TSしたからバ美肉ということにして配信をしてみた 作:大崎 狂花
赤い月が空にかかる。森は黒く、不気味に風に靡いている。
その森の奥へ隠れるように、ボロボロの城があった。城の入り口から奥の部屋で女性が眠っていた。
「すー、すー・・・・・・」
女性の名前はアオ。この城の主人だ。美しい声と美しい容姿を持つ青い髪と青い目の女性で、確かに綺麗なのだが、どことなく危険な雰囲気を感じる。そんな女性が、ボロボロの天蓋つきベッドの中で、寝息をたてながら寝ていた。
すると、どたどたと廊下から誰かが走ってくるような音がしたと思うと、寝室の扉をバーンと開けて中に入ってきた女の子がいた。
「おいアオ! もう夜だぞ! 起きろ!」
黒い髪にアオと同じ青い目をした小さな女の子が、ベッドに寝ているアオを揺らした。
「ん、んー・・・・・・あと500年・・・・・・」
「ちょ、フリーレンでもそんなこと言わないぞ! 起きろよ!」
アオはぐずっていたが、やがて起き上がると
「んー」
伸びをして
「おはよー。今日もかわいいねー、さすがは私の妹だ!」
そう言って、抱きついてきた。アオの今の格好は薄手の白いネグリジェなので、色々とまずい。
「ちょ、その格好で抱きつくな! ・・・・・・というか違う! 俺はお前の妹じゃない! 俺は男なんだよ!」
「えー? まだそんなこと言ってるのー?」
アオはその女の子をにやにやした顔で見下ろすと、その美しい声で囁くようにこう言った。
「今の君は誰がどう見たってかわいい女の子にしか見えないよ? 私にそっくりだし、どう見たって私の妹でしょ」
女の子は子供用の落ち着いたドレスのような服を着て、手にはぬいぐるみを持っている。確かにアオの言う通り、この少女はかわいい女の子、アオの妹にしか見えない。
アオは、その少女の頭に手を乗せてぽんぽんと撫でると、
「ね? かわいいかわいい私の妹、シオちゃん♪」
また囁くようにそう言った。
「だから〜! 俺はお前の妹なんかじゃなくて、れっきとした成人男性なんだってばー!!」
「あ、そうだねぇ。ところで、夜はちゃんとお手洗いに行けた? おねしょとかしてない?」
「ばかにするなー!!」
腕を振り上げて怒る。全く怖くない。しかし、口の中にちらっとアオと同じ犬歯のような牙があるのが見えた。
この少女の名前はシオ。本人の言っている通り、元成人男性なのだ。彼はついこの前まで普通の会社員だった。しかし、深夜にちょっとコンビニまで行って帰ってくる途中にこのアオに襲われてこうなった。
アオ。彼女は悠久の時を生きる恐ろしくも美しい吸血鬼。彼は血を吸われることでその眷属──アオの妹となったのである。
しかし眷属となった後も、シオはこのアオのことを拒絶し、反発する態度を取っているのである。さながら反抗期の妹のように。
「でもそんな反抗的な態度を取ってるけどぉ〜・・・・・・シオちゃんは私にメロメロなんだもんね?」
アオはそう言うと、シオの顎に指を這わせてクイっと自分の方へ向かせた。いわゆる顎クイである。
「そっ、そんなことはない・・・・・・!」
「えー? そんなこと言って、目にハートが浮かんでるよ?」
本当だった。シオは目にハートが浮かんでいた。ただ、抗う意志を見せているので、ハートが浮かんでいるのは右目だけだ。
(ダメだ・・・・・・顔がいい! 無駄に顔が良すぎるんだこいつは!)
