ベル君のエロ本を書くのは間違っているだろうか? 作:リーグロード
更新遅れてごめんね。いせかるメンバーの方と、やりこみゲーのディスガイアにどっぷりハマってた。
ゼウスとヘラファミリアが黒龍討伐に失敗して8年の月日が流れた。かつてはアルフィアによる魔法をぶっ放しながらの追いかけっこによる爆音が、今や闇派閥の襲撃の音に変わっていた。
「あのクソアマァァァァ!!!どこにいやがるぅぅぅ!!!」
醜悪なモンスターと大差ない凶悪な顔で街を壊しながら闊歩するのは、闇派閥の幹部であるタナトスファミリアのヴァレッタ・グレーデ。
なぜ彼女がこうまで荒れているのかというと――、
「あら、ヴァレッタ。ごきげんよう」
「出やがったな、このクソアマァァァァ!!!!」
もうこの時点でヴァレッタが激怒している理由はわかっているだろうが、あえて説明しよう。
いつも通り、トラブル絶対引き起こすウーマンであるオリ主が、何度も襲撃をしまくる闇派閥への嫌がらせ行為として、『ドキドキ!勇者の拷問記録。殺帝は肉欲の深淵に墜ちる♡』などという、殺帝にも勇者にも大ダメージを与える禁書を生み出したからである。
これを読んでタナトスは爆笑していたが、当の本人であるヴァレッタは頭の血管がブチ切れるほどの怒りを見せており、この本を描いたオリ主を八つ裂きにせんと街に出てきたのだ。
「よくもまぁ、ノコノコと素直に面を出せたものだなぁ!?」
「あら、私を探して街への破壊活動をしていたのはどこのどちらさんでしたっけ?とまあ、冗談はこの辺にして、あなたがお怒りになる理由は分かっています。私の本の内容が不足していたんですね」
「……はぁ?」
一呼吸置いて、私の言葉がようやく脳みそに届いたのだろう。凶悪な表情から間抜け面になったヴァレッタに、間髪入れず言葉という武器の刃を突きつける。そう、この武器こそ、この世界を救うための最強の切り札だ!
「ええ、ええ、分かります。私も描いているときは100点の出来だと自負していましたが、製品になって改めて読み直してみると、ヴァレッタさんがフィン君にク
コツンと自身の頭を叩いて、茶目っ気たっぷりの舌ペロッを見せる。さて、こんな私を見ていたのがベル君みたいな健全な男子ならば、恋のキューピッドがハートにズキュン♡していたであろうが、生憎とこれを見ているのは憎悪を滾らせた邪悪な女幹部であるヴァレッタ・グレーデである。
その瞳からハイライトを消し、ヒクついた頬が凶悪な笑みへと変化する。やがて、無言のまま武器に手を伸ばし、ドロドロになった殺意を全身から発する。
「……――ぶっ殺す」
それは人間が最後に辿り着く最大限の呪詛。心からの吐露を聞き取った私は、ふっと柔らかな笑みを浮かべ、踵を返してその場から逃げ出した。
はっはっはー!この程度の殺気で怯えて足が竦んでいたら、とっくの昔にアルフィアの魔法で塵にされているともさ。
「ついてこいテメェらぁぁぁ!!!あのクソアマを全力でぶっ殺すぞぉぉぉ!!!!」
「「「は…、はっ!!!」」」
そんな風に激怒するヴァレッタを下手に説得できるはずもなく、手下たちは困惑しながらも指示されるままに彼女の後ろにつき従い、私を追い回す。まるで熱狂的なファンに追われているようだと思いながら、狙い通り闇派閥を目的の場所へと誘導する。
普段のヴァレッタなら、あのアルフィアから逃げ続けられる私を追えていることの異常さに気づいたはずだが、今は怒りと殺意で頭がいっぱいで、私を殺すこと以外目に入らない。部下たちも飛び火を恐れ、ただ命令に従うばかりだ。だから――、
「総員!包囲網を形成しろ!!!」
ヴァレッタたちが目的の路地に入り込むと、建物の上にはオラリオ屈指の戦力、ロキファミリアの面々が姿を現す。号令をかけたのはもちろん団長である勇者フィン。その瞬間、自分たちが罠にかかったと悟ったヴァレッタの目にわずかな理性が戻り、歯を食いしばって私を睨みつけた。
「テメェ!自分を囮にして私らを誘い込みやがったのか!?」
「まあ、そういうことになるね。だって、いつまでもあなた達に暴れられると、こっちが迷惑だもの。ねえ、フィン君」
「あははは、こちらとしては、君にも迷惑しているんだけど、どうかな?ヴァレッタを捕らえられる機会を作ってくれた君を、是非ともウチのホームで歓待したいんだけど?」
