ベル君のエロ本を書くのは間違っているだろうか?   作:リーグロード

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すまん、時間がかかった。



極東エロ狐の縛り方

 

 このオラリオには神がいる。それは天界から降りてきた正真正銘の神ではなく、ペンと紙でオラリオに混沌と性の芸術作品を広めた存在を指している。

 そんな神を信奉するのが、本物の神だというのはお笑いだろう。

 

「おい、あの新刊読んだか?あの剣姫が修行という名のエッチな特訓するやつ」

「ああ、勿論だとも。デンジャラス・ミノタウロス。エロとはいかに女性の衣服を脱がすかという引き算だとばかり思っていたが、逆に付け足して大事な部分を隠すという足し算が、よりエロスを感じさせるとはな……」

「拙者、着瘦せするおっぱいも大好きでござるが、無防備に晒されたお腹の魅力にエロスの波動を感じ取った侍。義によって参上致す!」

「ってか、聞いてくれよ。俺のとこの息子(眷族)がよぉ~、レベル2になるためにこれしかねえって、ウチのレベル2の姉的存在の子に『これ着て俺に特訓つけてくれ!』って頼み込んだ結果、顔面に蹴り入れられてしばらく療養中になっちまったんだよ。ウケるだろぉ~!」

「あっ、それ俺のとこも似たようなのあったわ~。金握りしめてどこ行くのか後をつけてたらよ、服屋であのデンジャラス・ミノタウロスの服をオーダーメイドしてたわ。多分、あれお気に入りの娼婦に着せてヤルつもりだぜ!」

 

 ここは地下神会。地下に潜む男神たちが集まり、有益な情報を交換する場なのだが、今はデンジャラス・ミノタウロスという、神々の目から見ても神がかっているとしか言えないあのドスケベ衣装の話題で持ちきりだった。

 彼らは神々の中でも特に性欲と好奇心に溢れ、自分の欲望に忠実な存在だ。そんな男神たちの眷属である冴えないモテない男たちの中には、あの衣装を着て特訓してもらえればレベル2になれると、わりと本気で信じている者も少なくないようだ。

 そのせいで、被害というか情けない姿を晒した眷属が続出しているのだが、それでも尚、あのドスケベ衣装こそがランクアップの足掛かりだという信奉者は後を絶たない。

 

「いや~、随分と盛り上がっているみたいじゃないか」

「「「議長!!」」」

 

 盛り上がって熱気に包まれる会場に、ヘルメスが登場した。

 議長の登場によって、デンジャラス・ミノタウロスの話題で騒がしかった神々が口を閉じて視線を集中させる。

 皆分かっているのだ。この場にヘルメスが現れたのは、何か特大のネタを仕入れてきたからだと。

 その予想は当たり、ヘルメスの手には一冊の本が握られていた。

 

「議長!その本はまさか!?」

「ほぉ、お目が高い。そう!これこそは、あの神作家の描きたてほやほやの新刊だぁぁぁぁ!!!!」

「「「「うおおおぉぉぉ!!!!」」」」

 

 ヘルメスが本を高々と掲げると、男神たちは一斉に歓声を上げた。何しろ彼が持ってきたのは、今オラリオで最も話題沸騰中のデンジャラス・ミノタウロスの作者の新刊だったのだ。

 

「それじゃ、お買い上げのお客様はこちらに並んでください」

「ふざけんな!金取んのかよ!!一冊ください」

「しかも、値段が普段の倍近く高いの転売ヤーかよ!?一冊ください」

「流石議長、汚い!一冊ください」

「くっ!俺のなけなしの小遣いがほぼ溶ける!!一冊ください」

 

 ヘルメスが持ってきた本は、男神たちにとってはまさに金を払ってでも手に入れたい代物だった。

 そして、その本をヘルメスは男神たちに一冊ずつ渡していく。

 全員の手に渡った本の表紙には、着崩れた着物のまま荒縄でキツく縛り上げられている春姫と、その隣でちょっと嗜虐的な笑みで縄を持っているベルが描かれていた。

 

