守護龍はシアワセを望む   作:五行天元

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ねえ、知ってる?
龍の肝はね、不老不死の薬の原料になるんだよ。

今回から主人公視点に戻ります。


龍たる所以、その矜持

痛い。もはや()()()()とは言え、それで痛みが失われる訳では無い。だが今はそんな事は関係無い。

戦車砲の一撃で頭が消し飛ばされた。だが私は、残念ながらその程度では死ねない。

手は動く。脚も動く。

ならば、戦闘続行に支障は無い。

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足を踏み込むと同時に勢い良く尻尾を伸ばし、地面を叩く反動で一気に加速する。

淀み無く行われるいつもの強襲スタイル。私は瞬きする間もなく、主砲を撃ち終えたばかりの戦車の元へと肉薄する。瞬間移動に見紛う速度故か、不良達は私がすぐ隣に現れたことにすら気付いていないようだ。好都合。

 

私は戦車の砲塔を掴み、

思いっきり、振り回した。

 

「うわぁぁああ!!」

鈍器(メイス)の如く振るわれる戦車に、為す術も無く吹き飛ばされる不良達。

 

「ヒッ!!死ねぇ!バケモノ!!」

距離を置いていた不良たちが私に銃の狙いを定める。しかしそんな抵抗も虚しく、残された不良達は先生の的確な指示によって、引き金を引く間も無く制圧されていく。

 

戦闘が終わる頃には頭部の再生も終わっていた。

 

皆の元へと戻る。先生や先輩達は恐怖と安堵が入り交じったような顔を浮かべていた。チナツは泣いてた。

 

”ね、ねぇ、カイカ。今のは…”

「先生」

言葉を遮る。

「貴女には今、為すべきことがあるはずです」

そう言って、七神リン代行に視線を送る。

そもそも今回の我々の目的はシャーレの部室の奪還、そして先生をそこまで安全に送り届けることだ。つまり私の仕事はもう終わっている。

七神リン代行も何か言いたげだったが、自身の役目を優先してくれたようだ。

 

「そう…ですね。先生、建物の地下へ向かいましょう」

”…うん、分かったよリンちゃん”

そうして先生は、何度かこちらを振り返りながらも建物の中に入っていった。

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「行ったか…」

先生が建物内に入り、完全に見えなくなったことを確認すると私は、

 

ーードサッーー

 

…碌に受け身も取れぬまま、仰向けに倒れた。

 

「カイカさん!!」

チナツが慌てて駆け寄ってきて上半身を起こし、背中を支えてくれる。瓦礫の上に身を横たえたままでいるのは痛かったので、有り難い。

 

「すまない。まだ頭に血が回りきって無くてな」

先程まで意識が飛びそうになるのを気力で耐えていたに過ぎず、実は結構ギリギリだった。

だが、先生の前で倒れることだけは避けなければならなかった。

だってそうだろう?そんなことになれば、先生は()()()()()()()()()()()で気に病むことになってしまう。

 

「…どうして、」

そんなことを考えていると、

「どうして私を、庇ったりなんてしたんですか」

ハスミ先輩が、そんな()()()()()()を聞いてきた。

 

「別に、あの場にいたのが貴女では無くても、私は同じ事をしていましたよ」

 

何故なら、

 

「数の有利は敵側にありました。故に、戦える人間が一人でも減る事態だけは絶対に避けなければならなかった」

 

それだけの事だ。

 

「たった、それだけのことで…!?」

「ならば聞きますが、」

 

「あのまま戦車砲の一撃を食らっていた場合、貴女は戦闘を継続する事ができましたか?」

「それ、は」

不可能だろう。私のように死にはしない、が、無視できない怪我を負っていたであろうことは間違い無い。

 

「今回の私の役目は先生の護衛。一切の被弾を許さずこの場まで送り届ける事。ならばそれを阻害し得る可能性は、全て排除する必要がある」

 

飽く迄仮定の話である。

 

「貴女があの場で戦闘不能に陥る事で、戦線が崩れた可能性がある」

 

だがそれを完全に否定する事は不可能だ。

 

「よって、戦車砲が直撃しても戦闘を続行できる私が代わりに被弾するべきだと判断しました」

 

それが、力有る者の責務故。

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「不老不死なんですよ。私」

 

戻ってきた先生が早速詰問してきたので、何でも無い事のようにそう返した。

薄々察してはいたようだが、それでも先生は随分と驚いた様子だった。まあ、無理も無いだろう。

チナツ以外の他の面々も同様に驚いていた。

 

”チナツは最初から知ってたみたいだね?”

「はい…。以前、爆風で全身を炭化させながら平然と戦う場面に遭遇したことがありまして…」

そう言えばそんな事もあったな。確か温泉開発部が仕掛けた爆弾から風紀委員を庇った結果そうなったのだったか。あれ以来、風紀委員会から私への反応が全体的に柔らかくなった気がする。

 

閑話休題(それはさておき)

 

「先生」

 

尚も先生は言葉を続けようとする。

 

「貴女は、『先生』です」

 

釘を刺す必要がある。

 

「特定の一生徒を優先する行動は、極力控えるべきです」

 

まだ、私の全てを告げられる程、私は貴女を信用できてはいない。

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「…というのが、今回の件の顛末です。『他の誰よりも、先生の印象に残る』という目的は達成できたと思われます」

「やりすぎだ、バカモノ!!」

 

万魔殿に戻った私は、一連の出来事を報告した。

マコト議長白目剥いてた。ウケる。




こうして、みんなにクソデカ感情を抱かれていくわけですね。

これにて、チュートリアルは終わりです。

竜胆カイカという存在について、分かったこと、分からないこと、どちらもあると思います。
それらは今後、ブルアカのストーリーと絡んでいく過程で少しずつ判明していくと思うのでお楽しみに。
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とりあえず、今話せることを少しだけ、

戦闘中に急に生やしてた尻尾や翼は、本質的にはヘイローに近いものであり、本人の意思で自由に拡大・縮小することができる。ただし生徒たちにもはっきり視認できる上、物理的に干渉することもできる。飛行能力も有しているが、基本走った方が速いので跳ぶことはあれど、飛ぶことはほとんどない。
色は純白で、ドラゴンと言われて想像するそのままの見た目をしている。
大きさは、特に意識しなければ尻尾は1~2メートル、翼は横に広げて2~3メートル程度。
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