須磨さんに瑠璃ちゃんを預けて戻ると、炭治郎と獪岳は家の前の道にいて、妓夫太郎が堕姫を慰めているところを宇髄さんが妓夫太郎の頸を斬ろうとしていた
「宇髄さん!」
宇髄さんの刃が妓夫太郎に届く前に、先に妓夫太郎の鎌が動く
反対側の屋根を蹴って、宇髄さんに当たる前に弾くが頬に少し掠ってしまった。すぐに妓夫太郎が鎌を振り追撃してくるのを宇髄さん呼吸を使って床を壊し、下の部屋へと落ちて部屋の隅へと距離を取ると妓夫太郎と堕姫も下に降りてきていた
「お前ら、違うなぁ。今まで殺した、柱たちとは違う。生まれた時から特別な奴だったんだろうなぁ、選ばれた才能だなぁ、妬ましいなぁ。一刻も早く死んでもらいてぇなぁ」
「…才能?ハッ、俺に才能なんてもんがあるように見えるか?俺程度でそう見えるなら、テメェの人生幸せだな。この国は広いんだぜ、凄ェ奴らがウヨウヨしてる。得体の知れねェ奴もいる、柱じゃないのに柱以上に強い奴もいる」
「!?」
ギョッと宇髄さんの方を見る。いや、それは誤解…
「俺が選ばれてる?ふざけんじゃねぇ。俺の手の平から、今までどれだけの命が零れたと思っているんだ」
「そうだね。才能だけで生きられるなら努力なんて言葉、生まれてないよ」
「ぐぬぅう、だが、黒髪の方が死んでない理由は何だ?俺の“血鎌”は猛毒があるのにお前は死なねぇじゃねぇか。なあああ!」
妓夫太郎は首を掻きむしりながらも問いただしてきた。今度は宇髄さんが驚いた顔でこっちを見る
「血鬼術で好き勝手に攻撃してくる鬼に対して、なんにも対策しない訳ないじゃないか」
「ん?ひひっ、ひひひっ、やっぱり毒じわじわ効いてるじゃねぇか」
斬られた頬が変色し引き攣る感じかする
「じわじわだけどね。まだまだ動けるよ」
宇髄さんが突っ込み、妓夫太郎に斬りかかる。避けたところを僕が後ろに回り込んで堕姫の頸を斬り、宇髄さんが堕姫の顔を外へと蹴り飛ばした
「また、斬られた!しかも蹴っ飛ばすなんて、糞野郎!絶対許さない!」
外から堕姫の怒りの声が聞こえるが無視して、妓夫太郎の頸を即座に狙うが掠るだけで避けられてしまった
「お前ら、もしかして気づいてるなぁ?」
「何に?」
「…気づいた所で意味ねぇけどなぁ。黒髪から次々と殺してやるよぉ」
「それはどうかな!?俺を忘れちゃいけねぇぜ!この伊之助様とその手下がいるんだぜ!」
伊之助達も合流したみたい、あれ。善逸が起きてる???凄い成長してるじゃん
「なんだ?コイツら…」
炭治郎と獪岳も合流してきた
「下っ端が何人来たところで幸せな未来なんて、待ってねぇからなぁ。全員死ぬのにそうやって瞳をきらきらさすなよなぁ」
「勝つぜ!俺たち鬼殺隊は」
「勝てないわよ!頼みの柱の1人が毒にやられちゃあね!隣にいるやつもすぐ毒を喰らうわ!」
いつの間にか堕姫が復活していた
「余裕で勝つわ、ボケ雑魚がァ!俺様がまだ食らってないからなぁ。海斗が毒くらってようがなかろうが俺様の継子もいるし、コイツら3人とも、優秀な隊士だ。逃げねぇ、根性がある」
「フハハ、まぁな!」
伊之助はおそらくドヤ顔してるんだろうな…、善逸も引き腰だけど寝てないし、もしかしたら獪岳の存在が大きいのかな?
