Snake.memory──不滅の蛇の日記帳   作:カピバラバラ

5 / 9
自分特有のエーテリアスも作りたいよね、え?冒涜?

 

──ゼンレスゾーンゼロに『転生』という形を経て産まれ落ちた最大の利点は何か。

 

不老の身体?エーテルの完全操作?いやいや、それらは全部……この世界で得たものであって、別に転生の要素が絡んでいる訳じゃない。

 

物語を知っている事?この世界が辿るであろう運命を、その道筋を既に知っている事?確かにそれは転生の利点だね、素晴らしい能力、権能って嘘ついてもバレないくらいには強力で…便利な力。色んな子の心の内を知ってるし、秘められた真実や過去の出来事、諸々全部知っていれば何だって出来る。

 

でも包ちゃん、長年生きてきて一番『転生者』として、あーコレズルいな〜って思っちゃったのは……──私自身の、心の話なんだよ。

利点は勿論、今言った『知ってる』事の方が大きいよ?でも、もし転生者じゃない人間が……例えばこの世界に元々生きてた子が、私と同じ知識を得るとして、

 

「君のお母さんがギリギリで助かってる理由が私だとすれば、どうにか刃を納めてくれないかな?」

 

「────」

 

──その心が、どれだけうつろわぬものだとしても、いつかは欠けて擦れていく。

 

分かるかな、転生者としてメタ視点を持つ事の最大のメリットは、この物語を『消費者』として受け取ってきた私自身の心の在り方だ。

心には方向性がある、精神の軸とも言えるべきものが。アレをしたいコレをしたい、ああなりたい成し遂げたい、それは人間を際限なく突き動かす原動力で、あらゆる運命を書き換える力。

 

パエトーンはカローレ先生の真実を追い求め、アンビーちゃんとかは自分の『生まれ方』そのものと向き合い、勝利する。ニコちゃんは幼い頃の約束がここまでの道のりを形作ってたり、白紙重工の社長ちゃんとかもそうだね。

 

知れば知るほど、この世界でフレッシュに今を生きる人間は強く、その方向性に基づいて歩いていける。

けれどその力を、精神の軸を失った子達はとっても悲惨な結末を辿る。ブリンガーちゃん、サラちゃん、イゾルデちゃんとかが良い例。

 

彼ら彼女らは『悪』であるから敗北するんじゃない、その燃料を誤魔化し続けてるからなんだよ。

ブリンガーちゃんは元々持っていた軸が壊れて、壊れたまま新しいものに縋り付いている自覚も無く、ガタガタな心のまま生きてたからああなった。

イゾルデちゃんは復讐を成し遂げた後に、なんの意味も無い鬼火ちゃん達との決闘に勝つ意味も、生きる意味も見いだせなかった。

 

サラちゃんも……はぁ、結局あの子も助けてって叫んでたのに社会に裏切られて、救われた先が偶然讃頌会だったから真なる安息の地を始まりの主に望んだ。それで、あの結末。

 

私はそうはならない、そうなれない、そうやって生きれない。沢山の悲劇を目にしても、沢山の涙が流れても、沢山の命が奪われても、『変わらない』。

 

「何……を…」

 

もしも私と同じような知識を得たとして、いつかその心は擦り切れていく。もしも私と同じような肉体を得たとして、いつか自壊を望む程に壊れていく。もしも私と同じような能力を得たとして、いつかその力は呪いなんだと絶望に沈む。

 

この世にあまりある悲劇、苦痛、絶望、後悔、懺悔。

この世にあまりある喜び、幸福、希望、美徳、信心。

はいっ!これ、全部受け止めてね!──無理に決まってる。

 

知っている範囲、『パエトーンの軌跡』だけでも…言わずもがな。

 

「だから〜、包ちゃんが開発したあの『棺』。エーテル粒子を体内のエーテル波動と同調させて、逆に再生力へと変換しちゃうヤツ。アレを雅ちゃんのお父さんに『貸してあげてる』のは、誰かな〜って」

 

とりあえず、他の子には聞こえないように雅ちゃんの耳元でそう呟いて、反応を見る。

 

 

「………………」

 

まぁ、つまりはね。

──こんな残酷な世界で、不老と知識を手に入れて心をマトモに保てる程、大仏地味た人間は産まれないってワケ。

 