シオはイケメン女子が大好きだった。
「シオちゃんは眷属にしやすかったなー。魅了するまでもなく、私にメロメロだったもんね」
「そ、そんなこと・・・・・・!」
「そして、今も私に堕ちつつあるし。特別なことは何もしてないのにねー」
「うう・・・・・・♡」
「しかし・・・・・・」
アオはシオの顔をまじまじと見ながら言う。
「本当にかわいいねーシオちゃんは。本当にすごいよ。私の美貌をほとんど完璧に受け継いでいる。私以上かもしれない。まさに私の妹と言える」
「いや、男がかわいいなんて褒められても別に嬉しくもなんともないんだよ・・・・・・」
シオは口ではそんなふうに言ったものの、表情を見る限り満更でもなさそうである。
「多分体質的に吸血鬼が合ってたんだろうねー。声も私と同じくいい声だ。・・・・・・ねね、一度でいいからさ、私のことお姉ちゃんって呼んでくれない?」
「いやだね!!」
「むー」
こんな感じで、この吸血鬼姉妹(?)の日常は過ぎていくのだった。
◇
メイドが城の廊下を掃除していた。ほぼ廃墟みたいなものなので別に掃除の必要とかないのかもしれないけど、一応やっているのである。
するとそこへ、シオが通りがかった。
「シオ様! おはようございます!」
「おはようございます。今日もお疲れ様です」
社会人的な挨拶をするシオ。ちなみに、吸血鬼においておはようは朝ではなく夜の挨拶だ。
「おおシオ様・・・・・・! 今日もお麗しい・・・・・・!」
「や、やめてくださいよ・・・・・・」
メイドたちはシオに会うたびにいつもこんなふうに褒めてくる。お世辞とかではなく、完全に本心から言っている。一応、このメイドも吸血鬼なのだがアオやシオとは違って下位の吸血鬼なのだ。アオに血を吸われて吸血鬼となったシオは、かなり高位の吸血鬼だし、それにめちゃくちゃかわいいので、ここに来てまだ日が浅いもののすでにメイドたちはシオに魅了されてしまっているのである。
シオはやめてくれと言いつつも、やっぱり少し嬉しそうにしている。そんなところも可愛いと、メイドさんたちはいつも思っている。
さて、シオはメイドさんへ尋ねた。
「あれはどこにあるかな? トマトジュース」
メイドたち下位の吸血鬼は血液のみでしか腹を満たせないが、高位の吸血鬼であるシオはトマトジュースを血液の代替とすることが出来るのだ。まあやっぱり血液を飲む方が満腹になるが。
「トマトジュースなら台所の方にありますが・・・・・・そんなものを飲まなくても、私がシオ様の食糧になります!」
「い、いやいいから・・・・・・トマトジュースのところへ案内してくれよ」
「はい、わかりました・・・・・・」
メイドさんは渋々シオをトマトジュースのところへ案内していった。
「あの戸棚の上にあります。ちゃんと人肌にしておりますよ」
普通の人間なら冷えてた方がいいだろうが、吸血鬼にとっては人肌が一番いい。だから冷蔵庫に入れずに戸棚の中に入れておいたのだ。
「ありがとね」
そう言って、シオはつい男だった時の感覚で取ろうとしたものの、当然のことながら届かない。
「んー!」
手を伸ばしてぴょんぴょんと飛び上がったものの、全然届かなかった。
「く、屈辱だ・・・・・・大の男がこんな戸棚にすら手が届かないなんて・・・・・・」
「可愛すぎますシオ様・・・・・・!」
「屈辱だよ・・・・・・」
「ご安心くださいシオ様! 私がなんとかします!」
メイドは得意げな顔をしてそう言う。
「おお、踏み台を持ってきてくれるのか?」
「いえ、私が踏み台になります!」
「は?」
そういうと、メイドは四つん這いになった。
「さあ! 私を踏み台に!」
「いや、ええ・・・・・・?」
「大丈夫です! シオ様の踏み台になれるのであれば、この背骨折れても構いません! むしろご褒美です!」
「いや、そんなこと言われたらむしろイヤなんですけど・・・・・・」
仕方がないのでその『踏み台』を使うことにした。
「はあんっ! ご褒美ですう!」
「変な声出すなよ」
無事トマトジュースを取ることに成功しました。
・・・・・・
「シオちゃーん! 一緒にお風呂入ろう!」
ある日アオにそんなことを言われた。
「は?」
「生きのいい処女の生き血が手に入ったんで、一緒に入ろうと思って!」
「どこで手に入れたんだよ・・・・・・」
と、いうことでシオとアオは一緒のお風呂に入ることになった。
「は? ちょ、ちょっと・・・・・・」
「はーい、脱ぎ脱ぎしましょうねー」
「いや自分で脱げるから!」
さて、2人とも裸になって脱衣所に立つ。
「む・・・・・・」
シオはちょっと顔を赤らめながら、アオから目を逸らしている。どうやら恥ずかしいらしい。
「わ、恥ずかしがってる! かわいい〜!」
「うるさいなあ・・・・・・」
「まあ、シオちゃんの血って美味しかったもんね。知ってる? そういう経験のない子の血って美味しいんだよ?」
「うるさいなあ!」
「怒ってもかわいいねえ」
シオは、脱衣所の扉を開けて浴槽に入った。
浴槽は当然のことながら古びている。しかし、その年季の入った感じが逆におしゃれに見える。浴槽のふちには植物のつたのような模様が浮き彫りにされていて、湯船には水色の花びらが散らされ、浮かんでいる。
そして、真っ赤な血液が浴槽の中を満たしていた。これがどうやら処女の血らしい。
(これは・・・・・・!)
