ベル君のエロ本を書くのは間違っているだろうか?   作:リーグロード

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アンケートの結果はアルフィアが圧勝かと思いきや、ヘルンもわずか6%差で迫るという予想外の展開に驚きました。
アルフィア本の後はヘルンも描くので、待っていてください。


イレギュラー・レコード(R-17.9)

 

 カオスとはすなわち混沌を意味する。それは時に全知全能の神ですら成し得ない出来事を引き起こす力を秘めている。

 今、このオラリオで最も混沌を生み出す存在が、そんなカオスにベル君の代わりに巻き込まれるのも不思議ではないだろう。なにせ、この小説では彼女こそが主人公なのだから。

 さあ、前置きはここまでにして、これから語られるのは過去へと飛ばされた数奇な運命の持ち主であり、自殺願望者なのかと見紛う程の狂人のお話だ。

 

 

 

 


 

 

 

「ん?あれ、ここは……路地裏?」

 

 目が覚めたら、いつもの作業台で気絶するように眠っていたはずなのに、何故か路地裏に倒れていた。

 服を見るに誰かに乱暴された形跡もない。ワンチャン、ウチの主神が酔った勢いで私を外へ連れ出した可能性もあるが、流石の私でもそれをされて目が覚めない訳がない。

 他にあり得るとすれば、フレイヤファミリアのヘディンかアレンがこっそりとホームに侵入して、私を亡き者にする為に、人目につかない場所へ運ぶ際中に何らかのアクシデントが発生して、ここに置き去りになったか。

 

「う~ん、主神が酔った勢いでとかなら、帰って拳骨を食らわせればいいだけなんだけど。後者の推察が当たってた場合、すぐにこの場から離れないとアウトでしょ」

 

 幸いにも、服のポケットに非常時用として忍ばせていたお金があるので、それで飯でも買うとしよう。

 腹が減っては戦はできず。本当に生き延びようと逃げるなら、空腹状態は危険だと、過去何度もあった捕縛劇で身に染みて学んだことだ。

 

 そういう事で、周囲の警戒をしながら、路地裏から表通りに顔を出すと、そこはオラリオではなかった。いや、正確には知っているオラリオの景色ではなかったというべきか。

 知っている建物もあれば、知らない建物もある。何よりも、ここには活気がない。世界の中心と呼ばれるオラリオとはとても思えない程に暗く沈んだ空気が蔓延しているように見える。

 

「どういうこと?ここは一体どこ?」

 

 知っているのに知らない。そんな奇妙な場所に突如として目覚めたことに困惑していると、遠くから爆発が起こった。何が起こったのかと驚いていると、周囲の人々が私に答えをくれた。

 

「あっちで闇派閥が暴れているぞ!」

殺帝(アラクニア)が出たって話だぞ!」

「向こうじゃ、ディース姉妹が冒険者を殺してるって!」

 

 水面下で暗躍する闇派閥が堂々と襲撃を仕掛け、死んだはずの殺帝(アラクニア)とディース姉妹が暴れている。この条件から私の脳内CPUにアクセスした結果、ここを過去の──それも、7年前のオラリオだと推定する。

 そして、眠っていた私が気が付けば過去のオラリオにいる。

 つまりこれは──

 

「時を渡る道化師か、あるいはイレギュラー・レコードってことかな?」

 

 あれって、結局のところ、過去を変えても、ドラゴンボールのトランクス理論で本来の未来に影響しない設定だった筈?

 まあ、別に違っていても、戦えない私じゃ原作改変なんて出来っこないし、考えるだけ無駄無駄。

 でも、闇派閥が暴れている時代にタイムスリップって、最あ……くでもないか、よく考えたら私って第一級冒険者のアレンやロキファミリアから逃げ切れる逃げ足あるし、別に闇派閥と正面から戦う理由も狙われる理由もないんだよね。むしろ生き延びるだけなら、現代の方が敵(アレンとかヘディンとかベートとか)が多い分、この時代の方が安全に暮らせるんじゃない?

