皆さんおはこんばんちは。
思ってたより燃えなくてよかったです。コメント欄とか非難轟々っていうのを想像してました。
私自身、価値観の違いというのは分かっているつもりです。『気に入らないなら何も言わずに帰ってね』っていうスタンスですし、例え1人でも面白いと言ってくださる人がいるなら私としては万々歳です。これからもどうぞ宜しくお願いします。
──IS学園 2時限目終了後──
「……気になるな。」
「……だな。」
彼らが気になるといった理由は、教室の外、つまり廊下にあった。
「アオがいてくれてよかったよ、俺1人だったら耐えられなかったかもな。パンダじゃあるまいし。」
「僕も、居たのが一夏でよかった。…まぁ、仕方ないといえば仕方ないのかもね。」
理由は明白。学園に男子生徒など前代未聞、いるはずのない人間であるから。キラキラとした視線が背中に刺さるのを感じ、形容しがたい感覚に襲われる。そんな中、こつこつという足音が。
「…少し、よろしくって?」
「君は…?ッ…。」
話しかけてきたのは美しい金髪をロングにした碧眼の少女。彼女を見た瞬間、頭痛が走った。誰だ?しかし、知っているような。そんな、思い出せそうで思い出せないもどかしい感覚。
「幼馴染を覚えておりませんの!?セシリア・オルコットですわ!」
「幼馴染?」
「オルコットさん、百目木くんの幼馴染だったんだ…。」
「セシ、リア……?」
女子達の声を余所に、再びズキンと痛みが駆け抜ける。ノイズがかかったような、朧気な映像。幼い少女が、笑っている。口が開き、何かを言っているようだが、何も聞こえない。
(これは、僕の記憶……?)
分からない。少なくとも、『今の』自分が覚えている光景ではない。頭痛と、吐き気を無理やり押さえ込み、口を開く。
「……ご、めん。…実は、幼い頃の記憶がないんだ。」
「……!」
セシリアと名乗った彼女は、目を見開き衝撃を受けたように口元を押さえる。
「それって、記憶喪失…ってことか?」
「…そんな感じ、かな。」
具体的には、8歳より前の記憶。彼には、自分が転生者として転生したことを思い出す以前の記憶がないのだ。
「…大丈夫かよ、顔青いぞ。」
「……少し、気分が悪い、かな。しばらく休めば、大丈夫だから…。」
「……貴方ですのね、彼をおかしくしたのは。」
セシリアは、とんでもない勘違いをしていた。目の前の男、織斑一夏が自分から彼を奪ったのだと。先程の授業で醜態を晒した、このような男と親しくしているのは、そうに違いないと。
「待てって、俺は去年たまたま……!」
「お黙りなさい!こうなれば、決闘ですわ!クラス代表戦も近いことですし、代表者の選出も兼ねて、決闘を……!」
ヒートアップするセシリアを諌めるように、次の授業の開始を告げるチャイムが鳴った。憤懣やるかたないといった様子のセシリアが席につくと同時に、担任である織斑千冬が入ってきた。
「もう休み時間は終わって…、なんだ、この空気は。」
授業に臨まんとするものとは違う雰囲気を感じとったのか、彼女は眉をひそめる。
「……まぁいい。再来週に行われる、クラス対抗戦に出場する代表者を決める。自薦他薦は問わない。」
「少々よろしいでしょうか。」
「なんだ、オルコット。」
「わたくしは、クラス代表の座をかけて、織斑一夏さんとの決闘を希望します。」
「ほう、何故だ。」
「彼は名高きブリュンヒルデである織斑先生の親族。であれば、その実力を見てみたいと思うのは当然のことと考えますわ。」
「……ふむ、まぁいいだろう。」
「待ってくれ、一夏は本当に……!」
碧は彼女が盛大な誤解をしていることに気づき、制止を試みるが……、
「碧さんは待っていてください。必ずや取り戻してみせますから。織斑一夏。だいたい、貴方ISについて何も知らないくせによくこの学園に入れましたわね。散々騒がれていましたのに、蓋を開けてみればこの有様。少しくらい知的さを感じさせてくれるかと思いましたのに、とんだ期待外れですわ。」
「……セシリア。」
腹の底に響くように低く、冷たい声が静かな教室に発せられる。その出処は…碧だ。
「それ以上は、やめてくれないか。友人を虚仮にされて黙っていられるほど、僕も大人じゃないんだ。」
