水柱の継子(自称)   作:ポケットピスケット

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繋げるもの

 

「うーん、5回目。これも駄目だね、効かないや」

 

刺された右手を眺めながらも淡々と話す

 

「どんどん効かなくなってくるね。あと、何回毒を調合できるのかな」

 

これが上弦の強さ…悉く毒が効かない、耐性が付くまで早さが異常だ。連撃で大量の毒を打ち込むしかない

 

虫の呼吸 蜻蛉ノ舞 複眼六角

 

強く踏み込み、すれ違うように毒を打ち込む…扇が振られるのを視界の隅で確認し、無理やり身体を捻る

 

「いやぁ、君、本当に早いね。しかも、致命傷を避けられるなんて…。今まで会った柱の中で1番かも」

 

っ!…左肩と脇腹を深く斬られた。肺までは到達しなかったものの出血が止まらない、思わず座り込んでしまう

柱稽古には、参加出来なかったものの時折、海斗がやってきて鍛錬の相手をしてくれたのが幸いだった

 

「毒じゃなく、頸を斬れたら良かったのにね。それだけ早かったら勝てたかも。あー、無理かあ。君、小さいから」

 

あははっと童磨が笑う。どうして…

なんで私の手は、こんなに小さいのかな

なんでもっと、身長が伸びなかったのかな

あとほんの少しでも体が大きかったら、鬼の頸を斬って倒せたのかな

手が足が長ければ長いだけ、筋肉の量も多いわけだから有利なのに

 

姉さんは、華奢だったけど私よりも上背があった

悲鳴嶼さん、いいなぁ。あの人が助けに来てくれたら皆、安心するよね

海斗、ごめんなさい。あんなに沢山鍛錬付き合ってくれたのに

 

童磨が近付いて来る足音がする

 

「ごめん、ごめん。半端に斬ったから苦しいよね。いま、楽にしてあげるから」

 

ふっと遠くから誰かの声が聞こえた。私の名前を呼ぶ声が…

きっと幻聴だ。そんな都合よく、誰が来てくれるわけない

 

…………………………………

 

あーっ、もう!誰だよ、こんな遠くのところに落としたの!いや、鳴女か

予想よりも着地点が遠く、急いでしのぶの元へと急ぐ。童磨がいると思われる建物に入り、しのぶの名前を呼びながらも、血の匂いが濃い方へと走ると僅かに開いている扉を見つけた

 

「しのぶ!」

 

扉を開けると、しのぶが座り込み、左肩ざっくりと斬られ血が大量に流れている

頭に血がのぼり、頭で考えるよりも先に身体が動いた

 

水の呼吸 漆ノ型 雫波紋突き

 

しのぶの後ろに立っていた童磨の頸を狙うが、扇によって防がれてしまうが、そんなの関係ない。扇ごと、力任せに押し切り童磨を部屋の端まで突き飛ばす

童磨は、壁に激突しつつも軽い声で抗議してくる

 

「ひどいなぁ、いきなり頸を狙ってくるなんて」

 

童磨を無視して、しのぶに駆け寄る

 

「遅いわ、馬鹿」

 

「申し訳ございませんでした。ちょっとだけ待ってて」

 

童磨の方へ向かおうとする僕の隊服を掴んで止めた

 

「…駄目。1人じゃ、上弦には勝てないんでしょ。私も戦うわ」

 

その言葉に振り返り、しのぶを見る

 

「でも、その傷じゃ」

 

「まだ残ってるの、それだけやらせて。私の義務よ」

 

出血も多いし、顔色も悪いのに正直これ以上無理して欲しくないけど、こういう所もカナエとそっくり

はぁー、こうなったしのぶは頑固なんだ…

 

「師範!海斗さん!」

 

カナヲもいいタイミングで到着したようだ

 

「カナヲ、先にしのぶの手当を」

 

「っ!分かりました」

 

カナヲが慌てて、しのぶの手当をし始めた

 

「えーっ、なになに?俺を仲間に入れておくれよ。てか、君おもしろい格好してるね。あの日、戦った水の呼吸の子だよね」

 

「久しぶりだね。大人しく頸、洗って待ってた?」

 

「あははっ、ごめん。忘れてたよ」

 

「別に勝手に落とすからいいけどね」

 

「今日は、頸狙いに来てくれるんだ」

 

「そうだよ。楽しみだったでしょ?」

 

「うん、楽しくなってきた。できるものならやってみなよ」

 

その言葉と同時にお互いに動く、扇と日輪刀が激しくぶつかり合う

童磨が血鬼術を使えば、こちらも呼吸を使って防ぎ反撃する。しばらく時間を稼いでいるとしのぶから声がかかった

 

「海斗、お待たせしました」

 

「待ってました。手伝いは?」

 

「結構です」

 

表面上はいい笑顔なのに、めっちゃ怒ってるじゃん、怖い…

しのぶは、僕の前に立つと童磨に向かって、静かに構えた

 

「あれ、まだ立てるの?もう、仲間来たんだから無理しなくても…」

 

「虫の呼吸 蜈蚣ノ舞 百足蛇腹」

 

童磨の言葉を遮り、飛び出す四方八方にうねる動きと、橋を抉る程の力強い踏み込みによる爆発的な速度で童磨を撹乱する

あまりにも早すぎる動きに童磨ですら反応できなくなり思わず、枯園垂りを使い湾曲した氷柱を生み出した

しのぶの動きを止めようとしたが、その隙を狙い童磨の懐に深く沈む、刀を突き上げて頸へと突き刺し、大量の毒を打ち込みそのまま、天井へと激突した

童磨の頸から日輪刀が抜け、しのぶが落下するのを飛び上がり受け止める

 

「…あとは時間を稼いで、海斗。自分の身は自分で守るわ」

 

「うん、ありがとう」

 

下に降り、童磨と対峙する

 

「えらい!頑張ったね!俺は、感動したよ!こんな…」

 

話を遮るように童磨の頸を狙った

 

「それ以上、口を開かないで。戯言にも聞き飽きたんだよね」

 

「ひどいなぁ。せっかく感動してたのに」

 

「思ってもないことを…」

 

しのぶの頑張りを無駄にする訳にはいかない。深く深呼吸して日輪刀を構えた

 




この裏では猗窩座戦が大変なことになっていると思いますがノータッチです

ちなみにこの間、4回目の無限城に行ってきました
キリが悪いのであと1回は見に行きたい所存
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