ドラゴンボールG マスター武闘伝   作:マスター亜細亜

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(注意)

一部キャラに原作にはないオリジナル設定がありますがご了承ください。



さて、みなさんお久しぶりです。

シルバー大佐を破りドラゴンボールを手に入れた悟空とドモン!

二人は二つ目のドラゴンボールがあると思われる北の大地へと向かった!

一方、悟空達が向かう北の大地でレッドリボン軍のシルバー大佐が強力な戦力を持って悟空たちを待ち受けていたのであった。

それではドラゴンファイトレディーゴー!





第十話『怪力無双!メタリック軍曹のパワー!』

 

北の大地ジングル村の郊外のとある場所

 

「寒いいい」

 

 ここまで二人が乗って移動してきた飛行機から飛び降りた悟空は開口一番に白い息を吐き震えながら言った。悟空はガチガチの体を必死に動かしドモンの方を見るとドモンはまだ飛行機から出ずにレインから渡されたホイポイカプセルの衣服が入ったカプセルから防寒着を取り出し着替えていた。

 

「あたりまえだ、ここは世界でも有数の極寒の土地だ。」

 

「オラ、こんな寒いの初めてだ」

 

 カチンコチンでピンと立っているしっぽで体をさすりながら悟空はドモンからもう一つ用意されていた悟空用の防寒装備を着た。

 

「レインのやつ、さすがに準備いいな」

 

 レインの準備の良さに感心ながらドモンは最後に厚手の防寒手袋を装着して準備を終えた。

 

「この白いのなんだ」

 

 外に出た悟空はあたり一面にある白い雪を悟空は右手ですくった雪の塊を冷たく感じながらも不思議そうに見ながらドモンにこれの正体を尋ねた。

 

「ああ、それは雪だ」

 

「雪?」

 

 今まで温暖な地域にあるパオズ山や南洋の亀ハウスで過ごしてきた悟空にとって雪は未知の存在であった。

 

「雪っていうのは、そうだな・・・寒いところでは雨の代わりにこの雪が降るのさ」

 

 悟空にも理解できるように説明するドモン。説明しながら幼い頃によく年の離れた兄からいろいろなことを教えてもらったことを思い出した。

 

「へえぇ、ドモンはブルマや亀仙人のじっちゃんみたいにものしりだな」

 

「物知りってほどでもないさ」

 

(キョウジ兄さんから見れば昔の俺も今の悟空のように見えていたのかな)

 

「あなたたちどこからきたの」

 

 シルバー大佐の基地からここまで乗ってきた飛行機をホイポイカプセルに収納して二人が移動をしようとしたとき、突然二人の背後から子供の声が聞こえてきた。

 

「うんっ?」

 

「誰だ、おめえっ」

 

 二人は同時に声がした方に振り向くと二人から10メートルほど離れたところに悟空と背が同じくらいの防寒装備を着装した赤髪の女の子が立っていた。

 

「私?私はスノよ。周りから大人びているって言われているけどまだ10歳よ。」

 

 少し変わった自己紹介をする少女にドモンは苦笑しつつ彼が先にスノという少女に話しかけた。

 

「俺はドモン・カッシュ、こっちは」

 

先にドモンが自己紹介をし悟空の方へと視線を向けた。

 

「オッス、オラ、孫悟空だ」

 

 クールなどドモンとは違いいつもの元気のよい挨拶をする悟空。

 

「ドモンさんと悟空ね。二人は何でこんな北の辺境の村に来たの?旅行?」

 

 二人とは今初対面であるが、気さくに話しかけるスノ。

 

「ああ、俺達は二人はあるものを見つけるために世界中を旅をしながら修行の旅をしているんだ」

 

「武道家?二人共強いの?」

 

 武道家と聞いたスノは改めて二人を見るが、あまり強そうに見えなかった。悟空はどこの街や村にいそうな普通のわんぱくな少年にしか見えなく、また、彼よりも年上のドモンもジングル村の同じ年頃の男子や自分の父親より強そうかなと思うほどにしか見えなかった。

 

「まだまだ、師匠のいうような真の武道家には程遠いさ」

 

 まだまだ未熟者と謙遜するようにドモンは言った。

 

