ドラゴンボールG マスター武闘伝   作:マスター亜細亜

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 第十二話の内容の筆が進まないので、息抜きがてら外伝作品を書いてみました。
 今回は、初のドラゴンボール×機動武闘伝Gガンダム×ジャングルの王者ターちゃんの多重クロスオーバー作品となります。基本的に本編にはあまり関係ない話です。


外伝 ジャングルの王者編
外伝第一話『帰ってきたジャングルの王者の巻!』


 

 

とあるジャングル(サバンナ)

 

 これは、レッドリボン軍壊滅後のお話。二人は次の天下一武道会開催までの三年間、東方不敗マスターアジアと亀仙人の提案で、世界中を回りながら修行の旅に出ていた。

 

「ここが、ドモンがマスターのおっちゃんと昔修行したジャングルってところなのか」

 

 見渡す限りの大平原の中、悟空はあたりの大自然を見渡しながら言った。悟空にとって、今日、はじめて訪れたこのジャングルは、昔、祖父孫悟飯が生きていた時から住んでいたパオズ山のように、自然に溢れたこの場所を居心地がよく感じていた。

 

「ああ、そうだ。なつかしいな……」

 

 ドモンは昔の事を思い出す。10歳で東方不敗マスターアジアの元に弟子入りしたドモンは、東方不敗マスターアジアの指導の元、この地で修行したことがあった。

 今日、この地を訪れたのは悟空とともに修行する目的もあったが、昔この地でお世話になった師匠の友人に会うために、この地へやってきたのであった。

 

バーンッッッ

 

 ドモンが過去の出来事を思い出してる時、一発の銃声が彼を現実へと引き戻させた。

 

「ドモン、鉄砲の音だ」

 

 銃声、彼がかつて師匠の東方不敗マスターアジアともに、この地で。修行をしていた時にも、よく耳にした音であった。それもこの地で聞く音の中で、最も、不愉快なものでもあった。

 

バーンッ、バーンッッッ

 

 再び、二人の耳に繰り返し、銃声が聞こえてきた。今度は、一発だけでなく複数発が二人のもとにはっきりと聞こえていた。

 

「それだけではない、多数の動物の悲鳴の鳴き声も聞こえる……間違いない!密猟者だっ!」

 

 銃声がした方に向けて自然と全力で走りだすドモン。そして、それを追いかける悟空。わずか、一瞬でジャングル最速のチーターよりも早いスピードで銃声が鳴った方向へと向かっていく二人。

 

「密猟者ってなんだ?」

 

 チーターよりも速いスピードで、森の中を駆けりぬけ、悟空は走りながらドモンに質問する。

 

「ああ、密猟者というのはな……」

 

 ドモンは悟空に密猟者の事を走りながら話し始めた。二人が現場にたどり着くまでの間にも、二人の耳には銃声が響いていた。

 

 一方、その頃、密猟者達は。

 

「ヒャッハー!動物は捕獲だあああ」

 

 世紀末ファッションの密猟者Aがご自慢のショットガンを振り回し、動物達に銃口を向け、引き金を何度も引いていく。そして、その都度、男の凶弾によって動物達は傷ついていく。

 

「逃がすな、宝の山だああああ、片っ端から撃ちまくれええ」

 

 ジープや一人乗りのバギーに乗った動物ハンター達は車越しにマシンガンやショットガンを逃げ惑う動物達に乱射する。

 

 密猟者達による地獄絵図はこのまま続くと思われた時、彼が現れた。

 

「待てえええっっ」

 

 ジャングル中に響き渡るくらいの透き通った大声が密猟者達に向けて叫ばれた。

 

「タッ、ターちゃんだああ!!!」

 

 密猟者Cが自分たちに向かってくるターちゃんを発見し、悲鳴混じりの声を上げる。

 

「また、痛い目に会いたくなければ、さっさと立ち去れええ」

 

 密猟者達に向けて警告するターちゃん。たとえ、相手がどんな悪人、無法者の密猟者であっても逃げるチャンスをあたえる。だが、

 

「かまわんっ…撃てっ」

 

 動物に向かってマシンガンをぶっ放していた密猟者の一人が走って近づいてくるターちゃんを発見し、ターちゃんにマシンガンを放つ。

 

「ジャングルの平和を乱すものは私が許さん、とおっ」

 

 前進しながらマシンガンの銃弾を余裕に避けるターちゃん。

 

「ターちゃんパーンチ!」

 

「うげっ」

 

