完成しているのは間違っているだろうか   作:新人作家

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第1話

 下層。ダンジョン二十七階層。

 

 リィン、リィン。

 

 第二の死線(セカンドライン)と称されるここには二十五階層から続く巨蒼の滝(グレート・フォール)がある水源地帯。

 この階層には水棲モンスターだけではなく飛行するモンスターまで現れ、地形の有利を遺憾なく押し付けてくる。その中の水棲モンスターの土俵である水中に落ちたら最後、陸に上がるのは困難とされる。

 

 この地獄のような下層よりも下、深層遠征に向かうファミリアの一団が、通過点であるこの場所を慌ただしく駆け抜けていた。

 

 リィン、リィン。

 

 「どーなってんの、これぇ!!」

 

 「分かんないわよ、とにかく走りなさい!!」

 

 「モタモタするじゃねぇ、てめぇらァ!!とっとと走りやがれっ!!」

 

 現在の最大派閥である【ロキ・ファミリア】にとって、下層はただの通過点。中堅派閥が苦労するこのエリアを難なく通り抜ける手筈だった。

 この階層を走り抜けることになった異常事態(イレギュラー)は、

 

 「──アンフィス・バエナ。休息期間(インターバル)中に出現するのは想定内だったが」

 

 「ああ。まさか先客がいたとはな」

 

 リィン、リィン。

 

 例外を除き、ダンジョン内で不必要に同業者と接触するのは御法度(マナー違反)。さらに言えば、苦戦していたとしてもギルドが定める問題行動に抵触するので、モンスター討伐に横槍入れるのは禁止(タブー)である。

 

 双頭の巨体が激しく踊る。

 水上のためか天井まで届く勢いで水飛沫が舞い、走り抜ける者達の目にはモンスターの影しか映らない。視界を遮られて状況を掴めない。

 

 「もしかしてソロか?周りに人影が確認できん」

 

 「馬鹿な、と言いたいが本当のようだな。条件下でLv.6以上になる階層主と相手取るなど······。もしや【フレイヤ・ファミリア】の誰かか?」

 

 「さあ。まあでも階層主(アンフィス・バエナ)と激しくやり合ってる冒険者の援護なんてしたら、()()噛みついてくるのは分かる」

 

 リィン、リィン。

 

 「······」

 

 「だからアイズ、分かっているね?」

 

 「······はい」

 

 アイズと呼ばれた彼らと並走する冒険者(少女)は、団長の忠告に短く返事をした。

 

 ソロで階層主と渡り合える冒険者に何人か心当たりがあるが、それでも片手で数えられる程度にしかいない。

 その中には【フレイヤ・ファミリア】も含まれているが、階層主(アンフィス・バエナ)の討伐は【ロキ・ファミリア】の役目だったはずだ。

 考えられるのは獲物の強奪。いくら仲が悪い彼らといえど、自分達の役目を奪うだろうかと考えた時に、

 

 『奪うだろうな、当て付けに』

 

 と天然が()()入った少女でも容易に想像できる。·······しかし、こんなこと一度でもあっただろうか?はて。

 

 リィン、リィン。

 

 下手人が分かったので、警戒心は依然あれど関心が薄れる。

 ······しかしソロか。あの階層主をどんなスキルで、どんな魔法で、どんな駆け引きで討伐するのだろうか。敵ではあるが、一人と一体の攻防の行方が気になるところ。

 階層主が寄ってきても迎撃体勢に移れるし、走る下位団員に危険が及んでも守れる位置にいる。よし。

 

 ちらり。

 

 髪の毛と同じ色の金の瞳が捉えたのは、

 

 (───()()!?)

 

 一瞬開けた水飛沫の隙間から現れた、片手を光らせ蒼の魔力を纏いながら何十倍と大きな双頭龍に挑む小さな子供。

 

 「フィ─」

 

 「──総員走れ!!()()()()()()()!!」

 

 龍の咆哮と戦闘音に掻き消されてうっすらとしか聞こえないが、小さな鈴の音が継続的に聞こえていた。

 

 鈴の音の正体は溜め技(チャージ)

 

 その能力は時間経過による威力の増加(ブースト)

 

 下に向かって、撃つ(ファイア)

 

 「「アァアアアアアアア!!!!」」

 

 「──【──】!!」

 

 

 

 

 

 

 

 ベル・クラネル Lv.1

 力I82→H120

 耐久I13→I42

 器用I92→H132

 敏捷I172→G225

 魔力I0

 

 スキル

 【──】

 

 熟練度上昇トータル160オーバー。

 冒険者になって、正確に言えば【恩恵】を授かって僅か一週間の数値であり、Lv.1の初期は確かに伸びやすい時期ではあるが、ソロで潜れる階層が限られている冒険者には不可能な数値である。

