英雄記   作:オラニエ公ジャン・バルジャン

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旅立ち

一つの世界…そう呼ばれる世界がある。

 

そこには人間、エルフ、ドワーフといった光の種族がおり、オーク、ゴブリンといった闇の種族が文明を築き、そして自然の中を数多の動植物や魔物が住んでいた。

 

光の種族と闇の種族は互いに相争い、或いは共に力を合わせそれぞれの野心と正義のために戦っていた。

 

やがて人間、ドワーフ、エルフの三種族の一部も闇に傾き、一つの世界は混迷を極めていた。

 

数々の戦乱が一つの世界の歴史を作った。

 

最後の戦乱、闇のエルフの大王にして魔王マレスの闇の連合軍と人間の皇帝フリードリヒ、ドワーフの至高王ベレガール、エルフの女王アリエルの光の連合軍が雌雄を結したアレンペルーラの野戦が終わって千年…一つの世界は光の時代を迎えていた。

 

一人の魔法使いがラビット庄に足を踏み入れていた。

 

ラビット庄…ウサギのような小人…小人のようなウサギが住まうハーフフッド族の村である。

 

魔法使い

「やはりここはいつ来ても良いのぉ…。実に平和だ、アルトドルフの偉大なる都や、イーティンの魔法に満ちた白き塔、エイトピークの巨大地下都市も良いが、穏やかな時が流れるこの小高い丘に囲まれた原っぱが一番落ち着く。」

 

魔法使いは人間の都やエルフ、ドワーフの王都よりこの平和な村に安息を求めた。

 

「お婆さん!おーいお婆さーん!」

 

魔法使いの目の前に白いハーフウッドの少女が現れた。

 

魔法使い

「おお、これはまた元気なハーフフッドのお嬢さんじゃ。名前はなんというのかな?」

 

アイリス

「僕は雪兎のアイリスだよ!お婆さんは何て言うの?」

 

白の魔法使いシクレセリア

「ワシは、白の魔法使いシクレセリアじゃ、ここには旅行に来たのじゃよ。」

 

アイリス

「白の魔法使い!?あのお伽話の白い魔法使い?千年前人間の偉い人やエルフとドワーフと一緒に魔王を倒したってお話の??」

 

シクレセリア

「ほっほっほ、昔の事じゃがの。」

 

アイリス「凄ーい‼︎みんなに知らせなきゃ‼︎」

 

シクレセリア

「ああ、お待ちなさいお嬢さん、ハーフフッドの饗しは実に素晴らしいし、是非とも相伴に預かりたいが、その前に人を探しておる。ビルボというハーフフッドじゃ。」

 

アイリス

「ビルボおじいちゃん?それなら館でパイプを燻らせてるよ?最近ずっーと客が来るだろうからって庭に出てるよ。」

 

シクレセリア

「そうか…お嬢さんや、ビルボの元に案内しておくれ、いかんせん暫くここに来てなかったせいで道が思い出せん。」

 

アイリス

「良いよ!こっち‼︎」

 

雪兎はピョンピョン跳ねながら白の魔法使いを導いた。

 

そしてハーフフッドの穴小屋の中でも一際大きい館の様な丘に建てられた穴小屋の前に二人は着いた。

 

アイリス

「ここだよ!ビルボおじいちゃん‼︎」

 

シクレセリア

「ビルボ!ワシじゃ‼︎」

 

すると館の丸扉を開けて、老いたハーフフッドが現れた。

 

ビルボ

「白の魔法使い!ミツキ‼︎もう二度と逢えないかと思ったぞ‼︎」

 

シクレセリア

「八十年ほどエルフの大王フィヌバールの好意でエルフの白き魔塔で魔法教師として住まわせて貰っていたのでな。」

 

ビルボ

「そうか、そうか。エルフの国という事はここまで長い船旅だったろう?アイリスや、皆に宴の準備をする様に伝えて回っておくれ、白の魔法使いの魔法の花火が見れるぞとな。」

 

アイリス

「はーい!じゃあ後でねシクレセリアさん!」

 

二人は館に入ると、それまで笑顔だった表情が崩れ、真剣な表情になった。

 

ビルボ

「間に合ってくれて良かった…。」

 

シクレセリア

「やはり…具合は?」

 

