《少しお休みします》TSしたからバ美肉ということにして配信をしてみた 作:大崎 狂花
「今日はネコになっていくよー」
『猫耳だああああ!!』
『かわいい!!』
『かわいい女の子に猫耳の組み合わせなんて、なんぼあってもええですからね』
今日のシオは猫耳をつけていた。画面には上半身しか映っていないので見えないけど、ちゃんと尻尾もつけている。
「にゃーん!! なんちゃって」
『可愛すぎる!!』
『可愛すぎるなこのおじさん・・・・・・』
『どれ、俺が尻尾の付け根のところをトントンしてあげようねえ』
「あっ、知ってるぞそれ! えっちなやつでしょ!」
気を取り直して。
今日はただ猫の格好をして雑談するだけの回ではない。今日はゲーム配信なのである。
「今日やるゲームはこれ! 『猫シミュレーター』!」
猫シミュレーター。プレイヤーが猫になって飼われるという、タイトル通りの内容のゲームである、今日はそれをやっていこうというわけだ。
「早速やっていくよ〜」
ゲームを起動すると、画面に真っ白な可愛らしい子猫が現れた。これがプレイヤーだ。
「名前が決められるみたいだね。・・・・・・キョウカでいいかな。キョウカ、と・・・・・・」
『美少女猫おじさんの誕生だ』
『美少女ネコおじさんか・・・・・・確かにおじさんはタチじゃなくてネコっぽいよね』
「なんの話をしてんの・・・・・・?」
さて、これで名前が決まった。すると、ゲームの中の猫のキョウカのところへ、女性が駆け寄ってきた。
《キョウカちゃーん! 今日も疲れたよー!》
OL風の女性が泣きながら抱きついてきた。
「この人が俺のご主人様か・・・・・・」
どうやら、その女性が飼い主のようである。
と、よく見たら画面の左下辺りにあるゲージがもう空っぽに近くなっていることに気がついた。どうやらそれは満腹具合を示すゲージらしい。それが空っぽに近いということは空腹ということだ。
「どうやら、ご主人様におねだりしなくちゃいけないみたいだね」
画面の中のキョウカが飼い主に食べ物をおねだりする。それに合わせて、シオもおねだりをしてみた。
「ご主人様、お腹空いたからキャットフードがほしいにゃん♩」
『可愛すぎる!! 少ないけどこれ、食べ物代・・・・・・』
『よーしよしよし、このお金でたくさんお食べ』
『待て。キョウカおじさんの飼い主は俺だ! 俺だぞ!』
「ちょ、みんな待って待って・・・・・・今のはみんなにおねだりしたわけじゃなくて・・・・・・えっと、ありがとう。けど、お金は大事にね・・・・・・?」
さて、その後もゲーム内で泥棒に入られたので、威嚇で撃退したり
「にゃ゛ー!」
『かわいい』
『全然怖くないな・・・・・・かわいさしか感じない』
『キョウカおじさん、俺の上司になってくれません? そしたら叱られてもむしろ元気になれる・・・・・・』
またたびをもらったりした。もちろん、ゲーム内の猫がもらっただけだから、シオは普通のままだ。
『ゲームの中の猫もとろとろになってるし、おじさんもまたたびでとろとろにならない?』
「ならない・・・・・・」
そして、配信終盤には──
「俺、何やってんだろ・・・・・・」
シオは正気に戻ってしまっていた。
『正気に戻るな! 死ぬぞ!』
「にゃんってなんだよにゃんって・・・・・・俺、三十代おじさんだぞ? 三十代おじさんが猫耳つけてにゃんって・・・・・・キツすぎるだろ・・・・・・」
『いや、おじさんは女の子だよ?』
『大丈夫だよ。にゃんにゃん言って甘えてくるのものすごく可愛かったし』
「あああああ゛ー・・・・・・」
『むしろ、三十代おじさんの美少女がこんなことをやっているというのがいいんだ。興奮する』
「うう・・・・・・恥ずかしい。コロしてくれ・・・・・・」
《よしよし、キョウカちゃんはいい子だねー。なでなでしてあげようねえ》
「にゃーん・・・・・・」
『でももうすっかり心が飼い猫に調教されちゃってるぞ』
『オラっ、いい声で鳴け! オラっ!』
「にゃーん・・・・・・」
後日。
「おーす・・・・・・ユキ、何してんの?」
「ほーれ猫じゃらしだよー。飛びついておいでーキョウカちゃーん」
「お前を猫にしてやろうか」
しばらくこのネタで揶揄われたらしい。
◇
「なんか最近調子が悪いなー・・・・・・」
シオはご飯を食べながらそう呟いた。
「やっぱ調子が悪いな」
最近、シオは体調が悪いのだ。普通に食事をしても全然味がしないというか、喉を通っていかないのだ。特に、餃子とかを食べるとなんだか力が抜けていく感じがする。唯一トマトとかは普通に食べられる・・・・・・というかむしろ美味しく食べられるのだが、他の食べ物の味が全然しないのだ。それに、日中もなんか調子が悪い。日に当たるとなんか熱っぽくなる。
