ベル君のエロ本を書くのは間違っているだろうか?   作:リーグロード

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ロキファミリアの貧乳アマゾネスの場合

 

 ここ最近、団長たちが慌ただしいというか、変な緊張感が走っている。

 それが何なのか密かに調べてみた結果──

 

「アイズとアルゴノゥト君の春本が勝手に売りに出されてるの?」

「そっ、しかも、ここ最近じゃ、アイズのだけじゃなくて、レフィーヤがモデルにされてるやつも勝手に売られ始めたって聞いたわよ」

 

 アマゾネス姉妹のティオネとティオナが、最近ロキファミリアを騒がせている問題について話していた。

 

「でもさ、なんでアルゴノゥト君のエッチな本を描いて売ってるんだろうね?」

「さあ?まあ、あの子って今は良くも悪くも有名だしね。それに、周りの子はアイズを筆頭にみ~んな美人だし、商材としてちょうどよかったんじゃない?」

「あ~、確かにそうかも!」

 

 くだらない話ではあるが、身内を勝手に変な商売に利用されている事に対して、内心では団長らと同じように、その本の作家に2人は軽い敵意を持っていた。

 とはいえ、団長の指示もなく、幹部である自分たちが勝手に捜査に乗り出せば問題になることは明らか。だからこそ、忸怩たる思いでホームに待機している。

 

 とはいえ、何もしないのも暇なもので、気晴らしに何か面白い物でもないかとホームを歩いていると、何冊かの本を抱えたラウルとすれ違う。

 

「あら、ラウル。アンタ、団長の指示で歓楽街を見張ってたんじゃないの?」

「えっ、あっ、そうっすけど、ちょっとこれを団長に届けに……」

 

 抱えていた本を団長に持って行く途中だったのだろう。それならば、邪魔しては悪いと普段ならあっさりと通すのだが、この時期に団長に本を持って行くということは、それが件の問題となっている本なのだろう。

 

「ねえねえ、ちょっとだけ見せてよ!」

「えっ、いや~、それは止めといたほうが……」

「別に私たちはエルフじゃないし、アマゾネスは性に関して多少奔放だから、生娘みたいな反応はしないわよ」

 

 そう言うや否や、ティオネはラウルが持つ本の一冊を奪い取る。

 何気なしに取った本だが、その表紙には描かれているのを見てビシッと固まる。

 そんなティオネの様子に、どうしたのかとティオナが覗き込むと、そこには笑顔で抱き合う自分とアルゴノゥト君の姿が描かれていた。

 しかも、描かれている絵柄がやたらリアルで、妙に生々しい。

 

「うわ~、私とアルゴノゥト君の本だ!」

 

 ティオナのその一言に、ラウルは顔を青くし、ティオネは顔を赤くする。

 

「これはどういう事だ?なんでウチの馬鹿ティオナが勝手にラビットフットの奴と──?」

「い……いや~、それは俺に言われてもっすよ~(泣)」

 

 そもそもの文句は勝手に描いた作者に言えと思いつつ、それをぐっとこらえて、若干の青筋を浮かべるティオネに、ラウルは必死で弁解していた。

 そんな2人をよそに、ティオナは我関せずと自分とベルが描かれた本を興味津々で読み始める。

 

「どれどれ~」

 

『ねえねえ、アルゴノゥト君。今度はあっちに行こうよ!』

『わっ!ちょっ、ティオナさん!?』

 

 ダンジョンに潜る時の衣装や、普段着でもなく、まるでデートみたいなおしゃれな服装をした自分とアルゴノゥト君が手をつないで屋台を巡っている。

 聞いていた話と違う展開に、なんとなく違和感や拍子抜けを感じながら読み進めていると、笑顔で楽しそうにアルゴノゥト君と遊ぶ自分の姿に、胸の奥でチクリと小さな痛みが走った気がした。

 

『ねえ、もう大分遅くなっちゃったけど、まだ一緒にいたいし、今日は泊まらない?』

 

 さっきまでの自分の笑顔とは違い、まるでティオネのような恋する乙女のような微笑みで近くの宿屋へ誘う自分を見て、ティオナは心臓が少し早く打つのを感じていた。アルゴノゥト君の手の握り方も、強引に掴むのではなく、指と指を絡め合う恋人同士のような繋ぎ方になっていた。

 

