【カオ転三次】ガイア連合ツーリングクラブ   作:山親父

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そろそろ区切りかな? プロットはふわっとしか考えてないんですがねw

修正に疲れたので投稿


春を迎えに

 冬と言うバイク乗りには辛い季節が終わる

 

「冬でも普通にカブで走ってたんだけどね」

 学生にはお手軽で貴重な生活の足なのだ。走らない選択肢は無い。

 でも寒いし、日は短い。雪や路面凍結の危険もある冬にバイクの運転は疲れる。

 夏でもバイクに乗るなら注意は必要だし、疲れるのは一緒なんだけど、周囲の危険が段違いなのだ。

 

「この間は焦ったねー」

 星霊神社からの帰り道で事故は起こった。LLENNネキは気軽に言ってるが、私達以外だったら死亡事故も有り得たんだぞ!?

「まさかスリップした車が対向車線にはみ出して来るなんて、危なかったよねー?」

 ホントにな!

 咄嗟に放ったアギがタイヤをバーストさせたから向きを変えられた。でももし、あのままだったなら?

「ダメージは受けても死ななかったかも?」

 私達は冬休みの特訓の成果もあって、そろそろ下層試験の準備を始めても良いかも? ってレベルに至った。*1

 そんな超人達が交通事故程度で簡単に死ぬか? と言うと、そんなハズは無く。

「死ななきゃ死なないで問題になりそうだけどねー」

 それはそう。

「なによりリト君が傷つくのは嫌!」

 それも同意。

 今回は対向車の自損事故って事になっている。

 あのまま、被害者有りの死亡事故になるよりはマシだと思う。こっちが普通の人間だったら死んでたんだから。

 

 去年迄の私なら死んでいたんだろうな。

 そう考えると隔世の感がある気がする。まさか私が殺そうとしても死なない人間になるなんて、考えもしなかった。

 去年までなら、あっさり生きるのを諦めてただろう。生きる意義を見出せなかったんだから……

 今は生きるのが楽しい、良くも悪くも私は変わった。

「小熊、早く帰ってお茶にしましょう?」

 この娘のおかげだ。

 礼子、私のシキガミ。親友として恋人として、私の隣で支えてくれる大事な娘。

 この娘と友人が居るから、メガテン世界でも絶望しなくて済む。

「まだまだ寒いし、熱いお茶が欲しいね」

 今日はほうじ茶の気分。生活は格段に良くなり、嗜好品を楽しむ余裕も出来た。

「来月末には卒業だねぇ……」 

 しみじみとLLENNネキが呟く。

 

 少しずつ寒さが緩み、雪や凍結の心配も無くなりつつある、今日この頃。

 ようやく冬が終わろうとしている。

 立春を迎え、そんな実感が湧いて来た。

 

 

 暦の上では春だけど

 

 星霊神社へと向かう道中でLLENNネキがこんな事を言いだした。

「マダマダ寒いし、景色も寂しい、春は未だかなぁ」

 特に星霊神社は富士山にあるのだ、春は遅い。

「早く桜が見たいねー?」

 そうは言っても、桜が咲くのは二ヶ月近く後だ。

 

 二月初頭、学校は既に自由登校になっている。

 就職組で大学受験が無い私達には時間が有り余っていた。

「卒業旅行とかどーだろー?」

 ふむ? 

「時間はあるんだし、お金もある。これはロングツーリングのチャンスなのでは?」

 ……良いかも。

「何処行くの?」

 卒業旅行のシーズンだし、ホテルの予約は難しいのでは?

 

「とりあえず南!」

 随分とザックリなw

「仲間内では一番にお花見をしたい!」*2

 桜の開花時期は九州でも三月半ばくらい? ホテルや旅館は埋まってるんじゃ?

「なんならキャンプしても良いし、ビジネスホテルを使っても良い。それに貯まった日本円をガッツリ使った方が良い気がする!」

 ……ああ、そろそろキナ臭いし、終末が近いって話もあるんだっけ?

「ちひろネキに聞いたら終末後は日本円は紙切れらしいし、残して置いても無駄ッポイよ?」

 …………思い切って使ってしまうのもアリか?

 生活費が足りなくなったなら、マッカと日本円を両替すれば良いんだし。

 

「行くか?」

「行こう!」

 そう言う事になった。

 

 

 旅行計画? 知らない子ですね……

 

「成り行き任せの出たトコ勝負で行こう!」

「ちょっと待って?」

 いきなり何を言い出すんだ、この娘は?