ビルボ

「時折、幻覚を見るくらいだ、だが…。」

 

老ハーフフッドは館の隅に置いてある鎖で巻きつけられた箱を一瞥した。

 

シクレセリア

「誘惑の声が聞こえたのだな?男か女か?」

 

ビルボ

「女の声だった…恐ろしいぐらいに美しく妖しい声だった…。」

 

シクレセリア

「マシーナ…闇のエルフの大王の母…。やはり息子の復活を目論んでいるのか…!」

 

ビルボ

「助けておくれミツキ…もう我ら一族ではコレは隠し通せない…。」

 

シクレセリア

「ああ、フロドの子孫よ。そなたらにワシはなんと重い重責を与えてしまったのか…。分かった、アレはワシが預かる。」

 

ビルボ

「本当に復活するのか…マレスが。」

 

シクレセリア

「ああ…残念ながらな…。ワシがエルフの国から出てきたのもそれが理由でな…他の部位は全て奴等に盗まれたと思っていい。恐らく闇のエルフ達は盗賊に身を扮して最後の一つを探し回っておろう…ここは最も奴らの国から遠く何の力もない土地故奴らは見向きもしないと思っていたが…誘惑の声が聞こえたとあっては話は別だ。」

 

ビルボ

「ワシにとってすらも御伽話にしか思っていなかった…ワシらの先祖フロドが闇の大王と戦う光の軍勢の中にいた事、そして大事な使命を与えられた事も…だが今となっては恐ろしい…。」

 

シクレセリア

「ワシもじゃ…今のままの光の世界では闇に対抗できぬ、ドワーフとエルフは反目し合っており、いつ戦を始めるか分からない。人間の、フリードリヒの帝国は帝位に就くべき血筋が消え失せてからもう既に三百年も経っておる。神剣闇切り裂きの剣を握るべき皇帝が居らぬ帝国は衰退を始めた…。」

 

ビルボは力が抜けるように座り込んでしまった。

 

シクレセリア

「だがワシは信じとる。人間の献身を、エルフの気高い心を、ドワーフの猛々しさを、そして、ハーフフッドの勇気を。」

 

その夜、ラビット庄は賑やかな宴で盛り上がった。

 

シクレセリアは様々な魔法を使い、村人達を楽しませた。

 

ビルボは子供達に自身の先祖フロドの武勇伝を聴かせ、子供達は目を輝かせた。

 

そして宴もたけなわになり、ビルボが最後の挨拶をしようとした瞬間だった。

 

ビルボは倒れてしまった。

 

村人達は酔っ払い過ぎて倒れたと大笑いした。

 

ビルボは顔を真っ赤にして譫言を呟いている。

 

シクレセリア

「ああ、コレはいかん!土産に持ってきたエルフの葡萄酒が効き過ぎたようじゃ。皆もう夜も遅い、気をつけて帰るのじゃぞ?」

 

シクレセリアはビルボを抱き抱えると屋敷まで歩いて行った。

 

その時、魔法使いのローブから一通の手紙が落ちたのをアイリスは見逃さなかった。

 

アイリス

「お手紙だ…白の魔法使いさんに届けなくちゃ。」

 

アイリスが屋敷の扉まで来ると恐ろしい呻き声が聞こえてきた。

 

アイリスは驚き全身の毛が逆立つ恐怖を覚えた。

 

アイリスはこっそり屋敷に入った、そして屋敷の中を覗き込むと、ベットの上で苦しむ老ハーフフッドと杖を構え、何かを唱えながら必死の表情を浮かべる白の魔法使いがいた

 

シクレセリア

「天の光よ、闇の使徒の声を跳ね除け、子らを家に返したまえ…。去れ魔女め!我が友フロドの子孫を闇に落とさせはせぬぞ‼︎」

 

そしてそれに帰ってくるように女の声が聞こえ、それは雪兎にも聞こえた。

 

マシーナの声

「魔法使いめ!妾の誘惑の声がこの程度の老いた兎を誑かせぬと思っておるのか?」

 

シクレセリア

「ハーフフッドを甘く見るな!この世界で最も勇敢な一族じゃ!貴様の男妾の戦士どもを幾人も屠った鉞の戦士フロドの血族を舐めるな!」

 