普通の人間が血液の匂いを嗅いだら不快になるだろう。苦手な人なら卒倒したり吐いたりするかもしれない。しかし、今のシオはこの匂いを、いい匂いだと思った。
処女の血にだけある、この素晴らしい香り。穢れなき魂の香りだ。甘い香りがする。しかし、遊びに慣れた女性の甘さとは違う。そういう女性は媚びるような甘ったるいしつこい香りがするものだが、処女の血の甘い香りは爽やかで、清らかなのだ。
嗅いでいるうちに、くーとシオのお腹が可愛らしく鳴ってしまった。
(血の匂いを嗅いでお腹が空くなんて、俺は本当に吸血鬼になってしまったんだな・・・・・・)
しかもこんな吸血鬼の眷属、妹に・・・・・・襲われて血を吸われた挙句に妹にされるなんて、男としてこの上ない屈辱だ。新手の尊厳破壊ですらある。
「さて、湯船に入る前に体洗おうねー」
「血のお風呂に入る前にも体を洗うのか・・・・・・」
シオは椅子に座らせられて、体と髪の毛を洗った。
「ツヤツヤしていい髪だ。さすがは私の妹」
「だから妹じゃないって・・・・・・」
「それに、匂いもいいし」
「嗅ぐな!」
髪を洗った後は体だ。
「肌も綺麗でいい」
アオはそんなふうに呟いた。シオは、自分の下腹部の方を見て呟く。
「やっぱり、ない・・・・・・」
相棒が無くなっていることを再確認しているのだ。
「何度見ても慣れないな・・・・・・長年一緒にいた相棒がないなんてことは・・・・・・」
「それじゃあ洗っていくよー」
「ちょ、自分で洗えるって・・・・・・ひゃっ! ちょ、どこ触ってんだよ!」
「シオちゃんかわいいねえ」
さて、体を洗ったらいよいよ湯船に入る時だ。
「まずはシオちゃん1人で入ってみてよ。私はここで眺めてるからさ」
「眺めてるってなんだよ・・・・・・」
シオは言われた通り1人で入った。温度は人肌程度になっている。ぬるっと滑らかな血の湯船に入れば、その香りとともに、清らかな処女に優しく抱かれているような感覚になる。そのまま沈んで、眠ってしまいそうな気分になる。
けど、お腹は減る。お腹がくうっと鳴って頭がくらっとしてくる。
「んー、絵になるねー。かわいい女の子が血のお風呂に入っているシーンっていうのは、いつ見てもいいもんだよ」
アオはそう言って、
「ね、シオちゃん。ちょっとその血を飲んでみない?」
そう勧めてきた。
「え? いやでも・・・・・・」
「もうお腹が減ってしょうがないでしょ? 渇きを覚えて仕方ないでしょ。その渇きを癒すには血液を飲むしかないよ。ずっとトマトジュースでなんとか凌いでたみたいだけど・・・・・・やっぱり血液を飲まなきゃダメだよ。血を飲まなければ、その渇きは癒えない」
「う・・・・・・」
やっぱり、血を飲むのは忌避感がある。元々人間だったわけだし、この一線を超えたらもう元には戻れないという気がする。
しかし。しかしだ。お腹が減って仕方がない。喉も渇く。どうしようもない。目の前には鮮やかに赤い血液がある。それがシオの体を包んでいる。血を飲みたい。耐えられない。
「・・・・・・」
シオは、両手でその血を掬うと、ついにそれを飲んでしまった。
「はあぁぁぁ・・・・・・」
深い、恍惚の、うっとりとしたため息。シオは美味しいものを食べているのか、性的な快感を得ているのか、自分でもよくわからなかった。清らかな魂の力が流れ込んでくる。爽やかに甘い。そして、胃ではなくて下腹部の奥が温かくなっていく。
「すごい、美味しい・・・・・・」
美味しい、そんな言葉で表していいのかわからなかったけど、とにかく最初に出てきた言葉がそれだった。