「ほぉ、今度の新刊は春姫ちゃんですか。やりますねぇ」

「俺、あの戦争遊戯での春姫ちゃんが唱えた詠唱の【──大きくなぁれ】って言葉に興奮しちまったんだよな。アレ絶対そういう意味にしか聞こえねえって」

「表紙からこのクオリティとは、やはり神作家の描く本はバケモノか!」

「しかし、緊縛プレイとは、あのベルきゅんにちょっと似つかわしくないような……」

「まあ、読めば大体納得する内容になってるし、今回もストーリーにも期待ですな」

 

 男神たちは皆興奮し、そして期待に胸を膨らませる。

 やがて彼らは本を開き、物語を読み始めた。

 

『──ベル様♡』

『うっ、春姫さん♡僕もう……♡』

『はい、存分に春姫のなかで果ててください♡』

 

 いつもの導入もなしに、速攻で合体シーンから始まる。

 

「どういうことだ?最初は何かしらの前振りがあるはず!?こんなの俺のデータにはなかったぞ!!?」

「だがしかし、春姫ちゃんと一発やってクタってなってるベルきゅんは可愛いし、そんなベルきゅんをヨシヨシするママ力の高さにキュン♡です!」

「いいやまだだ!俺の中のエロ本魂がこの先に最高の展開が待っていると叫んでいる!!」

 

 初っぱなからエロ本展開に驚き、様々な意見をぶつけ合う男神たち。

 そんな彼らが次に目にしたページには、不満そうな顔のベルが描かれており、春姫に食って掛かっていた。

 

『春姫さんって、僕とする時、いつも受け身なのに、ちゃんと気持ち良くなってないですよね?』

『だって、それはベルさんを気持ちよくさせる為であって、私は別に……』

『ダメです!ちゃんと春姫さんにも気持ちよくなってくれなきゃ僕が嫌なんです!だから、これを用意しました!』

 

 そうして取り出したのは表紙に描かれた荒縄だった。

 それをベルが引っ張ってパァンと音を鳴らし、じりじりと春姫に近づいていく。

 そして、春姫の背後に回ったベルが、後ろから春姫の腕を縛っていき、そこから順に動けないように全身を緊縛していく。

 

「なるほど、最初にヤっている描写から始めたのはここへ持っていくため」

「やはり、天才じゃったか……」

「この抵抗虚しく縛られていく時の春姫ちゃんの表情がまた!」

「っていうか、なんでベル君こんな縛るの上手いの!?」

 

『あの、ベル様!一体どこでこんな縛り方を!?』

『タケミカヅチ様に対人戦の技術の1つとして教わりました。まあ、この使い方を教えてくれたのはヘルメス様ですけれども……』

 

「議長!テメェが真犯人か!!?」

「純粋なベル君が議長のせいで汚れていく!!」

「判決!議長、ギルティ」

 

 完全おふざけのノリであるが、この男ならやりかねない。ヘルメスの普段の行いから、男神たちはそう判断した。

 

「おいおい、ちょっと待ってくれよ。流石にそれは誤解だぜ。まあ、俺も実際にベル君が極東の捕縛術をタケミカヅチに教わってるなら、コソっとこういう使い方もあるって教えちゃうだろうけれども……」

「誰か、この無垢な兎を性獣に変えようとする汚い大人を捕まえろ!」

「ガネーシャファミリア(警察)呼ぶ?」

「というか、今のベル君って本当にまだ無垢なのか?まあ、主神が処女神だし、その可能性はまだありそうだけれど」

「つーか、春姫ちゃんを縛る時のベル君の顔が、普段の草食系らしからぬほど肉食すぎる。これアポロンの奴が見たら発狂もんだろ。まあ、オラリオ追放されたからこの本読めねえだろうけどwwwww」

「いや、結構オラリオの周辺で目撃情報あるし、外に流れたのを読んでる可能性は大いにあるぞ。まあ、その場合、今日の俺達よりも吹っ掛けられた値段払って読んでるだろうがな」

 

 盛り上がりが別の方向へ向かい始めたところで、エロ本のページがめくられると、その場の喧騒はすっと静まり返った。

 

『う゛っ、う゛う゛♡これっ♡ほどいてくだしゃいましぇ♡ベル様ぁぁぁっ♡♡』

『えっ、ダメですよ?だって、春姫さんはこうでもしないとすぐ脚閉じて抵抗しちゃうじゃないですか。だ・か・ら、ちゃ~んと春姫さんが気持ちよくなるまで、なでなでします♡』