「なんでだろうなあ・・・・・・?」
シオは不思議に思いながらトマトジュースを飲んでトマトを食べながらテレビを見ていた。晩御飯だ。
すると、夕方のニュースがテレビでやっていた。
『最近、吸血鬼化症が流行っているようです』
アナウンサーが、そんなことを言っていた。
「・・・・・・ん?」
『吸血鬼化症ですかー』
『ええ。ただ、吸血鬼化症とは言っても太陽の光を浴びたら灰になるとかそう言ったことはなく、吸血鬼の特徴が弱めに出てくる病気なので、気づきにくいことが多いと思います』
『なるほど・・・・・・かかったことに気づかずに過ごしている人とかもいそうですね』
『ええ。そういう方もいらっしゃると思います』
「・・・・・・」
シオは、とりあえず病院へ行くことにした。
・・・・・・
「やっぱかかってたよ・・・・・・」
やっぱりシオは吸血鬼化症になっていた。「あんたよくかかるねー」とか医者に言われてしまった。そういう体質なのだろうか・・・・・・。
「まあ、性転換とか幼女化、巨乳化とは違ってこれは世間でも流行ってるみたいだし、仕方ないのかな・・・・・・俺、子供の頃はインフルエンザの季節になると必ずかかってたくらいだしな・・・・・・」
この吸血鬼化症は言ってしまえばインフルエンザみたいなものだ。しかもインフルと違ってワクチンがないので、より流行りやすいと言えよう。
「まあ、日を浴びたら灰になるわけじゃない。ちょっと弱るくらいだし、そこまで支障はないか。まあ一応日傘は差してるけど・・・・・・」
今のシオは白い日傘を差し、真っ白なアームカバーをして、以前ユキからもらった真っ白なゴスロリ風の服を着ている。白は太陽光を反射すると聞いたので、手元にある白いもので固めてみたのだ。
「あ、見て! あの子かわいいー!」
「ほんとだ、白が好きなのかな・・・・・・? お肌も真っ白だし、お人形さんみたいだねー!」
今のシオは吸血鬼化の影響で、いつもより肌が白くなっている。いつもも大概だが、今のシオは病的なくらい白いのだ。その美貌と相まって、それが余計にシオの非人間感を増していた。本当の美少女吸血鬼みたいだ。
「さてと、とりあえずコンビニに寄ってトマトジュースとか買い込むか・・・・・・よく考えたら餃子食べるとかかなりヤバいことしてたな・・・・・・」
コンビニに寄る。すると、何やら新しいコーナーが出来ていた。
「吸血鬼化症患者向け、血液コーナー・・・・・・?」
なんかそんなのが出来ていた。
「マジかよ。そんなのが作られるほど吸血鬼化症流行ってんのか」
トマトジュースとかと同じように、パック入りの血液ジュースが普通に売られていた。血液ゼリーなんていうのもある。一応、普通の食べ物も食べれなくはないので、血液練り込みケーキとかブラッドインハンバーグ(中に血の入ったハンバーグ)なんかもあって、かなりの気合の入れようだ。商魂たくましいな・・・・・・。
「てか、誰の血液なんだ・・・・・・? 法律上問題とかはないのか・・・・・・?」
まあそれは置いといて。とにかく良さそうなものをぽんぽんぽんとカゴに突っ込んでいって、シオはレジに行った。レジで店員さんからこんなことを聞かれた。
「あの、お客さんすっごくお綺麗なんですけど、ひょっとして本物の吸血鬼の方ですか・・・・・・?」
「いや、違いますけど・・・・・・俺も普通に吸血鬼化症患者です」
「そうですか、すいません・・・・・・あまりに綺麗だったので、本物の吸血鬼かと思ってしまって・・・・・・」
「本物に会ったことあるんですか・・・・・・?」
まあとりあえずシオはそれらを買って家へ帰った。
「おっ、おかえりー」
家に帰ると、なぜかユキが待っていた。
「なんだ遊びに来てたのか」
「うん。シオもどうせ吸血鬼化症にかかってると思ってね」
「え? ということはお前も?」
「うん。私も実は吸血鬼化症にかかっちゃってね」
どうやら、ユキも吸血鬼化症にかかってしまったらしい。確かに、よく見るとちょっと肌が白い。傘立てには日傘が差してあった。
「なんだ、ユキもかかってたのか。・・・・・・そこのコンビニで血液買ったんだけどさ、飲む?」
「いいの? 飲む飲む」
シオとユキはとりあえずブラッド100%ジュースを2人で飲んだ。
「すごい美味しく感じる・・・・・・! いつもなら絶対飲めたもんじゃないのに・・・・・・!」
「不思議だねー。・・・・・・しかし、同じ肌が白いのでも、私のはただの体調不良って感じだけど、シオは人間離れした美少女って感じだからずるいよね」
