ドラゴンボールG マスター武闘伝   作:マスター亜細亜

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さてみなさん恐るべき戦闘兵器メタリック軍曹を破った悟空達はついにマッスルタワー四階へと進みました!

そして、今回悟空達を待ち受けるのはホワイト将軍の右腕忍者ムラサキ曹長!

悟空とドモンは忍者ムラサキ曹長の怪しげな忍術を破りジングル村をレッドリボン軍から解放することができるのか!

それでは、ドラゴンファイトレディーゴー!



第十一話 『強敵?忍者ムラサキ曹長現る!』

マッスルタワー四階

 

「ここが四階か」

 

 三階を守護していたメタリック軍曹を打ち破り四階へとたどり着いた二人。そして、彼らを待ち受けていたのは真っ暗な闇であった。

 

「なんだ、真っ暗でなにも見えねえぞ」

 

 二人が到達した四階は三階へと繋がっている階段から入る三階の照明がうっすらと入口付近を照らしているだけであり、五階へと繋がる階段は暗く近くには見当たらなかった。

 

「気をつけろ悟空!敵がどこから攻撃してくるかわからないぞ」

 

 ドモンは悟空に警告を出し敵の攻撃に対して身構える。暗闇の中であり、敵の地の利がある今用心するに越したことはない。そして、

 

ヒュンッヒュンッヒュンッ

 

 突如怪音を上げる物体が暗闇の中悟空たち前に現れた。

 

「わっ」

 

 暗闇の中悟空やドモンに向かって風を切り裂く音が聞こえ悟空達はその気配から自分たちに向かって敵意を持って飛んで来る飛翔物をかわす。

 

「はっ」

 

 ヒュンッヒュンッヒュンッ

 

 何度か同じような飛翔物の接近を交わすと攻撃は突如やんだ。

 

「大丈夫か、悟空」

 

「ああ大丈夫だ」

 

 二人はそれぞれ近くにあった岩のような物体に体を隠し周囲の様子を警戒しながら小声で会話する。

 

「なんだ、ここは、家の中に庭がある」

 

 いち早く目が暗闇に慣れてきた悟空は四階が屋外のような姿に気づいた。そして、思わず遮蔽物の岩から姿を出し数歩歩いた。うっすらと見える悟空の視界には、建物中に本来あるはずのない家や木々が存在していた。そして、そこへ向けてさっきとは異なる物が悟空に向けて投げられてきた。目の慣れてきた悟空はそれが包丁のように鋭利なものだと気づく。悟空はそれを知らなかったが投げられてきたものは忍者が良く使用するクナイや手裏剣であった。

 

タタタッシュッシュッ

 

 ムラサキから投げられた手裏剣やクナイが床にいきよいよく突き刺さった。

 

「よくぞ今の攻撃をかわした」

 

 再び攻撃が止むとどこからともなく男の声が二人に聞こえる。

 

「お前は誰なんだ」

 

 悟空が正体不明の敵に対して叫ぶ。

 

「ふははははっ」

 

 男の笑い声とともに四階上部の窓を閉めていたシャッターが上がりはじめ、すべての電灯が点灯した。

 

「この俺様は、死の使い、忍者ムラサキ」

 

 低い声が四階中に響くが依然として声の主であるムラサキの居場所を二人は見つけられない。

 

「どこだ、出てこい」

 

「よくこの四階までこれたな小僧ども。あのメタリック軍曹を倒したことはほめてやる。しかし、お前たちの快進撃もここまで、俺様に出会ったが最後貴様達は死ぬのだ」

 

 人工物で偽装されているスピーカーからムラサキは悟空たちへ向けて挑発する。

 

「死ねえっ」

 

 ドモンが後ろへ向いた瞬間ムラサキは隠れていたところから飛び出し、背中に背負った名刀ササニシキを抜き斬りかかった。だが、それをドモンは難なくまるで見えているかのようにかわす。

 

「くっ、これならどうだ」

 

 斬撃がかわされたとみるやすかさずムラサキは手裏剣攻撃に切り替えドモンに向けて無数の手裏剣を投げつけた。しかし、これもドモンは軽々とした動きで全てをかわしたのであった。

 

「何故躱せた」

 

 ムラサキは自身の十八番の技である手裏剣投げを軽々と避けられ驚く。彼は今まで この手裏剣投げで先手必勝一撃でレッドリボン軍にあだなす者を葬ってきたのだが、それを難なく交わし反撃してくる二人の実力に改めて認識した。

 

「今度はこっちの番だ」

 