 

 顔を赤らめ目尻に涙を浮かべて拘束された春姫の大事な部分に、ベルは指で優しくぞり♡ぞり♡と効果音を出して撫でまわす。

 その度、春姫はビクビクと体を震わせて、甘い嬌声を上げながら止めて懇願する。

 しかし、ベルはそんな春姫の反応を楽しみながら、決して手を休ませることなく、気持ちいいを教え込ませる。

 そのうち、コマが進むにつれて、快楽から逃れようと縛られていても動かせる部分で身をよじったり、腰を浮かして逃げようとする春姫にムッときたベルが我儘な子供を躾けるような声色で、逃げないように縛りつける。

 そうして、執拗に攻め立てられた春姫はついに限界を向ける。

 

『──ふぎゅぅ!!?♡♡♡』

『わっ、すごいですよ、春姫さん。ちゃんと気持ち良くなれたんですね!僕の手もこんなにビチャビチャになっちゃいましたけれど、春姫さんが気持ち良くなってくれた証拠だから、嬉しいです!』

『あ゛っ!♡あ゛っ!!♡♡』

 

 ベルが春姫の大事な部分から手を引くと、そこには透明な糸が引いており、それが切れてポタっと床に垂れた。

 

「うおっ!?えっろ!えっろ!!」

「あ……ありのまま、今起こった事を話すぜ!おれは隣の奴とアポロンの事で笑ってたら、いつの間にか本の内容にどっぷりと夢中になっていた……。な……何を言ってるのか、わからねーと思うがおれも何をされたのかわからなかった……。頭がどうにかなりそうだった……。催眠術だとか超スピードだとかそんなチャチなもんじゃあ、断じてねえ……。もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ……」

「ふっ、その理由を教えてやろうか。そいつぁ、この本が最高にグレートだからってやつだぜ!!」

「普段おとなしい子が、エッチな時に出す大きな声が性癖なんだって、自分でも今日初めて知っちまったぜ!」

「あ……ああ……。俺は今、新たな扉を開いてしまったようだ……」

 

 男神たちは皆、興奮気味にページをめくっていく。

 中には周囲の喧騒も耳に入らないほど集中して、一コマ一コマをじっくりと眺める者もいた。

 

『じゃあ、次はコッチですね。さっきは僕だけ気持ち良かったですけど、今度は春姫さんもちゃんと気持ち良くなりましょうね♡』

『──まっ、待ってください。まだ春姫は──っ!!?♡♡♡』

『あっ、すごぉ!♡春姫さんの、いつもよりも気持ち良い感じです!!♡』

「っ?♡っっ??♡♡』

 

 もはやまともに喋ることも、考えることもできなくなっている春姫に対して、ベルは興奮したまま発情期の兎のような腰捌きで春姫を追い詰めていく。

 

『ああっ!♡あっ、はっ♡♡ベルっ、さまぁ♡♡』

『どうです、春姫さん?これが一緒に気持ち良くなるってことです!!♡』

 

「くっ、もう我慢できねえ、俺はトイレに行かさせてもらう!」

「まて、貴様!トイレでいったナニをするつもりだ!?というか、俺も行く!」

「連れションじゃねえだろ、絶対!まあ、俺も行くけども!!」

 

 男神たちは皆、トイレへと駆け込んでいった。そこでナニをするのかは、まあ読者諸君もお察しの通りだろう。

 

「やれやれ、今回もまた良作ならぬ神作を生み出してもらったものだよ。にしても、俺も今度歓楽街へ行く時は荒縄でも持って行ってみるか」

 

 そんなヘルメスの独り言から察せられるように、後日、歓楽街へ荒縄を握りしめて向かう複数の男神たちの姿が目撃されたのは、言うまでもないだろう。




これ、最初は春姫とリリに読ませてたんだが、読み返してみてあまり面白い反応に出来なかったから、思い切って地下神会の連中に読ませました。
ほぼエロ本の内容以外、ほぼ全部書き直ししたから遅れちったメンゴ!
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