「いい顔するねー」
「・・・・・・なんだよ」
「いや、美味しかったんだなーって思ってさ。いいよいいよ。血を飲んだから、さらに可愛くなってるねー」
「ぐ・・・・・・言っとくけど、身体は堕とせても心は堕とせないんだからな! 確かに血液を美味しいとは思ったけど、俺は心まで吸血鬼になる気はないんだからな!」
さて、その後は2人で湯船に入った。狭いので、シオをアオが抱きかかえるようにして入った。
「この前までちゃんとした成人男性だったのに、今では抱きかかえられちゃうほどちっちゃくなっちゃったねえ」
「屈辱だよ・・・・・・」
・・・・・・
シオとアオの2人は一度下界に降りてきていた。普通の人間社会である。とある人間に用事があるとかで降りてきたのである。
「わ、見てあの2人!」
「え? わ、すっごい美人と美少女だ・・・・・・」
「すごいよね・・・・・・姉妹とかなのかな?」
「そうかも。似てるし・・・・・・うあー、すっごく綺麗で、羨ましいな」
当然のことながら2人はすごく目立っていた。色んな人から見られている。
「うう・・・・・・」
そんなに人から注目されることに慣れてないシオは、恥ずかしそうにしている。一方、アオはそんなこと慣れっこで堂々としていた。
ちなみに、今は昼間だ。普通に太陽かんかん照りである。ただ、シオもアオも高位の吸血鬼なので太陽には耐性があるのである。それに、日傘も差しているので大丈夫なのだ。
「お、ここだここだ」
アオはそう言って指差した。そこは大きなお屋敷だった。
「シオちゃんはここで待ってて」
「え? 中に入れないの?」
「ここには吸血鬼用の罠がいっぱい仕掛けてあるからね。私なら避けられるけど、シオちゃんは避けられないと思う」
どうやら、ここはアオの命を狙う吸血鬼ハンターの住処でアオはハンターどもをめためたに打ちのめしにきたらしい。たまにこうやってお灸を据えておかないとめんどくさいんだとか。
「椅子持ってきたから、ここに座ってて」
シオはアオが持ってきた折りたたみ式の簡易な椅子に座らせられた。そんなふうにして道端で待つことになったのである。
さて、シオが日傘を差しながらちょこんとその椅子に座って待ってると不意に誰かが声をかけてきた。
「はあ、はあ・・・・・・お嬢ちゃんかわいいね・・・・・・おじさんと一緒に来ないかい・・・・・・?」
ロリコン変態おじさんだった。
「は? え、えっと・・・・・・」
シオは困惑する。そんなロリコン変態おじさんに声をかけられたことなんかないから、どうしていいかわからない。
シオが困っていると、
「ちょっと。何してるんですか?」
そう注意してくれた人がいた。
「警察呼びますよ?」
「へ? い、いやなんでもないよ・・・・・・」
おじさんはそそくさと去っていく。
「大丈夫?」
助けてくれた女の子は、にこやかに笑いながらシオへそう声をかけてきた。中学生くらいの女の子だ。
「あ、ありがとう・・・・・・」
まさかこんな自分より年下の女の子に助けられる時がくるなんて・・・・・・そう思いつつもシオはお礼を言う。
そのまま立ち去るかと思われた少女だけど、意外にも立ち去ることなく残ってシオへ話しかけてきた。
「私キュウって言うんだ! 君、名前は?」
「え、えっと・・・・・・し、シオって言います・・・・・・」
シオはおずおずとそう名乗った。
「へーシオちゃんって言うんだ! かわいいね!」
キュウはこの言葉通りに、
(うわー、何この子・・・・・・すっごくかわいい・・・・・・外国の子かな?)
