好きなキャラだからね、しょうがないねw
夏休みの予定は?
季節は夏。
周囲はそろそろ夏休みの計画を立てている。
とは言っても大学受験を控えた3年生、塾やらなんやらで、遊ぶ予定を立てている人間は少ない。ゼロでは無いんだけどね。
「名越さんはどーするの?」
クラスメイトに質問される。
私も礼子も成績が良いし、大学への推薦入学も可能ではあるんだけど、辞退するって決めた。
多分、終末は近い。大学を卒業出来るかは怪しいし、学びたい事も無い。
「私はバイト先で研修かなぁ?」
私は就職組って事になる。就職先は引く手数多、全部退魔系だけど……
最終的に何処に所属するかは決まっていない。山梨に残るつもりではあるんだけど、キノネキの所も居心地良いし迷ってる。
「私も小熊と一緒よ」
礼子も対外的には親友で仕事仲間だからね。実際には一蓮托生の主従なんだけども。
研修と言いつつレベル上げに勤しむつもりである。
卒業したら霊能関係で仕事をするんだしウソでは無い。
「バイト? バイク便だっけ?」
「そこの元請会社で働くみたい」
と言う事になっている。これもウソじゃ無いのか……
北杜市の霊能組織はガイア連合の下部組織と化してるんだし。
「ふーん、じゃあ将来はソコに就職するの?」
「多分だけど……」
礼子に頼らなくても、この位は話せるようになった。
「リハビリは順調ね」
って礼子ちゃん? 主人を要看護対象みたいに言うな!
キノネキの元自宅
聖霊神社*1の門前町に、その家はある。
裏通りで少々神社から離れた、しかし幹線道路にアクセスしやすい、大きなガレージがある4LDKの平屋だ。
キノネキは住み続けるつもりだったみたいだけど、成り行きで相模原市に引っ越したので、今では空き家。
別宅として使っても良いんだろうけど、使用機会は少ない。
偶の用事で泊る程度ならホテルでも良いし、寮の客間を借りても良い。
だから長期滞在が必要な友人に貸してくれる。
この夏休み中、私達主従とLLENNネキとで使わせてもらう事になった。
キノネキって大きな事件に関わってヨーロッパに出張中だし、使わない家は傷むから……
『気に入ったなら格安で譲っても良いよ』
とはキノネキのセリフだが、お試しで泊ってみて良かったなら、本気で考えるつもりだ。
何処に所属するのか次第ではあるんだけど、山梨に残るなら魅力的な選択肢だと思う。
バイク好きのキノネキの所有物件だけあって、ガレージは車二台分の広さを持つし、なんなら術で拡張も出来る。星霊神社の地脈のお零れも利用できるそうだしね?
『cubネキ~、もう家にいる?』
LLENNネキからの電話連絡。
「着いてるよ~、今ガレージ」
『OK、今神社だから、これからそっちに行くよ~』
「わかった待ってる」
「小熊? LLENNネキが来るなら母家のチェックもしないとダメよ?」
「うん、そうだね」
実は母家より先にガレージ内のチェックをしてたんだよね。
バイクメンテ用の工具が一揃い、棚に整理されて置いてある。自由にして良いそうだ。
プラグやバッテリー等の予備部品が沢山。しかも時間停止倉庫に保管されている。
このガレージだけでも、お値段以上の価値があるのでは? なんて思ってしまうんだけど、キノネキは仲間や頑張る後輩には支援したいって人だから……
無駄に死蔵するより友人に活用して貰いたい、多分そんな感じだと思う。
それに付けこもうとする人間もゼロじゃなさそうだけど、調子に乗ったら切り捨てるだろう。
不義理をする人間を仲間認定するような甘い人間じゃない。
キノネキが優しいのは身内にだけだ。身内判定から外れたなら良くて無視、最悪消されるだろう。
黒札の私なら無視で済むとは思う。黒札はどんなクズだとしてもショタおじの保護下になるから。
だからって不義理をする気は無いけれど。
「礼子、母屋に行こう」
「こっちよ」
間取りを確認していた礼子が玄関へと案内してくれる。
最初はガレージハウスも考えたけど、母屋とガレージは別の建物にしたそうだ。
『エミールは浄化した上で部屋に入れれば良いんだし、ガレージは作業用だからね』
ってキノネキは言ってた。
騒音対策も十分だし、ボール盤や半自動溶接機まで揃ってるんだもの。
玄関に入ると小さなホールがある。左側に二部屋、右側にトイレやお風呂に洗面所があり、更にその先に一部屋。
真っ直ぐ進むとLDKがあって、右側に大き目の部屋がある。
此処がキノネキの自室だったらしい。もう荷物は残ってないんだけどね。
今回は左側の部屋を私達が、右側の部屋をLLENNネキが使えば良いだろう。
幸いベットはあるし、寝具も置いてある。この手前の3部屋をゲストルームにしてたそうで、備え付けの家具が残ってるんだ。
冷蔵庫も大き目のヤツがあるし、家電や調理道具、器も最低限は残っていた。
キッチリ浄化の符も使ってクリーニングは完璧。髪の毛一本残してはいない。
自称ポンコツのキノネキでも、この辺りの隙は見せない。
