UAが一気に伸びてて若干引いてます。でも、皆さんのおかげで楽しく書き続けられています。ありがとう。
感想・お気に入り登録も是非(っ '꒳ 'c)wakwak
あっちなみに、今作では碧くんの一人称を「僕」、シャルロットちゃんのを「ボク」と表記します。じゃないと分かりにくいのでね!
CODE6 同室、それ故の受難
「…トーナメントで優勝すると僕達と付き合える?」
無人IS襲撃事件からしばらく経ち、ようやくほとぼりも冷めてきた頃。碧は簪とともに整備室にいた。あの後、無人ISの残骸は真相究明のため学園に回収され、千冬曰く解析が進んでいるらしい。口外無用となったものの、碧が単独で正体不明機を撃破したことは、学園内では公然の秘密となっていた。そして、6月初頭の休日。そこで簪からとある話を聞いたのだ。
「う、うん…。出処はどこか分かんないけど、そんな話が。」
「……十中八九、一夏が関わってるだろうなぁ。」
「…一夏って、織斑一夏?」
ほんの少しだけ、彼女の表情が曇る。
「そう。あいつ、物凄く鈍感で、女誑しだから。多分、痴情のもつれに尾鰭がついて、そんなふうになったんじゃないかな。」
「痴情のもつれって……。そっか、違うんだぁ………。」
「簪?何か言った?」
「あっ、う、ううん!何でもない!は、早くキリのいいとこまでやろっか!」
「?あぁ、そうだね。」
……一夏ほどではないものの、百目木碧という男もまた鈍感であった………。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
休日も明け、週初め。SHRにて、山田はぱん、と手を叩く。
「えっとですね、今日はなんと転校生を紹介します!しかも2名!では、入ってきてください!」
入ってきたのは、それぞれ金髪と銀髪の美少年と美少女。
「シャルル・デュノアです。フランスから来ました。この国では不慣れなことも多いかと思いますが、皆さんよろしくお願いします。」
「お、男………?」
シャルルと名乗った転校生は、にこりと優しく微笑んだ。
「はい。こちらにボクと同じ境遇の方々が居ると聞いて本国より転入を――」
「きゃ……………」
「はい?」
きょとん、とした様子を浮かべるシャルル。そして。
「きゃああああああああーーーーっ!!!」
割れんばかりの歓声が響き渡った。
「これで3人目!?」
「カッコイイ!美形!優しそうだけど儚そう!けどそこが守ってあげたい!!」
「ふ、ふふふふふふ……!熱血系の織斑君!優しくて強いお兄さん系の百目木君!!そして守ってあげたくなるデュノア君!!!捗るわ……!!」
熱血漢で男らしい一夏は言わずもがな。ISの技術も高く、時折クラスメイトに勉強やIS操縦などを教えていた碧もまた、その柔らかい物腰や分かりやすい教え方からそれなりの人気を博していた。ちなみにそれを聞いた簪はモヤッとしたとかしてないとか。
しかし、女子の歓声をよそに、
(……いや、違う。骨格や声、足運びからして、シャルルと名乗った転校生は恐らく──)
「はぁ……、騒ぐな。静かにしろ。」
まさしく鶴の一声。千冬の声で、女子は黙り、碧は思考の海から現実に引き戻される。
「挨拶をしろ、ラウラ。」
「はい、教官。」
「ここではそう呼ぶな。私はもう教官ではない。それに、お前もここでは一般生徒だ。私のことは、織斑先生と呼ぶように。」
「了解しました。」
踵を揃えて背筋を伸ばすその姿に、了承していないのは明らか。
「ラウラ・ボーデヴィッヒだ。」
「………」
「…えと、以上ですか?」
「以上だ。」
教師であることは同じだが、千冬に向ける視線と山田含めたクラスに向けるそれは天と地の差。静まり返る教室に、山田は涙目だ。
……ふと、何かに気づいたように、ラウラは一夏の前へ。碧は、ラウラの腰の筋肉が動くのを見た。
「……!」
立ち上がり、ラウラと一夏の間に割って入る。一夏の頬を捉えんとしていた平手は、碧の右腕によって防がれた。