 悟空はドモンに奇襲攻撃したムラサキに反撃に出るため突撃するが、

 

「俺の姿を見つけられるかな」

 

 自身に向かって突撃してくる悟空に対して、すかさずムラサキは二人にむけて煙幕弾を投げつけた。二人はすぐに煙幕の外へ飛び出すがすでにムラサキの姿はなかった。

 

 悟空は姿を消したムラサキを探しあたりを見渡す。すると、すぐにムラサキの気配を見つけた。

 

「そこだああっ」

 

 悟空は近くに落ちている小石を拾いムラサキの気配がする方向に向けておもいっきり力を込めて投げつけた。悟空の超人的な強肩によって投げられた小石は正確にムラサキの気配がする方向へと投げられた。

 

「痛えっ」

 

 悟空が投げた小石の投擲に思わず、声を上げムラサキは姿を表した。しばらくして、悟空によって受けたダメージが収まり悟空に居場所がわかった理由を尋ねた。

 

「なぜ、拙者の居場所がわかった」

 

「あんなのだれだってわかるさ」

 

 そういい悟空はムラサキが隠れるために使っていた小道具を指さした。悟空が指差した方向に合ったものは表に星条旗、裏を木の模様が描かれたムラサキの全身を隠すほどの大きさの布であった。

 

「あんな派手な柄ならすぐにわかるさ」

 

「しまった」

 

 ムラサキは絶叫を上げしばらくして落ち着くと正しい隠れ蓑術を悟空たちにレクチャーすると戦闘を再開し始めた。

 

「さっきは油断したが、今度はハイレヴェルな技で今度こそあの世送ってやる」

 

 気を取り直したムラサキは再び悟空たちから離れ一旦隠れようとするがこの時、ある物がムラサキの懐から滑り落ちた。このムラサキの懐から滑り落ちたものを悟空はすかさず拾い上げ確認する。

 

「なんだこれ」

 

 悟空が拾ったものはB5サイズの100ページほどの本であった。しかもそれはほとんどが若い女性の写った写真だけの本であった。

 

「うわあああ!それはああああ」

 

 悟空がムラサキのある物を拾ったことを知ると気配を消して隠れていた草むらから突然飛び出し慌てふためくムラサキ。

 

「ブルマくらいの女の裸が写ってる」

 

 悟空は拾い上げた本を適当に開くとそこには派手な色の下着を着けただけの若い女の姿があった。

 

「それを返すでござる」

 

 さきほどまでの攻撃時の動きよりも数段早い動きでムラサキは悟空の手から本を取り返そうとするが悟空もさきほどよりさらに数段早いスピードで避けていく。

 

 そんな二人の様子にドモンは何も言わず静観していたが、悟空の方からドモンへ声をかけられることになった。

 

「ドモン」

 

 悟空はドモンに声をかける。

 

「なんだ」

 

 悟空から何を言われるのかわかっているのか、ドモンの声に嫌な成分が含まれていた。

 

「亀仙人のじっちゃんやウーロンもこういうの持ってたけど何が面白いんだ」

 

 悟空にとって不思議で不思議でたまらない疑問をドモンに尋ねた。

 

「それは・・・」

 

 純粋無垢な悟空の姿にどう説明したらよいかわからないドモンは一向に悟空の問に答えられなかった。本当の事を伝えるべきか、うまくごまかすか。ドモンは苦心する。

 

「早く返してくれえええ」

 

 悟空がドモンに話しかけドモンが受け答えに苦悩する中、ムラサキは二人の間で敵である悟空に返してくれと懇願するムラサキ曹長。その姿には最初の威厳やシリアスさ等存在していなかった。

 

「・・・悟空」

 

 悟空から本を取り戻そうと必死に手を伸ばすが、悟空はわけがわからないまあmムラサキの攻撃もとい取り返そうとする手をやすやすと避ける。

 

「うん!」

 

「・・・それをあいつに返してやれ」

 

腕組みした格好でドモンはうつむきながら悟空に言った。ムラサキのあまり、いや見事といってもいいほどの哀れな姿に同じ男として同情し悟空に返すようにいったのである。

 

「返すの」

 

 悟空は再度確認する。

 

「ああ、とにかく返してやってくれ」

 

「うん?わかった。ほらっ」

 

 悟空はドモンからいわれ素直に応じ、雑誌をムラサキに向けて投げ返した。

 

「ああ、よかった。お主、憎き敵だがかたじけないでござる」

 

 悟空から返された本を大事そうに抱えムラサキはドモンに心から礼をいった。

 

「あんたの気持ちはわからんでもない」

 