「時間もお金もある。ならどーにかなる!」

「いくら何でも無鉄砲すぎるでしょ!」

 大体オフシーズンなら兎も角、今は卒業を控えて、暇を持て余した学生さん達の旅行シーズンなのだ。

 予約も無しで飛び込みでどうにかなるなら苦労はしない。

「ふっふっふ、我に秘策あり!」

 ほほう、聞こうじゃないか。

「旅館やホテルが無理ならガイア連合の支部や派出所を頼れば良いじゃない♪」

「まてやコラ」

「最悪、転移の場所だけ貸して貰えれば、一旦家に帰る手もあるし……」

 目を逸らすな!

「……まあ、良いか」

 諦め混じりに了承する。なら何時もの装備を準備*3してキャンプギアも購入しないとね?

 こういう準備の時間が楽しいんだよね♪

 

 

 ホントに出たトコ勝負をするヤツがあるかっ!

 

「なんでこんなトコ走ってるんだろ……」

 愚痴がこぼれる。

 

 国道20号線を使って諏訪市に向かったのはわかる。ルート的にもこのまま西へ向かって岐阜県に入るなら自然だ。

 じゃあ何で目の前に春日山城址があるんだ? 新潟県の上越市だぞ? 真北じゃねーか!

 

 観光の後、御飯にしながら打ち合わせをする。

『そんなにロングツーリングがしたいなら付き合うよ?』

 かつての自分のセリフを思い出して後悔する。

 こ奴に予定を任せっきりにするんじゃ無かった……

 失敗したらトラポートして諦めるって言うから認めたのに、しっかり予定を組むどころか、自由奔放に暴走したらしい。

 

「ここから西へ向かう? じゃあ今日は何処に泊まるの?」 

「糸魚川市にキャンプ場を予約してある♪」

 キャンプか……体力が有り余っている最初の方でなら、アリか?

「新品のキャンプギア達が俺を使えと囁いているんだ♪」

 さては買ったばかりのテントを使いたいだけだな。

 まあ、良いけど。

 

 オートキャンプ場に着いたのは夕方だった。

 受付はLLENNネキに任せて、私は準備を始めようかな?

 日が暮れる前に3人用のテント*4を設営して、夕食の準備も始めないとね。

 暗くなると面倒だし……覚醒者の私達なら明かりが無くても何とかなるけど。

 焚火台で火を起こして、コンロを準備してっと。

 どれもガイア連合製の高性能キャンプギア。〝エストマ〟等の結界機能付きテント用固定金具に、〝浄化の火〟で周辺を清める事も出来るMAGバッテリー式小型コンロ等々、下手なホテルより霊的な安全は保障されるんだよ? 焚火台にも虫よけの結界が施されてるし……今回の旅だと時期的に虫は出ないと思うけど。

 そうこうしている間に受付を済ませたLLENNネキが遅れてやって来た。

 彼女も自分のテントを張って行く。*5

 

 設営が終わったLLENNネキが焚火の前に来た。手には3人分の食器?

「御飯はコレで炊こう♪」

 飯盒? 何時の間に?

「三人分買っといた♪」

 随分と楽しそうだけど、大丈夫だろうか? 焚火で御飯を炊くのって経験者が居ないと難しいのでは? 最悪レトルトのご飯を湯煎すれば良いんだけど。

「大丈夫!」

 認識阻害の結界を張って簡易シキガミ*6を呼び出した?

「炊事員1号、君にご飯を任せる!」

 簡易シキガミが無洗米を飯盒に注ぎ込み、水を入れる。

 キャンプ用にシキガミを用意したのか!?

「ふふん、おどろいたぁ?」

 そりゃあ、おどろくでしょ!

「居れば便利なんだよ? レトルトばっかりだと寂しいし……」

 コイツ、一人暮らしの不安を力尽くで解決する気だな!

「まあ、良いけど」

 現在のLLENNネキは実家暮らしだが、四月からは違う。

 

 成長限界は低いが、御両親は共に覚醒者。

 黒札の親で経理事務技能持ちなんて、どこのシェルターでも欲しい人材だろう。

 実際、勧誘は多いらしく、どこのシェルターに所属するかは検討中。

 決まれば、シェルターのある土地へ転勤になるらしい。

 つまり山梨支部に所属すると決めているLLENNネキは四月から自立する必要があるんだ。

 家事の手伝いの為に、わざわざ簡易とはいえシキガミを用意するとか……

 普通に寮暮らしする気だって聞いてたのに、無駄じゃないかな?