と、シオを見てそんなふうに思っていた。
しかし一方のシオは
(な、なんだこれ・・・・・・この女の子が、すっごく美味しそうに見えるぞ・・・・・・!)
そんなふうに思っていた。
シオはもう人間ではない。故に、目の前に極上の処女がいたのならまず湧いてくるのは親しみの念などではなく食欲。焼けつくような渇きなのだ。
目の前にいるキュウは極上の食材であった。もう血の味を知ってしまったシオは、その血を吸いたくてたまらない。
「・・・・・・」
「え、えっと・・・・・・?」
顔を赤らめ、息を荒くしてキュウのことを見つめるシオ。シオは必死に耐えようとしているのだ。しかし、そんなことなど知らないキュウは、突然雰囲気の変わったシオに困惑していた。
今のシオからは、どことなく淫靡な雰囲気を感じる。
(な、なんかちょっとえっちな雰囲気じゃない? ・・・・・・っていやいや、何思ってるんだ私! こんな子供に・・・・・・)
ひょっとしたら体調とかが悪いのかもしれない。日傘も差してるし、身体が弱いと言うこともあり得る。だとしたら、そんなこの子を見て妙な感情を抱くなんて失礼な話だ。そんなの先ほどキュウが追い払ったあのおっさんと同じになってしまうではないか。
「えっと、大丈夫?」
キュウがシオの額に手を当てて熱を測ろうとした。そして、そのせいでシオはキュウの指を見てしまった。
「血が・・・・・・」
「えっ?」
そう、キュウの指からは血が流れていたのだ。
「あ、ああ! これは大丈夫だから! 心配しないで! お料理をしてたらちょっと指を切っちゃって・・・・・・絆創膏しようと思ったんだけど、無くなってたから、買いに行く途中だったの」
「そう、なんだ・・・・・・」
気がつくと、さっきまで青かったシオの目が、赤く光っていた。
「それじゃあ、ちゃんと消毒、しとかないとだね・・・・・・うん、これは消毒のためだから・・・・・・」
シオは自分に言い聞かせるようにそういうと、
「え? ちょ、ちょっとシオちゃん?」
キュウの指を取ると
「ん・・・・・・」
それを口に含んだ。
「ちょ、シオちゃん!?」
唾液に濡れていて、温かい口内の感触がキュウの指を包む。シオは、ちろちろとキュウの指にその舌を這わせ始めた。
「んっ、ちょ、ちょっとシオちゃん・・・・・・!」
シオにはキュウの言葉が耳に入っていない。
(おいしい・・・・・・)
血液のおいしさしか頭になかった。
吸血鬼に血を吸われたら吸血鬼になってしまう。しかし、それは歯を立てて、噛みついて血を吸った時の場合だ。こうやって舐めている分には吸血鬼化しない。一応これでもシオは自制しているのだ。けど、噛みついて思いっきり飲みたくなるのも時間の問題かもしれない。
シオの理性はこのままではまずい、止めなければと訴えているのだが、シオはどうしても止めることが出来なかった。
(ダメなのに・・・・・・! ダメなのに・・・・・・!)
そのままちゅぱちゅぱと指を舐めてそこから滴る血を舐め取っていく。
一方のキュウは、突然のことに完全に困惑していた。
「んっ、ちょ、ちょっと・・・・・・んっ♡」
(な、なんで・・・・・・? どうしてこんなことになってんの!?)