「そうか? そんなに違いないだろ」
「いやいや、大違いだよ! 全く・・・・・・」
2人はしばらく血液を飲んだり、他の血液系の食べ物を食べたりしていたがやがて
「そうだ! そういえば、シオにプレゼントがあるんだった」
そう言ってカバンを漁り出した。
「プレゼント? 変な物じゃないだろうな・・・・・・」
「変な物なんてとんでもない。聖なる物だよ」
ユキがカバンの中から取り出したのは──
「ほらっ! 十字架!」
「純然たる嫌がらせじゃねえか・・・・・・というか、それお前も持ってるのキツいだろうに」
「うん。めっちゃイヤだね」
「なんでそうまでして嫌がらせを・・・・・・?」
この日はユキと色々な話をして終わった。
「やっぱり、吸血鬼になるとうなじが気になるね・・・・・・シオのうなじが眩しく見えてきたよ・・・・・・」
「ええ・・・・・・? きも・・・・・・」
・・・・・・
さて、翌日。
シオは例の百合姉妹メイド喫茶に助っ人として駆り出されていた。イケメン女子ルウさんが働いている喫茶だ。
「実は、私も吸血鬼化症にかかっちゃったんだよね・・・・・・」
ルウさんはため息まじりにそう言った。なるほど、確かにルウさんの口の中に、普段は見られない牙のようなものがちらっと見える。それに、髪の毛に血のような赤色のメッシュが入ってるし、目も血のように真っ赤だ。シオは別にそこまでではないので、人によって個人差があるみたいだ。
「わあ・・・・・・! ヴァンパイアルウさん、すごく素敵です・・・・・・!」
シオはそんなルウにメロついていた。本当の吸血鬼みたいなヤバい色気があって、ヤバかっこいい。
「そう? シオさんも可愛くていいなって思うよ。チラッと見える犬歯(?)もなんかかわいいし」
「えっ、そうですか!? ありがとうございます・・・・・・!」
イケメン女子のルウさんに褒められるとやっぱり照れる。シオは顔の赤さを誤魔化すように紙コップに入った血液を飲んだ。
「おっ、なんだルウ。今日もかわいい女の子を口説いてんのか〜」
と、そこへ店長が来た。自分もメイドとして働いているメイド店長である。店長はどうやら吸血鬼化していないらしい。タバコを吸っている・・・・・・と思いきや飴を舐めていた。夢を壊さないようにという意識からなのだろうか・・・・・・?
「店長。いや、違いますよ。口説いてたんじゃないです」
「あ、そっか! 口説いてたのはかわいい女の子じゃなくてかわいいおじさんだったか!」
「いやだから口説いてたんじゃないですって・・・・・・」
ルウは店長をじろっと睨みつけるように見るとこう聞いた。
「それで? どうするんですか店長。うちの従業員ほぼ全員吸血鬼化しちゃってますよ。どうするんです? 今日は定休日にしますか?」
「とんでもないことを言うなルウちゃんは! むしろこれはまたとないチャンスだよ! 商売チャンス!」
「商売チャンス・・・・・・?」
「そう! だって今日は吸血鬼百合姉妹メイド喫茶が出来るってことじゃないか! 商売チャンスだよ!」
「ええ・・・・・・? そんな属性盛り盛りな・・・・・・」
とりあえず、そういうことになったらしい。今日は吸血鬼百合姉妹メイド喫茶の日になった。
で。
「そ、それじゃあいくよ・・・・・・?」
「はい、いつでもどうぞ・・・・・・」
シオとルウは向いあっていた。なんだかそのままキスでもしそうな雰囲気だが流石に違う。
シオとルウはそのままお互いの首筋に牙をそっと這わせると
「ん・・・・・・」
「んっ・・・・・・」
血の交換を始めた。
「うっひょ〜たまんね〜」
「イケメン美人吸血鬼と悪魔かわいい美少女吸血鬼の血の交換・・・・・・! 良すぎる! こんなのが見られるなんて・・・・・・!」
「ああ、2人に血を吸われたいけど、自分の汚い血を飲ませたくないっていう二律背反が今私の中で起きてる・・・・・・!」
吸血鬼デーは大盛況だったようである。
そして、しばらく経って吸血鬼化症が治ってシオは無事普通美少女おじさんに戻った、かに思われたのだが──
「なんでだよ・・・・・・」
「今度は妖狐化症にかかっちゃうとはねー」
吸血鬼化症が治ったのはいいものの、今度は妖狐化症にかかってしまった。これは、その名の通り尻尾が9本の妖狐になるという病気である。
「私とかはまだ吸血鬼化治ってないのに、1人だけ妖狐になっちゃったねえ」
ユキはそう言いながら尻尾を撫でていた。
「うう・・・・・・」
「しかし、この尻尾ふわふわだね。えい」
ユキはそう言ってシオの9本の尻尾の中へ顔を埋めた。
「ひゃっ!? やめろ、くすぐったい!」
しばらく、シオのもふもふされる日々が続いたのだった。