「お掃除だって出来るし……」

 目を逸らすな!

 

「礼子ちゃんとラブラブしてるcubネキには無縁の話さ」

 拗ねないでよ。LLENNネキだってナー君を自慢するでしょうが。

 どんなタイプのシキガミを選ぼうと自由だし自分のシキガミには愛情を注ぐのが黒札だ。

 LLENNネキの場合はあくまでも戦闘の相棒で、生活のパートナーじゃないみたいだけど。

 スキレットでベーコンをカリカリになるまで炒め、レタスを千切ってカリカリベーコンのシーザーサラダを作る。

 メインになるのはソーセージで良いかな? これもスキレットで炒めよう。

 スープは手抜きでレトルトを湯煎だ。ミネストローネで良いか? こんなメニューなのにパンでは無く、御飯を炊くところが日本人だね。

 和気あいあいとしたキャンプ飯、普段よりも美味しく感じるのは不思議な所だ。

 普通バイクでキャンプツーリングと言えばキャンプギアの数を減らして、限られた積載量の中で、どれだけ快適に出来るか? そんな工夫に苦労するんだけどね?

 私達の場合、積載量は大型トラックに匹敵するのである。拡張型アイテムボックスのパワーで殴っているのだ!

 食料だって、時間停止で痛まない様になってて数か月分を確保してある。

 つまりキャンプなんて言っても気分に浸っているだけだ。

 キャンプ好きな俺らに知られたら怒るだろうか? 笑うかも知れない? 洗い物ですら浄化の呪符で済ませられるし、とってもラクチン♪

 余計な苦労はしたくないし、キャンパーに邪道と怒られようとも行動を変える気は無いんだけど。

 

 

 食事を終えて一休み……LLENNネキは出かけるの?

 

「コーヒーを入れようと思ったのに、LLENNネキどこ行くの?」

 彼女はリト君に跨っている。

「ちょっと海岸を散歩~」

 元気だなぁ。

「暗いから、気を付けてね?」

「秘密兵器があるのさ♪ てれててっててー♪ 暗視眼鏡~」

 お前はドラえもんか! オシャレな伊達メガネっポイけど、オカルトアイテムって事?

「二時間は帰らないから、百合百合するなら、その間にね? 防音と警戒の結界も張るよーに!」

 余計なお世話だ!

 

 ホントに二時間も帰って来なかった。

 2人でブルーシート上のクッションに座り、焚火に当たる。

 コーヒーが美味しい。何故か礼子の腕の中に居るんだけど……

 

 百合百合なんてしてないもん!*7 ちょっとキスした程度だしぃ。

 

 ピロリン♪

 メールが届いた? LLENNネキからだ。

 開いて見ると、満面の笑みを浮かべた自撮りなLLENNネキ。左手の指の間に宝石を挟み込んで見せびらかしている?

 写メを見てたら直接電話が来た。

『わはははー、お宝ゲットだぜ~♪』

 ブルーにピンク、そしてグリーンのサファイアとルビーの原石。

 さっきの眼鏡は〝暗視〟と〝鷹の目〟そして〝宝探し〟の効果が付与された伊達メガネだったらしい。

 大した価値は無くても自分で拾った宝石をお土産にしたかったそうだ。ブルーサファイアはキノネキ用って事か。

 それぞれのバイクの色に合わせたコランダムを拾う為に頑張ったんだって?

『ヒスイも拾えたけどコレはお天気ネキと250ニキにあげようかなぁ?』

 LLENNネキが頑張って拾ったんだし、好きにすれば良い。

 普通に緑のヒスイみたいだし石言葉は〝成功や健康を守る〟お守りには丁度良い感じだ。

『今から帰るから、着いたらリト君に浄化の呪符を使って欲しい。チョット潮風を浴びすぎてるから』

 まったく、錆びはバイクの天敵だしリト君を優先する気持ちはわかるけどね? 自分だって波を被る位置で宝石探しをしてたんでしょ? 浄化の呪符を使うのはLLENNネキもだよ。焚火にも当たらせて、温まらせないと……

 私の自慢のシキガミはLLENNネキ用のブランケットを取り出し、コーヒーの準備を始めていた。

 

 