白の魔法使いはさらに力を込めて屋敷の床に杖を突き立てる。

 

その瞬間女の悲鳴が屋敷に響き渡り、女の声は聞こえなくなった。

 

白の魔法使いは慌ててビルボに側に近寄った。

 

シクレセリア

「ビルボ…。」

 

ビルボ

「持っていかねば…アレを…あの場所に…」

 

シクレセリア

「負けるなビルボ!お主がアレを持っていくのはあの場所ではない!ナガリスの黒き塔の都ではない、エルフの都イーティンじゃ!」

 

ビルボ

「大丈夫だ…分かっているよ友よ、私が持っていかねば…使命を果たさねば…。」

 

ミツキ

「今のお主の体では無理だ!今動けば死んでしまう!」

 

アイリス「死ぬ!?おじいちゃんが!?」

 

シクレセリア「誰じゃ!出てこい‼︎」

 

シクレセリアは腰に佩いていた剣を引き抜いた。

 

アイリスは余りの出来事に泣きそうな顔を浮かべながら出てきた。

 

シクレセリア

「アイリス…其方聞いておったのか?」

 

アイリス

「う…うん。コレを渡そうと思って…。」

 

シクレセリア

「ムッ、その手紙は…ワシとした事が…焦って落としたか…。アイリスよ、今起こったことは誰にも話してはならぬ。誰に聞かれてもじゃ!」

 

ビルボ

「待て、あの子に…託そう。アイリスもフロドの血が流れている。」

 

シクレセリア

「良いのか?この子は何も知らないんだぞ?」

 

ビルボ

「世界が滅びに包まれれば、ラビット庄も滅びる…そうなるくらいなら新たな後継者を建てた方がいい。理不尽なのは百も承知だが…。」

 

ミツキは溜息を吐くと、魔法で暖炉の火を強くし、屋敷の扉を閉め、鍵をかけると窓という窓を閉めてカーテンを掛けた。

 

シクレセリア

「アイリス、ここに来なさい。これから話す事は決して御伽話じゃないとても大事な使命だ。一つの世界を滅びから守る為のな。」

 

アイリス

「世界が滅びるって…おじいちゃん達は一体何の話をしているの!ビルボおじいちゃんは病気なの!?僕には何が何だか分かんないよ!」

 

シクレセリア

「分かっておる、順を追って説明するから落ち着いて座っておくれ。」

 

魔法使いは語った。

 

時はアレンペルーラの戦い…。

 

人間の皇帝フリードリヒは闇の大王マレスを倒した時、マレスの体は霧散し、主人なき鎧のみが残った、そしてそれを五つに分けた。

 

兜、胴、籠手、草摺、鉄靴の五つに分けた

 

そして兜をエルフの国が、胴を人間の国が、鉄靴と草摺をドワーフの国が、そして籠手はこのラビット庄に隠されたのだ。

 

これは当時固い絆で結ばれたフリードリヒ、ベレガール、アリエル、そしてフロドの四人がそれぞれの故郷で厳重に封印して二度とマレスが復活、或いはその後を継ぐ者が現れないようにする為だった。

 

取り分け籠手は一番重要であった、籠手にはマレスの魔力が宿り、更に増幅するさせる為に闇の呪文が刻まれていた。

 

そして籠手は誘惑の魔法が掛けられていた。

 

その誘惑には人間やドワーフ、エルフですら抗えない物だった。

 

そこで尤も純朴で誘惑に無縁な種族であるハーフフッドの勇敢な戦士フロドに託されたのだ。

 

だが、籠手以外の鎧は全て消え去ってしまったのだ。

 

兜は、戦の後、復讐の為アリエルを暗殺した闇のエルフの一派が盗み出し、怒り狂った夫であるエルフ王が闇の地まで遠征したが見つけ出せず、胴は長い年月によって隠し場所すら忘れ去られ、やっと思い出された時には既にその場になく、草摺と鉄靴は、ドワーフの王都エイトピークがオークとゴブリンの大軍に一時的に奪われた時に損失してしまった、後年ベレガール王は怒りと執念で何とかエイトピークを取り戻したが、既に草摺と鉄靴は何処かに持ち出された後であった。

 

アイリス

「その鎧が揃っちゃったらどうなるの?」

 