 実際、目を覚ました時なんか、暗殺未遂されたのかと心配したぐらいだし。

 

「まあ、何はともあれ、まずは腹ごしらえかな。この時代の飯って物価高になってないよね?」

 

 一応、闇派閥が暴れている時代を生きている人間からしたら、あまりに呑気な考えだが、私はいざとなれば眠れば元の時代に帰れるはずだと知っている為、気楽に騒がしい街中で飯屋を探す。

 そうして、無事に店を開いている飯屋を見付けた。店の名は豊穣の女主人。まあ、ここは暗黒期だろうと店主が最強クラスなのだから、普通に店を営業してても可笑しくないなと思いながら中に入る。

 

「いらっしゃいませ!」

 

 中に入ると、町娘姿のフレイヤことシルさんが笑顔で迎えてくれる。この間の戦争遊戯で戦ったこともあり、少しばかり気まずさを感じつつも、腹ごしらえの方が重要だと判断して、案内された席に腰を下ろした。

 

「お客さん、初めて見る方ですけど、もしかしてオラリオに来たばかりの人ですか?」

「いいや、オラリオにはそこそこの時間暮らしているよ。まあ、こうして貴方が私の顔を見るのは初めてだろうから、そう思うのも無理ないかもしれないですけど」

 

 きょとんとした顔で私を覗き込むシルさん。嘘はついていない。未来のオラリオで長く暮らしていたし、この時代のシルさんが私の顔を見るのは初めてなのは事実だ。

 そんな彼女は、自分の知識と未来から来た私の存在との違いに疑問を抱きながらも、店員としての務めを優先し、仕事へ戻っていった。諦めたのか、それとも、私が未来から来たと薄々感じ取ったのか、あの女神ならそれぐらい見通せてもおかしくはない。

 まあ、別にバレていようが問題はない。それで私に害があるわけでもなく、利が出来る訳でもない。つまりは、未来の知識なんて私にとってはどうでもいい石ころみたいな価値しかないということだ。

 

 もしこれが主人公や正義感の強いオリ主だったら、この知識を使って原作で命を落としたキャラを救うために奔走するだろうけど、残念ながら私は少し力のある一般人にすぎないので、ここは静かに見守ることにする。

 まあ、あえてこの時代で何かするとしたら、ダンまちファンなら誰もが好きだと言われるアルフィアに一度は会ってみたいと思う。一応、私の才能というチートの元ネタになったキャラだしね。

 ただ、この時代のアルフィアは敵であり、一般人である私でも、近づけば殺される可能性もあるので、遠目でチラッと見るだけに留めておこう。

 そうこうしている内に料理が出来上がり、私の前に置かれた。過去であろうとも、ミア母ちゃんの飯は相変わらず美味しそうである。

 

「ごちそうさまでした」

 

 あまりの美味さに一瞬でぺろりと完食して、そのまま代金を払って店を出る。その際に、背中越しにシルさんが「またいらしてくださいね~♪」と声を掛けてくれたが、いつ帰るかもしれないので、気が向いたらとだけ返事を返しておく。

 一応念のために、フレイヤファミリアの護衛とかに目を付けられないうちに即座に裏路地に避難する。これもアレンに追い回されたトラウマ故の悲しき習性かな。

 

 さて、これからどうするか?腹ごしらえを終えた後の予定なんて全く考えていなかったが、どうしたものかと考え込んでいると、早速イベントが発生する。この付近で再び爆発が起き、どうやら闇派閥が暴れだしたらしい。

 もっとも、闇派閥が暴れても大抵はレベル1か2で、幹部や団長クラスでもアレン以上の速度特化の怪物はいない。せいぜい殺帝(アラクニア)の仕掛けた罠にかからないようにと、燃え広がる火の手や自爆装置に巻き込まれないよう気をつけるくらいだ。

 

「とはいえ、慢心して足を掬われるなんて真似になったら、流石の私でも逃げるのに失敗しそうだし、ここはさっさとこの場から逃げ出して──」

 

 踵を返して爆発した場所から遠ざかろうとした瞬間、近くの建物が吹き飛んだ。幸いにも、壊れた建物のガレキが私に当たることはなかったが、突然の事態に足を止めてしまった。

 何事かと視線を吹き飛んだ建物の方に向けると、そこには血を流して倒れる冒険者の姿があり、粉塵が漂う中から、長い灰色の髪で左が灰色のオッドアイが特徴のヒューマンの美女が現れた。

 

「生き残り?いや、偶然近くにいただけか」

 

 ガレキの山を踏み越えて、その美女は私の前に現れた。まさか、会ってみたいという願望がフラグだったか!?