「オラももっと強い奴と戦ってみたいぞ」

 

 二人はそれそれの目標を言う。

 

「ふーんっ、武道家さんも大変なのねぇ、ところで何を探しているのお兄さん」

 

 二人の武道に対する姿勢に感心しつつ、スノはもう一つ気になったことである旅の目的で探しているものを何か尋ねた。

 

「俺たちはドラゴンボールという不思議な球を探しにここへやってきた」

 

 それまで友好的であった態度から急に変わっていった。

 

「ええっ」

 

「どうしたスノ」

 

 スノの先ほどまでとの態度の変わり具合に疑問感じ

 

「ドラゴンボール!あなたたちもしかして、その、レ、レッドリボン軍なの?」

 

 スノは怯えたような声でドモンに恐る恐る震えながら尋ねた。だが、スノの不安はすぐに払拭された。

 

 ドモンはレッドリボン軍の名前が出たことにまたかと思いつつスノの抱える事情について聞かざる負えないと思い尋ねた。

 

「安心しろスノ、俺たちはレッドリボン軍じゃない。ただの武道家さ」

 

 ドモンはスノに落ち着かせるように優しい声で答えてドラゴンボールの事や二人で武者修行の旅に出ていること、ドラゴンボールの一つが悟空の祖父の形見であること等を彼女に教えた。

 

「どんな願いでも叶えてくるの?信じられないわね。でも、レッドリボン軍があれだけ必死に探してるのがわかる気がするは」

 

 スノはレッドリボン軍の兵士達が村人達とドラゴンボールをさがしている姿を思い出した。従わなければ村長を殺すと脅されいやいやながら強制的に働かさせられている村人達に比べて、必死に血眼になってドラゴンボールを探しているレッドリボン軍の兵士達の姿を思い出して納得した。

 

「ところでスノ。君は何故俺達がドラゴンボールの事を話したらレッドリボン軍と言ったんだ。事情を話してくれないか。」

 

 ドモンは先日のシルバー大佐とその部隊の傍若無人の姿を見てレッドリボン軍の行動をほうっておけないと思った。

 

「いいわよ。でも、こんなお外で話すのもどうかと思うから私の家に来ない?暖かくて美味しいお母さん特製のココアも出すわよ」

 

 スノは自分の家に来て改めて話さないかと提案した。こんなところでのんき長話していたらレッドリボン軍がいつやってくるかわからないと思ったからであった。また、レッドリボン軍はドラゴンボール探しが外部に漏れないようにジングル村にやってくる近くの村の住民や旅行者、中央政府の役人などを監禁したり、殺害したりしていることを父から聞いていたので、ドモンや悟空も危ないとその例外とならず危ないと思っていた。いくら、ドモンや悟空が言うように武道家で鍛えていたとしても鉄砲を持った大人の兵士達相手には絶対に勝てないとも思っていた。だが、後日その心配はいらぬ心配であったことと考えを改めることになるのであった。

 

「ココア?それって食い物か」

 

 スノの心配を他所に誘い文句のココアに悟空が美味しいものと聞いて今まで二人の会話にあまりはいっていなかった悟空が反応した。

 

「ええ、暖かくてとっても甘くておいしい飲み物よ。」

 

 予想外の悟空の食いつきのように若干引きつつスノはそう言った。そして、面白い子と本心から思った。

 

「へえー飲んでみてねえな。ドモン」

 

 悟空はまだ飲んでみたことないココアという美味しい飲み物に期待をふくらませる。

 

「ああそうだな、行こうか」

 

 ドモンはスノの心配ごと悟空とドモンはスノの誘いを受けてスノの家へと向かうこととなった。

 

マッスルタワー最上階

 

 悟空達がスノの家と歩いて向かっている頃ホワイト将軍の元にブラック参謀のテレビ電話による本部からの指令が届いていた。それは、シルバー隊を破った小僧二人の討伐命令とドラゴンボールの確保に関することであった。

 

「ホワイト将軍、シルバー大佐からドラゴンボールを奪った小僧二人が将軍の担当する地域に移動し止まったことにをドラゴンボールレーダーにて確認した。おそらく、貴官が担当している地区のドラゴンボールを探しに来たと思われる。」

 

