ベル君のエロ本を書くのは間違っているだろうか?   作:リーグロード

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ローリエというベル君本に最適なキャラがいるのは間違っているだろうか?

 

 その日、ローリエは怒りに燃えていた。ベル・クラネルのエッッな本が売られているのは知っていた。

 なにせ、主神がその本の愛読者兼神作家を守り隊の隊長だからだ。

 

 初めの頃は、勝手に本にされて可哀想という感情で見過ごしていた。

 しかし、あの運命の日、彼と私が出会いをしたあの時から、それはただの本ではなくなってしまった。

 

 いくつもの本が売りに出された。同じファミリアの者から、ギルドの受付嬢、酒場の店員達、悲観者、剣姫、大切断、更にはウチのアイシャに、凶狼の薔薇の本まで売り出される。

 正直、ブチ殺しに行こうかと決意するほど腹の底から煮えたぎる思いが湧きあがったが、主神であるヘルメス様と団長のアスフィによってその殺戮は行われることなく、幕を閉じた。

 

 しかし、ここで状況は一変した。女神フレイヤの暴走によって戦争遊戯が引き起こされたのだ。あの戦いに参加しないと決めた主神の頭に剣を叩きつけてやりたいほどの憤りを感じたが、最終的にはベル君と仲間たちの大活躍のおかげで、見事に勝利を掴み取った。

 

 そんな望外な勝利に歓喜するのも束の間、今度はフレイヤファミリアの者がベル君とエッッする本が増えていく。

 ムカつくのは、街中で出会ったヘルン女史が、例の新刊のラストで膨れたお腹(愛の結晶)を迷惑だとか言いながら、顔いっぱいに女子特有のマウント感と優越感をこれでもかと振りまき、無自覚に自慢げな口ぶりで語っていたことだ。

 あの時ほど、あの女の首を飛ばしてやりたいと思ったことはない。

 だがそれ以上に惨めだった。こんなにもベル君に想いを寄せる私が、ベル君のエッッな本のモデルに選ばれないだなんて。

 そりゃ、見ず知らずの人間に私の裸体など例え絵であろうとも拝ませたくはない。けれど、他のモデルにされた女達のように、ベル君と甘々なイチャラブなエッッをしてるところも描かれたい。

 その思いはやがて暴走し、主神の部屋の扉を蹴破って中へ突入した。

 

「今すぐに私をベル君のエッッな本を描いてる者のところに案内してください!!!」

「……なんて?」

 

 突然の事に加え、エロ本をエッッな本と言ってきた私の言葉に、ヘルメス様は目を丸くしてそう聞き返してきた。

 だが私は構わずに続ける。いかに私がベル君を想っているか、どれだけヘルン女史にマウントを取られたか、どれだけ自分がベル君のエッッな本に選ばれてない事が悔しかったか。

 感情のまま全てを吐き出すと、ヘルメス様はそっと私から視線を外してこめかみに手を当てた。

 しばらく考え込み、よしと顔を上げた彼は真剣な眼差しを私に向けた。

 

「いいだろう。ローリエがそこまで言うなら、彼女のホームの場所を教えよう。ただし!これは他言無用の極秘事項。決して口外してはならない」

「はい!」

 

 私は力強く頷き、ヘルメス様から地図を頂いて部屋を後にした。

 ヘルメス様から教えられた場所に向かう最中、私は妄想に耽る。ベル君と二人きりの甘い時間を過ごして、結ばれて愛し合う光景を夢想する。

 いや、神であるヘルメス様が神作家と呼ぶような御仁だ。私なんかの想像を遥かに上回る傑作を描いてくれるだろう。

 

 やがて、目的地にたどり着いた私は、周囲を確認してから扉をノックした。

 すると、中から扉越しに声が聞こえてくる。少しして扉が開き、中から顔を出したのは一人の女性だった。

 

「あの、なにか御用ですか?」

「貴方がベル君のエッッな本を描いてる人ですね!?」

 

 そう訊ねると、女性は顔を引きつらせつつも、私がここに乗り込んできた時点で色々と察したのか、あるいは誤魔化すのを諦めたのか、そっと扉を開けて中へ招き入れてくれた。

 中に入ると、そこは様々な画材や羊皮紙が所狭しと並ぶアトリエだった。ここが神作家の仕事場か。

 

「それで、貴方はどういった要件で来たのかな?」

 

 こっちを警戒したような目で聞いてくる彼女に、私は比較的冷静にここへ来た目的を語る。

 

「神作家殿、私はベル君の事を実は好いていて、貴殿の描くエッッな本に憤慨しつつも、私の中のベル君と解釈一致というか、モデルになった女性たちが羨ましいというか。勿論、誰とも知れぬ輩に素肌を見せるのは抵抗があるし、嫌悪感もあるのだが、ベル君とイチャラブ出来るのならば、天秤にかけた結果、断然ベル君とイチャラブしたい。だが、私の中の理想のシチュエーションや、やって欲しい願望とかもあって、今日はそれを伝えたくてやって来た次第なのだ!」

「あ、うん。そっか…………」

「だから頼む!私とベル君との、その……エッッな本を描いて欲しい!!」

 

 そう頼み込んだ途端、神作家殿はブツブツと独り言を呟きながら自分の世界に入る。

 

「私の知らないキャラ?アニメでは登場しなかった。いや、原作では登場しなかったモブキャラ……にしてはキャラが立っている?いや、この世界って地味にモブが面白かったりするし、その線もある?」

 

 何やら考え込んでいるが、私は邪魔しないようにビシっと背筋を伸ばして待ち続ける。

 すると、神作家殿は顔を上げてこちらを見る。

 

「いいよ、君とベル君の本を描いてあげる。ただ、その条件として、本のクオリティを上げるために君の事を聞かせて欲しいんだ。いいかな?」

「その程度でいいのなら。私の名前はローリエ・スワル。ヘルメスファミリアの冒険者だ」

 

 それから、いくつかの質問やベル君の好きなところについての恋バナも交えながら、私は彼女の問いに答えていった。やがて、神作家殿の頭の中で物語が完成したのか、机にかじりついて私とベル君の本を描き上げていく。そのとき、私も横から「ここはこうしてほしい」とか、エルフ女性の憧れなどをリクエストした。

 そうして、ヘルメスファミリアの仲間なら友達とも言えるほどの徹夜を3度乗り越え、ついに通常の3倍もの厚さを誇る、さらに私の理想とするベル君とのイチャラブでエッッな本が完成した。私は感動で震えた。これで私の望みが叶ったのだ。

 本の内容は涙なしには読めず、胸を熱くさせる冒険も盛り込まれた、まさに至高の一冊。神作家殿にお礼を述べ、本を抱えてヘルメス様のもとへ戻った。

 

 後に、この本を読んだヘルメス様は、「え……エゲつなさすぎない?ローリエ」と一言だけ漏らした。

 




リアクション回は次回になります。
更に豪華なことに、ローリエ本のリアクションするキャラはベル&ヘスティアを除くほぼ全員を出す予定です。

もうヒロインレースをぶっちぎりでゴルシする勢いの本を描きます。
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