自分の意識が徐々にはっきりしていく、あの後寝てしまったらしい。こうして意識があるということは、生けているということ、死ななかったのならそれでいい。
とりあえず獲物を探しさなければ、腹が減って死にそうだ。
ん?なんだ此処は?普段自分が徘徊している場所にこんな所は無かった筈だ。それに体が上手く動かない!いや、そもそもあのカビ臭いところからどうやって生き延びた!?
「あ、起きたのね〜琉くん おはよー」
‥‥!!こいつは!瀕死の俺を殺しに来ていた奴と同じ奴らか!!まだ諦めていなかったのか!
クソッ上手く体が動かない、ブレスも出せない、マズイ!
だが何故だ?殺しに来ていた奴らとは様子が違う、何より敵意が無い
「ご飯にしようねー、それにもうそろそろお父さんが帰ってくるからねー」
それに何か温かく感じる‥‥‥‥‥そもそもコイツらこんな大きくなかったよな?
その後俺はもう一度寝てしまった。
本能も危機を感じていなかったし、腹の減りも少し収まっていた。
何よりコイツらといると初めて安心感を感じた。この瞬間だけ、飢えを忘れられた。
しばらくして色々なことが分かってきた。
まず俺はコイツらの子供になったらしい。
ましてや自分を殺したであろう種族のか。
食い物は白いよく分からん液体だ、そんな物より肉が食いたい。
この小さい体だからそんな物で済んでいるが、いや、済まさざるを得ない。こんな体では獲物を狩ることも出来ない、そもそも獲物がいないため結局コイツらに頼るしか無い。
それなのにどれほど叫んでも
「どうしたの?お腹空いちゃった?ちょっと待っててね」と言いあの白い液体を突っ込んでくるだけだ。
コイツが何を言っているのか理解は出来ないが、自分がの伝えたいことが伝わっていないのは確かだ。
このままでは体が大きくなるとともに必要なエネルギーを取れずに餓死する!なんとかせねば‥‥
なんやかんやって俺は4歳になった。
はっきり言ってよく生きてこれたなと思う。
最初の2年間は苦痛で仕方なかった、何度だって言ってやるが俺は肉が食いたい。
やっと固形物を与えられたと思っていたのに妙に柔らかいしそもそも肉ではなかった。
そんな中いい出来事?があった
なんと今までよく分からずに見えていた黒い靄の正体が分かったのだ!
どうやらコイツらは俺以外の奴には見えないらしい。
らしいと言うのはまだ親でしか確認できていないからだ。
「これ何?」と母に手で掴んで聞いてみた所「んーなんだろ?あっ!空気じゃない?」と適当に返された。
次に父にも聞いてみたがやはり見えないとのこと。
ちなみにその時掴んでいた奴は、手に噛み付いてきたので思いっきり握り潰した所「プギャッ」と言う声とともに消えてしまった。
まあ、つまり生きているのなら食えるだろうと考えたわけだ、美味そうには見えないが、元々自分があれほどの生き物を食っていたのは、ただ生きる為、別に味なんて気にしてない。しかし問題はコイツら腹に溜まるのか?と言うこと。
まあ、実際食してみた。
死ぬほど不味かった、いや、確かに味なんて気にしてないと言った。だが今は人間の味覚だ多少なりとも感じるわけだ、でも取り敢えず腹に溜まるというのはわかった。2回目以降は味がしなかった、多分本能が働いて味を拒絶した。因みに口直しに食う母の料理は美味い。
それから6年が経った。
俺は学校に通っている。といっても給食の時間以外ボーっとしている、そもそも頭を使うと物凄いエネルギーを使うから授業に集中出来ない。
ただなんとかテストとかのヤバい点はなんとか回避している、その代わり家に帰った後、近所の下水道や廃墟でアイツら食う毎日を送っている。俺が体内で生成していた龍属性エネルギーも健在だ。使うと放出箇所がヒリヒリと痛むが、まぁ慣れているから特に問題ない。
アイツらはどうやら人気の少ない場所に湧くらしい、特に河川敷や下水道では多く湧く。
母は去年から帰って来るのが遅くなった。
どうやら残業をしているようだ、理由を聞くと俺の食費の所為らしい。
わざわざそんな事しなくても俺がヤツら食う量を増やせば良いだけだが、俺としてはヤツらよりやはり母の料理の方がうまいし満腹感もあるからあまりそれをする気にはなれなかった。
日に日に母は少しだがやつれていった、でもこの人間の世界なら、そうそう人が死ぬことはない。弱肉強食のあの自然と違って、まずいことになれば止めてくれるように出来ている。だから、特に気にしていなかった。
その年母が死んだ
過労死だった。余りにも突然にして一瞬のことだった。
唐突の悲劇は呪術の醍醐味