「あのたった二人の小僧にシルバー大佐がやられたとは信じられんな」

 

 ホワイトのPCにシルバー隊の基地の監視カメラに録画された悟空とドモンの戦闘映像が送られていた。否定出来ない証拠の映像を見ながらもホワイト将軍はシルバー大佐が敗れたことについてにわかには信じられなかった。シルバー大佐とホワイトとはゴールド元帥の派閥という違いからあまり好いていなかったが、シルバー大佐の実力事態はホワイト自身も認めるところであり、その戦闘力はレッドリボン軍の多数の部隊の中でも精鋭部隊の一つであった。もし、シルバー隊と自分の部隊がぶつかるとしたら自分が負けることはないとしても相当の被害を受けるだろうと思っていた。

 

「信じられないのも無理はないが、これは事実だ。」

 

 ブラックは無表情の顔のまま、これは事実だ受け入れろと言わんばかであった。

 

(シルバー大佐を倒した小僧二人を俺が倒し、やつらの持つドラゴンボールとレーダーを手に入れれば俺の軍での発言権はうなぎのぼりだな)

 

 これが事実だと受け入れたホワイトは現状のホワイト隊の戦力で小僧二人に勝てるか戦力分析をする。シルバー大佐を一騎打ちの勝負で破り、そのシルバー大佐配下の部下たちを全滅させた戦闘力は驚異的、恐ろしいほどのものであるが、彼は二人に勝利するビジョンが思い浮かんだ。なぜなら、彼にはシルバー隊にはなかった秘密兵器がいくつもあった。先日、届いたドクターゲロの戦闘ロボや人造人間そして地下で飼っているピンクの悪魔を使えば勝てない相手だと確信した。次にホワイト将軍は出世のための打算を頭のなかで描いてく。彼の脳裏には元帥に昇進した自分の姿があった。

 

「わかった。近日中にレッド総帥に吉報を報告することになるだろう」

 

 自信満々の表情でブラックに答えるホワイト。

 

「ふんっ、せいぜいそうなることを期待しているぞ、ホワイト将軍」

 

 ブラックはホワイトの思惑を感じ取ったのか、そう皮肉を込めて答えホワイト将軍との通信を切った。

 

「・・・ふん、総帥の木偶の坊が」

 

 テレビ通信が切れ真っ暗になった液晶画面に一瞥しホワイトは言った。同じレッドリボン軍の仲間であるはずだが、ブラックは彼にとっては彼の栄光のロードへの厄介な障害物でしかなかった。

 

マッスルタワー最上階 ホワイト司令室

 

 スノの家に到着した悟空とドモンはスノとスノの母親からジングル村がレッドリボン軍に支配されていること、村長を人質にして、村人をドラゴンボール探しに徴用していること、マッスルタワーの噂などを伝えられた。

 スノからジングル村の現状を聞いた二人はドラゴンボールをこの地で探す前にレッドリボン軍を倒さなければならないと考えマッスルタワーに向かうこととした。マッスルタワーに向かうと決意した二人にスノとその母親は思いとどまるように諭すが、その時突然のレッドリボン軍兵士2名の襲撃を受け簡単に撃退した二人の姿を見て、二人の強さをその体で感じ取った。

 スノの家から出た二人はスノに教わったマッスルタワーがある場所にまっすぐ向かっていった。途中、ドラゴンボールを探す兵士やマッスルタワー周辺を警備する兵士と激突するも、これをらくらくと二人は蹴散らしていった。次々と破れ沈黙し定時連絡が来ないことからホワイトは本部からの指令あった小僧二人がこのマッスルタワーに向かっていることを悟ったのであった。

 ホワイトはすぐさま、部下のムラサキ曹長にマッスルタワーの警戒を厳にするように命じた。最大限の警戒網を構築し、ホワイトができることを二人を待ち受けることであった。そして、それは時をおかずしてすぐにやってきた。

 悟空とドモンは迂回することなくマッスルタワーにまっすぐ突撃してきた。なんら、策もなくまっすぐ突っ込んでくる二人の姿に馬鹿かとホワイトは内心思うが、次第にそれは間違いと感じていく。二人の戦闘能力の高さに。装甲車やマッスルタワーに備えられている機関銃の弾幕を軽々と避ける姿や、何百人も兵士達を薙ぎ払っていく戦闘力に。

