲヘナの守護龍』竜胆カイカである。




ハートフル・エゴ
キャリコM950とトリプルアクションサンダーの悪魔合体。
莫迦じゃねぇの。

キャリコM950
知る人ぞ知るヘリカルマガジン。
勿論、総弾数100発の弾倉を使用している。知ってた。
ジャムりやすい事で有名だが、これは全くジャムらない。流石エンジニア部。
連射速度は750発/分 だがカイカはこれを一発毎に別の目標に当てる事が出来る
んな阿呆な。

トリプルアクションサンダー
皆様ご存じ最強の単発銃。
本来は後ろから装填するのだが、「ハートフル・エゴ」は構造の都合上、上から装填する。
尚、急拵え故か引き金と連動させる事が出来なかったようで、装填した一秒後に自動で発射される仕様となっている。
合体させた意味 is ドコ?
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今回の銃の名前は結構難産でした。刀の方の名前「破壊殺」はすんなり思い付いたんですけどね。
でも一度頭に浮かんだら「これだ!」ってなったので、良い名前を付けられたと自負しています。
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