 顔面にターちゃんパンチを受ける密猟者A。ターちゃんの重く強い一撃にその体が数十メートル吹っ飛ぶ。

 

「ターちゃんキック!」

 

 ターちゃんは太陽を背に大きく跳躍し加速をつけ密猟者Bに放つ。

 

「ぎゃあっ」

 

 腹部に密猟者Bもターちゃんの怒りの一撃をくらい悶絶する。

 

「ごめんなさいーもう悪いことはしませええんー」

 

 仲間の二人がターちゃんに現れた時のターちゃん以上のスピードで逃げ去る密猟者達。しかし、密猟者達は諦めず毎日やってくる。たとえ、今日来た密猟者達が二度とやってこなくても、また、違う人間がやってきて違法な密猟を始めるだろう。ターちゃんにとってジャングルの動物たちの平和を守る仕事に終わりはない。だが、ターちゃんはけっして諦めずジャングルの王者として動物たちを守り続けるだろう。人間たちが変わるその日まで……。

 

「ジャングルの平和を乱す者は私が許さないのだ」

 

 ちなみに、密猟者達が残した自動車や銃の残骸は後でターちゃんが回収し、ジェーンによって資源として売却されジャングルの動物や自然の保全活動に必要なお金として使われている。

 

「お久しぶりです、ターちゃん。」

 

 密猟者達によって傷ついた動物たちを介抱していたターちゃんにドモンは話しかけた。動物たちの鳴き声と密猟者の銃声に気づき、急いで駆けつけたドモンと悟空であったが彼らが辿り着いた時に彼らの目の前にはターちゃんによって蹴散らされる密猟者たちの姿だった。

 

「あっ、誰かと思えばドモン君じゃないか。お久しぶりなのだ」

 

 最も信頼する友の弟子の姿を見て笑顔になるターちゃん。

 

「ところで、マスターは」

 

 ターちゃんと東方不敗マスターアジアは、長い付き合いの友人であった。年齢、生い立ち、違う二人であったが自然を愛する気持ちで二人は共通し、すぐに友として意気投合し友人として付き合っていた。

 

「はい、師匠とは今別れてこの悟空と共に修行しています」

 

 ドモンはこれまでの経緯をターちゃんに説明する。天下一武道会のこと、レッドリボン軍との戦い、それから二人で修業の旅に出たことなど。

 

「そうなのか、大へんなんだなー。あと、マスターと会えないのは残念なのだ」

 

 ドモンの説明を聞き、少し寂しそうなターちゃん。

 

「オラ、孫悟空だ。よろしくな」

 

 悟空が二人の話が一通り済んだと思い、ターちゃんにいつも調子で自己紹介をした。

 

「悟空君か、よろしくなのだ」

 

 固く握手をする悟空とターちゃん。今初めて会ったばかりの二人であったがこの握手でもう友達になったようだ。

 

 その後、悟空とドモンはターちゃんの動物達の介抱を手伝った後、ターちゃんの家へと向かった。

 

 

 

 

 

 

「ここが、私の家なのだ」

 

 自宅についたターちゃんは紹介する。

 

「ターちゃん!」

 

「誰だ、おめえ」

 

 声がする方に悟空が振り向くと、そこには、ターちゃんと同じくらいの年齢の若い黒人男性が立っていた。

 

「小僧、俺はウポポ族最強の戦士、アナベベ。そこにいるターちゃんの唯一にして最強のライバルだ」

 

 マッスルなポーズでアピールする。民族衣装やその筋肉隆々の姿から見た目には強そうに見えた。

 

「へえー、そーなのかー」

 

 悟空は両腕を横に真っ直ぐと伸ばして言った。素直にアナベベが言った事を信じた様子だ。

 

「今日は何のようなの、アナベベ」

 

 ターちゃんは密猟者達がやってくる前に、ヂェーンから命じられた洗濯をこなしながら、アナベベにやってきた目的を尋ねた。

 

「MAXやケルベロスのやつらを倒してから数ヶ月、俺はターちゃんおまえと今日こそ俺との決着をつけにきた」

 

 アナベベは熱い思いを込めて言った。

 

「ええーっ、まだ、今日のヂェーンの服の洗濯とトイレ掃除とヂーェンのデザートの果物調達が終わってないから、無理なのだ」

 

 毎日家事とジャングルの動物たちや自然を守る、多忙なターちゃんにとって、アナベベと相手する暇はあまりない。

 

「ターちゃん、男と男の真剣勝負より家事を優先するつもりか!」

 