 やがて、二人はマッスルタワー外部の兵士達や兵器を一掃するとマッスルタワーの一階に侵入していった。内部にも百人以上の将兵達を待ち伏せ隊として配置していたがホワイトは先程の攻撃する姿を思い出し、一階や二階で止めることはできないと確信した。

 だが、一方で三階には先日ゼロ少佐が持ってきた秘密兵器があった。これを用いればあの小僧に十分勝てるだろうと今までにゼロやドクターゲロから聞いていた性能から判断し、再び自身を取り戻した。

 ホワイトがそのように考えていく中、突撃した二人は監視カメラの映像からすでに三階にさしかかろうとしていた。

 

(化物には化物で対抗するだけだ)

 

マッスルタワー三階

 

「ウェルカム」

 

 一階、二階を守っていた兵士達を蹴散らし階段を昇った三階にいたのは3メートル近い大男が悟空たちの目の前に立ち塞がる。よく見るとメタリック軍曹の後方に四階へと続く階段が見える。

 

「どうやら、こいつを倒さない限り四階へは上がれないようだな」

 

ドモンは四階へとつながる階段を見ながら言った。このまま、メタリック軍曹との戦闘を避けて四階へと向かうのも可能だが、後から前後から敵に挟み撃ちにされる危険があるため戦う選択をする。

 

「メタリック軍曹に当たったのが、やつらの運のツキですな。二分で片がつくでしょう。」

 

 ホワイトの司令室にはホワイト将軍の他に先日メタリック軍曹を輸送の代表者のゼロ少佐もいてともに階下の戦況を見守っていた。ムラサキがドモンや悟空を哀れむように言った。ムラサキ自身これまでの二人の戦況を見て二人の異常な戦闘力を知っていたが、ホワイト同様にメタリック軍曹のことを知っていたため、メタリック軍曹が強いと判断していた。

 

「そうか、残念だなあ。あの、シルバー大佐が倒したほどの小僧どもと聞いていたから久しぶりに俺様が直々に相手をしようかと思ったのだがな」

 

 正直にいえば先ほどの戦闘を見て生身で勝てる自身はなかったが、部下の前で見栄をはるホワイト。

 

「将軍が相手するほどの相手ではないでござるよ。」

 

「それもそうだな、ふっははは」

 

 部下の追従する意見に機嫌を良くしたホワイト。久々に高笑いを上げる。

 

「メタリック軍曹との戦闘が始まるようです」

 

 今まで二人とは違って黙って戦況を見ていたゼロ少佐の声をきき監視カメラの画面に二人は注目する。

 

 マッスルタワー最上階の司令室にいる中で唯一ゼロ少佐だけはこの勝負どちらが勝つかわからないと苦い顔をしていた。

 

「オマエタチヲコロス」

 

 無機質で機械的な低音な声でメタリックはドモン達に死刑宣告を言い、ドモン達に近づいていく。

 

「シネ」

 

 メタリックはその巨大な足でドモンに向かって踏みつけ攻撃を仕掛けるが、ドモンは難なくかわす。

 

 メタリックに踏みつけられたコンクリートの床に大きくヒビがはいる。その威力は凄まじくもう同じ箇所に何度か攻撃すれば床に大穴が開くことになるだろう。

 

「ナニッ」

 

 戦闘用アンドロイドでありながら、ある程度の人工知能が搭載されているメタリック軍曹は驚く。内臓のCPUは今の攻撃を100%命中すると結果を出していたにも関わらず。

 

「パワーはなかなかのようだが、スピードがまるで駄目だな。当たらなければどうということはない」

 

 そんなメタリック軍曹のCPUの計算を裏切る超スピードで避けたドモンは冷静にメタリック軍曹の実力を分析する。

 悟空やドモンの胴体よりも太い腕から放たれる拳の連撃に軽々としたステップでかわしていくドモン。明らかに二人のスピードはメタリック軍曹より数段早かった。

 

「とりゃあっ」

 

 ガンッ

 

 メタリック攻撃を上に飛び上がって避けたドモンはすかさずメタリック軍曹の頭部に蹴り攻撃を行った。

 