その点包ちゃんは何ともありません!なんというか、現実剥離症?離人症?メタ視点を持っているからこその、共感性の欠落がここまで私の心を守ってくれています。

 

情に流されない癖に、情を知っている。涙を見て悲しくならないくせに、涙が流れる理由を知ってる。それって、『現実』としてこの世界を生きる上ではとても卑怯な力でした。

感情を理由に遅れを取らない、そんな合理的な人間に見える中身は唯の享楽主義。

 

「……おー?刀、収めてくれるんだ〜」

 

「…………」

 

「包ちゃん嬉しいな、これでちゃんとしたお話し合いがスタート出来るね!ほらアキラくんニコちゃんリンちゃん!やったレ!」

 

──ああ、なんてズルいんだ。

みんなが苦しみを噛み締め、乗り越えるこの世界で、一人だけそのプロセスを無視していいだなんて!!

 

「課長……?」

 

「……」

 

「へぇ、お嬢さんってもしかして腹黒かな?僕たちの課長をこんなに悲しませちゃうなんて……──何を言ったのかは知らないけど、おいたが過ぎるんじゃない」

 

「包ちゃんって呼んでよ、マサマサ」

 

「──その呼び方、アンタみたいな奴には絶対言われたくないんだけど」

 

──ああ、本当にズルいんだ。

自分は良くて、人はダメ。人には良くて、自分はダメ。不平等はいつだって……ズルいものですもん。

 

「元々さ、僕らはブリンガーの裏の顔って奴を聞きに来ただけなんだけど、なんだかその裏の顔よりも黒いモノがお出迎えしちゃってる訳。捕まえられても文句無いよね」

 

「言葉を返すようだけど、元々さー、聞き出した相手全員とっ捕まえるつもりだったでしょ〜?交渉の余地なく、聞くだけ聞いて真相究明は自分達で。そんなの酷くないかな〜って思ってさ、『交渉』出来るように場を整えただけ」

 

「──副課長!僕この人苦手です!!」

 

「はぁ……そんな風に返してしまえば、彼女の推測にYESと答えている様なものですよ、浅羽隊員」

 

「っ、アンタらねぇ…!!邪兎屋の事を信用出来ないのは良いけど、あんまりにも不義理ってもんじゃない!?」

 

ニコが対ホロウ六課の企みを糾弾する、いや──企みというには組織として真っ当な行動ではあるのだが、不条理を防ぐ側がなんたる事を、と。

そして視線は、先程包に何かを言われ固まる雅へと注がれる。星見雅、彼女にとっては数秒の硬直でも、普段の『星見雅』という人物を知っている者からすれば尋常でない動揺に見えただろう。

 

後ろ頭を掻きながら、苛立ちを抑えビリーの腕を引っ張るニコ。「録音を聞かせてやりなさい!」と、折れかけていた本題の筋を強引に元に戻し、自分がお武家ギツネと呼ぶ相手にふんぞり返る。

 

「どうよ!アンタを呼んで、真相、黒幕探しに協力させようとしたワケが分かったでしょ!」

 

「……ふむ…だがお前が聞かせたのは如何様にも形を変える陰謀の断片だ。主張する『真相』とは、その可能性の中のいちパターンに過ぎない」

 

「事実、そこなる連れ人は『プロキシ』だ。我々が調べた所…」

 

「件の不祥事には全体を通してあるプロキシの関与があったとのことでした。工事を引き継いだ白祇重工に起こったことについても同様にプロキシの介入が判明しています」

 

「更には、治安局の証人護送にまつわる飛行船の件、そして郊外…たしか郊外はこのほど、彼らの伝統にまつわる重要な催事を行ったばかりだそうですね。そして責任者様が再びこの地を訪れた……」

 

「柳が述べた通りだ、邪兎屋のニコ。重要な秘密、それか真相へと辿り着く何かを持った犯罪者を見過ごした上で、ブリンガーの陰を暴く手伝いをしろ…と」

 

「うぐぐぐっ……──相変わらずあったまかったいわねアンタ!いいわよもう、アンタらに協力を求めた私が馬鹿だった。今すぐパールマンを連れてブリンガーを直接叩きに…!」

 

