羅浮に吹く旋風   作:サツキタロオ

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次回作はピノコニー編を予定です。


episode.12:早過ぎるさよなら…?

次の瞬間。広場中に大きな地震が巻き起こった。

「な、なんだ!?」

「お、重い…!」

秋織と雲璃は、頭上から叩きつけられるような圧倒的な重圧に抗えず、その場に膝をついた。

それは単なる物理的な衝撃ではない。魂そのものを圧殺せんとする、底なしの悪意の奔流だった。

 

「キャハ☆これ凄いよねぇ。目覚めただけでこれだなんて!」

「破尾!」

「もう直ぐ来るよ…伝説の妖魔獣が…!」

すると、広場が地震によって砕けてゆき、大きな穴が開いて崩れていった。

 

そして妖魔獣が姿を現した。

「…あ、あれは…まさか…」

爻光達やその周囲の人物は穴から現れたその姿を見た。

 

「妖魔獣"豺餓"…妖魔獣"九綺"…」

狼と狐の姿をした邪悪な意志が周囲の雲騎軍が気絶していった。

「クックックッ…目覚めたばっかであんまり上手く動けないみたいだね!」

破尾はそのまま爪を出して襲い掛かろうとする。

しかし……

 

「ギャオオオオオオッ!」

 

「うっ…」

破尾はその圧に押されて怯む。

「ぐぐぐ…流石は妖魔獣…寝起きでもこんなにプレッシャーがあるなんて…!」

「流石にこれじゃあ勝てないよ!」

そうして破尾はそのまま逃げて行った。

「秋織…」

「一旦逃げるぞ!荷が重過ぎる!」

そうして二人はそのままその場から逃げ出した。

 

………………………………

 

そうして数時間後、秋作や素裳達がいる簡易拠点に辿り着いた二人。そのまま休憩をしながら水を飲んでいると彦卿が近づいてきた。

「秋織!雲璃!」

「彦卿!」

「そっちは大丈夫だったの?」

「大丈夫な訳ないよ。伝説と言われてた妖魔獣が実在したんだから。みんな大慌てさ。」

彦卿は息を切らしつつもそう答えた。

表面上は落ち着いていそうだったが焦っているのは目に見えて分かった。

 

「彦卿。アイツら一体どうすれば…」

「僕にも分からない。でも、景元将軍や爻光さんも対応に困ってるみたいなんだ。」

「封印できないの?」

雲璃が率直な意見を聞いてみるも、封印の間の壁の原材料である「要怪石」が不足して封印するのは難しい事を伝えられた。

「…そこで向こうで考えてるのは、妖魔獣を誰かが取り込んで宿主となり、そのまま命が尽きる前に封印するっていう考え方だ。」

「…それって賛同する奴は死ぬって事にならないか?」

「まあ…そうだよね。」

彦卿は深い溜息を吐いた。

「僕だってこんなやり方はしたくない。でも、こうする事でしか、妖魔獣をなんとかできないんだ。」

「それに…他の人を犠牲にしたくはない…」

そんな話をしていると、妖魔獣がキャンプにまで攻めてきた。

 

「何!ここまで来たのか。」

秋作は槍を構えてなんとか豺餓の攻撃を受け止めた。

しかし、凄まじい力でそのまま槍をへし折られてしまった。

秋作はそのまま豺餓に爪で攻撃されて後ろに下がった。

「ぐっ…」

「秋作!…あ…」

秋作に気を取られていた素裳は九綺の接近に気付けなかった。

素裳は剣を握ろうとするも、恐怖で動けずに震えているだけだった。九綺はそのまま素裳を狙い、尻尾で薙ぎ払って床を転げさせた。

「うっ…!」

素裳は立ち上がろうとするも、激痛が走り、右腕を折られてしまい、さらに来た痛みでそのまま倒れてしまった。

 

「くそっ…どうすれば…」

「………秋織、私達でなんとかできないかな。」

雲璃が秋織に問いかける。

「…お前、それってつまり…」

「うん…私達の中に…妖魔獣を封じ込める!」

それを聞いた彦卿は驚いて雲璃の肩に触れた。

「無茶だ!危険過ぎる!第一、そんな事をすれば死んでしまうかもしれないんだよ!?」

彦卿は焦りながらも二人の方を見つめていた。しかし、本気の顔をしていた二人を止める術なく、彦卿は項垂れて爻光達にその事を報告した。

 

…数分して、爻光が二人に石のような物を渡してきた。

「……それは妖魔獣の邪悪な意思を封じ込めて制御する護符よ。それがあれば妖魔獣を取り込んでも、最悪命の別状は無い筈…」

「……ごめんなさい。私達にはあなた達を送り出すことしかできなかった…」

「気にすんな。俺たちは必ず生き残ってみせるさ。」

「うん!」

そして雲璃と秋織はそのまま護符を持って妖魔獣の元に走った。

 

辿り着いた二人が目にしたのは妖魔獣によって荒らされた街だった。

そこで護符を持った二人はそれを妖魔獣にかざす。

「秋織!死ぬ時は一緒だよ!」

「おう、一蓮托生だ!」

そうして強い吸引力によって豺餓は秋織に、九綺は雲璃に取り込まれて行った。

エネルギーが吸収していったと同時、妖魔獣の本体もそのまま二人に取り込まれていった。

 

次の瞬間。赤かった空は元の青空に戻り、曇り空も一瞬で無くなった。しかし、妖魔獣を取り込んだ二人は倒れ伏せて唸っていた。

「ぐわぁぁぁ!」

妖魔獣が身体の中で暴れているのか、二人はもがき苦しみながらなんとか立ち上がろうとしていた。

「秋織兄さん!」

「雲璃ちゃん!」

そこに秋俊と桂乃芬が心配そうに駆け寄ってきた。

介抱しようにも、本気で苦しむ姿を見て戸惑っていた。

 

「………一旦。連れて行きましょう。」

「……うん。」

二人は彼らを担ぎ、そのまま簡易キャンプに戻った。

 

…二人の中では不安でいっぱいだった。

兄は大丈夫なのか…?妖魔獣はどうするのか…?処分はどうするのか…?

 

秋俊はそんな事ばかりを考えてしまい、珍しく頭が回らなかった。




中盤辺りになったらいつものバトル系に戻ると思います、
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