 ヘラファミリア最後の生き残り、静寂のアルフィアが閉じた眼で私を見つめる。

 

「あ、あの、私は冒険者じゃなくて、ただの一般人で~す。なので、お邪魔にならないようにここからさっさと──」

騒々しい(ゴスペル)

 

 見逃してもらおうと、無害アピールをした途端、文句をつけるように魔法を開幕ぶっぱしてきた。

 

「危ない!」

 

 咄嗟に私の逃走本能が働き、緊急回避でその魔法を避けることに成功する。

 いきなり何をするんだという怒りを込めて睨むと、アルフィアは閉じた瞼を薄っすらと開けて底冷えするような視線で私を見つめる。

 

「ほぉ、私の魔法をただの一般人が避けるか……」

「えっと、逃げ足だけは速いというか、得意というか……」

「そうか、私が最も嫌う男にそっくりだな。五月蠅いだけならばともかく、あの男に似た貴様のような存在を見逃す気はない。私の心の平穏の為に……ここで死ね」

 

 あっちゃ~、地雷スイッチ踏んじゃった。そう嘆くと同時に、私の足はアルフィアから逃げるために、脱兎のごとく駆け出していた。

 背後から飛んでくる魔法を必死に回避して、最短距離で距離を稼ぐ為に裏路地を駆け抜け、表通りへと出るが、そこでは闇派閥と冒険者との戦闘が繰り広げられており、まさに戦場と化していた。

 

「っ、よし!」

 

 前門の虎、後門の狼という状況だが、私にとっては前門の虎、後門のブロリーといったところだ。どちらを選ぶかと言われれば、大半は迷わず前者だろうし、もちろん私も前者を選ぶ。

 戦場となっている目の前の状況を把握するのに1秒だけかかったが、逃走ルートは既に見えていた。剣戟と爆炎が飛び交う戦場の中、戦闘に巻き込まれない道を才能による直感で導き出し、そのルートを駆ける。

 そうして走り出して数秒も経たないうちに、背後から冒険者たちの悲鳴や断末魔が聞こえてきた。いや、これ闇派閥の声も混じってないか?そう思い後ろを少し振り返ると、冒険者も闇派閥もまとめて死屍累々となった戦場を、優雅に──いや、競歩みたいな歩みで迫ってくるアルフィアの姿があった。

 

「何処のハンター試験の試験官なんですかね!?」

 

 思わずサトツさんかとツッコミを入れると、私を狙い撃ちした魔法が飛んでくる。咄嗟に避けるが、それ見越してか、追撃の魔法が回避した先に飛んでくる。

 流石に当たるかと覚悟したが、私の肉体は精神を超越したかのように、無意識レベルで勝手に体が動き、空中で見事な側転でそれを避けた。

 

「……驚いた」

「何を避けた本人が驚いている。まったく、そういうマヌケなところも奴にそっくりで腹立たしい」

 

 いや、本当に驚いた。痛みを覚悟していたのに、私の──アルフィアの才能は想像以上に才覚に満ち溢れていたらしい。

 ただ、それが自分のようなエロ同人作家の手にあるのはもったいないと思う一方で、これ以上ないほど頼れる力だと改めて実感した。

 

 しかし、今はこの現状をどう打開するかが問題だ。最も有効な手は、アルフィアが病で倒れるのを待ち、タイムアップで勝利すること。だが、それにはアルフィアが倒れるまで私が逃げ切れるという前提が必要になる。

 正直なところ、先ほどそのアルフィアの才能の高さを痛感したばかりの自分としては、糞雑魚作家の自分が、本家本物に勝てる気がしないのは道理ではなかろうか?

