薬が無くなった日からの日記   作:溶けた石鹸

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11月30日から12月2日

 11月30日ー12月1日、日曜日ー月曜日。

 今日は就寝前、23時過ぎごろに睡眠薬とドーパミン遮断薬が無くなったことに気づいた。本来なら、薬は2週間分しかなく、今日は15日目。本来なら、心療内科を受診し処方箋をもらっているはずだった。しかし、急遽予定が入ってしまい受診を断わざるおえなかった。

 

 25時過ぎ、やはり眠れず狭い部屋の暗闇の中で携帯電話を開く。意味もなくインスタグラムなどを見て、社会の当たり前と自分の当たり前の違いに惨めさを感じた。

 25時半、暖房の嫌な暑さが伝播する中、布団に入る。羽毛布団の重さがいつもより強く感じる。前にも一度、ドーパミン遮断薬を切らしたことがあり、そのときは1日目は異常はなかったのだが2日目にしてモヤなようなものが部屋を埋め尽くす幻覚を見た。

 

 この後は睡眠の状態と時間を計測する装置で得た記録。

 25時48分、入眠する。浅い睡眠、深い睡眠、REM睡眠、覚醒を順に繰り返し7時間38分睡眠をとったのち、9時半ごろに起床。

 レム睡眠25%(参考値:10%〜30%)、浅い睡眠が38%(参考値:20〜60%)、深い睡眠37%(参考値:20〜40%)、覚醒4回(参考値:0〜2回)。

 

 レム睡眠時の内容。

 個人的に睡眠薬を切らすと夢の輪郭が鮮明に脳に残る。夢の内容は私が夜の街を彷徨ったのち、場面が切り替わり、おかしな宗教団体が世界を滅ぼそうとして倒されたあと、マインクラフトのような角ばった世界になり、詳しくは言えないが私が女の子を触るというものだった。

 


 

 12月1日ー2日、月曜日ー火曜日。

 今日は悪くない1日だった。日課のランニングで新たな走り方を見つけることができた。しかし、24時から25時まで、友人達と通話をしていた。

 

 25時半、眠るためにベッドに入るが、今日は妙に暑い。昨日よりずっと暑いのだ。羽毛布団は相変わらずとても重く感じる。暖房を消しても酷く暑い。そして、暗い。光というものが一切ないように感じた。羽毛布団を剥がし、半袖のTシャツに着替えて眠ろうとする。

 25時45分ごろ、あるはずもない隣の部屋から男の声がする。その男の独り言から察するに、彼の飼い猫が粗相したようだ。その後、男は飼い猫を部屋から追い出した。そこから、20分ほどその猫が扉に縋りつく音がする。あまりに不憫に思えたので猫を私の部屋に入れようとドアを開ける。やはり、猫などいるはずもなく、そこには空になった段ボール箱があっただけだった。

 

 26時過ぎ、眠れない。暑いのだ。蒸し風呂の中にでもいるような気持ち悪さがあった。

 

 この後の睡眠の記録。

 26時38分、入眠。4時39分起床。あまりに、睡眠時間が短いため、睡眠の状態が記録されていない。ほとんどレム睡眠だったと思う。

 

 レム睡眠時の内容。

 夢はとても気持ち悪かった。私がバトルフィールドというゲームの戦闘機のパイロットになり、敵の戦闘機を撃ち落とす場面から始まる。しかし、不思議なことに私は一度もバトルフィールドをプレイしたことがない。場面が切り替わり、エレベーターのようなものから出ると、多くの人が集まる観光地のような場所を歩き回っている私の姿が映る。それはテレビのようなものに監視されているように感じた。その後、多くの人の中に深刻な問題を起こす者が何人も現れた。私は問題を起こす者をひとりひとり処罰していった。まるで、その世界の管理者が私のようだった。最後の2人が残った。どうやら最後の2人は野球部のようで、スポーツ用品展のなかでピッチングをしていた。私は店の中を散らかす2人に激昂し、ズボンのベルトを抜くと、バックルが当たるように1人をベルトを鞭のようにしならせて、殴った。2人も私に向かって床に落ちた硬球を投げてぶつけた。痛かったのだが、なぜか気にならなかった。2人は私から逃げ出す。2人は坊主と金髪の男で、私はまず、坊主を追いかけた。狭い道のなか坊主を追い詰めると、私はネクタイで坊主の首を絞めた。坊主は抵抗もせず、その場で私に殺された。不思議な高揚感が私を襲う。私の行いが高潔で、絶対正義なのだと感じた。私は笑みを浮かべて金髪を追いかける。これが、なにかとしぶといのだ。細い道を迷路のように彷徨う。私がついに金髪を見つけると、金髪は壁の穴を覗き込んでいた。金髪の目は白目がなく真っ黒の空洞のように見えた。そんなこと気にすることもなく、私は金髪の男の首をベルトで絞めて殺す。殺し終わったあと、私は金髪が覗いていた穴を見た。そこには髪が抜け落ち、金髪のような真っ黒な目で虚空を見つめ続け、口からはよだれを垂らした人間のような生き物がいた。そして、そこでぷつりと映像が切れて、ニュースのようなものが流れる。アナウンサーが2人の男が絞殺されたことを淡々と告げた。殺人犯の顔は醜悪な笑みを浮かべる私そのものだった。壁のなかにいた人間のようなものは、アナウンサーいわくにょいくんと呼ばれる奴だそうだ。ニュースが終わり、テレビが黒くなると、声が聞こえる。『この物語は不完全だ、あなたがにょいくんを殺して終わる』。

 

 起床後の異常。

 今は6時だ。それにしては外が暗い。冬だからなのか? そうだとしても暗い。時計を確認しても、今は6時。これは私の夢か、それとも幻覚か? 私の目にだけ時計の時刻が6時に写っているのか? しかし、間違っていないはずだ。隣の男が出勤する物音が聞こえた。猫もいる。今、私にとっての現実は、部屋の中に響く暖房の音とこうして文字を打っているパソコンのみだ。

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