自分での掃除の他に業者を使って徹底的に清掃している。
『ボクらの肉体は霊的素材として優れ過ぎてるんだ。どこまで危機管理をするかは個人差があるけど、油断はダメだよ?』
キノネキの真剣な顔を思い出す。
私も礼子に【呪符作成】を覚えて貰った。
今回使わせて貰った後はキノネキに報告すれば業者を手配してくれるそうだ。用心として礼子にも浄化してもらうけどね。
「甘えすぎな気がする」
「今は甘えて置きましょう。手を抜いた方が迷惑になると思うわ」
かも知れない。
「冷蔵庫は大き目だし、購入してきた食材は全部入りそうだね」
「そうね、今の内に運んでしまいましょう」
LLENNネキ合流
「やっほー、到着したよ~」
「いらっしゃい、で良いのかな?」
私もLLENNネキも間借りしてるだけだしな。
「良いんじゃない? cubネキの方が先に到着して、色々整えてくれてたんでしょ?」
「大体はキノネキが残したものだよ? 私が用意したのは食料だけ」
苦笑する。とりあえずの分のお米と食材、それと飲み物。用意したのはソレだけだった。
「十分、助かるよー」
「なら良かった」
ご飯は神社で食べる事が多そうだけどね。
「多分神社の食堂を利用する方が多いと思うけどね」
「大型冷蔵庫に時間停止型パントリーまで備わってるんだ、食材は痛まないんだし、良いんじゃない?」
夏休み中に消費しきる必要はあるけどね。
「今日の所は荷を広げて、自分の部屋を整えようよ」
LLENNネキの言葉に頷く。
「晩御飯はどうする? 今日の内にキッチンの使い心地を確認しときたいって礼子が言ってる」
食費を考えればガイア連合の食堂で食べる方が安くなるんだけどね。
助成金が出てるから無料で食べれるんだ。
メニューや量にもよるんだろうけど……
「良いお肉を貰ってるんだ。焼肉パーティーって如何かな?」
「いただきまーす!」
仲間内でワイワイ食べる家庭料理って、味は食堂に劣っても、独特の楽しさがあるよね?
「キッチンは下拵えにしか使えない?」
礼子のボヤキが聞こえた……コンロその他は次の機会にって事でお願いします。
と言う訳で、夜は七輪で焼肉だ。
なんだコノ拘り……キノネキ脅威の食道楽。
ガレージにキャンプ用の椅子と一人用ローテーブルを3組用意して、コンクリート床上に七輪をセット。
着火剤の上にちくわ炭を乗せて着火、ちくわ炭に火が回ったら、突き崩して広げ、その上に今度は備長炭を入れていく、フーフーと空気を入れて、十分に備長炭に火が回ったら焼肉開始。
ちゃんと2台のカブにはハマ効果を付与したバイクカバーを掛けてあるから、煙の問題も無い。
全部キノネキのレクチャーである。
こんなの家庭でやる事か!?
今後の事を考えたらホットプレートを買って来た方が良いと思う。
キノネキの場合はキャンプでなら兎も角、家で一人焼肉なんてしないからってホットプレートは購入してないそうだ。
確かに自分一人だと、焼肉が食べたいならガイアの食堂か専門店に行くよね?
そう言えば【アギ】が使える私なら、備長炭に直接火付けも出来たのでは? アウトドアで機会があったら練習してみようかな?
「うんまぁ~♪」
LLENNネキが御機嫌だ。焼肉のタレは料理系俺ら謹製、お肉は探求ネキ開発のモンハン肉*2とオマケの甲州牛*3、焼き方はキノネキ拘りの炭火焼き。しかも備長炭は霊木製だって……*4
マズイ訳が無い。イヤ、焼き方を間違えると台無しになるんだろうけど。
楽しい食事、普通だと後片づけが大変なんだろうけど、浄化の札でイッパツ。なにこれ便利!
ガレージや衣服に付いた匂いも消えて、快適である。
「浄化の札って便利だね。あたしも覚えようかな?」
戦闘の役には立たなくても日常では大活躍だし、覚えて損は無いと思う。
戦闘後が快適になるし。
ゾンビと戦った後で、浄化の札が無いと……考えたくない事になりそうだ。
後はお風呂に入って、それぞれ就寝。温泉に入りに行く手もあったけど、使い勝手を確かめる意味でも使って置く。使用頻度は少ないかもだな。
「ああcubネキ、寝る時は消音結界を忘れないでね?」
友人のイチャイチャなんて聞きたくないし。って笑顔で言わないで!?*5
お試しパーティに依る戦闘
「cubネキが前衛であたしが遊撃、礼子ちゃんが後方支援っと」
連係の練習もして置きたいって事でパーティーを組んでみた。
LLENNネキはレベル28だから、レベル30までの僅かな間だけどね。
今までLLENNネキはソロ探索。実銃使いはそんな人間が多いらしい。
実質的にはソロとコンビが協力するだけ、真の意味でパーティーとして行動出来るハズはない。
私的には、後方から銃撃がある状態での攻撃の練習。LLENNネキ的には前衛がいる状態での銃撃の練習って所だろう。
フレンドリィファイアには注意! まあ、LLENNネキって接近戦さながらの近距離射撃を好むし、心配はいらないかな?
