今回はシャルロットちゃん可愛いヤッターの回です。ちょっとでも尊みを感じてくれたら嬉しいです!
コメントくれたら更新早くなるよ☆
結局、ラウラと碧の諍いは『ISを用いた生徒同士の模擬戦』という形で処理されたらしい。シュヴァルツァ・レーゲンの砲を破壊した碧に注意こそ入ったが、双方お咎めなし。
「…なんか、煮え切らないね。」
部屋のベッドに座り、ため息とともに言ったのはシャルル。
「…仕方ないさ。お互いのメンツだってある。寧ろ、僕に罰がなかっただけ万々歳だ。」
彼は男性操縦者とはいえただの企業所属、対してあちらは代表候補生。自分を守るために奔走してくれたのだろうと碧は申し訳ない気持ちになった。
「……そっか。碧がいいならボクもいいよ。」
「心配かけてごめん。」
シャルルが苦笑と共に首肯する。と、その時、碧の端末が鳴った。
「…ごめん。」
「ううん、いってらっしゃい。」
部屋のベランダで通信を取ると、聞こえてきたのは……。
『やっほぉ〜百目木君!元気してるぅ?』
「うわっ!耳元で大声出さないでくださいよ。」
『あぁごめんごめん。そ・れ・よ・り・も。頼まれてた件、調べがついたよ。』
「……!本当ですか?」
『出来れば、うーんと、シャルル君だっけ?も一緒に聞いてほしいんだけど、今いい?』
「分かりました。」
窓を開け、再び部屋の中へ。
「…あれ、碧?どうしたの?」
「シャルルも一緒に聞いてほしいんだってさ。」
「…?うん、わかった。」
『こぉ〜んにちは、シャルル君!ボクはロイド・アスプルンド。彼の蒼月を作った天才だよぉ〜。』
「あ、えと、は、はい……?」
「……慣れてくれ。」
『まあまあ、よーく聞いてね。シャルル・デュノア君……いいや、シャルロット・デュノアちゃん?』
「………っ!!」
シャルル……否、シャルロットの目が見開かれる。
「…やはりですか。」
「碧、どういうこと……?」
『頼んできたのは彼。君について調べてほしいってね。』
「…体格や声、足運びを見て、君が女性だという可能性に思い至ったんだ。」
「そっ、か…………。」
『で?君はどうしたいの?』
俯いていた彼女は、弾かれたように顔をあげる。
「え……………?」
「今のまま縛られるか、自由に生きたいのか。
──君は、どうしたい?」
「ボクは、ボクは……。」
ポロリと、大きな瞳から涙が頬を伝った。
「自分で、好きなように生きたい……!もう、嫌なんだ……!」
「──その言葉を待ってた。ロイドさん。」
『ホントにやるのぉ???』
「はい。やるなら徹底的に。」
『えげつないねぇ〜。』
碧とロイドは、意地の悪い笑みを浮かべた。
「…だからシャルル……いや、シャルロット。僕達が、どうにかしてみせる。だから、安心していい。」
「ホント……?」
「あぁ、大丈夫。僕達が守るから。」
「うん、うんっ…………!」
感涙のあまり碧に抱きついたシャルロット。空気を読まずにロイドが口を開くも、割り込んだ何者かが通信を切り、あやすように優しく撫でる碧と、すすり泣くシャルロットが残されるのであった。
そのまま、十数分の間、そのまま抱き合っていた。
「………ごめん、服、汚しちゃったね。」
「いいや、気にしないでいい。シャルロットも、辛かっただろうし。」
「…………シャーリー。」
「えっ?」
「シャーリーって、呼んで…?ボクの、愛称みたいなものなんだ。…呼んでくれたのは、お母さんだけだけど。」
「……分かったよ、シャーリー。」
「うん!…えへへ。」
涙に濡れた瞳で笑みを浮かべる彼女は、とても、綺麗で、愛らしい。恋愛に興味のなかった彼でも、見とれてしまうほどに。
「…ね、もう1回。」
「えっ?」
「もう1回、呼んで………?」
「…シャーリー。」
「えへへ……もう1回。」
「し、シャーリー。」
「うぇへへ………♪」
結局、シャルロットは碧の喉がカラカラになるまで愛称を呼ばせ続けたとか……。
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しかし数日後。碧の耳に入ってきたのは、セシリアと鈴が大怪我を負ったという知らせだった。
「セシリア!鈴!」
「あ、碧さん。そんなに息せき切って、どうしましたの?」
「どうしたもこうしたも、君達が大怪我を負ったと聞いたから………!」
「…心配しないでいいわ、安静にしてればすぐに治るって。」
「………誰に、やられた?」
ドスの効いた、低い声が静まり返った病室に響く。
「あ、碧?」
「誰に、やられた?」
「あ、その、えーと………。」
「……ラウラだ。あいつが、2人を……!」
下手人の名を告げたのは、一足先に見舞いに来ていた一夏。
「………そうか。」
碧の拳が、硬く結ばれる。くい込んだ爪が、手のひらに赤い筋を作っていた。
そんな彼の手を、隣にいたシャルロットが優しく掬い上げる。
「…………碧。」
「…………シャルル。」
「気持ちはわかるけど、落ち着いて。『待つことを知る人には、全てが丁度いい時にやってくる』。日本じゃ、『急いては事を仕損じる』って言うんでしょ?」
「……そうだね。いつか、機会は来る。その時は、本気でやらせてもらおう。」
「うん、その調子!」
握り締めた手を緩め、鬱屈した気分を吐き出すようにため息をつく。
ドドド…………
「……なんだ?」
「地震…でしょうか?」
「にしては警報も鳴ってないわね?」
ドドドドドドドド
「……なんだか、強くなってない?」
「まるで、近づいてきて──」
バァン!!!!!
