守護龍はシアワセを望む   作:五行天元

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ここでオリチャー発動!
セミナー襲撃をスキップします。
だからあそこでコユキと知り合いになっておく必要があったんですね。


飛行技能は多くの場合で禁止カード

「依頼された『データ』について、結果が出たよ」

 

あの後、ロボット達の追跡を振り切り、無事に廃墟からの脱出に成功したゲーム開発部は、その足でG.Bibleの解析をヴェリタスに頼みに行った。

 

「知っての通り私たち『ヴェリタス』は、キヴォトス最高のハッカー集団だと自負してる。システムやデータの復旧については、それこそ数えきれないほど解決をしてきた…。その上で、単刀直入に言うね」

 

そして、告げられたその結果は、

 

「モモイ、あなたのゲームのセーブデータを復活させるのは無理」

「うわぁぁぁぁん!もうダメだーーーー!」

 

…余りにも、残酷な現実であった。(モモイにとっては、と言う但し書きが付くが)

取り敢えず、カイカは先生と一緒にモモイの頭を撫でる。慰めになっているかは知らない。

 

「そっちじゃないでしょ!?G.Bibleのパスワードの解除はどうしたのさ!?」

「それなら、マキが作業中ですよ」

 

今度こそ、その結果が話される。

発見されたデータはオリジナルのG.Bibleで間違い無い事。しかしファイルのパスワードは未だ解析できておらず、恐らく直接解析するのは不可能である事。

 

「要するに、パスワードさえ突破出来れば良いのだろう?」

 

先程まで無言を貫いていたカイカが唐突に口を挟む。

カイカは懐から紙とペンを取り出し、簡易的な地図を書き上げる。そしてその地図をアリスに手渡しながら、こう言った、

 

「ここだ。この場所に居る人物に会いに行け。その者、あらゆる秘匿を破りし才媛。破滅をも齎し得る天賦の才。然れどその力、正しく振われるならば、或いは」

 

仰々しく、芝居がかったその言葉。それらは狙い通り、アリスの壺に刺さった。

 

「クエスト発生です!行きましょう!」

 

飛び出して行ったアリス達の背中を眺めながら、カイカは件の人物にモモトークを送る。

 

『テンションの高低が激しい四人組が訪ねて来ると思うが、出来る限り力を貸してやって欲しい』

送信

 

「さて…」

 

カイカはヴェリタスの三人に向き直る。

 

「『鏡』」

 

脈絡も無く呟かれた言葉。然れど()()を聞いた三人は、ギクリと体を震わせる。

 

「彼女達に頼みたい事があったのでしょう?」

「…カイカ、一体どこまで把握しているの?」

「私が知っているのは『鏡』と言う名のハッキングツールがセミナーに押収された事だけです」

 

それだけの情報から、カイカは推理をした。

過程は省くが、裏側に居る人物の目的はアリスの戦闘能力を探る事であろう、と言う所までカイカは辿り着いている。

 

故に、

 

「私が回収してきますよ」

「え、いいの?というか、だったら最初からそうすればよかったんじゃ?」

「コユキに任せた方が早い。ミレニアムプライスまで然程時間は残されて無いからな。それに、

 

一拍置いて、告げる。

 

「思惑通りに動くと思われるのは、癪ですから」

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『鏡』が保管されている「差押品保管所」は、セミナーと同じくミレニアムタワーの最上階に位置している。

そこに行くためにはエレベーターを使う他無く、そうすれば監視カメラから逃れる術は無い。

高層建築の最上階。それだけの事でセキュリティとして機能していると言っても過言では無い。

 

普通ならば。

 

差押品保管所に唯一存在する窓。その外側にカイカは居た。

…空を飛んだ状態で。

 

建物の外から侵入すれば、監視カメラに映像が残る事は無い。

…当たり前の事ではあるが、例え羽の生えた生徒であったとしても滑空する事が精々であり、空を飛ぶ事は不可能だ。

だが、カイカの翼は自由に空を飛ぶ事を可能にする。普段は飛ぶ意味が無いから飛ばないが。

 

そんな訳で、差押品保管所の外に居るカイカだが、当然窓は内側から鍵が掛けられている上に、そもそも人が通れるような大きさでは無い。

辿り着けた所でそんな場所から侵入する事は不可能。

 

普通ならば。

 

カイカは尻尾を伸ばすと、()()()()()()()()()で窓に差し込む。そして窓をすり抜けた尻尾の()()()()()()()()させて鍵を開けた。

そうなれば後は簡単だ。一度非実体化状態の尻尾を引き抜き、窓を開けてから今度こそ実体化させた尻尾を滑り込ませる。カイカの尻尾は本人の意思によって長さを伸ばす事が出来る。そうして目的の物、『鏡』のデータが入ったUSBを探り当てると、そのまま掴み取って回収してしまう。

 

理不尽にも程がある。

 

結局、カイカが忍び込んで『鏡』を盗み出す間、誰一人としてその事に気付く者は現れなかった。無理も無い。

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「戻りました」

「はっや!まだ5分しか経ってないんだけど」

「簡単な仕事でしたよ」

そう言いながらカイカは、『鏡』の入ったUSBを机の上に置く。

 

「それでは」

 

そしてそのまま去って行った。

 

「本当に一人で成し遂げてしまいました…。セキュリティの見直しを進言するべきでしょうか」

ヴェリタス(私たち)がそれ言うのもおかしな話だけどね…」

 

三大校の一角であり、技術の最先端を行くミレニアムサイエンススクール。その生徒会組織であるセミナーのセキュリティを、たった一人で突破してしまった竜胆カイカ。

その恐ろしさに身震いしながらも、「流石にザルすぎじゃね?」と心配になってしまった反セミナー組織(ヴェリタス)の面々であった。

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ヴェリタスの部室を後にしたカイカ。

現在はゲーム開発部の部室に向かっている最中である。

 

「そろそろG.Bibleの中身を確認し終えた頃か」

 

そんな事を呟きながら歩く。

カイカにしてみれば、その内容なぞどうでも良い。ある程度の予測は付いているが、所詮自分は協力者の立ち位置であり、それを受けてどうするかは彼女達自身が決める事だ。

 

等と考えながら部室の前まで来た時、中から誰かが飛び出す。

その少女はカイカの姿を認めると、カイカに向かって抱き付いて来た。

 

「コユキ?」

「カイカさーん!助けてくださーい!」

 

…どうやら一筋縄では行かないようだ。

カイカはそう感じるのだった。




以前書いたように、カイカの翼と尻尾はヘイローに近い物なので、物体をすり抜けさせる事も出来ます。
普段は物理的干渉力を有しているのでハッキリと視認できますが、非実体化状態にすれば完全に透明にする事も出来ます。これを利用すると、非実体化状態で相手に尻尾を巻き付けてから実体化させることで、相手からすれば何の前触れも無く拘束されるという恐ろしい技も使えます。

…え?じゃあなんで普段から使わないんだ、って?
殴った方が早いからだよ。
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