「──待て」

 

車へ駆け出そうとするニコを制し、伏し目から顔を上げて何か思い出したかのように息を吐く。

それから一呼吸、瞑想の為の間を空けて──「分かった」と観念を告げた。その分かった。はニコの『真相』究明に手を貸してやる、そんな意図を含むものだ。

 

「課長!?マジっすか!?」

 

「……思い当たる節がある、心を揺らされた訳では無い。ただかの真相へ寄りつく(よすが)が、私にもあったに過ぎない」

 

「課長がそう仰るのなら…私も手を出しません。蒼角もですよ、良いですね?」

 

「えー?うーん…ナギねぇがダメって言うなら、分かったー!」

 

星見雅───彼女が刀を抜くのを辞めた訳。

それは包にも思い当たる節、とやらがある。別に彼女の母親の命を交渉の場に持ち出したのが、心変わりの理由じゃない。

ただ従来の流れのまま、プロキシである事を動機として逮捕するのを辞めさせるだけ、それだけのカードだあの話は。

 

「……───包」

 

ぼそり、とその名を吐く理由は自らの父、宗一郎との記憶を思い出す。熱された頭が冷えてから、漸く思い出した幼い頃に聞いた言葉達は確か───。

 

『──星見家の名にかけて、この恩は忘れる事はない』

 

『君が拒んだとしても、私は君にあらゆる手を尽くして礼をさせて貰う。………私の妻を、そして被災した方達を…助けてくれて、ありがとう』

 

仕事中は奉行振りが似合う父から、初めて聞いた私情の声色だった。

電話の相手は誰なのか、それは寝たきりながらも未だ声を交わせる母と何か繋がりがあるのか、当時は気になったものだ。

 

『ありがとう、包……あー、言わないとダメかい?そ、そうか……』

 

『───包ちゃん』

 

「─────」

 

「───貴様が?」

 

「うぇ?どうしたの、雅ちゃん」

 

「…………」

 

「いや、何でも無い。ともかくパールマンは我々が───」

 

──その時。

星見雅が小柄なパールマンへと手を伸ばそうとした瞬間、四方八方から銃弾の嵐が飛来する。

 

腰を軸とした抜刀術により全てを切り伏せるも、周囲に広がるスモークをかき分けて発射される弾丸に終わりは無く、少なくとも一桁の人数では済まない襲撃だ。

突入してくるジープやバイクを見て、三者三様に車へ避難する。しかし次に飛来してきたのは弾丸など生易しいものではなく、ミサイル。

 

「っ、お武家ギツネ!アンタなら後から追いつけるでしょ!私たちは先に避難するから!!」

 

「構わん。往け」

 

「狙いは全員!こっちにも人数引きつけるけど、気をつけなさいっ!」

 

「──ああ」

 

久しく、緊張などしなかった星見雅の剛毛な心臓に、スモークの向こう側に在る『強者』への気配が冷たい感覚をもたらす。

凄まじい殺意を持った、人ならざる怪物。しかしホロウ外でエーテリアスは存在し得ない、つまりはその気配は人から発せられているという事。

 

「………ほう」

 

現れたのは───異形の人間。

大きく肉の塊のようなものが膨れ上がり、身体にまとわりついていて、右腕はその肉の塊に取り込まれていながらも刀を握っている。

顔に当たる部分は醜く崩れ、生きているかどうかも怪しかった。

 

ギョロリと肉塊の隙間から見える目玉が星見雅を捉え、慟哭の様な咆哮を上げて突撃する、がしかし、刀はただ力任せに振り下ろされるのではなく、高度な技術を併用した『乱暴な剣術』。

 

「■■■■■■■……」

 

「魔性か」

 

「■■■■■───!!!!!」

 

「歪められし命、枯木に萌ゆる葉のごとく儚し…。いまだ尽きざる前に、私が介錯をしてやる」

 

人為的に壊されたであろう、元命へ向けて刀を向ける。

先程の咆哮に含まれた嗚咽が、星見雅に介錯を選ばせる音となり、

 

「───来い」

 

虚狩りの一太刀が、怪物目掛けて放たれる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふんふふ〜ん。これで一旦は完璧かな…?」

 

まぁ、この後の展開はみなさんご存知であるとして、省略しちゃいましょう。別に関わらなくても物語は進んでいくからね。

 

「あははっ、雅ちゃんデレてる〜」

 

なーのーでー、ここで少し包ちゃんの昔話でもしたいと思います。

まずは雅ちゃんに襲いかかって瞬殺された化け物、本来は普通の犯罪者だった子を加工したものとなっていて、アレは讃頌会で色々してきた事の一つ、『ミアズマ』と呼ばれる特殊なエーテル派生物の研究成果です!