「う~ん、遠慮しようかな。だって、今のフィン君はなんか怖そうだし、歓待後に何させられるか分かんないからね」
優雅に一礼を返すと、そのまま私ごと囲んでいた包囲網をするりと抜け出し、再び逃走する。背後からは何やら騒がしい声が聞こえてくるが、気にせず無視だ。
こうして、都市を脅かしていた闇派閥の幹部ヴァレッタの逮捕に一役買った私は、悠々とオラリオの街を歩いていた。
「にしても、これでエロ本の材料は一つ消えちゃったな。まあ、前回のフィン×ヴァレ本の売上げはそこそこ良かったし、しばらくは描かなくても余裕はあるけれども……」
そう、前回の本の売り上げはおよそ深層に行ったパーティが順調に稼いできたぐらいの金額はあった。
しかし、本来の――そう、アルフィア本を売っていた頃はコレの4倍ほどのお金が私の手に入っていたのだ。そう考えると、この程度のお金とも思ってしまう。
さて、今日は他にどうしようか?そう考えながら、私のおかげで少しばかり平和になったオラリオを歩いていると、少し先の道に本来ならばここにはいないはずの人物を発見する。
「あれは?ベル君……?」
真っ白な髪に赤い目の、まるで兎を思わせる容姿の少年がアストレア様と話している。
一瞬だけ何が起こっているのか混乱したが、無駄に高性能な私の頭脳が、この光景から発生中のイベントをすぐに思い出した。
確かこれはそう、時を渡る道化師のワンシーンだった。
「ああ、そっか。もうじきアルフィアとザルド君が帰ってくるのか……」
混沌に包まれた都市オラリオ。ここ数日、ジェスターという謎の高レベル冒険者が闇派閥を襲撃していると話題になっている。
本来なら喜ばしいはずの話題だが、都市の治安を守るガネーシャファミリアでは、それが原因で騒動が起きていた。
「――――~~ッ!!!あ・の・女ぁ~!!?」
声にならない叫びを漏らし、額に青筋を浮かべた団長シャクティは、読んでいた本をくしゃくしゃになるほど握りしめていた。内容は『ジェスター(ベル)とアーディーがゆったりした部屋着で休日を過ごす』という平凡な日常だったが、その後の展開はご想像の通りである。
初めは謎の高レベル冒険者ジェスターの正体が掴める。そういった噂を聞いたシャクティがその噂の調査に躍り出たのだが、調べていくうちに噂の元凶となっているのが、例のあの女で通るオラリオの問題児が描いた本と知って、捜査の中断が頭をよぎったが、肝心の内容が上記に記したように、ジェスターの相手役が自身の妹だと知って、烈火のごときスピードで問題の本を入手して検閲したのだが……。
『ねえ、アル。こうやって一緒に本を読んで休日を過ごすのもいいけどさ。少~しだけ、私ともっといいこと、してみない?』
男女がラフな服装で背中合わせにもたれかかり、それぞれ好きな英雄譚を読んでいる。
それだけならば仲のいい男女の休日に見えるのだが、唐突にアーディが読んでいた本を閉じて、白髪のアルという男の子に普段の天真爛漫な笑顔とは違う、妖艶さともいえる笑みを見せながら、自分の隣をポンポンと叩き、誘惑する。
『――っ、もうダメですよ。普段からそういうのはしてるじゃないですか。それに、今日はお姉さんが日頃の疲れを取るようにって、折角用意してくれた休日なんですから、今日くらいはキチンと体を休ませないと……』
『むぅ~!……ん?』
頬を赤く染めたアルは視線をアーディの顔から読んでいた本へと戻し、アーディの誘いを拒否する。確かに二人は恋人同士でそういった行為をする関係だとしても、それは普段からしているので、今日くらいは普通の休日を過ごす。そう主張する少年に、アーディは可愛らしく唇を尖らせ、アルにイタズラしてやろうと後ろからにじり寄ろうとすると、先程のお誘いで興奮したのか、火照って流れた汗が鎖骨を滑り、ゆるく開いた服の隙間からアルの脇へと落ちていくのが見えた。
『ゴクリッ……』
イタズラしようとしていたアーディの背後にムラムラという擬音が描かれ、鼻息が少し荒くなっていく。
『(ダメって自分で断っておいて、こんな風に挑発してくるとか、アルって本当に卑怯!そっちがその気なら、こっちだって!)』
100%冤罪なのだが、アーディの中ではアルがギルティなので、遠慮容赦なく言葉でなく行動に出る。
本を読むアルの前に躍り出ると、そのまま前かがみになって、両手の人差し指を突き出してクルクルと回し始める。
