さて、第2形態ってことろかな
ここで好き勝手に攻撃されれば、こっちとしても相当きつい。みんなの前に立って指文字で僕の後ろから離れないように合図を出す。何とか防いで、攻めないと…黒死牟が動き出すと同時に呼吸を使う
全部は捌ききれないかもしれない。それでも、被害は最小限に抑えられるはずだ。
月の呼吸 玖ノ型 降り月・連面
頭上から降り注ぐように、軌道の複雑な無数の斬撃波が放たれる
水の呼吸 拾弐の型 篠突く雨
前に出るために踏み込み、斬撃を打ち消しながらも近付くが接近されるのを警戒する黒死牟がさらに呼吸を重ねた
月の呼吸 拾肆ノ型 兇変・天満繊月
広範囲を埋め尽くす量の渦状の斬撃を折り重ねて放つ波状攻撃…本当に出鱈目な呼吸だ
水の呼吸 拾壱の型 凪
間合いに入ってきた斬撃を全てを無に帰す
「…なんと…驚嘆なり…」
まさか自分の攻撃が掻き消されると思ってなかったのだろう。黒死牟の動きが止まった
「やはり…お前が…厄介だ…」
瞬きの瞬間にはもう黒死牟が僕の間合いに入らない程度の前にいた、大太刀を持っているとは思えないほどの振りの速さ
刀の大きさから回避は無理、交え防いだとしてもその後の斬撃が至近距離から出されたら細切れ間違いない、接近しろって?身体から刀生やせるのに?近付いても串刺しコース…詰んだわ
透き通る世界以上に周囲がゆっくりに見える…ここで死んだらどうなるんだろうか、ゆっくり目を閉じる
すぐ後ろに誰かの気配を感じた、あの白い世界に入った時のことを思い出す
「本来なら私が兄上を止めるべきだった…1人で残してしまった。君に…君達に…この役目をお願いするのは、身勝手なことも重々承知している。どうか…どうか兄上を止めてほしい…」
あの時、聞こえなかった言葉がやっと届いた。まだ諦める時じゃないと力強く背中を押された気がした
思い出せ…あの時の一太刀を…自然と身体が動く、歩みを進めると僕の間合いに入っていた、手に馴染んだ日輪刀をしっかりと握ると刀身が赤く染まる
水の呼吸 壱ノ型 水面斬り
まるで素振りをするかのように日輪刀を振るった、頸を斬っているはずなのに肉も骨も通した感覚がない…不思議な感じ、大太刀が寸前のところで止まり、黒死牟の6つある目が有り得ないと言わんばかりに見開かれている、頭が落ちた音だけがその場に響く…
「まだだ!」
悲鳴嶼さんの叫び声に浮ついた感覚が引き戻される、黒死牟を見ると倒れかけた身体がその場で留まり、斬られた頸からの出血が止まっている
あっ、第3形態のこと忘れてたぁぁぁぁ
僕が内心慌てていると銃声が鳴り響き、1発の銃弾が黒死牟に撃ち込まれた
銃声の方を見ると玄弥と宇髄さんの姿が…どこにいるのかと思ってたけど上手く隠れて機会を伺っていたらしい
原作ならば黒死牟の一部を食べた玄弥が血鬼術を使い、命懸けで黒死牟を阻止して何とか倒すことができたけど、そんな危険な真似はさせられない
という訳で用意しました。血鬼止めを含んだ銃弾を隊士の鬼化を止められるなら鬼に打ち込んだら血鬼術を発動させれなくなるんじゃね?珠世さんに相談したら、次から次へとよくそんなこと思いつきますよねと呆れられた
鬼舞辻無惨以外なら効果出ますねと濃度が高くなるように調合してもらい、それを刀鍛冶の人にお願いして組み込んでもらい、玄弥に渡しておいてあった
血鬼術が使えない黒死牟の動きが止まり立ち尽くした
「攻撃の手を緩めるな!畳み掛けろ!」
「上等だゴラァァァ!消えてなくなるまで刻んでやらァァァ!」
風の呼吸 捌ノ型 初烈風斬り
岩の呼吸 伍ノ型 瓦輪刑部
霞の呼吸 肆ノ型 移流斬り
みんなが黒死牟に攻撃する中、僕は宇髄さんに回収され少し離れた場所に避難していた
「宇髄さん、ありがとう」
「お前、その顔…」
痣を見て訝る宇髄さんにお願いする
「日輪刀を鏡代わりにするようにして、黒死牟に自分の姿が見えるようにしてほしいんだ」
「…わかった」
僕の指示通りに宇髄さんが動き出すと実弥の叫び声が聞こえた
「頭を再生しやがった、あの野郎!糞が!畜生がァァァ!」
「黒死牟!今、自分の姿を見てもお前が望んでた侍の姿なのか!?」
黒死牟の姿を見ると異形の姿形に変わり、人としてはかけ離れていた
注意をこちらに向かせ、僕の前に宇髄さんが立ち日輪刀を2本横向きに地面に刺した
日輪刀に映る自分の姿を見て呆然している、黒死牟へと近付く
「縁壱さんが最後、貴方を見てお労しやと言った意味…わかるでしょ。でも人間を捨ててまで彼を超えたところで本当に心からそう思えますか?」
黒死牟の目が僕を見た
「こんなボロボロになっても、人間の僕は貴方の頸を斬れた。縁壱さんには全然届いてないかもしれないけど、それでも僕はできることを全うしたつもりです」
「…私は…縁壱になりたかった…」
「そうですね。でも貴方は継国巌勝だ。憧れることはできても、彼自身にはなれない」
「………」
「次に縁壱さんと一緒になることがあったら、今度は縁壱さんに勝てることを探せばいいんですよ!見つけられなかったら僕も一緒に探しますから!」
「…お前は…変わったやつだな…岬海斗」
「ふふっ、仲間からもよく言われます」
「…私はもう休む…疲れた…」
そう言い残すと黒死牟は崩壊していった
残された衣服の上に笛が2つ置かれていた、そっと持ち上げる。1つは綺麗に斬られている物…結局、黒死牟の内心は分からなかったけどこれを持ち続けていたなら少なくとも縁壱さんのことを大切に思っていたのかもしれない
そっと布に包み、懐にしまった。それを見ていた宇髄さんは黙って見逃してくれた
それにしても身体が重い…さっきの反動なのか力が入らない
「おい、海斗!」
「大丈夫、休んでる場合じゃないんだ… 」
悲鳴嶼さんと話していた宇髄さんが心配して、声を掛けてくれた。呼吸を繰り返し、回復に集中していると疾風が飛んできた
「岬 海斗ニ伝令!伝令!目ハ奪ッタ!アト少シ時間ヲ稼ゲ!時間ヲ稼ゲ!」
「ありがとう。いつでも飛ばしていいよって伝えて」
「ワカッタァァァァ」
疾風を見送ると実弥が近付いて来た
「お前ェ、また何企んでいやがるゥ」
「無惨を地上に引っ張り出す方法だよ」
琵琶の音が聞こえてまた落下していく、事前に予告もあったし慣れたものだよね
もう少し引き伸ばしたかったけど無理でした…