艦隊これくしょん〜ゴップ閣下の優雅な引きこもり生活〜 作:rahotu
あと、嫁の轟沈表現注意です
横須賀、呉、佐世保、舞鶴鎮の艦隊が長蛇の列を連ね海原を進む。
指揮系統については結局空母系は呉鎮守府が戦艦系は横須賀鎮守府が指揮を執り、互いに名目上の共同作戦室を設け連絡将校を送るというだけで終わり、決まったことと言えば作戦名がミッドウェー攻略作戦をMI、支援作戦であるアリューシャン作戦をALとし両方を合わせてAL/MI作戦と呼称された。
本作戦にあまり乗り気ではない佐世保鎮守府は、先の深海棲艦側の攻勢で北方海域を押し込まれ再奪還と北方の安定化を図る目的で参加を表明した舞鶴鎮守府に引きずられる形でAL作戦の主力を担うこととなっり、同時に大量の民間人提督の参加と民間船舶の徴発が行われ、艦娘を含めると両作戦で二百隻を超える船舶が投入される。
民間人提督達は全軍の梅雨払いとして、海域の斥候、対潜掃海作戦、防空任務やピケットラインを形成し、その円形陣の内部を主力を温存した艦隊が進む。
出現する深海棲艦の数は多くはないがそれでも確実に消耗を強いられつつ、しかし作戦発動から一週間で概ねの作戦海域の制圧には成功していた。
順調に作戦は進行しつつあったが、しかし今回の作戦を主導した両派閥の指揮官の表情には雲泥の差がある。
使い捨ての駆逐艦を広く展開することで敵の早期発見と空母の集中運用で先制攻撃でほとんどの敵を鎧袖一触する呉鎮守府に対し、自艦隊の射程距離にそもそも敵が辿り着く前に沈んでしまい活躍の場がない横須賀鎮守府。
折角の大作戦が、このままでは何ら武勲を上げることなく終わっては面子が立たない。
勝利に沸く連合艦隊であったが、その裏では何とか戦果をそれも呉鎮守府を凌ぐ大戦果を挙げようと横須賀鎮守府はある賭けに出ようとしていた。
作戦から三週間を経て、艦隊に被害を出しつつも空母棲姫を倒し当初の作戦目標であったミッドウェー島の占領に成功する。
本来であればここに拠点を建設し来たるハワイ諸島攻略の前線基地とすべく、それまで海域を確保し続ける必要性があるのだが、しかしここで呉鎮守府と横須賀鎮守府とで今後の方針で意見がぶつかった。
曰くこのまま当初の計画通り海域の保持に努めるべし
曰くより積極的に敵の脅威を払うべく行動すべし
ミッドウェー島攻略で少なからず艦載機を消耗した呉鎮守府としてはここで一旦体勢を立て直したいが、派閥としての面子を守るため強硬策を主張する横須賀鎮守府はここである暴挙に出た。
ミッドウェー周辺の残存艦隊の掃討を行っていた艦隊の一部が撤退する敵艦隊を必要以上に追撃しハワイ方面に突出してしまったのだ。
これを好機と見た横須賀鎮守府司令路簿巣大将は味方艦隊の収容を目的として貴下の艦隊を派遣したが、明らかに彼らの目的はそれだけではなかった。
実際この必要以上に追撃した艦隊の殆どが横須賀鎮守府所属か若しくはその息のかかった船が大半であったのは後の調査で分かったことだ。
旗艦長門以下陸奥、金剛、比叡、榛名、霧島、伊勢、日向からなる第一戦隊は進路をハワイ方面へと定めミッドウェー島からどんどんと離れていく。
味方艦隊収容の為というにはいささか過剰すぎるこの戦力の背景には、見方を収容しつつもハワイ諸島に砲撃を加えることを企図した編成であり、路簿巣大将自ら旗艦長門に乗り込んで陣頭指揮を執るなどその意気込みはもはや暴走を超えた狂気さえ孕んでいる。
意気揚々と出撃した艦隊は、無事に味方艦隊を収容して当初の予定通り敵の追撃に移り、海域奥深くへと突き進んでいく。
ここまでの作戦で敵の航空戦力を粗方撃滅していたため、空母ヲ級など航空兵力がなく専ら出てくるのは重巡以下の深海棲艦か僅かにル級やタ級等戦艦クラスが出現する程度であった。