 一方、正直この話をさっさと終わらして戦いを再開したいドモンであった。

 

「貴様らこれを見たからにはここから金輪際けっして生きては返さん」

 

 ムラサキは二度目の仕切り直しをおこなう。

 

「何だよ、いったいあれは」

 

 この場の状況がいまいち読み込めない悟空は思わずムラサキに向かってぼやいた。

 

「ウルサイナ」

 

 棒読みで応えるムラサキ曹長。ムラサキはその後タンアと宣言し限定本が戦いで再びうばわれないようにするため四階中心部にある自宅へ持って行き金庫へと保管した。

 

「あいつら何をやってるんだ]

 

「・・・」

 

 三人の謎の行動にカメラ越しではわからなかったホワイト将軍は首をひねる。一方、ホワイト将軍の一歩後ろでカメラ映像を見ていたゼロは四階で起きたことをその優れた頭脳により察し、黙り込んでいた。

 

「ふうーっ、もう少しで限定本が」

 

 悟空から取り戻した限定本に傷がついていないことを1ページ、1ページ確認し、安堵するムラサキ。

 

「何なんだ、いったい」

 

 悟空は相変わらず頭の上にクエスチョンマークを浮かべ言った。

 

「・・・」

 

 ドモンは最上階のゼロと同様に黙りこんでいる。

 

「ごほんっ、多少不覚を取ったがお遊びはここまでこれから、お前たちに本当の忍者の恐ろしさ見せてくれる」

 

 咳払いして無理やり仕切りなおすムラサキ曹長。

 

「・・・」

 

 ドモンもムラサキの戦闘の仕切り直しに同調し無言で構え直し対峙する。だが、そこへ悟空の追撃がはいった。

 

「ところで、ドモン」

 

 お互いムラサキに向けて構えんながら悟空はある疑問をぶつけようとドモンに話しかける。

 

「戦いに集中しろ、悟空」

 

 ドモンはムラサキを見つつ攻撃の構えのまま言った。

 

「忍者ってなんだ?」

 

「「・・・えっ」」

 

 マッスルタワー四階は一時の静寂へと包まれたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

十数分後

 

「というのが、忍者だ」

 

 説明が終わり、達成感のある表情をしているムラサキは言った。

 

「へええ、忍者って凄いんだな」

 

 ムラサキから聞いた忍者の話に素直に感心する悟空。

 

「当たり前でござるよ」

 

 ムラサキから忍者とは何か、忍道とは何かとたっぷり教えられた悟空は誇張込みのその話に感心していた。

 

「詳しくはこの本を後でよく読んで理解するように」

 

 懐から一冊の書籍を取り出し悟空に手渡した。受け取った本を見ると表紙には民明書房刊「本当の忍者の真実99」と本のタイトルは書かれていた。以下の文章はその本から抜粋した内容である。

 

 忍者(ニンジャ別名シノビ)とは超人的な能力を持つ暗殺者のことである。

 忍者はかつて東の大陸の先にあったとされる伝説の島国にて誕生した諜報機関の構成員が起源とされている。

 忍者はその自身が持つ類まれな才能と血の滲むような修業によって手に入れた忍法と呼ばれる秘術を駆使して、敵対する相手に対して、暗殺、諜報、破壊活動などを行うのである。

 また、忍者は特に数ある忍法の中でも変装術に長けており、特に一流の忍者となば、その変装した姿はまるで双子のように瓜二つの同じ姿になるだけでなく声や性格、血液型まで同じになれたとされている。

 なお、余談ではあるが、コスプレのイベントの起源が中世の貴族たちによる仮装パーティーがその起源とする説がこれまで一般的であったが、現在ではコスプレのイベントが始まった起源は忍者同士が自身の変装術を上達させるために集まったとする説が支配的である。

 また、西の都にて毎年夏冬に行われる濃魅華(コミケ)のコスプレのレベルが他の都のコスプレイベントより総じてレベルが高いのは、一部レイヤーたちの中に忍者の末裔達がおりその忍者の末裔たちがお互いに自身の変装術の技術を高め合うために西の都の濃魅華(コミケ)に集まって行っているからである。

 

 民明書房刊「本当の忍者の真実99」より抜粋

 

 話がそれたので本題に戻る。

 

「さて、こんどこそ確実に息の根をとめてやる」

 

 ムラサキは悟空とドモンに死の宣告を行い、武器を取り出す。

 

(殺す相手に本を渡すのはどうなんだ)

 