キュウは顔を赤らめ、目をぐるぐるにしていた。
キュウはここでシオを止めるべきだったのだろう。しかし、キュウもまた止めることが出来なかった。人間とは思えないくらいかわいい女の子が、自身の指をなぜかおいしそうに舐めているという異常な状況から、目が離せなかったのだ。
しっとりと濡れた舌で、キュウの指がくすぐられていく。顔を赤くしてどこか目を虚にしたシオが自分の指を濡らしていく。背筋がゾワゾワして、ぼんやりしていた脳みそが快楽に目を覚ます。初めて会った天使のようにかわいらしい小さな女の子が自分の指を舐めている、そこにはよくわからない背徳感と淫靡さがあった。
キュウは声を我慢しながら、止めることなく舐められるがままになっている。シオもやめようやめようと思いながら自分を抑えきれなくて卑しく舐め続けてしまっていた。
「んっ・・・・・・ふうっ、ん・・・・・・」
「ん・・・・・・ちゅぱ、ちゅぱ・・・・・・」
しばらくそうしていた。シオはもう耐えられなかった。
(も、もうダメだ・・・・・・!)
はーっ、はーっと荒い息をつく。もう抑えられない衝動。吸血の衝動。シオは牙を出し、キュウの血液を吸おうとした──
「はーいシオちゃん、そこまでねー」
トン、と肩を叩かれた。はっとシオは正気に戻って、目も赤から青に戻ると振り返った。
いつの間にかアオがいた。ところどころ汚れたり焦げたりしているが、無傷なのでハンターども相手に圧勝したのだろう。圧勝して出てきたアオがシオとキュウの姿を見て、何が起こっているのか察すると急いで止めに入ったのである。
その後。
まあ色々とキュウを誤魔化して、シオとアオは2人して城へと帰っていった。
「ありがとね、アオ。アオがいなかったら、俺、あの子の血を吸ってしまっていたかもしれない・・・・・・」
「ははは、まあ吸血鬼になったら誰でも最初はそんなもんだよ。自分の中に芽生えた吸血衝動を抑えられないもんさ」
アオは、シオの頭に手を乗せぽんぽんと撫でながらこう言った。
「でも、シオちゃんはなんとかその吸血衝動に抗おうとしてたじゃない。普通ならすぐその衝動に負けてしまってもおかしくないのにさ。それだけでも十分偉いんだよ、シオちゃんは」
「・・・・・・」
シオは黙っていたが、撫でられるがままになっていた。そして、聞こえるか聞こえないかぐらいの声で言った。
「ありがとね、お姉ちゃん」
「え? なんか言った?」
「なんでもなーい」
2人の吸血鬼姉妹は、仲良く自分たちの城へと帰っていった。
・・・・・・そして。
「なんだったんだろう、あの子・・・・・・」
キュウはそう呟く。アオが色々と誤魔化したものの、やっぱり不思議に思う。忘れられない。あの子のことが頭から離れない。
あの子の唾液に濡れる指、虚な目、温かな口内、指を愛撫する舌・・・・・・。
「・・・・・・」
思わず顔を赤くしてしまう。どうやら、新たな扉を開いてしまったようだ・・・・・・。
おじさん美少女吸血鬼は、この日1人の女子中学生の性癖を壊したのだった。
おまけ ここからはいつもの世界線
また幼女になってしまったので幼女配信をしてみた。
「今日は幼女だよー!」
『幼女だ!』
『やっぱりめちゃくちゃにかわいいな・・・・・・』
今日のキョウカは幼女バージョンだ。ランドセルに、清潔な白いシャツ、それに吊りスカートという格好をしている。
『ろりこんじゃないよ。俺は美幼女おじさんをかわいいと思ってるだけだから、断じてろりこんじゃないよ』
『どれどれ、おじちゃんがお小遣いをあげようね』
「あっ、ありがとう! って、お小遣いのレベルじゃないけどこの金額!? 大丈夫!?」
『あっ、忘れてた。俺もお小遣い』
『あっ、俺も俺も』
「ちょ、ほんとに大丈夫!?」
スパチャをいっぱいもらったところで、今日の配信だ。
「今日の配信はこれ! 『孤島でお料理スローライフ』! 今日はこのゲームをゆったりやっていくよ!」
『おっ、ことスロだ』
『これ、一見ゆったり系ゲームなんだけど実は高難易度の骨のあるゲームなんだよね・・・・・・』
