ベル君のエロ本を書くのは間違っているだろうか?   作:リーグロード

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リゼロが終わって、久しぶりに書いた。
けど、エロ本のネタが無くて探してたら抱き枕のページに飛んだから、今回はこれで書いてみる。


ベル君の抱き枕を売るのは間違っているだろうか?

 最近の私は完全にスランプだと思う。エロ漫画のアイデアが全然浮かんでこないのだ。

 というのも、内容がマンネリ化してしまったというか、ベル君とヒロインをただイチャイチャラブラブさせて、そこからズッコンバッコンさせるだけなら、正直猿やゴブリンでも描けることだ。

 しかし、これでも私はクリエイターの端くれだ。陳腐でテンプレ化した作品を生み出すくらいならば、潔く筆を置く覚悟もあった。

 だが今現在、うちのファミリアは火の車なのだ。

 

 その理由はというと──。

 

「ごめんなさい!!」

 

 うちのバカ女神がカジノで全財産を溶かし、挙げ句の果てに借金まで背負って帰ってきた。

 本来なら、その金は当神であるバカ女神が返すべきなのだが、借金の相手が闇金らしく、トイチで膨れ上がるというアホな借り方をしたのだ。

 そこで、私がベル君のエロ本で稼いだファミリアの共有財産を借金返済に回した結果、ファミリアの財政が危うくなってしまったというわけだ。

 

「本当にごめんなさい!」

 

 簀巻きにして天井に吊り下げられている女神の謝罪を右から左に聞き流しながら、すっからかんになってしまったファミリア共有財産をどう元に戻そうかと悩んでいる。

 まあ、この一件がなくても、何かしら活動はしておきたかった。

 未だに執筆のアイデアがまだ浮かばなくても、何かを表現したくなるのは、やっぱりクリエイターの性ってやつなのだろうか。

 

「とはいえ、前世のエロネタは大体描いた気がするし。シチュエーションネタでやるなら、ロキファミリアのラウルとアキちゃんが付き合ったという設定で、ベル君がアキちゃんを──うぉっ!?なにやら悪寒が……!!」

 

 なんだかキッズフィルターを剥がしたR18Gのトムとジェリーが繰り広げられる予感が……。

 いや、ひよったから止めるわけじゃなくて、ベル君のイメージに合わないからしないだけだから!か……勘違いしないでよね!!

 

「さて、低クオリティーのエロ本を出すのは最後の策だとして、他に私が出来そうなのは……?」

「ふぁ~。ねえ、そろそろこれ解いてくれない。もうベッドで寝たいんですけどぉ~」

 

 もうこの女神には天界に還らすぐらいのお仕置きをするべきでは?と脳裏に神殺しの大罪を犯さんとする私がいるが、それを何とか抑え込む。

 今にも衝動のままに女神の頭を叩いてしまいそうになる感情を抑え込んで、6秒ほどアンガーマネジメントした私は、あることを思いついた。

 

「ん?寝る、ベッド……、枕!?そうか、その手があったか!!!」

「えっ、あの……?ねえ!ちょっとぉ!?外に行く前に私を降ろしてから!!待って!置いてかないで〜!!!」

 

 思いついたアイデアを急いで形にする為に、簀巻きにされた女神を放置して、私は部屋を飛び出した。

 そして、とあるファミリアのホームに駆け込み、そのファミリアの主神に挨拶する。

 

「こんにちは、天羽雷命様」

「やあ、いらっしゃい。よく来たね」

 

 突然の訪問に笑顔で答えてくれたのは、極東の織物の神である天羽雷命(あまのはづち)という名の男神様だ。

 そして、そんな神様が営むファミリアは衣装や装飾なんかを作成する生産系の派閥だ。

 そんな神様に私は袖から一冊の土産本をこっそりと渡す。

 

「……これを」

「っ!そうか、何が望みだ?」

 