 ドモンは内心表情には出さないがムラサキの行動に首を傾げつつ悟空とともに戦いを始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 悟空たちとムラサキ曹長の戦いが本格的に始まろうとするなか、村長を助けて欲しいとお願いしたスノは悟空とドモンの無事を自室で祈っていた。

 

「あの二人、本当に大丈夫かしら」

 

 ガタッ

 

 突如スノの元に大きく扉が開く音がしてレッドリボン軍がまたやってきたのではないかと思い、不安になるが、すぐに出迎えて母親と会話する父親の声が聞こえほっと安心した。

 

 スノは身なりを整えると部屋を飛び出し両親の声がする玄関の方へと向かった。

 

「ただいま」

 

 スノは父親の顔を見て笑顔になる。

 

「お父さん」

 

 連日レッドリボン軍に徴用されて働かされ少々やつれた様子だが家族の存在が彼を支えていた。

 

「ご苦労さまです、お疲れでしょう」

 

 スノは父親に駆け寄り、母親は夫の労をねぎらいつつ、雪や寒さで濡れた防寒着を受け取り暖炉の近くで干した。

 

「子供がたった二人であのレッドリボンに」

 

 信じられないという顔で思わず口に含んだコーヒーを吹き出しそうになる。

 

「でも、あの子たちとっても強いのよ。」

 

 スノはそういい反論する。

 

「あのマッスルタワーにたった二人の少年が乗り込むなんて」

 

 希望に満ちた表情のスノに比べ、スノの父親は不安げな表情であった。実際に悟空とドモンの実力を知らない者にとってこれは至極真っ当な反応といえる。

 

「そういえば、ドラゴンボール捜索中にレッドリボンの兵士から変な噂を耳にしたよ」

 

 スノの父親は思い出した様に言った。

 

「どんな噂」

 

 スノは父親に尋ねた。

 

「なんでも、南の違うところでドラゴンボールを探していたレッドリボン軍の軍団が壊滅したらしい」

 

「国王様の軍隊かしら」

 

 母親は完成した夕食を運びながらそう言った。

 

「いや、何でも信じられない話だが少年二人によって数千人の兵士達が全滅させられたらしい。しかも、武器も持たず、銃の弾丸を避け、戦車を素手で投げ飛ばし、レッドリボン軍を全滅させたらしい。」

 

 一見ゴシップ記事以下の夢話だが、スノは昼間の二人の身のこなしを思い出し確信へと変わった。南の大陸でレッドリボン軍を壊滅させたのはあの二人であるということに。

 

「きっと悟空君とドモンさんのことよ」

 

 父親の方へ身を乗り出し希望に満ちた顔でそういった。すると、そうね、きっとそうだわとスノの母も賛同するように言った。スノの母も昼間の悟空たちのレッドリボン軍を倒した身のこなしや腕前を目の当たりにしてスノと同様にあの二人だと思ったのだ。

 

「スノや母さんがいうんだし、そうかもしれない、いやスノの言うとおりだろう」

 

 父親も最も信頼し愛する妻と娘の言葉や声から納得したようだ。

 

「だが、マッスルタワーには二つの怖い噂があると聞いたことがある。」

 

 夕食がある程度進んだとき父親ふと言った。

 

「怖い噂?」

 

「なんでも、マッスルタワー中にはレッドリボン軍のホワイト将軍によって二匹の怪物が閉じ込められているらしい。その二匹は邪悪な人間でも動物でもない巨大なおぞましい存在だそうだ。それに夜な夜なマッスルタワーの中から不気味な鳴き声が聞こえてくるらしい。そして、レッドリボン軍によって自由を奪われた怪物たちは凶暴性を増し人を襲えるのを待っているらしい。もし、そんな怪物に襲われればその悟空くんとドモンくんという少年も危ないかもしれない」

 

「そんな怪物があのマッスルタワーにいるなんて・・・そんな・・・」

 

 父親の話に恐怖のあまりスノは母親に抱きつく。

 

「祈ろう、その少年達の無事を・・・私たちにできることはそれしかない」

 

 父親の言葉にスノはうんと頷き母親から離れる。

 

「神様どうか悟空とドモンさんを助けてください」(悟空君、ドモンさん・・・無事に帰ってきて)

 

 スノは夕食が置かれているテーブルの椅子から降りマッスルワターがある方角の窓に向かうと手を組んでそう再び二人の無事を神様に何度も祈りはじめたのである。

 

 今の彼女にとって二人の無事を祈ることしかできなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

マッスルタワー四階

 

さらに十分後

 

「やられた」

 