 

ホロウの中に居た生命体の記憶、元い電気信号を記録し再現する、それがミアズマの特殊な力。本編だと儀玄さんのお姉ちゃんやら、街一つ丸ごと記憶で再現したりとやりたい放題。

 

サラちゃんからは怒られたけど、私はソレを武力転用しちゃいました。沢山の戦闘のプロフェッショナル、その方達にとあるホロウで戦ってもらって記録して───エーテルを操作できる私の権能で『サクリファイス』として抽出、体内で形成。

 

それを人体に注入すればあら大変!調整を重ねた危ないお薬は、その人の体内を一つのホロウとして肉体を変質、記憶された武術の記憶を持つ『ホロウの外で活動するエーテリアスのようなもの』へと変えちゃうんだ。

 

「──よし、予定ポイントに落下っと」

 

包ちゃん、ホロウ外だと出来る事がめちゃくちゃ制限されます、というか殆ど無い。不老以外に能力がないので、なんとか外でも伸び伸びしたいな〜と画策したところ、やっぱ手駒っしょ!ってなったのです。

 

化け物に変わっちゃった子は、私の体内で形成したものなので勿論完璧とは言えないけど、行動の方向性は指定出来る。暴れろーとか、あっちいけこっちいけーとか、暴れるなーとか。

サラちゃん曰く『酷く始まりの主を冒涜した穢らわしい行為』っぽくて、讃頌会で思いっきり嫌われる理由になっちゃったんだけどね。

 

「えーっと、雅ちゃんは…追いついてる。アキラくんとリンちゃんは大きな怪我なし、他のみんなは…──大体予定通りかな」

 

じゃあなんでそんな事するのって話、大丈夫、ちゃんとワケがあります。

包ちゃんこの世界に来てビックリしたんだけど……──『プロットアーマー』って存在しないんだね。

 

──作劇上の問題で、重要な登場人物が窮地な状況に追い込まれても、理由無く乗り越える。それがプロットアーマー。

けど、この世界はそれが無かった。てっきり本編に登場するキャラは死なないと思ってたんだけど───アストラちゃんとかさ、調査員に見つからずに死ぬところだったんだよ?

 

多分私が産まれて、ホロウの活動に少し誤差が出た影響かもしんないけど…ってなるとさ、やっぱ心配になっちゃうじゃん。

そう、本編に生きていたキャラが出てこなくなるのは……めっちゃ都合が悪い。何とかサラちゃんに拾われるまで救い続けてきたけど、そりゃもう大変。

 

人を救う機械を産んで、人を救う組織を作って、物語に必要な命を出来る限り救ってきた。てな所で、包ちゃん悟ったんです。

全部管理しないと無理だ。敵も味方も。

 

「──君以外はね、早く持ち場に戻りなよ。マサマサ」

 

「ゴホッ…いやいや、一番目を離しちゃいけないタイプでしょ、君」

 

一度目の起床、姿形も無い命の様な『何か』でありながら頑張り続けた私。

二度目の起床、漸く形を持ってフラスコの中で産まれた私。

両方の経験を通じて、みんなが幸せになる方法は一つなんだって理解したんです。それは私が面白い死に方をするのにも必要な事だった。

 

──ラスボスになる事。始まりの主すら管理下に置ける、楽園の管理者になる為に、私はどんな手段をも尽くすんです。それがこんな事をしている理由、本編にまで手を伸ばす邪悪な私の存在理由。

 

「乱戦の最中、器用に追跡装置を貼り付けるものだね〜」

 

「小賢しい事にかけては、課長より得意って言われてるんで」

 

「雅ちゃんより企みごとが上手な人……山ほど居ると思うんだけど…?」

 

「ははっ!その通り!」

 

「それで〜?病弱な君が必死に走って追いかけてきた理由って?」

 