シクレセリア

「鎧に残った魔力を使って魔王の母マシーナが息子を復活させようとするか、その力に見合った者を依代にして息子の魂を呼び戻し、鎧と肉体に宿すであろうな。ワシは何としてもそれを阻止しなければならない。その手紙を開けて見なさい。」

 

アイリス

「…エルフの王フィヌバールより、白の魔法使い殿へ、闇の地より凄まじい力を感じるようになった。恐らく其方の言うとおり失われた鎧は全て闇の地に有るのだろう…。このままでは全てが手遅れになる。その前に籠手を回収し我が王都イーティンにまで戦士フロドの末裔と共に来て欲しい。程なく闇の軍勢の侵攻が始まるだろう…我々がそれを押し留めている間に人間とドワーフの助力を頼みたい…これも其方に託す。どうか一つの世界を救っておくれ…親愛なる友より…。」

 

アイリスが手紙を読み終えると、ミツキはパイプに火を灯していた。

 

シクレセリア

「人間の帝国とドワーフの王国には既に行った。今代表を立ててここから東南にあるエルフの植民都市『黄金滝壺の館』に向かう事になっている。」

 

ビルボ

「アイリス、お前が代わりに行っておくれ…ワシはもうダメだ。」

 

アイリス

「僕がいくの?」

 

シクレセリア

「すまぬが頼むしかないのだ…もしもの時鎧を破壊すると四人は血の誓いを建てた。一つでも壊せばマレスは甦らん。その為には血族の血が一滴必要なのだ。」

 

アイリスは悩んだ…恐ろしい話だ…闇と光の戦争が間近に迫ろうとしている…だがそれよりも自分の大事な家族のように接してくれたこの老ハーフフッドが苦しんでいる姿を見ていられなかった。

 

アイリス

「分かった!怖いけど、僕いくよ!」

 

シクレセリア

「それでこそフロドの血族じゃ!さて旅の支度をせねばな…ウム。」

 

ビルボ

「地下に秘密の武器庫がある…フロドの武器庫だ。魔法によって守られているから今も使える状態のはず。」

 

屋敷の地下に降りると石の扉があった。

 

シクレセリアが杖で扉を叩くと扉は開いた。

 

そこには銀色に輝く宝石の様な鎖帷子と斧が眠っていた。

 

ミツキ

「この帷子はドワーフが宝石を使って鍛えた特別な帷子じゃ、いかなる刃を通さぬ。服の下から着るのじゃぞ。」

 

シクレセリアはアイリスに背を向けると、アイリスは少し恥ずかしがりながら、上着を脱ぐと帷子を着た。

 

アイリス

「凄い軽い、何も着てないみたい!」

 

シクレセリア

「ドワーフの防具の中で最上の品の一つ故な、それをハーフフッド用に鍛えたのじゃ、作ったのは名工としても名高きベレガール王その人じゃ。」

 

シクレセリアはアイリスに斧を手渡した。

 

人間やエルフ、ドワーフからしてみれば手斧程度の短さしかないが背丈の低いハーフフッドなら十分な大きさであった。

 

シクレセリア

「その斧は、エルフの短剣を斧に鍛え直した代物でな、剣術は使えなかったが、生業としていた木こりとしての経験を活かす為にフロドが斧にしたのだ。エルフの鋼で作られた斧は固い筋肉の肉体を持つオークですら両断する。フロドはその斧で数多のオーク、果てはオークの長であるウォー・ボスの首すら容易く刎ねた。」

 

雪兎は斧を振り上げると、体のバランスが崩れ後ろに傾いていった。

 

アイリス

「うわ!?うわっ!?わぁぁぁ!?」

 

右に左にふらついた末、アイリスは地下室の石壁に斧を振り下ろした。すると石壁には綺麗に切れ込みが入ったのだ。

 

アイリス

「い、石壁が切れた…!?」

 

シクレセリア

「切れ味は本物じゃからの。」

 

シクレセリアはアイリスを助け起こすと笑って付け加えた。

 

シクレセリア

「使いこなすには練習が必要じゃの。」

 

すると外から馬の威鳴き声が聞こえてきた。

 

シクレセリア

「来たか。」

 

アイリス

「来たって何が?」

 

シクレセリア

「旅の仲間じゃ、今この世は物騒だからのぉ。二人で旅するよりもう少し大勢の方が安心じゃ。」

 