 兄弟の最後の一人の次男もついに悟空たちに倒され、とうとう一人長男であるムラサキだけになってしまったムラサキ。隠れ蓑術、分身の術(?)、手裏剣の術、忍法畳返し、拳銃、等一部忍術とは関係ないが、多彩な技を繰り出しムラサキなりに死力を尽くして戦うが、その全てを悟空とドモンに難なく圧倒的な強さで追い詰めた。

 

「あまり、大したことなかったな」

 

 ムラサキの見掛け倒しのペテンな技や実力に不満気なドモン。実力や脅威度なら三階のメタリック軍曹の上であったと思った。

 

「こんなことが、なんというスピードとパワーだ」

 

 うろたえるムラサキはそこで起死回生策を思いだす。懐から最後の煙幕弾を取り出し悟空たちに投げつけた。

 

「また、煙幕か」

 

 スタタタタッ

 

 煙幕弾を投げた後、ムラサキは四階と五階の間に存在する空間に上がった、悟空たちもすかさずおムラサキが走っていったほうへと向かうとそこには猛獣を閉じ込めるような巨大な檻があった。

 

「目覚めろ、人造人間8号。あのガキどもぶっ殺すんだ」

 

ムラサキは備え付けてある操作端末を操作して檻の電子ロックを解除した。

 

ガチャッ

 

「・・・」

 

 人造人間8号と呼ばれた大男は電子ロックが解除された檻の中からゆっくりと巨大な特殊合金の檻から現れた。

 

「下の階にいたやつと同じくれぇでけえやつだなぁ」

 

 悟空は自身の三倍あるかと思える8号の体躯を見上げながら言った。

 

「あれが、人造人間8号だ。ゼロ少佐」

 

 モニター越しに映るムラサキや悟空たちの姿を確認しながら、ゼロ少佐に人造人間8号のことを説明する。

 

「父が開発した人造人間については全て資料を通して把握しているつもりでしたが、実物を見るのは初めてです。あれが、父が生きた人間をベースに初めて作った人造人間」

 

「貴官が知らないのも無理ない。なんせ、人造人間開発計画の詳細を知っている者は大佐以上の階級を持つ者か、我軍の科学者だけだからな。いくらドクターゲロの実の息子といえど、少佐の権限で全て知ることはできないのは当然だ」

 

 そう言うとホワイトは自分のデスクの引き出しからファイルを取り出し、ゼロに渡した。ゼロはホワイトから渡されたファイルに目をやると人造人間8号性能が詳細に記載されていた。

 

「将軍、どうして我軍で有機体ベースの戦闘兵器ではなく、完全な機械の戦闘ロボが選ばれたのですか。私は父はもともとメタリック軍曹の開発より有機体ベース人造人間計画を押していたはずですが」

 

 ゼロは試すようにホワイトに尋ねた。

 

「例えるなら、メタリック軍曹と人造人間8号は市販の高性能な大衆車と特製カスタマイズされたレース用のスーパーカーのようなものだ。8号を改造するのに既存のメタリック軍曹10機分の予算がかかっている」

 

「それに、レッド総帥やブラック参謀は自我、いや心を持った人造人間には否定的だ」

 

 人造人間8号のように元人間をベースにしたサイボーグは多額費用とコントロールの難しさからレッドリボン軍上層部によって難色を示されたため、ドクターゲロもスポンサーである軍に反対してまでできることではなかった。そのため、有機体ベースの人造人間開発経過うは限定的に続けられるもののとなり、主力はメタリック軍曹や後に完成するバトルジャケットのような兵器へと主力が行われることとなっていくのであった。

 

「・・・自我があることによる性能の向上よりも、命令に忠実な兵士の方が良いと上層部は考えておられるということですか、ホワイト将軍」

 

 ゼロはレッドリボン軍上層部、特にレッド総帥の考えを正確に看破した。

 

「貴官の推察の通りだ。我が軍、いやレッド総帥に必要な兵士は、喜怒哀楽を持ち合わせる機械人形などではない。命令に忠実に遂行できる優秀な兵士だ」

 

 ホワイトは言った。

 

「なるほど」

 

(やはり、噂通り総帥は猜疑心の塊のようだ)

 

 レッド総帥の猜疑心の深さ、人間不信の性格はレッドリボン軍の将兵の間では有名である。一度や二度の失敗であっても銃殺刑にしてしまうことで将兵の間では畏敬とともに恐怖の象徴でもあった。しかし、天才科学者ドクターゲロをスカウトしたり、ブルー将軍やシルバー大佐、バイオレット大佐などの有望な若手を登用し要職につけるなど人を見る目には一定の評価もあった。