 驚いたのはほんの一瞬で、すぐに他の誰にも見られないよう素早く受け取った本を懐にしまい込んだ。

 ここで私が渡した本をエロ本だと思ったそこの読者!残念ながら、その予想は大外れだ。これは、私がエロ漫画を描くと決意したその日に勢いで描き殴った、ドスケベ礼装のデザインを記した本の副書なのだ。

 この世界の神々のセンスをも超越してしまったといってもいいFateのデザインは、天羽雷命様のお眼鏡に叶ったようで、普通の客のワンランク上の扱いで奥に通される。

 

「──というわけで、これをそちらで作って欲しいのです。とりあえず、数はそうですね……。100個でどうでしょうか?」

「ふむ、なるほど。だが、今のオラリオでの人気を考えれば、100は少ないのではないか?ひとまずは500個。これが俺の考える妥当なラインだな」

「では、500でお願いしてよろしいでしょうか?売れたらまた連絡します」

「相分かった。そちらの希望通りの数を仕上げよう。金額は出来上がり次第でいいが、どうする?」

「ええ、大丈夫です」

 

 取引は終わったとばかりに、席を立とうとする私を天羽雷命様は呼び止める。

 

「少し待て、これはもうラビットフットに許可は取ってあるのか?」

「………………神様。バレなきゃ犯罪じゃないんですよ」

 

 シーっと唇に人差し指を当て、そのまま帰る。その時の天羽雷命様の表情は見ていないが、耳に聞こえてきた嚙み殺したような笑い声を聞くに、きっと共犯者になってくれるだろう。

 

 さて、この取引で私がなにを依頼したのか、勘の鋭いというか、話のサブタイトルをきちんと読んでいる読者の皆様方ならばもうお気付きだろう。

 そう、ベル君の抱き枕の受注だ。制作はアマノハヅチファミリアに任せ、販売は私が請け負うという形式になった。

 

 頼んだのは冒険者スタイルのベル君の抱き枕カバーだけじゃない。一冊限りだが、ヘディン本に登場したベル君ちゃんバージョンの抱き枕も、私が描いたデザイン画をもとに天羽雷命様に作ってもらうことにした。

 これでベル君の抱き枕は2種類になり、それぞれ1つ2万ヴァリスで販売予定。制作費を差し引いても、500個全て売れれば数百万ヴァリスは稼げる見込みだ。

 

「これでウチのファミリアの赤字もどうにか補填出来るかな。まあ、アイデアのきっかけをくれたウチの女神様もそろそろ反省しただろうし、許してやりましょ──」

「ぐぅ~!スピ~!」

 

 部屋に戻ると、簀巻きにされたまま天井から吊られている女神が、鼻提灯と涎を垂らしながら器用に逆さまで眠っているのを見つけた。

 あまりの光景に呆れて声も出せず、そっと部屋の扉を閉めて出て行く。

 

 そんな女神が地面に降ろされたのは、翌日の朝だったそうな。

 

 それから数日間、今回の抱き枕の件はすでにファミリアのみんなに伝えてあり、この間は必死でダンジョンに潜ってもらいアマノハヅチファミリアへ支払う制作費をかき集めてもらった。私はその間、こっそり歓楽街で「ベル君&ベル君ちゃんの抱き枕を販売します!」と宣伝して回っていた。

 そして今日、アマノハヅチファミリアから納品された抱き枕を受け取り、歓楽街のいつもの場所で限定500個のベル君&ベル君ちゃん抱き枕を販売した。

 

 冒険者スタイルのベル君抱き枕は、表面には普段の冒険者姿が描かれ、裏面には装備を外し、上着を鎖骨が見える位置までたくし上げ、頬を赤らめたベル君の姿がプリントされている。

 もう一つのベル君ちゃんの抱き枕には、花屋の娘と見紛う男の娘スタイルの姿が描かれ、裏面にはへそチラからの、長いスカートを股の間に生えているものがギリギリ見えない辺りまで持ち上げている様がプリントされている。

 そんなサンプルを店の横の展示ケースに並べると、店の前に長蛇の列が出来上がる。

 

「あの、その抱き枕をベル君の1つください」

「私は両方を……」

「お、俺はベル君ちゃんの抱き枕1つで!」

 

 売り上げは見ての通り順調で、客層も実に多彩だった。

 明らかなモブ女冒険者に、オタク風の女商人、鼻息荒いローブ姿の男と客層は様々だった。

 客の中には当然のことながら、神様達も並んでおり、その中でサングラスとマスクをしたツインテールの巨乳ロリや変装しても分かる銀髪の美しい女神もベル君&ベル君ちゃんの両方の抱き枕を購入していったが、一体誰ティア様と誰イヤ様なんだろう?