「うん?あー、いま言ったよね、一番目を離しちゃいけないタイプって」

 

「だから、なにかな」

 

「目を離さない。それだけだよ…ゴホッゴホッ…──僕に出来るのは」

 

雅ちゃんの脅しに使ったのも、そんな私の人助けでやってきた事の一環。

お母さんが死ぬ必要って無いよねって事で、雅ちゃんの刀『無尾』には話をつけておきました。その上で、お母さんが死ぬ直前で助けてあげた訳です。

 

というより死んでたかな、蘇生した──ワケでもないけど、無尾が人の執念を蓄える性質を持つエーテルだったからね。お母さんが雅ちゃんの手で介錯させて、雅ちゃんが気絶してからギリギリの瀬戸際、無尾のエネルギーを転用して救出!

 

本当に誰かに見て欲しいぐらいのカンペキ、パーペキな手術だったから未だに思い返せるよ〜。後は漫画の知識を借りて医療カプセル的な奴を作り宗一郎ちゃんに貸してあげました、褒めて欲しい。

 

「──エーテル適正減退症候群の君が、よく頑張るね!包ちゃん褒めてあげます」

 

「……あらら、知ってたの」

 

「大丈夫だよマサマサ、君に引っ付いてる因果はとっっても良いものだから。治るとまでは言わないけど、君にとっての『真実』は……残酷で、それでいて温かい」

 

「………包……ちゃん、だっけ。意味深な発言ばっかするけど、何が目的なのさ」

 

「言えない。けど覚えて欲しい言葉は伝えておくね」

 

──ラスボスになりたいって言ったからね、ちゃんとラスボス仕草は学んでいます。意味深に意味深を重ねて、コレを味わう人達の顔を想像するのが最近の楽しみなのです。

 

「『パエトーン』その名前が示すのは輝く者。その光が差す下では、遍く者が救われる。けど、光を望んでも焦がれてもその恩恵を受けれない影もある」

 

「私は、影を作る光も、光に縋る影すらも白に染め上げる極光。その中では闇すら存在せず、全てはただ一つ、たった一つ」

 

極光(シャングリラ)の元に、照らされる」

 

私が作り出した新種エーテル。始まりの主すら冒涜する名は、シャングリラ。まぁ、危局や激変で出てくる名前は『ミアズマ・フィーンド』みたいにカッコイイ方が良いからね!

 

「……厨二病は早めに治しておいた方がいいと思うけど」

 

「えー?大人になってからこそでしょ、物事の摂理が分かってからやる茶番程、楽しいものは無いと思うよ〜」

 

「ははっ……不味いなぁ、思ったよりも深い所に触れちゃってる感じ?消されちゃうのかな〜…この感じでいくと…」

 

「そんな事しないよ、というかそんな事したら──君、みんなに何か伝達出来るようにしてる子だもんね」

 

「─────」

 

「死んでも勝つ、命の使い方を理解してる子程、厄介な相手は居ないって分かってるから───このまま帰してあげる。記憶はちょこっと変えさせてもらうけど!」

 

「っ……たく、何歳なの、君。凄い悟り方してるよほんと」

 

「さぁ?何歳だっけな〜」

 

「ともかく、今は兎にも角にも…お休み、浅羽悠真。全て、君の思うような悪い方向には転ばないさ」

 

──ホロウの中、浅羽悠真が空を見上げる。

それはまるで、宇宙を隔てて尚届く太陽の光を仰ぎみるように、そして日中の太陽を直視出来ないように、目を細めた。

目に光が届いている訳でも無い、視界を遮る何かがある訳でもない。だが目を細めずにはいられなかった。

 

「っ……」

 

幼女とも言える包の身体、それがヒビ割れ隙間から四角いモザイクの様なプリズムが飛び出していく。

そんな非生物的なモノが生えていくと同時に、今度は生物感に溢れた白い翼が割れた隙間を埋めるように現れ、そこに瞳が浮かぶ。人類が長年夢見て尚、人間単一の飛行はなし得なかった筈が、浅羽悠真の目の前に広がる光景はソレを真っ向から否定していた。

 

「はははっ…!」

 

「流石に…僕には荷が重すぎるかもです、雅課長…!」

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。