 

「ふはははっこいつは強いぞ」

 

 鋼鉄よりも遥かに頑丈な特殊合金できた手錠をと足かせを外した姿を見てムラサキは高揚する。

 

「あの小僧どもにおまえの強さを思い知らせてやれ」

 

「・・・」

 

「さあっ、コイツらを殺せ」

 

 悟空たちに指を指しつつムラサキは命令する。

 

「・・・」

 

「何をしている俺様の命令がわからないのか」

 

「・・・これを外してくれ」

 

 人造人間8号の無反応に苛立つも手錠をはめたままでは満足に戦えないことに気づき手錠を解く鍵を探し始めた。

 

「あっ、そうかちょっと待て」

 

 ムラサキはカサゴソと探すが、

 

「ええっと手足の拘束具の鍵は、どれだっけ」

 

 懐から鍵を取り出そうとなかなかみつからない

 

「・・・もう、いらない」

 

 しびれを切らしたのか人造人間8号はムラサキは言った。 

 

「えっ」

 

 ムラサキは人造人間8号の言った言葉をすぐには理解できなかったが、

 

「ううううっ」

 

 唸り声とともに人造人間8号は自身の腕を拘束している手錠を破壊するために手に力を込める。

 

 ガシャンッ

 

 ほんの数秒で鋼鉄よりも硬い特殊合金の手錠を人造人間8号は粉砕した。

 

「見たか、こいつの力を」

 

「楽になった」

 

「こんどこそやってしまえ、ぶっ殺してしまえ」

 

「俺は嫌だ」

 

 ムラサキの命令から一瞬の沈黙の後、8号はムラサキの命令を拒否した。

 

「貴様!今なんと言った」

 

 ムラサキは激昂し8号に詰め寄る。

 

「俺戦いたくない、生き物殺すこといけない、悪いことはしたくない。」

 

「人造人間8号、それが瀕死の状態で助けてもらった我がレッドリボン軍対する態度か」

 

「ムラサキ曹長、俺の命を助けてくれたことには感謝している。だが、俺お前たちが村人達を脅して悪いことをしていることを知っている。それにこのマッスルタワーに村長のおじいさんを人質として監禁しているのも」

 

「それがどうした、貴様は生みの親であり命の恩人である我軍にただ従っていればいいのだ」

 

「できない、ごめんなさい」

 

 表情は変わらないが人造人間8号はうつむきムラサキに謝る。

 

「この出来損ない欠陥品が」

 

 ムラサキは口汚く人造人間8号を罵る。

 

「なんと言われても俺は悪いことはできない」

 

 頑なにムラサキの命令を拒否する8号。歯ぎしりしながらムラサキは人造人間8号の頑な態度は変えるため最終手段を取ること

 

「そこまでいうなら貴様の体内にある爆弾で貴様らもろともあいつらと一緒に地獄に送ってやる」

 

「おのれえええっ失敗作のアンドロイドが、かまわん、ムラサキそいつを破壊しろ!」

 

 ホワイトはカメラ音声機能をONにしてムラサキに人造人間8号を破壊するように直接命令した。

 

「はっ」

 

 ホワイトが見ているであろう監視カメラに向けてムラサキは一礼し再び人造人間8号の方をにらみ言った。

 

「やめろっ」

 

 悟空は叫びながらムラサキの持つ起爆装置を

 

「ふふっ覚悟は良いな」

 

「すまない」

 

 人造人間8号は抵抗しようとも、その場から動こうともせず、目をつぶり覚悟を決めた。

 

「やめろっ」

 

 悟空は叫び止めようとするが一歩間に合わない。

 

「もう遅い、貴様も道連れだ」

 

 ムラサキはリモコンを持っていない手で耳を塞ぎ起爆させようとする。

 

「いい加減にしろ」

 

「なっ!いつの間に」

 

背後からドモンの声が聞こえたムラサキは後ろに振り向くが、彼が最後に見たのは今までの戦闘の中で最も重く早い手刀の一撃が放たれる瞬間であった。

 

「うげっ」

 

 ドモンの重い一撃を受けたムラサキは一瞬で意識を失い、手に持っていた起爆装置を落とし冷たく固い床に倒れた。ドモンはムラサキが落とした起爆装置を素早く床に落ちる前に空中でキャッチしすかさず装置が起動しないように破壊した。

 

「あんなやつ、やっつけちゃえばいいのに」

 