 カニ食べに行こう

 

 二日目の朝である。

 私達はホットサンドで朝食を済ませた、ホットサンドメーカやスキレットが大活躍だ。

 飲み物はコーヒーだけ。ツーリングの時のコーヒーの美味さは格別だ。

 私がコーヒー好きなだけかも知れない。

 

「今日のお昼は金沢でカニにしよう!」

 お昼からカニ……良いけど本気で自由だな。

 現在8:00だから余裕を見て走っても昼前には着くだろう。

 高速道路お断りな原付二種勢、所要時間は大体三時間ちょっとの予定だ。

 

 加賀百万石の御城下、金沢。兼六園を始めとする観光スポットは数知れず……

 全部スルーしてカニに一直線なのが私達である。

 

「ふふふ、加能ガニが待ってるぜ♪」

 シーズンは終盤、新鮮なカニが食べられる! 宿泊にはお金をかけない癖に食べ物には全力。学生の貧乏旅行ッポイ気もするが、好みの儘に暴走しただけだ。

「ホテルの予約は適当でも、食事の予約は完璧って……」

 少々呆れるけど、気持ちはわからなくもない。

 覚醒者って丈夫だし、体の汚れも浄化の呪符でキレイさっぱり。最悪野宿でもへっちゃらなんだもの。

 

 今日行くお店は黒札オススメのお店。普通に観光客相手のお店で、少々割高だけど食材の質は良く、霊能関係の柵とも無縁なんだって。

 

 お店は観光客でイッパイ。

 だからこそ、霊力を制御しておけば目立たないし印象にも残らない。

 大食い女子としては記憶されるかも知れないけど……美味しかったんだもん。

 人は何故カニを食べる時には無言になるのか? 何時も賑やかなLLENNネキですら、無言でカニを掻っ込んでいる。

 カニのしゃぶしゃぶ、焼きガニ、カニ味噌で食べるお刺身……霊的な味を考えるとチョット物足りないのは贅沢なんだろうな。

 霊的食材のカニって何があっただろうか? 今度調べてみようかな?

 

 一応観光もするし兼六園にも行った。LLENNネキの目当てはスイーツだったけどw 後は金沢城も行ったね。

 私? 景色はキレイだなって思ったよ?*8

 

 

 一応は京都入り

 

 福井県でも通りすがりに城址を幾つか見学してから舞鶴市に入る。

 今日は此処で泊り。予約したビジネスホテルに素泊まりだ。

 一応は京都府に入った訳だが、京都市内へ行くかは不明。多分行かないと思う。

 キノネキからアノ地の面倒くささは良く聞いてるしね?

 LLENNネキが気紛れを起こさないとは言い切れないけど……

 

「晩御飯はホルモンうどんだよ!」

 うどん?

「御当地グルメってヤツ。焼肉やホルモンを食べた後で、旨味の詰まったタレと野菜、うどんを絡めて仕上げる地元で愛される定番メニューなんだって♪」

 ふむふむ? 

「舞鶴と言えば肉じゃがのイメージだったけど?」

「それは広島県呉市の市民と論争になるねw」

 どっちの市でも〝東郷平八郎〟が作らせた説を採用してるんだけど、舞鶴鎮守府の初代司令長官だった時期に作らせたんだって舞鶴市が主張し、その約10年前に呉鎮守府に参謀長として赴任していた時期に作らせたんだ、だから呉こそが元祖って呉市は主張する。

 今では互いにライバル関係をアピールしながらプロレスして、町おこしに使っているらしい。

「意外と日本古来の芋煮辺りがルーツかも知れないけどねw」

「芋煮も争いが起こるんじゃない?」

 味噌か醤油か? 彼らの溝は深い。

「きのこたけのこ戦争と一緒でしょぉ?」

 うん、そうかも。

 

「それで明日の予定は?」

「このまま西進して天橋立を見ようかなって」

 なるほど……

「その後は南下して姫路城を見たいかなぁ?」

 本気で自由だな!?

「まあ良いけど」

 覚悟は決めた。とことんLLENNネキに付き合っちゃおう。

 

 御飯も宿も此処からはノープランらしいけど、大丈夫かな?

 

 

 トコトン付き合うと言ったけど、発言を撤回しちゃダメ?

