ベル君のエロ本を書くのは間違っているだろうか? 作:リーグロード
最近、周りの様子がなんだかおかしい気がする。うまく説明しづらいけど、エイナさんや春姫さんは僕に会うと挙動不審になって、勉強とか夜なんて口にすると、目に見えて動揺が激しい。
それでいうと、リューさんはさらに酷くて、酒場で顔を合わせれば何もないところで転んだり、ケーキを結婚と聞き間違えて「私はあんな恥ずかしいウェディングドレスは着ない!」と叫びながら襲い掛かってくることもあった。
そのことをリリにも相談したんだけれど──。
『大丈夫です、ベル様。きっと皆さんお疲れなんです。だから、ベル様はお気になさらず、普段通りに接していただければいいと、リリは思います』
って、妙に肩を寄せながら有無を言わせない雰囲気でそう言われたから、それ以上深くは聞かなかった。でも、やっぱりおかしい。
僕の周りの人たちだけじゃない。街で出会う人たちも、すれ違うと嫉妬に燃えたような目で見てくる。
ただ、これは全員が全員というわけじゃなくて、男性冒険者の人が多いかな?
それに、嫉妬じゃないけど、女神様とか、街の女性、それに数は少ないけど、男神様からも変な視線で見守られてるって感じがする。
「それに、ロキファミリアの人たちも、僕に会うと殴ってきたり、急にデートに誘ってきたり、近寄るなって叫んできたりして、なんだかみんな少し変なんだ」
「あ~、うん。それは大変だな」
「ちょっと、本当に変なんだよ、ヴェルフ!」
鍛冶場で作業をしていたヴェルフを捕まえて、最近感じていた違和感を相談するために、豊穣の女主人じゃない別の酒場で話を聞いてもらった。
でも、ヴェルフはどこか遠くを見るように目を細めて、僕の顔を見ようともしない。
「ねえ、もしかして、ヴェルフは何か知ってるの?」
「あ~、知ってるっつうか、なんて言えばいいんだ」
困った様子で酒をあおりつつ、ベルの問い詰める視線からそっと目を逸らした。
「まあ、その、なんだ。まだベルが知るには早いというか、なんというか……」
「え~?」
結局、ヴェルフは口ごもるばかりで、詳しいことは教えてくれなかった。でも、最後には一つ大きなため息をついてから、そっと僕を見つめてきた。
そして、急に真面目な顔になると、少し迷ったように頭を掻きつつ、その重い口を開いた。
「ベル、一つだけ言っておくが、お前はまだ若い。そりゃ、レベル4の冒険者なんだし、金の心配はないだろうとは思うが、女に手を出す際は慎重にいけ。特に、やることやっても構わねえが、避妊だけはちゃんとしておけよ!」
「…………???」
みんなの様子が変だという話から、何故に避妊の話に繋がるのかよく理解出来ないベルの脳裏に宇宙と猫の画像が支配する。
「リリスケの奴なんて、最近はいつ子供を抱えた女がホームの扉を開けて入ってくるんじゃないかって心配してるからな」
「ちょ、ちょっと待って!?一体何の話なの、ヴェルフ!?」
ベルが悲鳴混じりに叫ぶと、ヴェルフはどこか遠くを見るような目をして、しがみついて体を揺すってくるベルを肴に酒を楽しんだ。
弟分の色恋沙汰?ほど、酒の肴としてうまいものはそうそうない。
今日も今日とて執筆活動に励んでいる。思った以上にベト×ベル本の売上が大きく、ウチの主神の後輩とかいう女神様からファンレターを貰うほど好評で、このオラリオに腐女子を作り上げてしまったかと慄いている。
とはいえ、儲かったのは事実。この調子で、ベト×ベルの第二弾を作成するか、ヘディ×ベルの本も思い切って描くのもアリだと思案している。
「ねえ、アンタまだこういった本を描き続ける気?」
急に部屋に入ってきた主神の女神様が、横から描いている原稿用紙を覗き込んで、そう訊ねてきた。
「なに、文句ですか?」
「文句じゃないけど、アンタついこの間、ロキファミリアの子らに追い掛け回されたんでしょ。その前も、フレイヤのところの子にも追い回されたって聞いたし、そろそろ止めといたら?」
「い~や~だ~!!せっかく売れてるのに、2大派閥が怖くてひよりましたなんて、マイキーが鼻で笑いますよ」
「誰よ、マイキーって?まあ、アンタがいいなら別に口は出さないわ。しっかりお金も稼げてるし、この調子で頑張って♡」
まったく、非常に現金な神様である。というか、しれっと応援しても、この前の旅行費用として勝手に持っていったファミリア資産(私が7~8割稼いだ)分、お小遣いなしの話は当分覆らないから。
さて、ロキファミリアのベルと関わりのある子は描き終わったし、続編として続きのストーリーを描くのもいいけれど、もう少し絡むキャラを増やそうかな。具体的には、薬屋のよく夢見る子や、酒場の黒猫ちゃんもまだだしな~……。ワンチャン、下界の汚物完全呪殺ウーマンを登場させるのもアリだけど……いや、この子は派閥大戦以降にしようかな……。
結局、まだベル君は知らないまま。まあ、知らぬが仏という言葉もありますし、もうちょっとピュアな少年のままでいさせてあげましょう。