 ダイヤモンドの鉱山を見つけ、成金となり戦士としての誇りを忘れかけていたアナベベであったが、その後、西派32門派のトーナメント、MAXやケルベロスとの戦いを経て、昔の戦士としての精神を取り戻していた。

 

「ヂェーンに怒られるのは怖いのだ」

 

 ターちゃんにとって、最も怖いのはMAXの改造人間でも、密猟者でもない。怒った時の愛する妻のヂェーンであった。

 

「ええい、一瞬で片をつけてやる」

 

 戦闘態勢に移るアナベベ。その全身からは戦士としての闘気があふれだす。それを武道家である悟空やドモンは、表情を変えアナベベの戦士としての矜持を理解する。

 

「仕方ないなあ…どこからでもかかってくるのだ、アナベベ」

 

 やれやれ顔のターちゃんは洗濯を中断し、立ち上がりアナベベの攻撃に身構えた。

 

「では俺からいくぞ!……アナベベスペシャルダイナマイトパンチを喰らえっ、ターちゃん!」

 

 要するにただの物凄い威力の右ストレートのパンチである。だが、強い事には変わりない。

 

「ターちゃん、喉が渇いたわーお茶持ってきてえええ」

 

 アナベベの攻撃に集中していたターちゃんの声に妻ヂェーンの声が届いた。だが、アナベベの攻撃はヂェーンの声とは関係なく、拳をターちゃんに向けて更に加速し振り放つ。

 

 ヒュンッ

 

「はい、ただいま」

 

 わずか一瞬、ほんの数秒後に姿を消したターちゃんは湧いたお茶が入った湯呑みを載せたお盆を持った姿で現れた。ターちゃんは戦闘態勢を解きヂェーンの元に向かっていった。

 

「くっ、やはり、ターちゃんには勝てないな」

 

 アナベベにとってアイアンマスクとの戦い以前からわかっていたターちゃんの実力について。今の自分では勝てないことを。だが、一人の戦士アナベベとして彼に挑み続ける自分を。

 

「まてええぇーっ!」

 

 再び、アナベベとは違う男が現れた。

 

「その声は!」

 

 アナベベが一番先に声が聞こえてきた方へと振り返る。

 

「ターちゃんの最強のライバルはこの俺、ヤジロベー様だ」

 

 再び現れた男、それは、なんとヤジロベーであった。

 

(また、変わったのががきたな)

 

 ドモンは口に出さず思った。

 

「また、貴様かああ。このチビデブ、ターちゃんに対抗できるのは俺か、梁ちゃんかマスターのおっさんぐらいだぜ。おまえさんには無理だ」

 

 先ほどまでのシリアスモードからギャグモードへと戻った、アナベベは、小馬鹿にするような口調とジェスチャーでヤジロベーに対して言った。 

 

「なんだと、こんにゃろー」

 

 それを聞いたヤジロベーは、激昂しアナベベと取っ組み合いの喧嘩をターちゃんの家の前で始めた。

 

「まったく、脳筋バカしかここにはこないわね」

 

 外の馬鹿騒ぎと全然お茶が来ないことに、痺れ切らし家の中でくつろいでいたターちゃんの妻ヂェーンが家の前に現れた。

 

「あっ、ヂェーン」

 

 ターちゃんは言った。

 

「また、あのバカ二人ね。」

 

 予想通りの展開に呆れるヂェーン。彼女にとってあの二人の姿はいつものことであった。

 

「そうなのだ」

 

「いいから、ターちゃんとそっちの二人、中に入りなさい」

 

 この場にいる比較的常識人であるヂェーンは自分の回りにいる男共を見てため息混じりに思った。そして、ほっときなさいとドモンと悟空に言い、家の中へと招き入れたのであった。

 

「私は名前はヂェーン、ターちゃんの美人な奥さんよ」

 

 客間の部屋でヂェーンと悟空達は簡単な自己紹介をした。ヂェーン悟空の目の前にいる女性は、片目ウインクして言った。また、西の都のトップモデル時代に培ったポーズを二人に披露した。ポーズは女性に疎い、ドモンから見ても見事なものであったが、そのポーズをとっている本人の姿はまるで豚のようなまるまると太った、いや、とてもふくよかな金髪の美しい女性であった。

 

「お久しぶりです、ヂェーンさん」

 

 改めて、ドモンはヂェーンに再会の挨拶をする。

 

「オッス、オラ悟空だ!」

 

 ドモンに続き悟空も続いて、ヂェーンに自己紹介をした。

 