 

「流石にしまなみ海道を往復するだけってのは予想外なんだけど……」

 四国に目的が有るのか? って思ってたのに無いらしい。

「チョットだけでも観光しない?」

 せめて目的が、わざわざ四国に渡る意味が欲しい。

「しまなみ海道のサイクリングコースを走りたいだけだよ?」

 原付お断りの自動車専用道路な本州四国連絡道路3本の中で、唯一サイクリングコースが有って原付でも走れる、しまなみ海道をツーリング。

 気持ちはわかる。でもソレだけって……

「仕方無いなぁ~、松山城にでも行って見る?」

 なんで私が我儘を言ったみたいになってるんだろう……

 結局は今治城、松山城、宇和島城を観光してから日を跨いで本州へ戻る事になった。

 

 万事がこの調子だ。

 姫路市で破魔ネキ*9と会えた事でフリーダムさが上がった。

 宿泊場所や食事処等、直接では無いモノのガイア連合に協力する民間企業のリストを貰えたのが大きい。

『なるほど、卒業を区切りに終末前の長距離ツーリーング中なんだね?』

 キノネキの友人な破魔ネキは、私達を知っていた。そして多少の便宜を図ってくれたのだ。

 前世で出来なかった青春をコミュ障な私が楽しんでるから、応援しよう。

 そんな声が掲示板で有ったとか無かったとか? 無かった事にしちゃダメ?

 

 これで兵庫県周辺では行き当たりバッタリでも問題が無くなってしまったのが事の始まり。

 しかも、破魔ネキ経由で呉支部の⑨ニキ*10や福岡県北九州市は宗像支部のイカネキ*11、鹿児島支部のゼンガーニキ*12と西日本の黒札ネットワークに認知されたらしく、普通に行き当たりバッタリでも快適に過ごせてしまうんだ……

 これでLLENNネキがハジケた。元々ブレーキが弱いのに完全に壊れたと言って良い。

 私はかつての発言を後悔している。

 

 ここまで暴走するのは想定外だよ!

 

 愛媛県に行ってとんぼ返り。

 そのまま西へ進むのかと思えば石見銀山へ行くと言い出す。

 いやはやLLENNネキ大暴走である。

 止めた方が良かったのか?

 でも天はLLENNネキを応援している気がする。

 何故か雨を避けるように移動出来ているんだ。

 あの時、西に向かっていたら雨に降られていただろう。急遽予定を変えたら雨を避けてたとかが普通にある。

 LLENNネキってば気象予報士の資格を持ってたっけ?*13

 

「でもなぁ……」

 終末が来ちゃえば、観光どころかツーリングですら出来るか怪しい。

 なら、この機会にトコトン楽しみたいってのも理解は出来る。

 予定がある訳じゃ無し、予約すら無しの自由気ままな旅だ、他の誰かに迷惑が掛かるなら止めるけど……

「自分達が疲れるだけなら良いか」

 もう諦めたとも言う。

 西日本の大物黒札達がフォローしてくれるんだもん。大抵の無理はどーにかなっちゃうのだ!

 有難いような、迷惑な様な……反応に困る。

 

 結局九州に渡ったのは3日後だった。

 既に気分で行先が決まる。

「ヨシ! ここから〝サイコロの旅〟を始める!」

 ダイスを取り出して私に振らせようとしてきたりするんだ。

 スマホのメモには1~6の番号が振られた行先のリスト……

 スーパーカブに乗ってるからって〝水曜どうでしょう〟*14をしようとするなっ!

 さてはLLENNネキめ旅慣れて変な学習をしたな?

 

 

 私達って城巡りをしてたんだっけ?

 

「これで幾つ目の城だっけ?」

 現在熊本城を見ている。桜を見に来たハズだよね?

 小倉城、佐賀城、平戸城と九州北部を西に進み、今度は南下して熊本県に来た。

 そろそろ開花が秒読み、LLENNネキの希望通り、鹿児島県で桜の開花を迎えるならタイムリミットだ。

 対馬に行きたいとか言い出さなくて本当に良かった……

「城址も含めたら二桁巡ってるんじゃ?」

「cubネキが観光もしたいって言ったんじゃない」

 観光=城巡りって謎思考は何所から来たんだ?*15

「まあ御城は最後だからw」

 そうなの? じゃあ漸く桜って事だな? 今まで長かった……

 

