投石が効果的でないのを察したエイプロードは近接戦にシフトしフロストジャイアントほどではないがアヴァリスレベルの筋力を持っておりその長い手足から繰り出されるリーチはかなりのものであまり近接戦はしたくない。
「グラビティ・メイル」
命はダメージを軽減させるために前衛のノワールとシャイン、十六夜に重力の鎧を付与する。物理攻撃を大幅に軽減してくれるものであり前衛には打って付けの魔法でレベルが低い十六夜も互角に渡り合っている。
しかし、相手は狡猾でシャインの聖炎やノワールの呪詛など大技は獣の直感で回避しており大きなダメージを食らわないように立ち回っており戦い慣れ過ぎており攻めあぐねている。このエイプロードは万魔の王 篠原渚が調教し訓練を施した個体でありエリアボスとして放たれて探索者を襲うように命令されている。
通常の個体と違うのは篠原によって戦闘技術が磨かれたという所にあり普通のモンスターと違い、考える頭があり自分の強みを生かした戦い方ができるのだ。
「生徒会が用意したボスなだけはあるな!」
倒せないレベルのモンスターではないのだが、厄介さでは今まで戦ってきたモンスターの誰よりも上でありただ闇雲に攻めるだけでは倒しきれない。思考を回転させて主戦場である森から引き離そうと考えるが自分に有利な戦場から離れるわけがないと判断しそれ以外の手段を模索する。
「テンペスト・サイクロン!」
広範囲に竜巻を発生させて周囲の木々を纏めて吹き飛ばす。かなりの荒業で魔力の消費も少なくなかったが効果は覿面でありエイプロードの機動力を奪うことに成功し地面に立つ、エイプロードにフォボスとブランが攻撃を仕掛ける。
エイプロードが厄介なのは木々を伝っての立体機動でありそれを封じられて目に見えて動きが悪くなっており持ち前の筋力で応戦するが猛攻を捌ききることが出来ず、ダメージを受け始めている。
「フン!」
僅かに残っていた均衡を崩したのは十六夜でありぬるりとした足運びで間合いを詰めてエイプロードの腕を切り落とす。高い戦闘IQを有しているエイプロードが反応すらできない程の神速の抜刀術であり命のエンチャントを受けていたとしてもこの動きは凄まじく一気に均衡を崩した。
エイプロードは腕を切り落とされながらも冷静であり距離を取ろうとするが流石の重症で動きが鈍っておりその足にフォボスが噛みつき動きを止めると加速したフローガが思いっきりエイプロードの頭を踏みつけて動かなくなってしまう。
≪召喚モンスターのレベルがアップしました≫
フローガ
ウォーホース
レベル1→5
ノワール
アークデーモン
レベル1→2
シャイン
ケルビム
レベル1→2
十六夜
鬼人
レベル1→10
スキル
抜刀術
「これがお宝か」
エイプロードがドロップしたのは拳大ほどの大きさの魔石でありその魔力と輝きからAランク魔石に近いBランクの魔石でありその大きさは普通では考えられない程、大きいもので飛行機や船と言った大型の機械の動力として使えるであろう代物で売れば凄まじい金になるだろう。
武器や装備に加工してもいいし探索者ならば喉から手が出るほど欲しい代物だ。お宝とはよく言ったものでエリアボスが守護しているだけはある。エイプロードにかなりの時間を使わされたので命はフローガを走らせて草原に向かうと多くの探索者がお宝を探している様で魔力探知を広げるとあまりお宝は残されていない。
「別の場所に向かうか」
ここから近いのは海岸でありフローガを走らせると草原程、参加者は居ないようであるが海岸に佇んでいる巨大な亀に目が行く。恐らくエリアボスであり他の参加者もそれが分かっているのか大亀の近くには居ない。
危害を加えなければ攻撃してこないようであり命はちまちまとお宝を探すよりもエリアボスを倒した方がいいと考えてフラウ、ブラン、フォボスを送還しアイン、アヴァリス、バジレウスを召喚して一気に攻撃を仕掛ける。
ビックシータートル
スキル
超頑強、大地属性、水属性
「グォォ!」
一気に勝敗を決するため最初から紅蓮を放ち、大きなダメージを与えようとするがビックシータートルが吠えると大地が隆起し巨大な壁となって紅蓮を押し留めて土の槍がせり上がってきて広範囲に攻撃してくる。ノワールとシャインは飛行してそれを回避してアインは大楯で槍を防ぎ、アヴァリスは雷光と共にビックシータートルの懐に飛び込んで拳を振るう。
ビックシータートルの巨体が一瞬、浮かび上がる程の威力であり防御貫通のスキルを有するアヴァリスの拳はビックシータートルの超頑強のスキルを無視するものであり一方的に有効打を放つことが出来る。
「フン!」
十六夜の白刃は固いビックシータートルの外皮に傷を付けておりそのレベルに似合わない戦い振りで距離感を掴むのが抜群に上手く迫り来る土の槍を巧みに回避しており着流しという見るだけで動きにくそうな格好だと言うのにそれを感じさせない。
「カタカタ」
