雷鳴、あるいは地響きにも似た振動に、二人は顔を見合わせる。
異変を感じた園児達を保育士が集め始めた。
「何?」
「何だろう?」
しばらくするとサイレンを鳴らしたパトカーが走ってゆく。消防車は鐘を鳴らしながら、避難を促すアナウンスをしている。
「事故でもあったのかな?
とりあえず、避難しようか」
圭一郎は2Bの手を取り、パトカーとは逆向きに歩き始めた。園児達も電車ごっこのようなロープをつかみ、保育士さんに誘導されている。
そのとき、銀色の円盤状のものが飛来した。
「いけない! 逃げて!」
園児達との間に割って入った2Bだが、今の彼女には戦う力はない。
と、更にその間に箱状のものが飛んできた。
円盤は赤く光のエネルギー弾を吐き出す。
箱状の物体が左右に開き、機関銃らしきものでそれらを撃ち落とした。更に円盤を撃つが、弾ははじかれている。
そのあまりにも非現実的な光景に、圭一郎の思考は止まってしまう。代わりに、どうやって浮いているのだろうか? なぜ薬莢が落ちてこないのだろう? といった疑問が、現実逃避するかのように浮かんでくる。
ふよふよと浮いた箱が更に大きく開き、まばゆい光を放つと、その光の通り道にあった円盤は破壊された。
広がった箱が鳩時計のように閉じると、それは物体は圭一郎達に向き直った。
「警告:この場所は危険である。
推奨:待避」
しかし、保育士達は座り込んで立ち上がれそうになく、園児の大半は泣き出している。
「ポッド! 近距離攻撃装備を」
「拒否:あなたは随行支援対象ではない。
推奨:待避」
「私は2Bだ」
「否定:あなたは2Bではない。
ブラックボックス信号、IFF、ともに検知できない。
警告:敵性反応接近中。うち一体は飛行が可能。
予測:接触まで六分。重ねて待避を推奨」
「現有戦力で機械生命体に対処可能?」
「肯定:この国が保有する対物兵器で破壊可能である。
確認された機械生命体の数は八体。現在、補給もなく孤立しており、継戦能力は低いと推測される」
「自衛隊は緊急時でも簡単には動けない。ヘタすれば二、三日は指を咥えて見てるだけだ!」
圭一郎が口を挟んだ。
「軍用装備をハッキングしての対処は?」
「否定:それは物理的に困難。
インターフェースが未熟なため、ハッキングには有線接続が必要。
また、制御装置も未熟なため、ハッキング後に単独での戦闘行動は不可能。
警告:敵性反応。更に接近。
一体が破壊されたことで、警戒レベルが上がったものと推測。
飛行可能な個体が急速に接っき、き、き……」
「ん? なんか変だぞ」
「様子がおかしい」
その箱状の物体が力なく落下を始め、持ち直し、2Bに正対した。
「少女よ、戦う力を望むか?」