 と悟空は言った。悟空から見てムラサキより人造人間8号の方が強そうに見えたためそう言ったのであった。実際に人造人間8号はメタリック軍曹よりも高性能な戦闘兵器としてドクターゲロによって改造されているため悟空の意見は間違いではない。

 

「ありがとう、でも喧嘩や暴力は良くない」

 

 8号は言った。

 

「そうか」

 

 ドモンは8号の非暴力の考えに理解を示す。

 

「あの階段から五階に上がれる。孫悟空とドモン・カッシュ、ジングル村の村長さんは最上階にいる。早く助けだしてやってくれ」

 

「ありがとう、人造人間8号」

 

「ありがとうな」

 

 二人は8号に礼をいい五階へと繋がる階段へと消えていった。

 

「・・・孫悟空・・・ドモン・カッシュ・・・」

 

 誰もいなくなった四階で人造人間8号は二人が登っていった五階への階段をしばらくまっすぐに見つめていた。

 

最上階 村長が軟禁されている部屋

 

 マッスルタワー最上階には司令室、通信室、火器管制室等の要塞でもあるマッスルタワーの中枢機能があり、村長が軟禁されている牢屋もこの最上階の一角にあった。

 

「村人たちはいつまで苦しまなければならないのじゃ。いったい、わしはいつまでここに」

 

 日が沈み、レッドリボン軍から提供された夕食を食べ終えた村長はすることもないのでベッドに寝ようとすると、サイレンが村長のいる階に鳴り響いた。

 

サイレンの音とともに村長のいる階は突如慌ただしくなり、最上階にいた数十名の兵士が武器庫から銃や手榴弾など思い思い武器を取り下階へと向かっていく。気になった村長は通り過ぎていく一人の兵士に声をかけた。

 

「なんじゃ、この慌てようは何かあったのか」

 

のんきな口調の村長の問いかけにある一人の兵士は簡潔に次のようにこたえた。

 

「敵襲だ」

 

 兵士はライフルを掲げながらそう村長に断言した。

 

「敵襲?」

 

 この村にそんな勇敢な若者や男達がまだいたかと考えるが、思い当たらず敵襲の正体あは新聞やテレビでしか見たことがないが尊敬する国王様の軍隊ではないかと思った。

 

「まさか、国王様の国王軍か」

 

 期待と希望に満ちた表情を浮かべ村長は兵士に答え求め聞いた。

 

「違う、さっき、夕食を持ってきたとき言っただろ。ガキ二人がマッスルタワーに侵入したと」

 

 村長は忘れていたがこの兵士が毎日食事を村長の元に運んでいる兵士の一人であった。

 

「そういえば言っておったな」

 

 思いの外美味しかった夕食を食べてすっかり忘れていたのであった。

 

「まったく、人質のくせに緊張感のないじいさんだぜ」

 

 村長の人質らしくない態度に思わず苛立ちよりも呆れる兵士。

 

「そのガキ二人がメタリック軍曹やムラサキ曹長を倒してすぐしたの階まで上がってきた」

 

「なんじゃと」

 

 続けて知らされる事実に村長は思わず飛び上がるくらい驚いた。

 

「あんな化物のような強さの者達を倒すなんて信じられrん」

 

「今度は俺達がそのガキどもの相手をするってわけだ」

 

 やれやれとことの重大さをようやく理解した村長を見て兵士はため息をつきなが言った。

 

「おい、なにそこでもたもたしている急いで下階に迎撃に向かうぞ」

 

 一人の兵士が村長に引き止められていた兵士に注意をした。

 

「すまねえ、このじいさんに絡まれてな」

 

「さあ、いくぞ」

 

 注意した兵士とともに村長に引き止められた兵士は進軍してくる悟空たちのいる五階へと向かっていた。

 

「さて、どうしたもんか」

 

 あたりに見張りもいなくなりこの狭い監獄に囚われている村長にできることは考える事か祈ることしかできない。

 

「村長さん」

 

 村長は声がした牢屋の外の通路の方へと視線を向ける。そこにいたのはレッドリボン軍の士官服を着た青年であった。レッドリボン軍がこのジングル村にやってきて一ヶ月あまりその間ずっと捕まっているため、このマッスルタワーにいる将兵の兵士の顔を知っていたが、この今目の前に現れた青年将校の顔は初めて見る顔であった。

 

「初めて見る顔じゃが誰じゃあんたは」

 

「私はレッドリボン軍のゼロ少佐です」

 

 人質に対してありえないほど穏やかな口調でゼロ少佐は名乗った。

 

「その少佐がわしになにようかね。ホワイト将軍には言ったがわしはドラゴンボールなんて隠し持っていたりしておらん」

 

 さんざん尋問されたことを思い出しながら嫌そうに村長は言った。

 

「違います。私はこれをあなたに渡そうと思いましてね」

 

 ゼロは牢屋の隙間からホイポイカプセルを一つ手渡した。

 

「これは」

 

 村長はゼロから渡された物を受け取り、部屋の隅にホイポイカプセルのスイッチを押して慣れない手つきで投げた。

 

DOKKAAAANNN!