 

 

 


 

 

 

 その日、ヘスティアファミリアで女神と眷族による喧嘩が勃発した。

 

「ベル様の著作権侵害だとかプライバシー侵害だとか、あれだけ息巻いて出て行った結果がこれなんですか!?」

 

 ベル君&ベル君ちゃんの抱き枕をバシバシ叩きながら「ぐぬぬぬ……!!」と唸るヘスティアを叱っているのはリリルカだった。そんな彼女だが、ヘスティアに説教をしながらも、その抱き枕を両手にしっかり抱えたまま離す様子はなく、ついにヘスティアの我慢も限界に達する。

 

「むがー!!なんだいなんだいサポーター君!!そういう君も、ちゃっかりベル君の抱き枕を両手に抱きかかえて!それはボクが買ったものなんだぞ!!!」

「むぎゅっ、その無駄にデカイ胸を押し当てないでください!」

 

 お互いにポコスカ!とベル君&ベル君ちゃんの抱き枕を奪い合おうと子供みたいな喧嘩が始まった。

 そう、2人の喧嘩は子供みたいな喧嘩。傍から見たら、ただの嫉妬が丸出しのいつもの喧嘩である。

 そんな2人の様子を部屋の喧騒に釣られてやって来た春姫にばっちりと見られる。

 

「あの~、一体何をそんなに騒がしく──、そ……それは!?」

 

 リリとヘスティアが奪い合っていた抱き枕を見て、春姫は驚いた。

 それはそうだろう。その抱き枕はベル君&ベル君ちゃんという春姫の想い人の姿がプリントされているもので、普段の見慣れている冒険者スタイルのベル君の抱き枕に目を奪われつつも、女装がバッチリ似合っているベル君ちゃんの抱き枕に強い興味を抱いた。

 

「むむむ!ここで春姫君も乱入か!?」

「くっ!それもこれも、ヘスティア様がうるさく騒ぐから!!」

「ボクのせいだって言うのかい!?もとはと言えば、ボクの買ってきたベル君の抱き枕を説教のどさくさに紛れてちゃっかり取っちゃったのが原因だろ!」

 

 また喧嘩が始まろうとした瞬間、するりと近づいてきた春姫がリリの抱えているベルの抱き枕を掴む。

 

「リリ様とヘスティア様がまた喧嘩してベル様の枕が破れては大変ですので、私がお預かりします」

「そう言って、しれっと持っていくつもりなんじゃないのかい?」

「これだからムッツリ狐は油断ならないんです!」

「コーン!?」

 

 まあ、当然というべきか。リリとヘスティアの敵対タゲが漁夫の利を狙う春姫に向けられるのは明白なわけで。

 動揺する春姫の背後をヘスティアが取り、その隙にベル君の抱き枕(裏面)を春姫の顔面にリリがぶつける。

 

「はわわわ!?べ……ベル様の鎖骨……♡」

「「────!!」」

 

 ムッツリスケベなウブ狐は、抱き枕とはいえゼロ距離で想い人の鎖骨を顔にぶつけられると、目を回してその場にぱたりと倒れてしまう。

 そうして後に残った2人は無言のハイタッチを決める。

 

 後日、オラリオ市街で洗濯物に紛れてベル君の抱き枕が干されていたり、ベル君ちゃんの抱き枕の一部に意味深な穴が空いたものが捨てられているのが見つかったらしい。

 そんなオラリオの風紀を乱した者をガネーシャファミリアが目下捜索しているらしいが、この事件の容疑者とされる女性は依然として逃亡中らしい。

 




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