「………邪魔をするな。」
「…確かに、いつか背中を刺されそうな気はするけれど、それでも初対面の相手に殴られるようなことをしているとは、僕には到底思えないな。」
「……黙れ。」
今にも射殺してしまうような目線を、彼は怯むことなく受け流す。
「………ちっ。」
舌打ちとともに、ラウラは教壇へと戻っていき、後には気まずい空気だけが残されるのだった。
その後。
「織斑、百目木。」
今日の授業はISによる模擬戦闘訓練。ISスーツに着替えるべく更衣室に向かおうとする一夏と碧に、千冬が話しかけた。
「デュノアの面倒を見てやれ。同じ男子だろう。それと百目木、デュノアはお前と同室となる。後で案内しろ。」
「「………え?」」
奇跡的に、碧と一夏の声がハモった。
「お前は今1人部屋だろう。ならそこにデュノアが入っても問題あるまい。」
「……わかりました。」
碧としては内心非常に穏やかではないが、一応頷いておこう。多分、きっと、事情があるだろうから。と。
「そういうことだ。では、頼んだぞ。」
「そういうわけだから、よろしくね、百目木くん。」
「…こっちこそよろしく。デュノア。」
「シャルルでいいよ〜。」
どこか呑気そうでニコニコと屈託のない笑みに、前途多難だと碧は内心ため息をついた。
「……更衣室に行こうか。初日から遅刻はマズイしね。」
「あっ、う、うん!」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
──更衣室──
「ぜぇ、ぜぇ…………!」
「しつこかったね……!」
「少しは懲りてほしいものだけど……。」
更衣室に来るまでに新聞部含めた大勢の女子に追い掛けられ、着替える時間も含めれば恐らくギリギリ。息を切らせている一夏、シャルルとは対照的に、碧は汗一つかいていない。
「百目木くん、体力、あるんだね……。」
「まぁ、それなりに鍛えてるよ。このくらいならわけないさ。」
「それで、その、手………。」
先程逃げる時に思わず手を掴んでいたらしい。そのことに気づき、慌てて手を離す。
「す、すまない!痛かった?」
「う、ううん!そんなことないよ!暖かかったなぁ………。」
「そろそろ着替えないと本格的にマズイな。早いとこ着替えてしまおう。」
「う、うわわぁっ!?」
碧が制服を脱ぎ始めると、シャルルは慌てて顔を隠した。
「どうしたんだ?シャルも早く着替えないと、遅れるぜ?」
「う、うん、そそそそうだね!着替えるけど、その、あっち向いて………ね?」
「?まぁ、着替えをジロジロ見る趣味はねぇけど……。」
「ほらほら。早くしないと遅れるだろ。」
見かねた碧がそれとなく助け舟を出してみる。一夏も慌てて着替え始め、いつの間にかシャルルも着替え終わっていた。志村○んもびっくりの早着替えである。女性ならではの膨らみは見られないものの、シャルルは顔を真っ赤にしていた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
──グラウンド──
「では、本日から格闘及び射撃を含む実戦訓練を開始する!」
『はい!』
今回は、一夏達1組と鈴のいる2組の合同訓練。生徒達も、心做しか気合いが入っている。
「まずは、実戦がどのようなものか実演してもらうとしよう。オルコット、凰。」
千冬に指名され、セシリアと鈴が前へ。
「アンタとやるってわけ?」
「いいでしょう、格の違いを見せて差し上げますわ。」
「喧嘩をするな、馬鹿者。お前達の相手は──」
その時。何かが落下してくるような音とともに1組にとっては聞きなれた声。
「どいてどいて〜〜〜!!?」
見れば、ラファールを纏った山田が空から落ちてきていた。しかも一夏に向かって。それを察した瞬間、碧が動く。
「蒼月ッ!!」