深海棲艦を蹴散らしつつ、ついにハワイ諸島を視界に収めた横須賀艦隊だが島の姿は彼らが知るものとは全く変わっていた。
島全体が巨大な黒いドーム状の膜で覆われ、パールハーバーと嘗て呼ばれた軍港の部分から内部が見えるようになっているが、その奥では深海棲艦の無数の群れが蠢き中には姫や鬼といったクラスの敵が闊歩している。
その余りの数に呆然としている艦娘達を余所に、黒いドームの膜が展開しそれはあたかも海上に咲く巨大な一輪の花を思わせる、巨大な花びらの一枚一枚には信じられない数の対空砲火と巨大な主砲が備え付けられその中心部には上半身が三人の人間の女性の姿をしており、その頭には合計で七本の角が生え王冠をかぶり下半身で一体となったその下腹部は妊婦の様に異様なほど膨れ上がっている。
背後には七つの目のない頭と巨大な六本の指を持つ四肢は女達を守るかのように優しく包み背中には四つの巨大な砲塔を背負っている、巨大な顎には鋭い牙が生え口からはこの世のものとは思えない獣の呻きを漏らしている。
今までの鬼、姫とは全く異なる異質な存在であるソレは一切の情け容赦なく砲撃を浴びせかけた。
四つの巨砲と周囲の花弁から打ち出される砲弾が海面を波立たせ、水温を上昇させる。
慌てて反撃の指示を出すも次々と港から出現する深海棲艦にも対応しなくてはならず、しかも全てが鬼や姫クラス。その間にも容赦なく要塞砲は艦隊に降り注ぎさらにダメ出しとばかりにレ級戦艦六隻からなる戦隊が出現、加えて敵航空機が雲海のごとく迫り次々と魚雷や爆弾を落とし、その間にも文字通り産み落とされた深海棲艦が海域を埋め尽くした。
恥も外聞もなく出された救援要請を受け駆け付けた呉鎮守府の空母赤城、加賀、蒼龍、飛龍、翔鶴、瑞鶴、大鳳は何とか奮戦するも敵の圧倒的物量の前に制空権を喪失し、装甲空母である大鳳以外すべて中破以上の損害をだし戦闘力を喪失。
同時に命令は救援から撤退に変更となり直ぐに潰走へと転じた。
既に組織だった抵抗をこの時横須賀、呉艦隊は喪失し特に旗艦長門はこの戦いで指揮官諸共轟沈。レ級の放った魚雷が火薬庫を直撃し直後に要塞砲が艦橋を司令部要員ともども消滅させ退艦指示を出す間もなく長門は沈んだ。
その後生き残った艦娘達はミッドウェー島を放棄し本土へと撤退したが、最終的に生き残った船舶は全体の三十パーセントにも満たなかった。
戦艦は金剛を除き全て沈没、残った金剛も砲塔が全て破壊され全身満身創痍であり生き残ったのが不思議なくらいであった。
空母も大鳳と瑞鶴を残し最後まで味方の撤退支援の為殿についた赤城、加賀は轟沈、蒼龍、飛龍は途中で艦隊からはぐれ行方不明、翔鶴は瑞鶴を庇い機関に被弾しそのまま艦隊から落伍し後沈没が確認される。
撤退までの間特にその最後の十五分に有力な提督達が次々と戦死し海軍軍令部をして涙すべき十五分として記録されることとなった。
北方海域においてもミッドウェー島攻略失敗の影響を受け撤退するかどうかを決めているさなかに敵の奇襲を受け、此方は旗艦扶桑と闘将宇蘭提督が戦死するも副官である亜天襤褸准将は上官である青葉及び山城を含む主力艦隊を敵包囲下から見事脱出させ北方海域からの離脱に成功した。
人的被害としては横須賀鎮守府路慕巣大将いか横須賀鎮守府保守派の幹部は軒並み戦死又は負傷し現場復帰は困難であり、呉鎮守府もまた古里煮提督等武闘派の指揮官を失い今回の作戦の結果は極東各鎮守府は戦力の著しい低下と共にその組織の頭を失い派閥の再編に迫られることとなる。
ここに軍閥連合艦隊はその作戦能力を喪失し以後戦線の縮小と共に有望な前線指揮官の補充に苦心し、相対的に今回の作戦に反対であったゴップ大将の権威が増すこととなった。
以下元ネタ
楊文李=ヤン・ウェンリー(中国語読み)
露慕巣=ロボス大将
宇蘭 =ウランフ中将
亜天襤褸=ダスティン・アッテンボロー准将
古里煮=ジーン・コリニー大将