落窪んだ眼孔から、鋭い光が覗く。
ボロボロの全身を奮い立たせ、両の足で大地を割る。
マッスルフォームを維持できなくなって、セーフフォームさえも解けて。
見た目だけなら休日の朝に散歩でもしてるような見た目になってしまったオールマイトは、それでも右腕を肥大化させ、のっぺらぼうになったAFOの顔面に叩きつけた。
脳無製造工場と、
最初は上手くいっていたものの、復活した悪の帝王によりヒーローは倒され、数多の脳無と共に死柄木たちの元へと転移してきた。
連れ去られていた爆豪 勝己の奪還と
市民への被害を抑え、爆豪への接触を阻止し、AFOと渡り合う。
それは並大抵の事ではなく、オールマイトの攻撃をグラントリノへ転移させられたり、言葉で揺さぶりをかけ動揺を誘われたり、AFOの攻撃をわざと受けて逃げ遅れた市民を守ったりと、常に劣勢を強いられていた。
どうしたものかと思案していた時、はるか上空を通過する飛翔体。
見れば緑谷 出久、飯田 天哉、切島鋭児郎の3人。
そこ目掛けて爆豪 勝己が飛ぶ。
高速で離脱していく4人に
そこからは破壊の応酬だった。
響く轟音。
高らかに叫ばれるのはSMASHの掛け声、対するは複数個性の同時使用の宣言。
衝突、反発、広がる衝撃波は続く瓦礫の津波で堰き止められ、舞う土煙を吹き飛ばしては、また地面をひっくりかえして、辺り一面を更地に変えていく。
後を考えないフルパワーでの戦いだった。
活動限界の3分を超えてなお力を緩めず、体にヒビが入ろうとも殴り続けた。
力の拮抗は最後まで続いた。
マッスルフォームを維持できなくなって、セーフフォームさえも解けて。
見た目だけなら休日の朝に散歩でもしてるような見た目になってしまったオールマイトは、それでもAFOの攻撃を右腕に残った全ての力をこめて受け止める。
AFOはそれを押し切ろうとさらにパワーを上げる。
突然、オールマイトの右腕から力が抜けた。
意図的に破られた拮抗は、AFOにまたと無い隙を生ませた。
左腕に移されたパワーで、無防備になったAFOを殴りつけるが。
「らしくない小細工だ、誰かの影響かなぁ!?」
当たった攻撃は有効打にはならなかった。
AFOはその瞬間を見逃しはしない。
「浅い!!」
しかしその攻撃こそがブラフだった。
左腕に込めていたパワーを右腕に移し、AFOの攻撃動作に移る一瞬の隙に全てをかけた。
落窪んだ眼孔が鋭く光る。
細くなった両の足を踏みしめて大地を割る。
歯を割れんばかりに食いしばり放たれた拳は、のっぺらぼうになったAFOの顔面に叩きつけられた。
生命維持装置が取れて倒れ伏したAFOを前に、オールマイトは拳を突き上げる。
無いはずのエネルギーを全て使って、再びマッスルフォームへと変身した。
勝利の宣言だった。
程なく、警察組織が駆けつけ気絶したAFOを拘束し回収していく。
その傍らでオールマイトはカメラに向けて指をさした。
民衆には、次の標的はお前だと、まだ見ぬ
どんな姿になろうと、悪は決して許さないと言っているように見えただろう。
ただ1人、託された者を除いて。
歓声が上がる
独りでに開いたそれは
と、小さな笑い声を残して消えた。
ズタボロだったオールマイトと共に。
凡そ1週間後。
警察からオールマイトが死んだと発表があった。