「ドモンちゃんもしばらく見ないうちに、結構いい男になったわね。それに悟空君ね」

 

 ドモンの幼かった頃を知るヂェーンは嬉しそうに言った。

 

「ありがとうございます」

 

 ドモンは礼を言い、軽く頭を下げた。

 

「さ・て・と……ターちゃん二人にお茶でも出してあげて。あと、私のも入れなおしてきてね」

 

 ヂェーンはターちゃんに言った。

 

「はいなのだ」

 

「なんだ、久しぶりに戻ってみれば、随分賑やかだな」

 

 ターちゃんがお茶を入れなおそうと立ち上がった時、再び、ターちゃんに会いに来た第三の男がやってきた。

 

「その声は」

 

 数ヶ月ぶりに聞こえた声にターちゃんは声の相手が誰なのかすぐに気づき、笑顔になる。

 

「梁師範」

 

 ターちゃんや悟空、ドモンの前に現れた新たな男。その名は、西派白華拳最高師範、梁師範であった。

 

 次回に続く!

 

次回予告

 

 ドモンと東方不敗マスターアジアのかつての修行の地に訪れた悟空!

 

 そこで悟空が出会ったのは、ジャングルの平和を守るターちゃんと愉快で頼もしいターちゃんファミリー!

 

 お互いに友好を深める中、彼らターちゃんやジャングルの動物達を狙う悪の手が迫る!

 

次回ドラゴンボールGマスター武闘伝外伝第二話

「ジャングルの平和を守れ!ターちゃんファミリー再集結!かめはめ波VS百歩神拳!」にレディー…ゴー!

 

外伝設定集

 

ウポポ族

 アニメ版では、登場しないアナベベの設定ですが、本作では唯一原作ジャングルの王者ターちゃん設定として登場します。なお、ウポポ族及びそのウポポ語は諸事情により登場しません(書いてみたい誘惑もありますが、出したら、Rー18タグつけないといけませんので……)

 

アフリカ(ジャングル)

 アフリカ大陸は存在しませんが、大陸の西のとある地域、ターちゃん達が住んでいるジャングルがある地域がアフリカと言う名で呼ばれているとしました。

 

ヂェーンの経歴

 原作のニューヨークのトップモデルから、本作では西の都の元トップモデルとしました。

 

梁師範と西派拳の発祥

 本作では中国がありませんので、武泰斗の弟子(亀仙人や鶴仙人以外のピッコロ大魔王襲撃後生き残った)の一部が、立ち上げた拳法となっています。そのため、流派として亀仙流や鶴仙流と似ている部分が多くあります。

 

コーガンファミリーとラスベガスのホテル

 拠点は、ラスベスガスではなく西の都で暮らし、西の都でホテル経営をしています。

 

シーマ達、ヴァンパイア一族の行方

 ダン国王の事件の後、世界どこかのとある場所で、ヴァンパイア王国再建のため頑張っています。

 

MAXやケルベロスの末路

 本作でも、アニメ49話同様、ターちゃんファミリーに破れ、その後、両組織は中の都の中央軍によって全員逮捕されました。また、アニメ本編では、ケルベロスはMAXから、資金提供を受けていましたが、本作では、MAXの上に、さらに、ウォン・ユンファのWYコーポレーションやレッドリボン軍がスポンサーとして資金面や人的資源の提供が行われていました。

つまり、WYコーポレーション=レッドリボン軍>MAX>ケルベロスの関係性です。

 そして、その見返りの一つとして、ケルベロスによって蓄積された改造人間やクローン人間の製造技術は、ドクターゲロの兵器研究でのデータとして提供されたりしました。

 なお、一部の有能な科学者は、ウォンユンファによってスカウトされ、逮捕を免れた者もいます。

 

ヤジロベーの登場について

 なんとなく、ターちゃんファミリーにいても違和感ないなかなと思い登場させました。アナベベ枠そのに2ぐらいの立ち位置となっています。

 

ペドロ、エテ吉の登場について

 次回登場します。




あとがき

 時系列としては、ドラゴンボールはレッドリボン軍壊滅から第二十二回天下一武道会の三年間の間の出来事で、ジャングルの王者ターちゃんサイドはアニメ49話から数ヶ月後に起きた出来事となっています。レッドリボン軍壊滅とMAX、ケルベロスの壊滅もほぼ同時期に起きた事件です。
 なお、アニメ全話視聴プラスWIKIの知識しか知りません。近いうちに原作も読んでみたいと思っています。
また、次回の更新は本編第十二話を予定しています。

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