『ア、アーディ?』
『アルは私とエッチしたくな〜る。エッチしたくな〜る』
『ちょっと、アーディ……っ!?』
突然の行為に驚いていたアルだが、前かがみになっていることで自身の目線と同じ高さにあるアーディの胸元に気づき、慌てて顔を逸らそうとしたところに、アーディの緩い服の首元から見えた胸の先っぽのさくらんぼ(意味深)が目に留まり、顔を逸らせなくなってしまう。
『ん?ひゃっ!も、もう、どこ見てるのアル?』
『うへぇ!?い…いや、そっちが急に誘ってきたから……』
『ふ~ん、私が悪いんだ。だったら、その悪い子に興奮している君はどうなのかな?』
ツンとテントの張ったアルのアレを触るアーディは、ニヤニヤと小悪魔のような笑みを浮かべていた。
「「「がああああっっっ!!!?」」」
シャクティ以外に本の内容が気になって検閲という大義名分で勝手に拝読していたガネーシャファミリアの団員達が頭を抱えてもだえ苦しんでいた。
その苦しみ様は、好きな推しのアイドルが内緒で作っていた彼氏と甘々デートを偶然目撃したファンのようだった。
ちなみに、妹の痴態を描かれた本を勝手に読んだ団員達は、その後シャクティ団長に無事に粛清され、その時の相まって本の内容をすっかり忘れたとかなんとか。
「ぐううぅっ~~!?」
あり得ないことだが、それでももし妹に彼氏ができたら、こうなってしまうかもしれないと心のどこかで思ってしまうリアリティが、この本にはあった。
特に、先日の闇派閥による自爆テロでアーディが助かったのは、アルという名のジェスターが首飾りを送ったからだと聞いた。自分の目の届かない間に妹へ贈り物をしたナンパ野郎に殺意を覚えつつ、読んでいた本を握りしめて捜査の拡大を考える。
「いや、今のファミリアに余計な活動にまわせる余裕はない。こうなったら、個人でジェスターの動きを調べ上げ、見つけ上げ次第……殺す」
シスコンのシャクティは本に描かれたアルという特徴的な男を射殺すように睨みつけ、そのまま自分の獲物を握りしめてパトロールという名のジェスター捜索に出かける。
「いやはや、まさか早速ベル君を題材に一冊描き上げるだなんて、流石は神作家様だよ」
「言ってる場合ですか。既にシャクティがこれを読んで鬼の形相でパトロールしてて、ぶっちゃけ闇派閥よりも怖いですよ!」
新刊となる本を読みながら、感心するヘルメスに若干涙目になったアスフィがキレる。
「今はまだリオンもアーディもこの本の存在はしってはいないようですが、いつバレエるかこっちは冷や汗ものなんですよ!」
「う~ん、リューちゃんはキレるかもだけど、アーディちゃんはそんなに怒んないんじゃないかな?というか、逆に内心で喜びそうだと俺は思うけどね」
ヘラヘラと笑いながら、本の続きを読むヘルメス。
『スイッチを押したのはアーディだからね』
『う…うん///』
本を閉じたアルことベルがアーディをお姫様抱っこで隣の寝室のベッドまで連れていく。
そのままアーディの服を脱がし、ベル自身も脱いでいくと、服の上からでは分からなかった鍛えられた冒険者の肉体が露わとなった。
「ほぉ、これを想像で描いたなら、やっぱし彼女は凄いな。前にステイタスを見せてもらった時のベル君の体にほぼそっくりだ」
描かれたベルの全裸にヘルメスは驚きと感心の声を漏らす。
その声にちょっとだけ興味を惹かれたアスフィがちらりと盗み見すると、確かに童顔には似つかわしくないながらも、見ていて不快にならない男の肉体美というものが描かれたそれに頬を赤くする。
「ゴホン!それでヘルメス様。これをどうするんですか?この消えた筈のジェスターはつい最近このオラリオに戻ってきた。もし彼が今のシャクティに見つかりでもしたら」
「まあ、まず無事じゃすまないだろうね。けど、なんとかなるっしょ」
「かるい!」
無責任な物言い、まあ実際ヘルメスに責任なんて一切ないのだが、オラリオを救う筈の両者がこんな本一冊で決闘のような血生臭い事態になってしまえば、結果が悪い方向に向かうのは目に見えている。アスフィは何とかそれを止めなければと思う一方で、こんなくだらないことでいちいち頭を悩ませなければならないのかと、悲しい気持ちに沈んでいた。
次回はこれの続きを書きます。
ただ、読ませる人がまだちゃんと決まってないので、だれがいいかご要望とかあったら、活動報告に送ってね。