 

「あ……あのさ、憎らしいとか、嫌いとかで人を殺してちゃ、人間駄目だと思うの。私的には、ここは一つ穏便に見逃してくれたりなんかして……」

早々に死ね(ゴスペル)

「やっぱりぃ~!!」

 

 返答として返されたのは殺意マシマシの魔法による攻撃だった。たしゅけてカ○マしゃ~ん!

 

「っと、いない人に頼るようになっちゃ人間お終いよね。主神様に毒されたか?なんにせよ、さっさと逃げよ!」

 

 まあ、あんな言い訳なんかで見逃してくれるなら、もっと前に見逃してくれてたよねって話なわけで、今は全力でダーッシュ!!!

 

「エッホ、エッホ、エッホ、逃げなきゃ殺されるって伝えなきゃ!」

不愉快(ゴスペル)

 

 正直、ふざけてなきゃ後ろから迫るアルフィアの殺気に気圧されて足が止まってしまいそうだ。なにあれ、妹をベル君とイチャラブさせたアレンよりも恐ろしいって感じるんだけれど。

 それでも、私の体は私の想像を超えてアルフィアの魔法をぎりぎりで回避している。今この瞬間、オリジナルと出会い、命の瀬戸際に立たされたことで、私は新たに覚醒──プルスウルトラを果たしたのかもしれない。

 崩れるガレキの山をパルクールで駆け上り、時に街角から飛び出してくる闇派閥の連中を飛んでくるアルフィアの魔法の肉盾として利用する。

 そうして何とか距離を保っているが、相手はレベル7であり、才禍の怪物と称された傑物だ。保っていると言えば聞こえはいいが、逆に言えば、ジリ貧状態であり、運否天賦で私にもアルフィアにも天秤が傾く。

 

 だが知っているか、アルフィア?世の中の天秤っていうのは、大抵主人公側に傾くってことを。

 

「やれやれ、闇派閥が暴れまわっておると聞いて駆けつけてみれば……」

「まさか、貴様がこのタイミングで現れるとはな……」

 

 まさに狙ったようなタイミングで、私の前に二つの影が現れた。

 それはロキファミリアの三傑、リヴェリアとガレスだった。前回のロキファミリアによる捕獲作戦の獲物となった身としては、体が一瞬ビクッと逃げ出そうとしたが、よく考えればここは過去。今の私にロキファミリアから追い掛け回される理由はない。

 

「冒険者様、助けてくださ~い!」

「ぬおっ!?」

「おまっ──」

 

 ビューン!という擬音が付く勢いで、私は二人の間を駆け抜けて、後ろから迫ってくるアルフィアを押し付ける。

 なんか私が通り抜けて行った際、リヴェリアとガレスがすんごい驚いた顔で私を見ていたが、気にしている暇はない。中層でベル君たちにモンスターの群れを押し付けた桜花たちの気持ちもこんなのだったかな?

 とりあえず、これで私が逃げられる時間は稼いでくれる。犠牲になってくれた二人に感謝しつつ、私は後ろを振り返って追ってきたアルフィアを睨む。

 

「やーい、この神経質でわがまま女!この礼はたっぷりと利子つけて返してやるから覚悟していろぉ!!!」

 

 私の渾身の罵倒に、アルフィアの殺意が膨れ上がる。対して私は、必死に足を動かして逃げ去っていった。

 まあ、その後、背後から凄まじい魔法の炸裂音みたいなのが聞こえたけど、原作じゃ、ちゃんと生き残ってたし、二人とも無事に生きてるよね?

 

「にしても、視界?に入っただけで殺しにかかるとか、マジでヘラファミリアって野蛮人!こうなったら、文化人の恐ろしさというものを身に沁み込むほど教え込んでやる」

 

 まだお金は残っている。これなら、紙とペンとインクもそこそこの量は買えるだろう。

 さあ、見ていろアルフィア。君が誰を怒らせたのかを!巷じゃエニュオよりも(人間関係)破壊神しているとも噂されてる私の本気を見せてやる。

 

 後日、死の七日間と呼ばれた一週間が、別名『命知らずのエロ作家が奔走した日』としてオラリオ中に広まる事になる珍事件が発生したのは言うまでもない。

 




今回は長くなるのでエロなしの前振りだけです。
次回からアルフィアのエロ本を描くので、少々お待ちください。
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