ベル君のエロ本を書くのは間違っているだろうか?   作:リーグロード

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地下神会

 

 ……神会。それは神様の集まる集会を意味する。だが、神会とは別のもう一つの神会の存在を知る者は少ない。

 その名は地下神会。その実態は、地下に潜った男神たちの集まりだ。そこで行われるのは有益な情報交換だが、最近では同じような話ばかりで、ついには殴り合いまで起きている。

 

「お前は分かっていない!?ベルきゅんと最もイチャラブしているのは酒場の店員ちゃんだ!」

「くっ!確かに、あの生き恥ウェディングは萌えだが、パルゥムのサポーターちゃんのあざとい仕草からのまぐわいとか、最高過ぎるだろう!」

「いいや、あの狐人ちゃんの恋人とも母親とも愛人とも言えるような妖しい色香こそ、全男子の憧れのシチュエーションでしょうがぁぁぁ!!!」

 

 地下神会では、日夜かわいい女の子の情報をやり取りしながら己の欲望を曝け出し、マウントを取るのが当たり前だったが、最近はもっぱら歓楽街で売りに出されている話題のベル君のエッチな本の話ばかりになっている。挙句の果てには、ベル君にとって最高のカップリングは誰かという議論で口論どころか拳が飛び交うこともしばしばある。

 

「口論はそこまで。これ以上はこの前の焼き直しになっちまうぜ」

「「「議長!!」」」

 

 地下神会を仕切る立場にある議長と呼ばれるヘルメスが姿を現すと、先ほどまで口論していた男神たちもすぐに口を閉じ、姿勢を正した。

 別に議長だからといって彼が他の神々より偉いわけではなく、ただベル君のエッチな本を最初に見つけ出し、さらに色々な催しを提案するので、自然と議長として崇められているに過ぎない。

 

「まあ、諸君らの言いたいことは分かる。ベル君のこのエッチな本は非常に魅力的だ!!ベル君の純粋さに加えて、様々な女の子の魅力を余すことなく詰め込んでいる。正直、俺もこの本には感謝しかない!!!」

 

 天高くベル君とアイズのエッチな本を掲げて叫ぶ議長。それにつられるように、他の神々も一斉に歓声をあげる。

 あちこちから純情な少年とお姉さんとのおねショタ最高!とか、少女に見えるパルゥムの子に奉仕されて、最後にお姉ちゃんムーブでヨシヨシされたい!とか、エッチな狐ちゃんにママになって欲しい!と他にも叫ぶ声が轟く。

 

「さて、諸君らに問おう!この我らが聖書を作りし者を守ると宣言出来る者はいるか?」

 

 その突然の問いかけに、皆が周囲を見回しながら意味を測りかねて困惑する。そんな男神たちに、ヘルメスは先日のフレイヤ・ファミリアの騒動──主にアレンの暴走について語った。その一件はまだ広まってはいないものの、ヘルメスは独自の情報網で詳細まで把握していた。このままでは、近い将来、有望な同人作家が消されてしまう可能性が高い。そんな事態を黙って見過ごせるのかと、ヘルメスは神々に問いかける。やがて議長であるヘルメスの呼びかけに応じ、男神たちは一致団結し、男の夢──すなわちロマンを描く作家を守るのだと拳を突き上げて叫んだ。

 

「俺はまだサポーターのパルゥムちゃんとのイチャラブが見てぇぇぇ!!!」

「俺だって、アマゾネスのお姉さんとの無理やりからのぬるぐちょエッチなベルたんの本を所望する!!」

「はぁ、はぁ、はぁ、ギルドの受付嬢とのお勉強会(意味深)。あれ……初めて見た時……、なんていうか……その……下品なんですが……フフ……勃○……しちゃいましてね…………」

「ぐぅ~!剣姫との(大人の)特訓を読んだ時に、脳みそが焼けちまって、もうあれでしか満足できねえ体にされちまった!」

「普段清楚で凛々しい酒場の店員のエルフちゃんが、神様に言われて着た生き恥ウェディングを見た時から、俺のこの先の神生の指標はあの本の続きを見る事だけになっちまったんだよぉぉぉ!!!」

「俺だって、狐人ちゃんの妖しい色香と、ムッチムチでエチエチな体を発情期のベルきゅんが貪るシーンとか、ちょ~っと下界の子たちにはまだ早い神様(おれたち)領域(特殊)プレイとか見てみてぇぇぇ!!!」

 

 誰も彼もが自分の欲望を隠さず、大声でぶちまけまくる。なんなら、自分の眷族の部屋にどの子の本があっただとか、ベル君の下半身がゼウスしているだとか、男神たちは思い思いに自分の欲望やベル君の下半身の謎(笑)を叫びまくる。

 

「さて、これで一応の保険は掛けといたが、果たして、これがどこまで機能するか?」

 

 ヘルメスは熱気のこもる地下神会で集まった男神たちを見回し、どのファミリアが役立つかを頭の中で計算していた。中でも有力なのは、かつてベル君を歓楽街に誘う際に協力し、その後星になったモルド君が所属するオグマ・ファミリアだ。一方で厄介そうなのは、以前エイナちゃんをストーカーしたというお馬鹿コンビ、モージとマグニのファミリア。彼ら本人は味方になりそうだが、所属団員の中にはエイナちゃんに好意を持つ者もおり、エイナちゃんとのエロ本に脳を焼かれて、嫉妬心から敵側につく恐れがあると、ヘルメスは予想していた。

 

「しっかしまあ、下界で漫画を描く子が現れるなんてな。しかも、内容が英雄譚じゃなくて、未来の英雄候補のエロ本とかもう爆笑!」

 

 手にした本を見つけた時は本当に驚いた。本の内容もそうだが、絵やコマ割りの構成、本の作りまで、一から始めたとは到底思えない。まるで何年も多くの人が積み上げてきた技術と知識を一気に詰め込んだような完成度のエロ本だった。作ったのは趣味神かと思いきや、調べてみると天界でもヘスティアに並ぶぐーたら女神が主神だと知ってさらに驚いた。

 ということは、それを作ったのは眷族であり、その子は本当にゼロからこれを作り上げたのだろう。

 これじゃ、まるで下界の未知じゃないかと胸を高鳴らせた。世界の救済には関わらずとも、暇を持て余した神にとって、これほどの娯楽はない。

 

「なにより、英雄色を好む。ベル君には常々、女の子との付き合い方というものを教えたかったしね。これを機に、ゼウス程とは言わずとも、女性との付き合い方を学んで欲しいものだね」

 

 そう独り言ちるヘルメスの表情は、好奇心旺盛な子供が新しいおもちゃを前にした時のように、無邪気で楽し気だった。

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