 

 数秒後床に投げられ数回はねたときホイポイカプセルの開閉スイッチが作動し、煙とともに村長に前に現れたのはRBと描かれたベストとヘルメットであった。

 

「我軍の防弾ベストと防弾ヘルメットです」

 

 ゼロは村長がなにか言う前に手渡したものについて語りだした。

 

「なぜわしにこんなものを」

 

 ゼロ少佐から渡されたものを両手で持ちながらゼロに村長は言った。

 

「もうすぐこの最上階である六階も戦場になるでしょう」

 

 ゼロはそう断言する。つまり、今さっき村長の部屋を通り過ぎていった兵士達が敗れここまで侵入者がやってくると言っているのだ。

 

「その時あなたが戦闘巻き込まれた時のための保険です」

 

「なんじゃと」

 

「ここからも聞こえるでしょう多数の銃声の音が。私は無関係のあなたを巻き込みたくないだけです」

 

「おまえさんの言いたいことはわかったが、こんなことがあんたの上官のホワイト将軍にバレたら大変じゃぞ」

 

「あなたが心配することではありませんよ」

 

「じゃが」

 

「それに残念ながら、ホワイト将軍は十中八九私共々敗れるでしょう」

 

 平然と自軍と上司の敗北を言ってのけるゼロ。

 

「なぜわかるのじゃ」

 

 村長はゼロに問う。

 

「あなたは侵入してきた者の実力を知らない。侵入してきた二人は武天老師と東方不敗マスターアジアの弟子です」

 

 ゼロは言った

 

「なんじゃと、あの武術の神様の武天老師様と常勝不敗と言われる東方不敗マスター・アジアの弟子じゃと。それは本当か」

 

 村長の世代やそれ以前の世代の男性にとって武天老師や東方不敗マスターアジアは男なら武道をやっている者だけでなく誰もが知っている憧れの存在である。ジングル村の村長がその伝説の男の弟子たちがマッスルタワーに向かっていると知り、その様子から興奮するのも無理はなかった。

 

「とある信用できる筋から手に入れた情報です。間違いありません」

 

 ゼロはミケロ経由からウォンの持つ悟空やドモンの情報を知り今のマッスルタワーの戦力では勝てないことをその明晰な頭脳によって分析していた。

 

「ふむ」

 

「さて、長話になりましたね。私もそろそろ行きます」

 

 伝えることと渡す物を済ませたゼロはここから立ち去り戦いに出かけようととする。しかし、それを村長を止めようと引き止める。

 

「なぜ負けるとわかっているのに戦いにむかうんじゃ」

 

 短い時間であったが、村長は目の前にいるこの男悪い存在ではないと思うようになっていた。

 

「私はレッドリボンの軍人です。入隊した時点でレッド総帥とレッドリボン軍に忠誠を誓った身。たとえ負けるとわかっている戦いであってもです」

 

 言い終わるとゼロは村長のいる部屋の前から駆け足で走りだし悟空たちが進撃を続けている五階へと向かっていった。

 

次回に続く!

 

次回予告

 

メタリック軍曹に続き、ムラサキ曹長を倒した悟空とドモン!

 

ついに、最上階村長を人質に悟空たちを待ち受けるホワイト将軍!

 

快進撃を続ける悟空たちに差し向けられるホワイト将軍の切り札、ブヨン!

 

地下に閉じ込められた悟空とドモンはブヨンやホワイト将軍を倒し村長を救出できるのか!

 

次回ドラゴンボールGマスター武闘伝第十二話『爆発ブヨン!繰り出せ!超級覇王電影弾!』に

 

レディーゴー!

 

 




あとがき

改めまして新年あけましておめでとうございます。

今回の話でマッスルタワーの戦いも半分終わることができました。

書き終わってみてまともに戦うシーンがないことに気付きましたが、次回のブヨン戦ではついにドモンのあの大技が登場しますのでしばらくおまちください。

なお、話の間に民明書房刊が登場していますが、民明書房刊は存在する設定ですが、魁男塾の登場人物が出る予定は現在のところは未定です。出る可能性もありますが・・・
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