2B or not 2B   作:転々々

3 / 18
03 疑問

「で、なんであんなところに居たの?」

 

 圭一郎は、階段で倒れかかる2Bを抱き止め、そのまま放置するわけにもいかず、部屋に連れてきたことを話した。

 本来なら警察なりに連絡するところだろう。

 しかし、その硬質な美貌と、それに反して抱き止めたときの温かな感触。それらは彼の行動を変えるには十分だった。

 

「不明です。電磁パルス攻撃に巻き込まれてシステムが一時停止、再起動したのがあの階段でした」

 

 圭一郎は訝しげに2Bを見た。

『電磁パルス』『攻撃』、意味がわからない。そういう設定で話すアブナイ、というよりイッちゃってるお姉さんだろうか?

 

「電磁パルス? 太陽フレアなんて話は聞いてないし、核爆発、はあり得ないか……。

 第一、そんなことがあったら、ここら一帯の電気が停まってるはず」

 

「私が意識を失っていた時間が長かったのかも知れません。電磁パルスは我々アンドロイドには致命的です」

 

「……アンドロイド?」

 

「私は、ヨルハ二号B型、汎用戦闘アンドロイドです」

 

「人間にしか見えないけど。それ以前に、戦闘って、何と?」

 

「私たちは創造主たる人類を模して造られました。あなたは人類なのですか?」

 

「『人類』だと……思うよ。そんなこと訊かれたのは初めてだ。

 君は人間にしか見えないし、仮にアンドロイドだとして、立って歩いて会話できるアンドロイドなんて、見たことがない。

 一応、夜羽さんと『人類』の関係とか、何と戦っているとか、説明してくれる?」

 

 2Bは彼女の知る歴史を話した。

 西暦五〇一二年、地球が異星人の侵略を受けた。彼らの兵器『機械生命体』によって人類は地上を追われ、月への退避を余儀なくされた。自分たちアンドロイドは最終決戦兵器として造られ、地上に派遣された。

 

「私たちは地上奪還の任を負っています」

 

「解った。オーケー。とりあえず、君の『設定』は理解したよ。

 で、こっちの認識だが、ここは地球。現在は西暦一九九一年四月二六日。僕は人間、君の言う『人類』、だと思う」

 

「つまり、私は過去にいるということ?」

 

「君の認識が正しいならね。でも、僕には君がアンドロイドだとは思えない。君をここに連れてきたときも……、あ、いや、君が倒れてきたから……」

 

 圭一郎は失言に口を噤む。客観的には、意識を失った女性を抱きかかえて自室に連れ込んだのだ。

 改めて2Bを見る。作りもののような美貌だが、人工物とは思えなかった。スカートのスリットからのぞく白い脚は艶めかしく……、即座に視線を外した。

 

「その点については感謝します。

 しかし、あなたが『人類』でここが地上だとして、私の重量を運ぶことは容易ではなかったはずです」

 

「気を失った人が重いってのはあるが、せいぜい五〇キロ足らずだろ」

 

 一応、女性の体重は少なめに言っておく圭一郎だったが、2Bは記憶との齟齬に動揺していた。

 

 おかしい。ヨルハ二号B型の義体重量はおよそ一四八キロ。人間並みの重量は考えられない。

 私の身体に何が――?

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。