一夏を押しのけ、蒼月を展開。エネルギーバリアで勢いを殺し、その矮躯を抱き締めるようにして受け止める。しかし、落下エネルギーが尋常ではなかったのか、それでもラファールは止まらない。
「こ、の、止まれぇぇぇぇぇ!!」
スラスターを全開にしてどうにか体勢を変え、自分が下になるようにして落下。クレーターは出来なかったものの、碧は飛翔滑走翼を畳み、地面を転がることで勢いを逃がす。さらにそこから立ち上がり、廻転刃薙刀を呼び出し突き立てることでどうにか停止した。
「はぁっ、はぁっ……!大丈夫ですか!?」
「はわわ……!まるで漫画みたいな王子様ムーブ……!いいえダメダメ百目木くんは生徒で…いやでも4歳差なんて特に問題には………!」
「山田先生!」
「はっ!い、いえいえ!だだ大丈夫です!ありがとうございました!」
山田は自分の世界にトリップしていたが、何とかどうにかこうにか気を取り直して皆の前へ。碧も安堵のため息をつき、蒼月を待機状態であるイヤーカフスへと戻して列へと戻る。
その後、仮にも専用機持ちであるセシリアと鈴が一蹴され、生徒達は愕然としていた。
「山田君はああ見えて元代表候補生だからな。あの程度は造作もない。」
PICを応用した凄まじい回避で攻撃をものともせず、逆に攻撃によって相手の回避ルートを絞り、セシリアと鈴が衝突したところにグレネードをぶち込むという戦法を披露した山田。
「すっごーい!!」
「
「む、昔の話ですから……。」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
──放課後──
「じゃあ、これからよろしくね、碧。」
「あ、あぁ、よろしく、シャルル。」
にっこりと微笑むシャルルに、碧はどこか違和感を感じていた。(彼の中ではほぼ確信しているとはいえ)仮にシャルルが女性だとすれば、それはもう大問題。それに、きっと無理だってしているだろう。年頃の女の子が、見ず知らずの異性と生活を共にするのだから。
「……ごめんね、せっかく1人部屋だったのに。」
「い、いや、そこは気にしてないんだ。けれど……。」
「けれど?」
きょとん、とした様子のシャルルに、碧は言葉に詰まる。男装し、性別を偽ってまでここに来たのには、相応の理由と覚悟があるはず。それを、軽々しく暴いてしまっていいものかと。
「……やっぱり緊張するかな。」
「あはは、そうだね。いきなり見ず知らずの人とだもんね。」
「……それに、君は無理をしているように思う。」
「む、無理なんてしてないよ?」
「……ならいいんだ。何か困ったことがあれば、何でも相談してくれ。一緒に考えることくらいなら、できるよ。」
「う、うん、ありがとう。」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
誰もいない廊下に出て、彼は手に持った通信機を起動する。
『あれ、百目木君?どぉしたのこんな時間に。』
「…少し調べてほしいことがあります。」
『なーに?モノによってはやってあげるよぉ〜?』
「…シャルル・デュノアという人物について、1から洗ってくれませんか?」
『ふぅ〜ん?わかった、何か分かったら伝えるね。』
「ありがとうございます
───ロイドさん。」
山田先生のエミュ、大変苦手です。
貶しているわけではなく、ああいう人がどんな思考回路をしてるのかが本当に分からない。個人的には大変気に入っているキャラではあるので、とても歯がゆい気分です。
とまあそんなことはさておき。なんとプリン伯爵登場。あの独特な口調を再現するのが死ぬほど難しい!文脈的にも代名詞ともいえる「ざぁ〜んねんでしたぁ〜!」とか「おめでとぉ〜!」が出せないので。足りない頭フル回転さして可能な範囲で頑張ったつもりです。ギアス二次読み漁らなきゃ。
次回予告!
1.ラウラ、一夏に喧嘩を売る!
2.碧、デュノア社絶許!
3.ついに完成、打鉄弐式!
次回IS─OVER THE SKY─
第7話『黒い恩讐』
どうかお楽しみに!