「グッ」

 

 ドモンの一撃がメタリック軍曹の頭部を激しく揺らし、その背後へと押し倒した。床にメタリックの重い胴体が着地すると大きな衝撃音がなる

 

「・・・なんだ、こいつ。殴った時の感覚がいつもと違う・・・まさか・・・こいつの正体は」

 

 ドモンはメタリック軍曹を殴り倒した右手を見つめながら、先ほどの妙な違和感を感じていた。そして、それが先ほどの攻撃で確信へと変わっていった。このメタリック軍曹の正体に。

 

「ジャーン拳!グー!」

 

ドゴッ

 

 起き上がって再度攻撃をしようと準備しているところを悟空が追撃を行う。メタリックはかわす火まもなく悟空の強力なジャン拳の一撃にメタリックの装甲服がかける。

 

マッスルタワー最上階

 

「くっ、なんてガキどもだ。あのメタリック軍曹相手にして優勢に戦っている。」

 

 ホワイトは悟空とドモンの身のこなしやパワーに驚愕する。メタリック軍曹によって保たれていたホワイトの平常心がゆらぎ再び心に不安が増していく。

 

「シルバーがあいつらに敗れたのも間違いではないかもしれない。」

 

 ようやくホワイトはこの段階でシルバー隊が敗れたことを完全に認めることとなった。

 

「はい、間違いないでしょう。こうなったら、仕方ありません。バーサーカーシステムを発動させます。」

 

 今までホワイト将軍とムラサキ曹長の後方で戦況を黙って見守っていたゼロはホワイトに提案する。

 

「バーサーカーシステム?」

 

 聞いたことのない言葉に首をかしげるホワイト。その様子を見たゼロはホワイトが以前のメタリック軍曹の性能説明をちゃんと聞いてなかったことに憤りを感じるが、再び以前説明したように丁寧に手短に説明を行う。

 

「はい、端的に言えばバーサーカーシステムとは簡単にいえばドクターゲロが開発した人造人間の戦闘能力を何倍にも引き上げるシステムです。」

 

「ほう、それは頼もしいな」

 

「しかし、バーサーカーシステムにも欠点があります。」

 

 そこでいったん話を区切るゼロ。高度の兵器を運用する以上その長所と短所を理解していなければならないとゼロはかつてゴールド元帥から士官学校時代教わったことからその点を熟知していた。

 

「ほうっ、その欠点とはなんだ」

 

「はい、バーサーカーモードは数倍のパワーを得られる代わりに通常時とは比べ物にはならないほどのエネルギーを消費します。いわば、リミッターを外していますので、勝てるとしても長時間使用すれば使い物にはならないほどの損傷を受けるでしょう。そのため、運用においてのコスト面でよくありません」

 

「ふむ」

 

「バーサーカーシステムについてはよくわかった。とにかく、今は作動させるしかあるまい。手段や状況をを選んでいる場合ではない。」

 

 ホワイトは二人の動きに翻弄され、一方的にすり減っていくメタリックの姿を見て言った。このままバーサーカーモードとやらを使わなければメタリック軍曹がやられるのは誰の目にも明らかであった。

 

「バーサーカーモード発動!」

 

ムラサキはゼロから受け取ったメタリック軍曹の制御装置を操作しバーサーカーシステムを作動させた。

 

マッスルタワー三階

 

「ヴオオオオ」

 

「何だ」

 

 先程まで自分たちのスピードに翻弄され劣勢だった目の前の大男が咆哮を上げる。してよく見ると体が熱を帯びて高温の蒸気が吹き出し、筋肉が数段大きく肥大化していた。

 

「コロス!コロス!コロス!」

 

 先程以上の連打を悟空たちに行う。

 

「急に動きが格段に早くなった。」

 

 想定以上のパワーアップに対応をまだ完全に対応できずにいるドモンは一撃避けるタイミングを失い、ガードした。

 

「くっ、それにこのパワー。さっきとは比べ物にはならん」

 

 ドモンは素早くメタリックの攻撃を両手をクロスしてガードするが、それでもメタリックの攻撃の威力は大きかった。

 

「くっ、長期戦になればまずいかもしれない。ここは一気に決める」

 

