2B or not 2B   作:転々々

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08 選択

 2Bが選んだものは、三枚セットの下着とスポーツブラを二枚だった。それらを包んでもらい、店を後にする。

 

「買えた?」

 

「はい」

 

 圭一郎の問いに簡潔な返事をした2Bだが、顔の表面が熱い。これまで覚えたことのない感情を受け止めきれない。

 喜び、誇らしさ、気恥ずかしさ……、それらが入り交じった、複合的な感情だ。しかしそれは圭一郎の笑顔と同じく、好ましいもののように思われた。

 

「じゃ、次は服だ。夜羽さんはどんな服がいい?」

 

 2Bは数瞬眉根を寄せる。

 どんな服と言われても……、これまで、ヨルハの制服以外について考えたこともなかった。まして自身が制服以外を着用するなど……。そこまで考えたとき、ふと頭に浮かんだ言葉を発した。

 

「……Tシャツ」

 

「Tシャツ?」

 

 2Bは無言で頷く。

 それしか思い浮かばなかった。もっとも、外部記憶を参照できない今、彼女のファッションに関する語彙は乏しい。

 

「なら、下はジーンズあたりが無難かな?」

 

 圭一郎に連れられて入った店は、若者向けのカジュアルな店だ。しかし、ショッピングセンターのテナントでは、Tシャツにそれほどの選択肢はないが、それでも2Bは迷った。

 最終的な候補は、白・黒・紺の三色だった。

 

「どれがいいだろうか?」

 

 圭一郎に意見を求めたが、彼自身もファッションに関する感覚に恵まれてはいない。

 

「同系の紺だと、却ってジーンズの色と合わせにくいし、白か黒が無難かな? 黒の方が、君の髪や肌が映えると思う。

 とりあえずそれを着て、明日はブティックに行こう。

 

 そう言いながらも、今月のバイト代に思いを巡らせる。上は安く上がったが、下はスカートでもパンツでもそれなりにかかるだろう。

 裾あわせが要らないスカートの方がいいのか? そう考えたところで、スリットから覗いた白い脚を思い出した。やはりパンツにしとこう。

 

 

 

 買い物を終えた二人は店を出た。

 2Bが買ったのは、ジーンズではなくストレッチ素材のパンツだった。これであれば裾あわせが不要だった。本来は裾上げが前提だったが彼女のスタイルがそれを不要にした。夕刻も近づく今、その場で持ち帰れるのは大きい。

 

 

 

 二人は一階に降りると、食品売り場へ向かう。

 

「何を食べたい?」

 

「……ごめんなさい。私はどう答えればよいか分からない。食事の経験が無いから」

 

「こっちも、ごめん。

 無理って分かってるの、サバだっけ? アジだっけ? とにかく青魚じゃなければいけるんだよね」

 

「分かっているのはアジです」

 

「まぁ、経験は追々ということで、適当にいこう」

 

 二人はショッピングカートを押して、売り場へ向かった。

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