episode.11:野望の幕開け
「…ねえ秋織。ちょっと顔が怖いよ?」
「ん?ああ…」
秋織は少し表情筋を緩めた。
以前から秋織は落ち着かない様子で、あまりにも心配だった雲璃は常にそばについていた。
「秋織。元気出そ?あ、そうだ。今日広場でイベントやってるみたいだから行ってみようよ?」
雲璃はチラシを見せて秋織に微笑みかけた。
秋織はしばらく黙った後、頷いて立ち上がった。
「分かったよ。行ってみるか。」
「…!うん!」
雲璃は嬉しそうに微笑んだ。
そうして二人は急いで外に出て広場に行ってみた。
広場には人だかりで二人は押しのけてそのまま会場に着いた。
「なんだ…これ。」
柵の先には、大きな狼と狐の石像があった。
「あら、"妖魔獣"が気になるの?」
爻光に言われて横を向く二人。
「爻光さん!」
「なんでこんなとこに居るんだ?」
「あら、私一応このイベントの関係者なのよ?居るに決まってるじゃない。」
それを聞いて「へー」となる二人。
「一応説明しておくわ。」
「妖魔獣"
「その被害は仙舟同盟にとっては忘れたくても忘れられない程酷いものだった…」
爻光の言い方はかなりため息混じりのもので、秋織と雲璃もその事を知って少し震えた。
「ところで、その二体ってどうなったんだ?」
「羅浮の地下層にある"封印の間"で今も眠ってる筈よ…でも最低でも使令級が一人は必要な程…」
「と、とんでもねぇな…」
「うん…もしも出てきたらどうしよう…」
「でも安心して、恐らくは簡単に出てこれない筈よ。宇宙ステーション「ヘルタ」のMs.ヘルタが封印に関わってくれたからね。」
爻光は安心しろというような顔で二人の頭を撫でた。
「じゃあ、何でこの石像はあるんだ?」
「妖魔獣が引き起こした悲劇を忘れないように、こうやって石像を作って黙祷するの。昔からの慣わしよ。」
「羅浮を滅ぼしかけた奴の石像に黙祷か…なんかちょっと嫌な感じだな。」
「……確かに。」
そうして秋織たちはそのままイベントが起きるまで待機した。
「始まるよ。」
「黙ってるか。」
二人はそのまま黙ってイベント会場へ。
「妖魔獣によって羅浮が壊滅寸前にまで追い込まれたあの惨劇から100年が経ちました。私達はこれを忘れない為に…」
「長いね…」
「ああ…」
二人はそのまま話を聞くが、長時間続いた為、少しボーッとしていた。
すると、何処からか狼と狐の咆哮の音が秋織には聞こえた。
「……?」
「どうしたの?」
「…いや、なんでも…」
そんな中、黙祷が始まったので、秋織たちも黙祷をした。
それから数分後……
とある地下空間にて、テリーが重厚感ある扉の封印を解こうとしていた。
「ここに例の奴が…」
封印を解こうとすると、後ろから声をかけられた。
「待て、そこの者。」
大型の獣の姿をした脱獄犯が居た。名は呼雷。
「その封印を解けば災厄を招く事になるぞ。」
「ふん。私はそれを望んでいます。それは、我らが薬師様の為に!」
そうしてステッキソードで鎖を破壊した。
バラバラに砕け散った鎖が取れると、扉はドンドンと鳴り、そしてヒビ割れていきながらそのまま砕け散った。
「こ、これが…!」
「さあ…妖魔獣よ…薬師様の為に…この世界に終焉を!」
そうして黒いオーラから怪しく光る目が、テリー達を見つめていた。
短めになりました。