 ドモンはそう考え一気に今いる三階中央部から後ろの壁まで下がる。

 

「俺のこの手が光って唸るぅ!」

 

 後ろへと下がったドモンは右手に全身の気を集中し収束させていく。集められた気はやがてドモンの右手を輝かせる。

 

「お前を倒せと輝き叫ぶ!」

 

 極限にまで高められた気が今にも放たれたようとする。そこへメタリックはドモンめがけて突っ込んでいく。

 

 そして、ついにシャイニングファインガーを解き放った。

 

「必ィッ殺ッッ、シャーイニング、フィンガアアァァァッー」

 

 メタリック軍曹はドモンのシャイニングフィンガーを両手で防ごうとシャイニングフィンガーを発動している右手を掴もうとするがドモンの右腕は微動だにせずまったく動かない。

 

「ヴオ!」

 

 機械でありながら人工知能があるメタリックはドモンのシャイニングファインガーを頭部に受けながら自分の次の運命を理解し、恐怖を覚えるが、次の瞬間その感情は永遠に消えることとなった。

 

「はああああ」

 

 ヒューンっドガッ!

 

 ドモンの言葉とともに収束した爆発と衝撃がメタリックの頭部に中心に炸裂した。

 

 衝撃音や爆発の煙が晴れるとそこにはメタリックの前にたつドモンと頭部と左腕を木っ端微塵に破壊され床に横たわるメタリックの姿が会った。

 

「ふうー」

 

 戦闘状態をときメタリック軍曹に背を向け、悟空の方へと歩いて行ドモン。その表情には勝利を確信した勝者の顔であった。だが、しかし、

 

「ドモンあぶねえ避けろー」

 

「はっ、頭部と左腕を破壊したのにまだ、動けるのか」

 

 悟空の叫びと同時にメタリックの再び動き出した気配を感じ咄嗟に回避するドモン。振り向いた後ろには残った右腕で攻撃しようとするメタリックの姿が会った。

 

「ドモン伏せろー」

 

 一撃目を避けられ二撃目をしようとするところに悟空の援護射撃が行われた。

 

「はあああああー」

 

 悟空はドモンを助けるべく咄嗟にメタリックへ向けてかめはめ波を放った。まっすぐとした弾道でかめはめ波はメタリックへと向かっていく。既に頭部がないはずのメタリックは避けることもできずかめはめ波がメタリックの右胸部と右腕へと命中し消滅させ、残った胸より下の下半身が再び床へと倒れた。

 

 上半身を半分以上吹き飛ばされた姿をみて今度こそ倒れたかと思われたが、

 

「やったか、いや」

 

「・・・!」

 

 先の悟空のかめはめ波と自分のシャイニングフィンガーを受けてなおも動こうとするメタリックに驚く

 

 だが、上半身半分と下半身だけとなりながらも立ち上がったメタリック軍曹。

 

 その姿でなお悟空たちに近づいていく姿はまさに神話に出てくるような不気味な姿であった。

 

 が、しかし、メタリックの執念ともいうべき行動は終わりを告げる悟空やドモンたちの数メートル手前で行動を永遠に停止したのであった。

 

「・・・」

 

マッスルタワー最上階

 

「動きが止まったぞ、どうしてだ!やられたのか」

 

 ホワイトは突如停止したメタリックの姿をみてメタリック軍曹のスペックに詳しいゼロに尋ねた。

 

「おかしい、バーサーカーシステムを使用したとはいえ、メタリック軍曹は全身の各部にある燃料電池が破壊されるか、電池切れにならないかぎりまだ動けるはずだが、たとえ、上半身が吹き飛ばされても下半身にある燃料電池でまだまだ動けるはずですが・・・それほどまでにあの少年達の攻撃が私の想定を超えていたのか・・・」

 

 ゼロは想定外の事態に原因がまだわからない様子であった。

 

「電池・・・まさか・・・しまったあああ」

 

そんな二人の前で倒叙絶叫をあげるムラサキ。

 

「どうしたムラサキ、何か心当たりがるのか。メタリックに何が起こったのだ。」

 

「はい、その・・・電池切れでござる。」

 

 言いにくげなムラサキはホワイトに向かって言った。

 

