ベル君のエロ本を書くのは間違っているだろうか?   作:リーグロード

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新たなるローリエ・スワル本

 

白兎の脚(ラビット・フット)に一番お似合いな女冒険者』順位(ランキング)というものが存在している。

 

 その頂点に立つのは、反則級のベル・クラネルとのイチャラブ本のモデルとなった、ローリエ・スワル──作者に突撃かました出会い厨エルフである。

 そんな彼女だが、ここ最近、胸の奥に妙なざわつきを覚えていた。

 何故ならば、ランキング一位の座を、とある女性陣に脅かされているからだ。

 

 その女性たちの名は、生き恥ウェディングと逆バニーで有名になったリュー・リオン。

 そして、もう1人、デンジャラス・ミノタウロスが代名詞になったアイズ・ヴァレンシュタイン。

 

 他にも1位の座を脅かしてきそうな女はいるが、現状はこの2人が2位争いをしている。

 このままでは、頂点の座を奪われ、そのままの勢いでベル君を奪われかねない。

 その焦りが再びローリエの足を作者の元まで運ばせるのだった。

 

「お願い、先生ぃ!!私とベル君の本をもう一冊作ってぇ!!!」

「やれやれ、君はどこののび太君かな?」

 

 涙目で飛び込んでくるなり、土下座寸前の勢いで懇願してくるローリエに、私は額を押さえて深いため息をついた。

 

「まずは落ち着きなさい。ほら、お茶でも飲んで」

 

 言われるがままに湯呑を受け取ったローリエは、その時間も惜しいのか、湯吞の中の茶を一気に飲み干す。

 そして、湯気がまだ立ち上る湯呑を机に置くと、再び勢いよく頭を下げた。

 

「お願いします!またあの本みたいに、私とベル君のイチャイチャしたのを描いてください!!」

「といってもね、もうネタがないしな……。ジャガーノートの出る深層編はリューさんだから良かったし、その後のフレイヤファミリアとの抗争も、君を絡ませるにはちょっとなぁ~~」

 

 頭を悩ませている神作家である私に、ローリエは縋る。だが、縋られようとも、ネタが無ければ本は描けない。

 ただのエロ本ならば、机に齧り付いてネタを振り絞って描くのだが、彼女が求めているのは前作に引けを取らないイチャラブの大作だ。

 あれは元々のストーリーを土台にしたから出来たもので、0からとなると難しい。

 そう説明するが、その説明にローリエは諦めず、自分の夢を訴える。

 

 その真摯な訴えは、私の心をちょっぴり動かし、仕方なしにペンを取って次の作品の構想を練る。

 

「そうなると、また別のストーリーを引っ張ってくる?ダンメモとかダンクロでいいのあったかな?」

 

 何かないかと、前世のソシャゲであった周年イベントや季節のイベントを思い出しながら、使えそうなネタを絞り出す。

 その横で話作りも何も出来ないローリエは「頑張れぇ!頑張れぇ!」と応援する。

 本人からしてみれば必死なのだろうが、煩悩を抱えるエロ本作家の耳には、メスガキの挑発にしか聞こえなかった。

 

「これあげるから、ちょっと向こうで待ってなさい」

「ぴゃぁっ!!?」

 

 応援の声がイラついたので、さらさらっと紙にペンを走らせてものの数分で、ベルがローリエの顎をクイッと持ち上げて、優しく唇を奪う1枚絵を描き上げると、それを餌に向こうで待てと命じる。描きあがった絵を見たローリエは、まるで生娘の様に顔を真っ赤にさせて、両手で顔を隠す。

 そして、ポイっと放り棄てられたそれを追いかけて掴み、言われた通り、手に入れた1枚絵に夢中になって待機している。

 

 これでようやく静かに執筆が出来ると腰を据えてネタを考えるも、どれもローリエという本来そこに存在しなかったキャラを入れて面白くなる内容が考え付かなかった。

 

「う~ん、でもこれ以外になるとコラボイベントぐらいしか残って──っ!!」

 

 その瞬間、女に電流走る。そして、次の瞬間には、閃いたネタをメモに纏めていく。

 先程までの悩んでいた様子はどこへやら、目を爛々と煌めかせ、ペン先は紙の上を滑るというより“刻む”勢いで走り続ける。

 

「ふふふ、そうですよ。なにも、オリジナルやダンまちにのみ拘る必要はないじゃない。別の作品とコラボさせて、その世界観やキャラを絡ませれば、ネタなんていくらでも湧いて出てくるじゃない!」

 

 突然降ってきた閃きは止まらない。

 脳がフル回転し、アイデアが洪水のように押し寄せる。

 枯渇していたはずのネタは、いまや逆に溢れすぎてメモ帳が悲鳴を上げるほどだ。

 そして、彼女の頭の中ではすでに一本のストーリーが形を成し始めていた。

 

 そうなってくると、もう止まらない。向こうで待機を命じさせていたローリエを呼び戻し、かつてのような徹夜を──いや、今度は6度も乗り越え、創作という名の荒野を突き進んだ2人は、新たな新境地に足を踏み入れたのだった。

 そして、一週間後。朝日が差し込む部屋の中、二人の精魂は尽き果て、ついに力尽きた。

 その手元には、二冊の本が完成されており──それが後に、オラリオに新たな話題を巻き起こすことは、語るまでもないだろう。

 

 静寂の中、朝日を浴びる二冊の本に描かれている表紙のスライムが、まるで未来を予告するかのように淡く輝いていた。

 




転スラファン以外の人には蛇足になるように感じる話かもしれませんが、一生懸命に書くので、是非とも読んでください。
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