 一応開花予測に合わせて、普通に予約していた温泉付きのホテルにチェックイン。

 宿泊予定は二泊三日。

 今日の所は美味しいディナーと温泉を楽しむ事にして、桜は明日だ。

 ちょっとワクワクして中々眠れなかった。LLENNネキもはしゃいでる。

 大丈夫、桜の開花宣言は今朝ニュースで見た。

 天候も晴れ。

 仲間内で一番に桜を見たいって願いは叶うだろう。*16

 

 翌朝、ホテルで朝食を食べると花見に出発。

 桜島を背景に咲く桜を楽しみ。

 フェリーに乗って桜島に渡り、桜島の公園でも桜を見る。

 マダ蕾が多いから花見客も少ない。3人で心置きなく花見を楽しむ。

 

 今日はずっと桜の元ではしゃぐLLENNネキを眺めていた。

 

「最終的には桜島で桜を見たいなって思っていたんだよね♪」

 なんだ、それは? ダジャレか??

「じゃあ願いは叶った訳だ」

 微笑みながらLLENNネキに語り掛ける。

「うん、叶ったよ! 親友と一緒に桜を見てるんだから♪」 

 

 親友……その評価は嬉しいけど、私で良いのかな?

 でも、嬉しいな。

『親友の香蓮かぁ、本名で呼ぶのはマズイかな? 今度相談してみる? なんとか勇気を出して……』

「大丈夫だよ! プライベートでなら名前で呼んで欲しいかもね♪」

 あれ? なんで考えが?

「あっ!」

 またヤラカシタ。

「小熊……通信の呪符は外さないとね」

 礼子の微笑みが辛い。

 私の顔は真っ赤になってると思う。顔が熱い、恥ずかしいな。でもチャント声に出さなきゃダメだ!

 

「じゃあ、プライベートでは香蓮って呼ぶから、私の事も小熊って……呼んでくれる?

 私を見る二人の目は優しかった気がする。

 今日は一日、ひたすら桜を楽しんだ。お昼を除いてだけどね。

 お昼ご飯は鶏飯とデザートに白くま*17を頂く。春の陽気の御陰で冷たいスイーツも堪能出来た。

 私もLLENNネキもハシャイデしまって……礼子さん? 私は引率ですって一歩引いた態度は何故かな? どうせ私達はお子様にしか見えませんよーだ!

 

 後は特筆する事も無く。普通にご飯を食べて寛いだ。

 明日は遂に帰路になる。

 流石に寄り道はもうしないと思う。しないよね?*18

 

 ちなみに帰りは北九州市まで戻ってからフェリーで横須賀市まで移動。

 横浜派出所で一泊させてもらってから、無事に北杜市へと帰還した。

 キャンプする事5日。旅館やホテルを利用したのは4日。派出所や支部に泊めて貰う事3日。

 帰りはフェリーで一泊の半月近い苦行はようやく終わった。

 オカシイ? 卒業旅行って名目だったのに、下手な修行よりきつかった気がする。

 体を休めたら卒業式だな。

「人生の一区切りかな?」

 これからも長い人生が続くんだけどね。

 伴侶としての礼子と親友のLLENNネキと一緒の楽しい生活はマダマダこれからだ。

*1
レベル40を越えている

*2
沖縄支部に自動車部の部員が居たら無理である

*3
通信の呪符等

*4
快適に過ごしたいなら使用人数は-1して考えよう

*5
この娘のテントは2人用

*6
一反木綿やフンドシと呼ばれるタイプ

*7
ダウト

*8
小熊も食い気優先

*9
ディストピア氏作 【カオ転三次】終末が約束された世界で生き抜きたいの主人公

*10
石は転がる氏作【カオ転三次】DRUG FATEの主人公

*11
緋咲虚徹氏作 【カオ転三次】終末を約束された世界で心のままに生きていくに登場する黒札

*12
頓西南北氏作 ファッション無惨様のごちゃサマライフに登場した黒札

*13
直感で避けているだけである

*14
伝説の北海道ローカル番組

*15
多分作者からの電波

*16
沖縄支部の人員には勝てないが本人達が気付いて無いからセーフ

*17
削りたてのかき氷に練乳をかけ、フルーツや小豆をトッピングした名物スイーツ

*18
帰路で大分県の府内城跡を観光する事になる




なんだ、このフリーダム城巡りツーリングは?
最初はここまで自由に行動する予定じゃ無かったんです!(なお実際にダイスを振っている。待機と東西南北、自由の6っで方向を決めたバカ
移動時間等はふわっとでお願いします。ざっとは調べたけど、不備がありそうですしw
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