「えっ」

 

「電池切れでござる」

 

「そんなはずは、先日曹長に電池交換を頼んだはずでは」

 

 ゼロが問い詰めるように言った。

 

「実は・・・先日、マッスルタワーについてから電池交換するようにゼロ少佐から指示を受けていたのですが、拙者すっかり忘れていたのでござる。」

 

 ムラサキはやっちゃったぜと顔でごまかすが、

 

「「・・・」」

 

 ムラサキに説明したゼロは呆れるような顔して顔に手を当て、ホワイトは肩をぷるぷる震わせ今にも怒りを爆発させそうだった。

 

「ははっ、参ったでござるな、ははあっ」

 

 笑ってごまかすムラサキ曹長だったが、その場の空気は変わらない。

 

「参ったでござるでは済むかああ、何をしているさっさといって四階を守れ」

 

「了解でござる」

 

 シュンッと返事とともにつむじ風のように一瞬で消えたムラサキ曹長は四階へと向かった。

 

「我軍は容易ならざる相手を敵にしたようです」

 

「・・・」

 

 ホワイトは沈黙するカメラ越しの現実を。

 

(レッド総帥にこのことをお伝えせねば、いや、ゴールド元帥にも)

 

 ゼロは一方目の前の存在がレッドリボン軍にとって最悪の厄災になるのではないかと思い始めた。

 

マッスルタワー三階

 

つんつん

 

 完全停止したメタリック軍曹を悟空が指で突くが何の反応もない。

 

「こいつ、死んじまったのか」

 

 悟空がそう言うのが無理ではなかった、普通の生物なら頭と両腕を吹き飛ばされたのだ。しかし、ドモンはそれを訂正した。

 

「いや、こいつはロボットだから壊れたのほうが正しいな」

 

 ドモンは活動停止したメタリックの体から剥がれ飛び散った集積回路の基板を掴み言った。

 

「ロボット?」

 

 悟空はブルマ達とのドラゴンボール探しの旅や亀仙人のもとでの勉強などで様々なことを学び、ロボットというものが存在することは知っていたが、実物を見るのは初めてであった。

 

「ああ、こいつは戦闘用のロボットだ、つまり、機械の人間だな。それもかなり高性能のな」

 

「よくわからねえけど、強そうだな」

 

「俺の父さんや兄さんも人工知能を搭載したロボットを開発しているが俺も多少は知っているのさ。こいつは、父さんと兄さんが作った物に比べたら知能は劣るが、パワーは化け物だな」

 

「へーそーなのかー」

 

 全て理解したのかは分からないが悟空は両腕を左右に伸ばし十字架のポーズで感心するように言った。

 

(一応父さんの研究所にこいつの残骸を送っておくとしよう、何か研究の役に立つかもしれない。)

 

 後に送られたメタリック軍曹の残骸によってある一つの出来事が起きるのであるがまだ先の話である。l

 

「さて、四階に向かうぞ」

 

「おうっ」

 

マッスルタワー三階を守るメタリック軍曹を打ち破り四階へと向かう悟空とドモン。

 

次回に続く!

 

次回予告

 

メタリック軍曹を打ち破り四階へと進んだ二人に待ち受けるのは忍者ムラサキ曹長!

 

彼の怪しげな数々の忍術に翻弄?される悟空とドモン!

 

そして、二人の前に現れるメタリック軍曹を超える人造人間!

 

悟空とドモンはジングル村の人たちを救い、レッドリボン軍を倒すことができるのか!

 

次回ドラゴンボールGマスター武闘伝第十一話「強敵?忍者ムラサキ曹長現る!」にレディーゴー!

 

 




あとがき

 原作と違って悟空サイドには東方不敗やドモンなど有能な人物が多数いますので、敵であるレッドリボン軍側も強化していかなければなりませんので、今回メタリック軍曹にバーサーカーシステムを搭載させました。今回のメタリック軍曹は比較的あっさりとバーサーカーモードを発動しても敗れましたが、今後も量産型メタリック軍曹や他の人造人間にも搭載され悟空たちを苦しめることになるかもしれません。ちなみにバーサーカーシステムを開発したのはもちろんレッドリボン軍のドクターゲロです。

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