それまでとは違う意味で、教室が静まり返る。その場にいた
「織斑先生。僕も、代表者に立候補します。」
「……いいだろう。他に立候補する者はいないか?よし、ならば勝負は1週間後の月曜。放課後、第3アリーナで行う。織斑、オルコット、百目木は準備をしておくように。」
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──昼休み──
「篠ノ之箒さんだね。一夏から聞いてるよ。僕は百目木碧。よろしく。」
「あ、あぁ。篠ノ之箒だ、よろしく頼む。」
一夏を含めた3人で昼食を摂ることになり、テーブルで碧と箒は軽い自己紹介をしていた。
「そ、その、物腰柔らかに見えたが、あそこまで怒気を発するとはな。」
「…ごめん。怖がらせちゃったかな。つい、頭に血が上って。」
「い、いや、いいんだ。少し驚いただけだ。」
「…まぁ、基本的には優しい奴だからな。…怒らせたら怖いけど。」
「何か言ったかな一夏。」
「ヴェッ,マリモ!」
(何があったのだいったい……。)
一夏の様子に半眼になる箒であった。
「とにかく、彼女には負けられないな。」
「…大丈夫なのか?その、幼馴染と言っていたが。」
「……聞いての通り、僕には幼い頃の記憶がないから。それに、友人をバカにされたんだ。見過ごせないよ。」
「情に篤いのだな、お前は。」
「そんなのじゃないよ。」
碧と箒は笑い合う。親友2人の様子を見て、自然と笑顔になる一夏だった。
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──放課後──
「ぜぇ、ぜぇ……。」
アリーナに大の字になり、息を切らせている一夏。対する碧はケロッとしていた。つい先程まで、一夏に稽古をつけていたのだ。イギリスの代表候補生であるセシリアの機体は射撃戦を主眼としているため、アリーナと訓練機である『打鉄』、『ラファール・リヴァイブ』を借り、特訓をしていた。
「動きはかなり良くなったんじゃないかな。回避もそこそこの確率でできるようになったね。」
「だけどよ、さすがに、キツイ……!」
織斑一夏は初心者も初心者。恐らく、ISでマトモに動いたのもこれが初めて。だがしかし、碧は光るものを感じていた。
(……まぁ僕もまだ1ヶ月とかなんだけど。)
「そろそろ借りている時間も終わるね。返しに行こうか。一夏、立てる?」
「おう、なんとか……。」
その後は恙無く機体を返却し、さて帰ろうということになった頃。
「……そういえば、僕達の寮の部屋はどうするんだろう?」
「……あっ。」
碧と一夏2人揃って失念していた。
「あっ、織斑君!百目木君!ようやく見つけました……!」
声の主は、副担任である山田真耶。走ってきたのか、肩で息をしていた。
「どうしたんですか、そんなに急いで?」
「はぁ、はぁ……、寮の、部屋割りが、決まり、ました……!」
「……とりあえず落ち着いてください。座って話しましょうか。」
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「ふぅ……。」
「落ち着きましたか?」
「はい……。」
あはは、と頭をかく山田。碧はそれを確認し、本題に入ることに。
「それで、部屋割りが決まったとのことですが…。」
「あ、はい!織斑君は1025室、百目木君は1038室です。」
「分かりました、ありがとうございます。」
「いえいえ。それでは、気をつけて帰ってくださいね。」
山田に手を振り、その場を後に。
「じゃあ、また明日。」
「おう、またな。」
一夏と別れ、自分の部屋へと入っていく。ちなみにこのあと一夏と箒の間に一悶着あったのだが、シャワーを浴びていた碧にはあずかり知らぬことであった。
ほんとは代表決定戦まで書きたかったんですが、さすがに3000文字近くなったので区切ることにしました。次回こそはちゃんと戦わせたい…!
次回予告!
1.碧の専用機、その名は『蒼月』!
2.ついに開幕、クラス代表決定戦!
3.特訓の成果!白夜出陣!
次回IS─OVER THE SKY─
第3話『満月は二度昇る 蒼月、疾駆』