私もレベルアップして、新しくスキルを覚えたし、連携に不安は無い。強がりだけど……
自分の技量も? だけど、レベル差が不安だよね。現在レベル21、7レベル差くらいなら大丈夫だと思いたいな。
熟練の修羅勢なら、自分が吸収するMAGをゼロにしてパワーレベリングも出来るらしいけど、普通は無理。
格差が大きすぎると強い方がMAGを総取りしちゃうらしい。
「大丈夫だよね?」
不安でも、やって見ないとわからないしなー。
「だいじょぶ♪ ダメなら止めるし、他人の戦い方を見学するだけでも意味はあると思うんだー」
確かに勉強には成るな……LLENNネキの言葉に頷いて、肯定の意思を示す。
「来たねー、あたしから行くね?」
敵はレベル26のコッパテング、私は囮として挑発して置く。
礼子の【スクカジャ】を貰ったLLENNネキが無音で詰め寄る。
敵も気付いて【ザンマ】を撃つもLLENNネキは急加速、魔法を掻い潜った。
「速いっ!」
単純に速度が速いだけじゃない。上手く緩急を付けて狙いを外している。
パパパパパパパパパパ
LLENNネキのP90が高速で弾丸を吐き出す。あっさりと悪魔は滅びた……
「cubネキ、仕留めたよ♪」
LLENNネキのガッポーズ。ドヤ顔も凄いな。でも実力は確かだ。
「すごいね!」
素直な賞賛。
次は私と礼子の番だ。
警戒しながら、しかし素早く進む。直ぐに接敵、敵は〝ラクシャーサ〟が3体か……
礼子に【マハブフ】で先制させる。火炎系と氷結系、ディア系にスクカジャ。戦闘で使えるスキルはこの位。
直接戦闘では使わないけど【リカーム】も大事なスキル。
支援型魔法使いとして必要最低限のスキルは満たしたのかな?
贅沢を言ったら限が無いし。
幸い、敵は標準的な個体だった様で〝氷結弱点〟だった。それなりのダメージに〝ラクシャーサ〟の反応が遅れる。
その隙に距離を詰めて。
「チェストォ!!」
思いっきりバットを振り下ろす。チェストとは知恵捨てと心得たり! 四の五の考えるより殴った方が早いし強い(断言)。
「先ず一匹!」
慌てて剣を構える、残り二匹。
「遅いっ!」
掬い上げる形でもう一匹を殴る。顎を打ち上げられ仰け反る〝ラクシャーサ〟。まだ滅ばないか……
「【ブフーラ】」
礼子の追撃が残り一匹に当たり、敵が滅びる。
「死ねぃ」
もう一度、思いっきり振り下ろす。たかが悪魔が持つナマクラで私のバットを防げると思うな!
仲間内では〝cubネキがバットを担いだら用心せい〟とか冗談交じりに言われる高威力攻撃なんだから!
グシャッと潰して無事勝利。
多少の攻撃は喰らったけど優れた防具と【物理耐性】を持つ私の被害は軽微。ちなみにキノネキのプレッシャーを側で感じた所為か【銃撃耐性】も備わっている。私の本能がアレを喰らったら死ぬとばかりに悪あがきをしたらしい。焼石に水なんだけどね……
とは言えLLENNネキの銃撃ダメージなら軽減できる。多少の味方撃ちは許容範囲だ、ちゃんとした連携も試して見よう。
MPに余裕も有るし、そのまま訓練を続ける、ヒョットすると思ったよりレベル上げが捗るかも?
その後は弾切れ寸前までレベル上げを頑張った。
戦闘を終えて
「うん、普通に相性良いかもだねー」
LLENNネキの言葉に頷く。
稀に敵ごと撃たれるのだが、私は痛いが耐えられるし我慢も出来る、実入りも上がったし、差し引きではプラスだろう。
リスクはあるが、連携が深まれば味方撃ちも減るだろう……と思う。
「あたしはレベルが30に上がったし、中層試験にチャレンジするけどねー」
フム……私のレベルも相応に上がった、いまのレベルは26、ならば……
「私が速めに追いつけて、中層に進んだら、またパーティ組む?」
「だね、信頼出来てスケジュールを合わせやすい黒札の友人って貴重だし」
「じゃあ、先で待ってて」
負けてられない、頑張ろう! 決意も新たに訓練と実戦を繰り返す。
友人との楽しい食事、激しい戦闘に依る、食事量の増加……
結果は? 体重計に乗っての悲鳴が答えだ。
残りの一週間【食没】取得のために必死になる私達が居た。
小熊もレベル30までは上がるな……私に普通は無理だったorz