負けじとアインも奮起し漆黒に染まった剣閃が振るわれてビックシータートルの足から大きな鮮血が飛び散り大きく悲鳴を上げる。ビックシータートルはその巨体に似合った体力と防御力を有するがそれを無にするのがアインの劇毒であり皮膚が毒々しい色を帯びている。
久しぶりにアインの劇毒が効果的に効いている所を見た。最近は状態異常に耐性を持っているスケルトンやらと相手をしてきたからあまり出番がなかったがその効果は絶大であり見るからに動きが悪くなってしまっている。
「グラビティ・メイル」
重力の鎧をビックシータートルに付与する。味方に付与すれば重厚な鎧となるが敵に付与すれば足枷となる代物でありその巨体が重量を支え切れずに地面へと叩きつけられる。ビックシータートルほどの巨体を封じ込めるのには結構な魔力を消費するが命は召喚王の指輪によって魔力を瞬時に回復できるため問題にならない。
「グォォ!」
既にバジレウスの魔力も補充済みであり大きな溜めの後、バジレウスの紅蓮がビックシータートルの体を焼き尽くしその巨体が火で包まれる。相変わらず、凄い威力であるがその威力に似合うだけの消耗があり二度も撃ってかなり消耗してしまっておりバジレウスを送還する。
≪召喚モンスターのレベルがアップしました≫
フローガ
ウォーホース
レベル5→10
スキル
蹂躙
ノワール
アークデーモン
レベル2→3
シャイン
ケルビム
レベル2→3
十六夜
鬼人
レベル10→15
スキル
魔法耐性
《クラスチェンジ条件が満たされました。クラスチェンジ先を選択してください》
手に入れたお宝はエイプロードの物よりも大きいものであり持ち上げるのに苦労する程でバックの中に入れると時間を確認する。二体のエリアボスと戦ったことでかなりの時間を消費しているがまだ、時間は十分ある。
鬼神
ステータス
筋力B
体力B
敏捷C
魔力B
スキル
剛力→金剛力、神通力
クラスチェンジした十六夜は体格はそのままであるが顔つきが穏やかなものとなっており温和な印象を感じるが何処か浮世離れした雰囲気を醸し出しておりクラスチェンジしたのだと言うのが一瞬で分かる。
高知へと向かう道中に移動しながら十六夜の戦い振りを観察していると剣の冴えはクラスチェンジする前と同様、冴え渡っているが特筆するべきなのがまるで念動力の様に触れずにモンスターに攻撃を与えており縛り上げて意のままに移動させたりと結構、使い勝手が良いようだ。
宝探しゲーム開始から結構な時間が経っておりお宝は取り尽くされており狙うのはエリアボスと定めて魔力感知を広げてエリアボスの反応を探し出して雷鳴と共にモンスターが現れる。
ライトニングゴート
スキル
雷属性、神速、突貫
「エイプロードと似た雰囲気だな……」
すなわち戦いなれているモンスター。篠原によって調教された個体で持っているスキルもエイプロードのものとは比べ物にならない程、レアなものでゲームが終了する前に倒しきれるだろうか。
攻撃を命じた瞬間、ライトニングゴートの姿がブレて一瞬で目の前に現れて、命に向けて雷を帯びた蹴撃を放つがそれを間一髪、アインが防ぎそのまま弾き飛ばす。
「危な……!」
流石に肝が冷えた。命がAランクの防具を装備しているとはいえ、あれだけの攻撃を受けたらただでは済まず、アインに救われた。閃光に負けないレベルの速さであり小柄な体格でもあれだけの速度で放たれた一撃はアヴァリスの拳にも劣らずアインも瞬時に判断して要塞のスキルを使ってダメージを無効化した位だ。
かなりの強敵であり今も突撃しようとしており同じことはさせまいとノワールの呪詛が直撃し多数のバットステータスを与えるが全身に雷を纏わせて先程と同じ速度で加速し今度も術者である命目掛けて突撃して来る。
「そう、何度も同じ手が通用すると思うな!」
命はその突撃を予想しており空間魔法でフローガごと空中に転移してフローガに重力の鎧を付与しライトニングゴートには重力魔法を掛けて動きが止まっている所をフローガが思いっきり頭部を踏み抜く。
ぐちゃりという嫌な音が響いてライトニングゴートは痙攣しながら力なく倒れていく。
≪召喚モンスターのレベルがアップしました≫
フローガ
ウォーホース
レベル10→20
スキル
魔法耐性
《クラスチェンジ条件が満たされました。クラスチェンジ先を選択してください》
ノワール
アークデーモン
レベル3→4
シャイン
ケルビム
レベル3→4
十六夜
鬼神
レベル1→5
レベルアップアナウンスが大量に来てかなりの高ランクモンスターであったのが分かる。ドロップした魔石も大きさはそうでもないが純度が凄まじく工業品に使えそうな代物でありそれをバックの中にしまうとお待ちかねのクラスチェンジ操作を行う。
グラニ
ステータス
筋力A
体力B
敏捷A
魔力C
スキル
疾走→神速
「立派になったな」
クラスチェンジしたフローガは更に体格が増して馬具も合わないくらい大きくなっており人懐っこくすり寄って来るのは変わりないが体格差があるので結構激し目で落ち着かせながら満足するまで体をすり寄らせる。