地下から出ると体力を使い果たし昏睡するビルボを癒しの魔法で癒そうとするエルフと退屈そうに斧を立てて立っているドワーフがいた。

 

シクレセリア

「ミズキ、クロ。来てくれたか。」

 

ミズキ

「先生!」

 

クロ

「魔法使い殿。世界を救う為の旅にエルフが加わるとはどういう事ですか‼︎」

 

ミズキ

「こっちのセリフだ、短気なドワーフなんかに使命なんか果たせない!」

 

クロ

「何を!エルフ風情が‼︎」

 

シクレセリア

「やめよ!今は相争っている場合ではない。…紹介しようこちらはアイリス、アイリス、この二人はミズキと斧使いじゃ、ミズキは黄金滝壺の館の領主の一門でな。弓と短剣、そして癒しの魔術の使い手、クロは勇猛なドワーフの戦士。ドワーフの代表団の子で、かのベレガール至高王の血を引く豪傑じゃ。そして…もう一人…まだ来ておらんのか?」

 

騎士

「魔法使い殿‼︎」

 

一行を呼ぶ声が微かに聞こえ、一行は外に出た。

 

すると屋敷に向かって騎士が槍を片手に白馬を走らせていた。

 

シクレセリア

「リオ!遅かったではないか?どうしたのだ。」

 

リオ

「申し訳ありません!でも早くここから出ないとまずい!」

 

シクレセリア

「どうしたのだ!」

 

リオ

「コボルトの群れです!ゴブリンが騎乗してるのも見ました。我々を探してる!」

 

シクレセリア

「ええい!来よったな、このままではここが戦場になってしまう。すぐ出発じゃ!」

 

騎士

「こちらの方は?」

 

シクレセリア

「おお、いかんリオ、この子はアイリス。フロドの末裔じゃ、アイリス、館の中にある鎖で巻きつけられた箱をこの鞄の中に入れて持ってくるのじゃ、そしてビルボに別れを告げよ。」

 

アイリスは箱を鞄の中に入れると、ぐったりしていたが体を起こせるまでになっていたビルボに別れを告げた。

 

アイリス

「行ってくるねビルボおじいちゃん。」

 

ビルボ

「すまぬ…達者でな。」

 

アイリス

「持ってきたよ、この箱なんなの?」

 

シクレセリア

「これが例の籠手じゃ。」

 

魔法使いの言葉に皆がどよめいた。

 

シクレセリア

「皆、旅の前に誓え。ワシら四人は旅の最後までアイリスを守り、そしてアイリスが持つ魔王の籠手には決して触れぬと。触れれば最後お主らはあっという間に、そしてワシですらも闇の使いに堕とされるじゃろう。肝に銘ずるのじゃ、籠手はアイリス以外が触れる事は相成らん。」

 

ミズキ「誓います。」

 

クロ「誓う!」

 

リオ「騎士の名に懸けて。」

 

シクレセリア

「よし行くぞ!皆馬に乗るんじゃ!アイリスはワシの馬に乗れ!」

 

五人を乗せた四騎は村を抜けて森に入った。

 

程なくして狼の遠吠えの様なものが自分たちの後ろから聞こえた。

 

アイリス

「狼?」

 

ミズキ

「…ちがう!コボルトだ!ゴブリンを乗せてる‼︎後方から六騎‼︎」

 

シクレセリア

「狙えるか弓使い?」

 

ミズキは一度に矢を2本番た。

 

そして放たれた矢は騎手と乗騎の眉間を貫いた。

 

ミズキ「これで五騎!」

 

リオ「横からも来た‼︎三騎‼︎」

 

クロ「こっちも三騎だ‼︎」

 

シクレセリア

「やはり訓練されておる。闇の軍勢の手下どもか。」

 

リオ

「来い‼︎」

 

騎士の挑発に乗ったゴブリン騎兵が騎士に乗騎毎飛びかかったが騎士の槍は一匹と一体を貫き、突き捨てた。

 

クロ

「邪魔だぁ‼︎」

 

斧使いは横につけてきたコボルトの首を叩き落とした。

 

一行の冒険はこうして始まった。

 

この物語は一人の小さな雪兎の勇気が全てを変える物語。

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