『人類。よくぞ我の元に辿り着きましたね。』
「薬師!」
大きな女性は秋織達に話しかけてきた。
『私はこの銀河の人々は衰退していると感じ取りました。よって、私の力で"進化"を促す事を宣言しました。』
「何ィ!?」
秋織達は武器を構える。
『全て人類は私を求めなさい。私に身を委ねなさい。さすれば人智を超えた力を手に入れられる事でしょう。』
薬師はそう言って手を差し伸べてきた。
秋織達はその手に手を伸ばす……事は無く、そのまま衝撃波を放った。
「俺達はお前なんかに従いはしない!」
「神は神らしく、人間の事見守ってるだけでいいんだよ!」
秋織はそう言って飛び立って刀を振るった。
しかし、攻撃は薬師に届かず、バリアに阻まれた。
するとテリーが薬師の前に立つ。
「我が主人に攻撃を届ける訳にはいかん!」
「何!?」
テリーは秋織と雲璃に突撃するが、秋作達が彼を弾き飛ばした。
「!?」
テリーは驚いて吹き飛ばされる。
「お前の相手は俺たちだ!」
秋作、秋俊、彦卿の3人が並ぶ。
「くっ…ちょこざいな!」
テリーは剣を構えて三人相手に仕掛ける。
秋俊、彦卿が吹き飛ばされるが、秋作は軽々と受け流して猛反撃を仕掛けてきた。
「なんだと!?これは…!」
そして、秋作はテリーの胸元に斧槍を突き刺した。
そのまま斧槍を持ち上げ、一度斧槍からテリーから斬り外し、そのまま三枚おろしにした。
「こ、これは…人間の力だと!?」
テリーはそう言ってそのまま光になって消滅した。
「…秋織達は?」
秋作が秋織を見ると、バリアに苦戦していた様子だった。
「くっ…なんて硬いバリアだ!」
「秋織、これじゃあジリ貧だよ!」
秋織は見上げて弱点を探そうとする。
すると、秋作達が駆けつけて、バリアに攻撃を仕掛けた。
『無駄です。私の力は人間をも超えています。』
「どうかな!人間舐めるな!」
すると、秋作の斧槍がバリアにヒビを入れた。
『!?』
薬師はその様子に驚く。
素裳や桂乃芬も武器を投擲してそのヒビを広げていった。
「…秋織、雲璃!君達にトドメは任せた!」
彦卿は剣を構えてそのままバリアに突撃していった。
そのままヒビは広がっていき、そしてバリアは粉々に砕け散った。
「雲璃!決めるぞ!」
「うん!」
二人はオーラを纏ってそのまま薬師に突撃した。
『ば、馬鹿な!』
そのオーラに包まれ、周囲は更なる光に包まれていった。
……………………
「…ここは?」
秋織達は辺りを見回す。
「見て!秋織!」
雲璃が指を向けた先には薬師の魂らしきものがあった。
『あなた達は強い……』
『ですが、それを人間のまま残しておくのは惜しい事です…』
薬師の声は二人に和らいだ空気を広げていく。
『私に全てを委ねなさい…全てを受け入れなさい…そして、この世界に平和をもたらすのです…』
薬師の言葉に黙る二人。二人は手を伸ばした。
…それは、剣に…
そのまま、剣で薬師の魂を斬り裂いた。
薬師の魂はそのままノイズと共に消えかかる。
『な、何故!?』
「俺達は、人間のままで強くなる!」
「あんた達の言う祝福って、神視線のものなんだ。それは人間を考慮していない!」
雲璃は大剣を変化させてこのまま振り下ろす。
「私達は人間のまま強くなる!神の力は要らない!」
二人は獣化を解除し、そのまま剣で更に切り裂いた。
『馬鹿な…人間とは…人間とは…!』
秋織達は消えかかる魂から離れる。すると、周囲の空間が割れ始め、崩壊が始まった。
「ま、まずいよ秋織!」
「あ、ああ!」
二人はそのまま辺りを見回しながら出口を探す。
前を向くと、秋作達が手を振って誘導をしていた。
「こっちだ!」
「いくぞ雲璃!」
「うんッ!」
秋織は雲璃の手を握って走り出した。
そのまま元いた空間に戻り、周囲を見回しながら、そのまま秋織達はゲートを通って行った。
……………………
そうして元いた羅浮に帰還した秋織達。
「やったのか…?」
「…多分…」
秋織と彦卿が話し合っていると、雲璃が空に指を刺した。
「ねえ見て!アレ!」
すると、薬師のいた空間へのゲートが爆散した。
「…わあ…」
「やったって事だな。」
それを知った秋織達は、一気に喜び始めた。
緊張が抜け、安心しきった秋織達。
羅浮の長い旅の終わりをも意味していた。
……………………
「……彦卿。よくやってくれた!」
「い、いや、それは秋織達が…」
彦卿は辺りを見回すが、秋織と雲璃の二人は居なかった。
秋作に聞くと、秋作は首を縦に振った。
「アイツらは来ないよ。」
「え、なんでさ。」
素裳は驚いたように聞いた。いつもと違って髪を下ろして豪勢な服に身を包んでいた。
「そんなの、柄じゃ無いってさ。」
秋作は空を見上げて呟いた。
………
その頃、秋織と雲璃は河川敷に座って話していた。
穏やかな風が二人を包んでいる。
「ねえ秋織、良かったの?勲章…」
「勲章なんて…俺の柄じゃねぇよ。別に頼まれてやった訳じゃねぇし。」
「それより、これから何するかをゆっくり考えるのが先さ!」
秋織は立ち上がって、腰に手を置いた。
「雲璃、何処に行ってみる?」
「じゃあ…秋織の行きたいとこ!」
雲璃も立ち上がって笑顔で答えた。
そのまま二人は前に向かって歩き出した。
羅浮に吹いた風は、そのまま二人を祝福するように優しい風が吹いていた。
……………………
秋織と雲璃は自販機で飲み物を買っていた。
「…秋織、何買う?」
「コーラで、雲璃は?」
「あ、同じの飲みたい!」
そのまま二人はコーラを買った。
すると、後ろから声をかけられる。
「あの…すみません。」
「ん?」
そこには、ポニーテールの少女が居た。
バッグに髪を持っていてどうやら旅人のような風貌だった。
「実は道に迷ってしまって…」
旅人は紙を見て、そこには向こうの方角を示していた。
「ありがとうございます!」
「それじゃ、また!」
そのまま旅人は手を振ってその方角に走り出して行った。
「……ねえ…"また"って…」
「ああ…いずれまた会うのかもな…」
そうして二人はその影を見つめていた。
それは、新しい"風"を予感させるのだった……。
ひとまず完結です。
…アニメ1クール半ぐらいの話数だったけど…