「そして、テメェらの倒し方はすでに看破した。同時に頸を斬ることだ、2人同時にな、そうだろ!そうじゃなけりゃ、それぞれに能力を分散させて、弱い妹を取り込まねぇ理由がねぇ!チョロイぜ、お前ら!」
「グワハハハ、なるほどな、簡単だぜ!俺たちが勝ったも同然だな!」
宇髄さんのテンションに釣られて伊之助も上がってるなぁ。まぁ、元気なことはいいことだよね
「その簡単なことができねぇで、鬼狩りたちは死んでったからなぁ。柱もなぁ、俺が15で、妹が7、喰ってるからなぁ」
「そうよ。夜が明けるまで、生きていた奴はいないわ。長い夜は、いつもアタシたちを味方にするから…どいつもこいつも死になさいよ!」
堕姫が帯を広げて攻撃しようとした時、善逸が先に動いて堕姫を連れて外へと出ていった
「蚯蚓女は俺と紋逸に任せろ!お前らはその蟷螂を倒せ!わかったな!!」
「気をつけろ!」
「おうよ!!」
って、さすがに2人じゃキツいでしょうが!ちらっと宇髄さんを見ると頷いてくれた
「獪岳も妹鬼に向かってくれ。頼んだぞ」
「分かりました。そちらもご武運を」
さすが宇髄さん、バランスを考えると炭治郎より獪岳を向かわせた方が確実だろうね
「妹はやらせねぇよ」
妓夫太郎の鎌が一瞬で、炭治郎の顎を貫こうとするのを宇髄さんが引っ張って投げて回避させた直後、上から大量の帯が降り注いで来た
「水の呼吸 参ノ型 流流舞」
宇髄さんと僕の周囲の帯だけ斬るが、今度は妓夫太郎の飛び血鎌を振るうと同時に建物が崩壊してしまった
崩壊する建物の瓦礫と飛び血鎌を宇髄さんが対処したけど、さすがに全部は無理だったらしく腕に毒を貰っていた
「チッ、毒が厄介だな。あんまり時間はかけたくねぇ」
「そうだね。僕の方が先に動けなくなる可能性もあるし」
薬で毒の巡りを遅くしてるとはいえ、毒を受けてから時間が経ってる分、頭痛いし、気持ち悪いし、手足も痺れるし、最悪すぎる。よくこんな状態で妓夫太郎の頸斬れるよね…尊敬するわ
呼吸も安定しないから、透き通る世界を維持できないし
妓夫太郎の攻撃を2人で防ぎながらも頸を斬ろうとするが、いまひとつ足りない。堕姫からの帯が飛んでくるのを日の呼吸と水の呼吸を組み合わせて、炭治郎が対応してくれている
堕姫の方は善逸と獪岳の速さがちゃんと噛み合って、伊之助の柔軟さが加われば、うまいことタイミングを合わせてくれるだろう。やっぱりこっち側の問題になりそう
今の僕にできるのは、宇髄さんの譜面の完成を手伝うことくらいだから
「宇髄さん、よろしく」
「おう、任せろ」
妓夫太郎に攻防を仕掛ける、日輪刀と鎌が何度も重なり合い激しくなっていく
「ハッ、死に損ないが今すぐ楽にしてやるよぉ」
「まだ、やることがあるからそんな簡単には死ねないね」
「血鬼術 円斬旋回・飛び血鎌」
「水の呼吸 陸ノ型 ねじれ渦」
広がろうとする血鎌を斬り裂き、そのまま一気に攻め込もうと踏み込む、妓夫太郎の顔を見るとニタリと笑っていた。何を笑って…
「海斗、後ろだ!」
あ、やばっ。処理しきれてなかった。透き通る世界に入ると後ろから飛び血鎌が飛んできてるのがわかった、かと言って目の前には妓夫太郎がいて、左右から鎌が迫ってる。宇髄さんも炭治郎も帯でこちらに近付けない
八方塞がりじゃん…日輪刀をぐっと握り、覚悟を決めた瞬間だった
後ろに迫っていた血鎌は爆薬丸によって弾け、宇髄さんの日輪刀が鎌を防ぎ、妓夫太郎を蹴り飛ばした
えっ…今のは、どう考えても間に合わないはずなのにどうして
「これは派手だな!さすが俺、土壇場で使えるとは」
「なんだぁ、今の動きは…」
固まる僕を他所に宇髄さんの動き、妓夫太郎を攻めていく。むしろ押してるくらい…えっ、どっち!?透き通る世界なの!?痣でちゃった系!?
「“譜面”が完成した!勝ちに行くぞォォォ!」
確認するのは後にして、宇髄さんのフォローに回らなければ、1歩踏み出すが視界が揺れる、咄嗟に日輪刀を地面に刺して踏みとどまる
肝心な時に!無理やり体を動かし、後を追いかける
宇髄さんも凄いが妓夫太郎も追い詰められているせいか動きが洗練されてる、僕より先を走っている炭治郎は入り込む機会を伺っているようだ、凄まじい爆音が辺りに鳴り響く
「海人くん!これを!」
遠く離れたところから雛鶴さんがクナイを投げてきた、それを受け取るのを確認すると雛鶴さんは離れていった
これ、藤の毒が塗ってあるやつか。足止めができるかも、クナイを少し高く遠くに投げて日輪刀を構える、このくらいの仕事やってのけますとも
「水の呼吸 漆ノ型 雫波紋突き」
回転するクナイのタイミングを計り、刃先を柄頭の部分にぶつけて妓夫太郎へと真っ直ぐ飛んでいく
「宇髄ー!」
僕の声に気が付いた宇髄さんは、背中に迫っていたクナイをバク宙して交わし、宇髄さんとの戦闘に手一杯だった妓夫太郎の腹部に突き刺ささり、一瞬動きを止めたのを見逃さなかった
左手に持っている日輪刀で片方の鎌を止め、右手に持っていた日輪刀を下から振り上げて右腕を切り落とし、刀を翻して頸を狙うが刀身を歯で止められてしまった
「マジかよ!」
「宇髄さん!」
後ろから着いてきていた炭治郎が叫んだ
「止まるな、跳べェェ!」
炭治郎が宇髄さんの後ろから飛び、妓夫太郎の頸へと刃が入り始め半分くらいまで到達した時、遠くから堕姫の叫び声が聞こえた
「お兄ちゃん、何とかして、お兄ちゃん!」
「うぉおおお!」
炭治郎の渾身の叫びと共に妓夫太郎の頸が斬れ頭が飛んだ、同時に堕姫の頭も頭上を舞っていた
って、眺めてる場合じゃない!円斬旋回が飛散する!
「宇髄さん!炭治郎!」
禰豆子ちゃんいないんですけど!?急いで離れようとする2人の前に立ち、痣を出す。毒で重かった身体が一気に軽くなり、呼吸が楽になった
「水の呼吸 拾壱の型 凪」
次々と迫り来る血鎌を凪でかき消すと辺りが静寂に包まれた
クナイ投げるシーンで雫波紋突きで押し出すか水面斬りで野球みたいに打つかで悩みました(どうでもいいわ)