それから命は連日、スカウト術を学ぶために授業を受けており頻繁ではないが授業に参加している霧山に指導を受けながら罠の解除の仕方を学んでいく。精密操作のスキルを得たことで罠を解除するスピードも格段に上がっている。
「惜しいっすね。柏崎さんがスカウトだったら活躍できたでしょうに」
「今の職業が性に合ってるからそれは困るかな」
千代田ダンジョンで確認されている罠は三種類で矢が飛び出るタイプ、毒ガスが発生するタイプに落とし穴と単純なものであるがだからこそ、難しいと言える。数日間、みっちり練習したが成功したのは数個で慣れない作業に苦戦している。
それでも霧山の指導でかなり解除できるようになってきたが安全に進むにはもう少し、熟練した方がいいのでこれで満足せずに訓練を続ける。しかし、慣れない作業であるためどうしても神経を使い、何時もよりも疲れてしまう。
「少し、休憩するか……」
片付けて持ってきた疲労回復のポーションを飲む。那須が開発したものであるが再現性がないので売りには出していないがこういった細かい作業をした時の疲労回復用に作ったらしく効果は絶大。疲れていた体がすっと楽になる。
個人的には命の様な戦闘職ではなく那須の様な生産職の探索者が使うべき代物で売りに出してもいいと思うが大分、複雑なものだと聞いており那須もかなり感覚で作ったと言う話で再現性がないらしくあまり本数がない。
「後一日もすれば挑んでいいと思いますよ」
「そうか、霧山がそういってくれるなら自信が出るな」
スカウトのスペシャリストである霧山がそう判断したのならばそうなのかもしれないなと納得する。霧山から見たら命は驚異的な速さでスカウト術を学んでおりこと、罠解除だけならば専門の職業の者にも劣らないレベルでこんなにも早く習熟するとは思わなかった。
戦闘職としては一流であってもスカウトとしてはずぶの素人であった命の驚異的な成長ぶりに天才と言う者は存在するのかなと思った霧山である。しかし、霧山と比べれば赤子の様なもので別段、嫉妬の様な感情は持たないがそれは霧山というスペシャリストだからであり他のスカウトが見たら嫉妬してしまうだろうなと心の中で思った。
訓練が終わり命は情報室にやってきていた。千代田ダンジョンの情報を集めるためであり情報部の部員がアクセスできる情報が纏められているページを開いて確認する。
「やっぱりネットで調べるのとは訳が違うな」
整然と纏められている情報の波にここに来て正解だったと思う。千代田ダンジョンに現れるモンスターは一般的なスケルトンやゾンビと言ったアンデットが大半である。千代田ダンジョンはバウムクーヘンの様に層となっており中心に向かうにつれてモンスターの強さが上がっていく。
階層型ダンジョンの様にポータルは無いので踏破しようと思ったら長時間ダンジョンに潜ることになりその為に色々と準備をしておかなければならない。
「流石にスペクターレベルのモンスターは出てこないとは思うけど……」
念の為にとページをスクロールすると吸血鬼やデスナイトと言った厄介なモンスターが出現するのが書かれており千代田ダンジョンのボスはゾンビドラゴンというアンデット化したドラゴンであり凄まじい体力と装備を破壊する腐食のブレスを放つとのことだ。
「最近、ドラゴンとばかり戦っている気がするな」