『うわ~、広いね!それにベッドもふっかふかだぁ!!』

『そうですね。それで……どっちが先にシャワーを浴びますか?』

『どっちって?一緒に入ればよくない?だって、この後は……ね♡』

 

 赤面するアルゴノゥト君をからかうように耳元で甘い声を囁く自分に、ティオナは感心したように「ほぇ~」と夢中になっていた。まるで自分がティオネになったかのような、不思議な感覚だった。

 

「あんた、自分が勝手にモデルにされてる本を見てよく平気でいられるわね?しかも、それラビットフットとのエロ本でしょ?」

「ん~、別にアタシ、アルゴノゥト君となら平気だよ」

 

 気づけばいつの間にかラウルに詰め寄っていたティオネが後ろに立って本を覗き込んでいた。

 そんなティオネの問いに、ティオナはあっさりとそう答える。

 

「ラウルは?」

「団長の元に行かせたわよ。いつまでも引き止めると、団長に悪いからね」

「ふ~ん……」

 

 聞いたティオナもあまり興味なかったのか、そっけない返答でその話は終了した。

 それよりもと、続きが気になったティオナは本に目線を戻してページをめくる。

 

『男の人のアソコって見たことないけど、アルゴノゥト君のって大きくない?』

『え……やぁ、その……どうなんでしょうか?』

 

 お互い裸になって、密着した状態でアルゴノゥト君のアソコに手でちょんちょんと触れる自分の描かれた姿に、ティオナは顔を赤くする。

 だがそれ以上に、描かれているアルゴノゥト君のアソコの大きさの真偽の方に注意がいく。

 具体的にどのくらいかはここでは詳しく描写したりはしないが、ヘソに届きそうなぐらいなソレに、ティオナは密かに興奮していた。

 

『んっ♡ちゅっ♡』

『っぷはぁ♡ティオナさん♡』

『さんは付けなくていいよ。ティオナって呼んで♡』

 

 シャワーを浴びながら濃厚なキスを交わすその姿に、無意識に自分の唇に触れるティオナ。

 後ろで覗き込んで見ているティオネもまた、脳内で自分とフィンの姿に入れ替えて妄想を楽しんでいる。

 

『シャワーも浴びたし、後はもうやる事は一つだよね♡』

 

「うわ~、ティオネみたい」

「ちょっと、人を変態みたいに言わないでよ。ってか、姉妹なんだから似てて当たり前でしょ!」

 

 シャワーを終えたアルゴノゥト君の腕に絡みつき、フィンに迫るティオネの笑顔そっくりな表情をしてしまった自分の姿に、思わず引いた声を上げると、それを耳にしたティオネがすかさず言い返してきた。

 

『ほ~ら、寝ちゃって!』

『うわっ!?』

 

 無理矢理にアルゴノゥト君をベッドに投げて寝転がすと、身動きを取らせないように、その体に馬乗りになる自分。

 

『……ねえ、私ってティオネやアイズほど大きくないけど、アルゴノゥト君は気になったりする……?』

『……っ、大丈夫です。僕はティオナが好きだし、それに、そんなの気にならなくなるくらいたくさん愛します♡』

 

「ほぁ~!!?」

 

 胸に手を当ててへこんでいる私に、アルゴノゥト君は優しい笑みを浮かべながら、私の顔に手をそっと添えて、そのまま唇を奪った。

 しかも、普段の気弱なアルミラージっぽい顔じゃなく、雄の顔で──。

 そのギャップに、ティオナは胸がキュンとときめくのを感じて、思わず自分が直接言われたかのようにドギマギしてしまう。

 

「へぇ~、ただのまぐわいだけ描いた本かと思ってたけど、ラビットフットも中々やるわね。もし私がフィン団長にこんな事言われたら、もう朝まで張り切っちゃうわ~♡」

「もう、ティオネうるさい!」

 

 耳元で大声で騒ぐティオネに、苛立ったように声を荒げるティオナ。

 せっかくのいい気分を邪魔されたティオナは怒って本をティオネに見えない位置に移動させ、そのまま続きを見始める。

 

『ふ~ん、アマゾネスの私にそんなこと言っちゃうんだ。どうなっても知らないからね?♡』

『えっ、ふぁっ!!?』

 