 祖父の英才教育で英雄を夢見る純粋少年のベル・クラネル本人ですら疑問を覚えた。

 

 「······知るもんか!!ボクはこれからバイト先の打ち上げがあるから、君達二人は仲良く外食に洒落こむんだね!!」

 

 主神ヘスティアに質問するも、本神は知らないの一点張り。どころか、何故か不機嫌になって本拠地(ホーム)を飛び出した。

 残った二人は顔を見合わせ、ベルが約束したという酒場に行くことにした。 

 

 ヘスティアは夕陽が落ちて暗くなった街を歩く。

 

 (【憧憬一途(リアリス・フレーゼ)】か······)

 

 効果は懸想が続く限り成長し続けるという、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。  

 自分の眷属が、他派閥でかつ嫌いな女神(まな板)の眷属に片思いして発現するのは大変面白くないがそれ以上に、

 

 (()()()()()······!)

 

 このファミリアの最初の眷属に発現していた早熟スキル持ちが─実際は似て非なる効果だが─二人に増えたことで頭を抱える。

 

 しかも、 

 

 リント・クライムロード(12) Lv.4→5

 力:SS1020→I0

 耐久:SS1082→I0

 器用:SS1046→I0

 敏捷:SS1075→I0

 魔力:SS1090→I0

 

 発展アビリティ

 狩人:E

 幸運:E

 精癒:D

 勇猛:D

 神秘:E

 魔導:D

 覇撃:E

 覇光:E

 加護:D

 

 魔法

 【バラエティ・ボルト】

 ・速攻魔法

 ・希望する属性

 

 【ディア・ミメシス】

 ・吸収魔法

 ・魔力付与

 

 【──】

 ・■■魔法

 ・

  

 スキル

 【完成大器】

 ・魔法、スキル、発展アビリティの完成

 ・経験値量増加

 

 【闘争本能】

 ・戦闘時、アビリティ超高補正

 ・傷、体力、精神力の超回復

 

 【一撃覇者】

 ・任意発動

 ・チャージ実行権

 

 【不死戦王】

 ・死亡時の蘇生

 ・蘇生成功時、アビリティ及び発展アビリティの一段階強化

 ・蘇生後、24時間使用不可

 

 【空間収納】

 ・ストレージ  

 ・重量過重時における能力補正

 ・収納量は魔力に依存

 

 【技能増幅】

 ・発展アビリティ及びスキル効果増幅

 ・レベル上昇に伴う増加量上昇

 

 (どうなっているんだ──!!)

 

 ステイタスが完成している。

 勧誘したての頃はLv.4の上位数値だったが、魔法やスキル、Lv.2から発現する発展アビリティが既に(恐らく)上限(Lv.10)まで発現していたのだ。

 

 スキル【完成大器】。効果、アビリティ除くステイタスの完成と経験値量増加。

 

 ということは、だ。彼はこのスキルによって死ななければLv.10まで届くことが保証されている?いや、死ににくいし()()()()()()()があるから確実なのか。上がりにくい発展アビリティがどれも一定数上がっているのを見るに、最低でも二回は死んでるなコイツ?

 

 んで、スルーしたけど()()()()()()()()()()

 

 リント・クライムロード。

 ヒューマンとエルフの間に産まれた半妖精(ハーフエルフ)で、12歳にも関わらず大人びた性格の持ち主。

 居候先の神友に説教され仕方なく始めた勧誘に飛び付いてきたのが彼であり、可能性を引き出す【恩恵(ファルナ)】を刻んでみたらあら不思議。未来の可能性すら引き出すスキルによって飛び出したレアスキルの数々に、思わずびっくり仰天させてヘファイストスの顔面に羊皮紙投擲(スパーキング)

 顔面に投げつけたことと他派閥の神にステイタスを見せたこと、いつもの倍の説教を喰らう羽目になった。

 

 「うんうん、初めての眷属が既に第一級冒険者で?次の眷属が同じスキル持ちで?だから将来ビッグになることが確実って訳か~」

 

 ──喜べるかぁぁーーー!!!!」

 

 ビクッ!?と通行人が肩を震わせるが、神だと分かるとスルーする。オラリオに染まると自然とこうなるのだ。

 

 せっかくのバイトの打ち上げ(タダ酒)なんだ。自棄酒だぁい!!

 




リント
 本作の主人公にして、僅か12歳でLv.5になった化物。金髪紅目。低身長。半妖精。
 初めて授かったのは5歳。村に訪れた歌劇団の美神の思い付きで刻まれた。そこからオラリオに辿り着くまでの七年間、古代含むモンスターと死闘を繰り広げた。戦えば強くなるし、死んでも強くなるぶっ壊れ。主神は代わる代わるで、どの神も善性?だったためか性格が歪まなかった。転生者だけど原作知識なし。どころかへ~日本って言うんだ?ふ~ん程度。つまり朧気。
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