「えっ? そ、そうなの・・・・・・?」
なんかちょっと不安だけど、とりあえずやってみよう。
《婚約破棄され、実家を追放された僕は1人離れ小島へ行くことになった》
「あ、追放系なんだこれ・・・・・・」
ストーリーとしては、僕っ娘の公爵令嬢が婚約者(女性)との婚約を破棄され、実家の公爵家から追放されたから離れ小島に行って料理を作ってざまぁしていくという感じだった。
「料理でどうやってざまぁしていくんだ・・・・・・?」
『そこはまあ・・・・・・』
『ノリで』
「ノリ・・・・・・?」
とりあえず、料理を作っていこう。
「確かに、これは難しいな・・・・・・」
食材の相性とかもあるし、作るたびにミニゲームをやらなきゃいけないみたいなのだ。それが難しいようなのである。
「よーし、頑張るぞ・・・・・・!」
『頑張れ!』
『大勢のお兄ちゃん、お姉ちゃんが応援してるからね・・・・・・!』
「身に覚えのない兄と姉が大量発生してる・・・・・・」
ミニゲームに失敗すると食材は全部ダメになってまた一からやり直しになるので、何度も挫けそうになりながらシオはゲームを頑張った。
『頑張れ・・・・・・!』
『俺、頑張ってる子供を見ると無条件に応援したくなるんだよなあ・・・・・・!』
『あれ? おかしいな。目からスポーツドリンクが・・・・・・』
「いや、三十代のおじさんがゲームに苦戦してるだけなんだけどな・・・・・・そんな初めてのおつかいみたいな感じで見られても・・・・・・」
『普段から幼女なんだから、幼女になったらそれはもう幼女そのものでしょ』
『いやあ、普通のおじさんはシュークリーム食べる時あんなにこぼさないでしょ』
「そ、それは今関係ないもん・・・・・・!」
『あ、かわいい』
『やっぱり幼女だ』
「もー、お兄ちゃんお姉ちゃんうざーい」
『やめてくれほんとに効いてしまう』
『やめてくれ・・・・・・』
『でもそういうのもちょっとありかも・・・・・・』
まあとりあえず、シオはゲームを進めていった。そもそもゲームがそこまで得意ではないというのもあるけれども、今実際に幼女になっていて手の大きさとかが変わっているからなのか、全然上手くいかない。
しかし、なんとかしてシオは料理を完成させた。
「やったー!!」
『よかった。よかったね・・・・・・』
『ヤバい。今普通に号泣してるぞ』
しかし、それだけ苦労して作った料理も・・・・・・
《あんまり美味しくないですね。百点満点中十点です》
『マジかよ・・・・・・』
『子供が一生懸命作ったんですよ!?』
『ありえないな・・・・・・せっかくかわいい幼女が頑張って作ったものをそんなふうに言うなんて・・・・・・』
「ぐすっ、だから幼女ないって・・・・・・ただ普通におじさんが慣れないゲームで失敗しただけだから・・・・・・ひぐぅ」
『いやでもキョウカおじさん普通に泣いてるし・・・・・・』
説明しよう! 体が幼女になった影響で精神もそこそこ幼くなっているのだ!
『泣いてる幼女おじさんはかわいいけど・・・・・・元気出して!』
『よーしよしよしよしよし・・・・・・よしよし・・・・・・』
『泣かないでおじさん! また頑張ろう!』
「ぐしゅっ・・・・・・そうだね。うん! がんばるよ!」
『そうこなくっちゃ!』
『よーしよしよしよしよし・・・・・・よしよし・・・・・・』
『悲しみにめげずに前を向く幼女おじさんもかわいいね・・・・・・』
さて、シオはその後も頑張って料理を作っていき、ついに百点満点をつけられるようになったという。何度失敗してもめげずに立ち向かっていく幼女おじさんの姿は数多くの人々に元気と希望を与えたとのことだ。あと、中身がおじさんの幼女が泣いてる姿でしか興奮できないという特殊な人が大量に生み出されたらしい。
そして──
「ん・・・・・・んう・・・・・・」
『あっ、おねむの時間だ!』
『撤収! 撤収ー!』
シオがおねむになってしまったので、今日の配信はこれでおしまい。