 押し倒したアルゴノゥト君に顔を近づけ、舌でペロリと味見するように頬を舐めた自分の顔は雌のアマゾネスそのものだった。

 そこから先は、愛し合うというよりも雄を喰らう獣のような激しい情事が描かれていた。互いが互いの粘液で汚れ合いながらも、本の中の自分達は頬を真っ赤に染め、快楽に身を委ねている。

 そんな描写に、ティオナは無意識のうちに自分の下腹部へ手を伸ばし、まるで腹に強烈な一撃を受けたかのような錯覚を覚えた。

 

『もうダメェ!♡これ以上は限界♡』

『ぼ……僕もです♡』

 

 何十ものまぐわいを交わした後、互いに息も絶え絶えになって裸でベッドに並んで横たわる。

 お互いに高レベルの冒険者なのに、それでも互いに体力を使い切る程の濃密な性交はティオナを恍惚とした気分にさせていた。

 

『ねえ、もし子供が生まれたら、結婚しよね、ベル♡』

 

「……ベル」

 

 これまでアルゴノゥト君と呼んでいたのに、本の中の自分はベルと本名で呼んでいる。そのことにティオナは気づかぬうちに小さな嫉妬心を抱いた。

 もちろん、このエロ本は誰かの単なる妄想で、嫉妬する理由なんてないはずなのに、なぜかそれが妙に胸に引っかかってしまった。

 

 そうして、最後まで読み終えたこの本をどうするか。ティオネは団長が調べるためにラウルに買わせたのだから、団長の元に持って行くべきだと主張したが、手放したくないと小さく我儘を言うと、ティオネはあっさりとその願いを聞き入れてくれた。

 

「これはしまっておくべきだよね」

 

 英雄譚が並ぶ本棚ではなく、部屋の机の引き出しにそっと隠すように本をしまった。

 そのまま妙な気分を抱えたままホームで悶々としているのも嫌で、気晴らしに外をぶらつくことにした。

 

「ん~?といっても、何かしたい事があるわけでもないしな~。んっ?」

 

 あてもなくオラリオを散歩していると、ふと視界の先に真っ白な髪の少年が目に入った。どうやら一人らしく、なぜか痛そうにお腹を押さえているアルゴノゥト君に、私は考える間もなく駆け寄った。

 

「おーい!アルゴノゥト君!」

「ティオナさん!?」

 

 大声で呼ばれたアルゴノゥト君は驚きつつも、少し警戒した様子でこちらを見た。そんな態度に首をかしげるが、気にしても仕方ないと判断して、ニコニコと駆け寄っていく。

 

「こんなとこで会うなんて、すごい偶然だね!アルゴノゥト君はなにしてるの?」

「えっと、今日はダンジョンはお休みで、気晴らしに散歩していたんですけれども……」

 

 何故か疲れたような顔をしながら、お腹のあたりを撫でまわしていた。

 その行為を奇妙に思いながらも、あっちも自分と同じく暇しているならと、1つ提案を持ち掛ける。

 

「ねえ、アルゴノゥト君もやる事ないならさ、私と一緒にデートしようよ!」

「で……デートですか!?」

 

 顔を真っ赤にするアルゴノゥト君に、私は「うん!」と満面の笑みで頷き返す。確かに多少は気恥しい気持ちもあるけど、それ以上に、あの本みたくアルゴノゥト君と楽しいデートをしてみたいという欲があった。

 

「その……僕なんかでいいんでしょうか?ティオナさんだったら、他にもいい人なんかいくらでも……」

「むぅ!私が誘ってるんだから、別にいいじゃん!それとも、アルゴノゥト君は私とのデートは嫌なわけ?」

「いっ!?そ……そういうわけじゃ……。っ、分かりました。一緒にで……デートしましょう」

「うん!ありがとうね、アルゴ……ううん、ベル♪」

「ふぇっ!?」

 

 ベルと本名で呼ぶと、アルゴノゥト君は顔を真っ赤にして変な声を上げる。その反応が可笑しくてつい笑ってしまうと、彼はからかわれたと思ったのか、少しホッとしたような表情で頬を掻いた。

 

「ほら、行こう!」

「あっ、ちょっと……!!」

 

 そして、そのまま私はベルの手を引き、オラリオの街並みへと繰り出した。

 




新年あけましておめでとうございます。
もっと作品の更新速度を上げれるように努力はしますが、皆様の応援にも力を貰っているので、高評価と感想をよろしくお願いいたします。
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