「「「「うわぁぁぁっ!!!?/きゃああああっ!!!?」」」」
爆音を立ててドアが開き、その向こうにいたのは……。
「織斑くん!」
「デュノアくん!!」
「百目木くん!!!」
──少なく見積って数十人はいる、女子だった。
「どうしていきなり……。」
「これ!」
最前列にいた女子が突き出した紙を、碧が覗き込む。
「『今年の学年別トーナメントでは、より実戦的な模擬戦闘を行うため、2人1組での参加を必須とする』──?」
「私と組もうよ、織斑くん!」
「デュノアくんは私と組も!」
「百目木くん、私じゃ駄目かな?」
さながら包囲網のごとく。碧、一夏、シャルロットの3人を囲んでいた全方位からまるで某お見合い番組のように手が差し出される。
「……悪い、俺はシャルルと組むから諦めてくれ!!」
「えっ!?」
その一言で、途端に静まり返る。呆然としたのは、シャルロットもまた例外でなく。
「まぁ、そういうことなら……。」
「じゃあ百目木くん!!」
「……ごめん。僕も、組もうと思ってる人がいるから。」
「「ええぇ〜〜〜〜〜〜っ!!」」
本気で残念がる彼女達に、碧は苦笑を禁じ得ない。
「……話は届いてるだろうし、誘いに行こうかな。」
人波をかき分け、保健室を後にする。その足で、4組の教室へと向かった。開いていた教室の扉を軽くノック。
「簪、いるかい?」
「えっ、あ、碧くん!?なんで……。」
「学年別トーナメント、一緒に出ないかなってさ。」
「へっ!?あっ、えと、その………!」
「……もうペアが決まったなら、それでもいいよ。その時は、他の人探すし…。」
「うっ、ううん!出る!出ます!碧くんと一緒に!」
「そ、そっか。ありがとう。」
簪の興奮度合いに若干驚いたものの、碧は彼女と握手。それは、まるで初めて会ったあの日のよう。
「百目木くん、更識さんとペア組むのかぁ〜。」
「う〜ん、ちょっと残念。」
多少嫉妬の声もまざるが、碧が視線を向ければすぐに収まった。
「それに、『アレ』の仕様を知ってるのは現状僕だけ。やりやすいだろう?」
「……そうだね。」
彼の意図を察したのか、簪も頷く。切り札というものは隠しておくからこそ切り札足り得ると彼女も分かっていた。その日のうちにエントリーシートを提出し、あとは開幕を待つのみとなった。
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そして学年別トーナメント当日。簪の慣熟訓練も終え、コンディションは万全。
「…頑張ろうね、碧くん。」
「大丈夫。蒼月と碧天があれば、勝てるさ。」
「……そうだね!」
碧の力強い言葉に励まされたのか、不安げだった簪の表情に希望が灯る。
「さて、一回戦の相手は……、!」
「……どうしたの?…!」
見上げた掲示板に掲載された対戦表。彼らの初戦の相手は………。
「『ラウラ・ボーデヴィッヒ』……!」
「ペアは、篠ノ之さん……。激戦になりそう…。」
「……負けるわけにはいかないな。」
碧の言葉に簪も頷き、2人はピットへ。
(あいつは間違いなく強敵……。気を引き締めろ。)
深呼吸をし、逸る心を落ち着ける。
「──よし。碧天は最終チェック終わったよ。」
「…………あぁ。行こうか。」
2人でカタパルトへと進み、ISが戦いを待ちわびるかのように震える。
『カタパルトボルテージ上昇。発進どうぞ!』
「…百目木碧、蒼月。」
「更識簪、碧天。」
「「いきます!!」」
蒼紫と白金の軌跡が空中に残される。その向かう先にいたのは、シュヴァルツァ・レーゲンと打鉄。
「……待たせたな、ラウラ。」
「ふん。私はあのイギリスの雌犬や中国の狂犬とは違うのでな。待てくらい出来る。」
「……………そうか。」
両者、臨戦態勢。
『百目木碧、更識簪ペア 対 ラウラ・ボーデヴィッヒ、篠ノ之箒ペア──始め!!』
メインヒロイン差し置いてサブヒロインと二人一組になる主人公がいるってマジ?マジなんですねこれが。ということで次回は碧くんとラウラちゃんが戦います。
次回予告!
1.激突、碧VSラウラ!
2.VTSの恐怖!
3.文法違いますよらうらちゃん
次回IS─OVER THE SKY─
第9話『憧れのムコウ』お楽しみに!