それではドラゴンファイトレディーゴー!
第七話『動き出す野望!進撃のRB軍』
RB軍本部
大陸の西側森林地帯にレッドリボン軍の本部基地が存在する。この地域の地図上には記載されている。一方のこの地を訪れるものはレッドリボン軍関係者を除いてほとんど存在しない。年に数回程度事情を知らない一般人がレッドリボン軍の所有地に誤って侵入してしまい問答無用で撃墜されている。また、レッドリボン軍と敵対する中央政府や他の軍組織からの攻撃や偵察を受けるが今だ成功した組織はいなかった。
しかし、誰もが恐れるレッドリボン軍の本部を訪れる男が現れた。
「ようこそおいでになられました。ミスターウォン。」
その男の名はウォンユンファ、世界的大企業WYコーポレーションの社長である。レッドリボン軍の総帥レッドに対等の関係で会える数少ない人の一人である。
「ブラック参謀、お久しぶりですね。」
専用のプライベートジェット機から降りるとすでに着陸ポイントにて待機していたレッドリボン軍のNo.2の実力者ブラック参謀と軽く挨拶と握手をした。ブラック参謀、レッドリボン軍総帥の補佐官として実質的に組織全体を動かしている男だ。身長190CMを超える長身の壮年の黒人男性でありレッド総帥よりも部下や兵士たちから恐れられている。
「さて本日はどのようなご用件で」
自分よりも20CMほど小柄な男を首を上から見下ろしながら言った。一見ブラックの目の前にいる青年は軍人であるブラックや青年の一歩後ろにいるウルベイシカワとかいうSPとくらべてもひ弱に見えるが、ブラックのような軍人とは違うオーラを持っていた。それもブラックが今までレッドリボン軍の軍人として何十年も仕事をしていくなかでこの男は最上級のものであると感じていた。
「そうですね、ここでおはなしても問題はないのですが、ぜひレッド総帥閣下に真っ先にお話したいと思っています。」
世界最悪最強の軍隊と言われるレッドリボン軍の総帥にアポなしで突然訪問したのだ。よほど重要な案件でなければ迷惑でしかない。ウォンのようなVIPでなければ銃殺されても文句はいえない。
「そうですか、わかりました。それでは、さあ中へどうぞ。ミスターウォン。レッド総帥がお待ちです。」
ブラックは納得は行かなかったがやはりウォンの前でこれ以上突っ込むのはやめた。
(相変わらずこの男何を考えているかわからぬ)
ブラックやレッドリボン軍の立場からとしてはウォンユンファはレッドリボン軍にとって有益な人物であるが、一方油断ならぬ相手であることをブラックはこれまでの関係で感じていた。
(だが、油断ならぬ男であることは確かだ)
ウォンが支配するWYコーポレーションは世界有数の大企業でありカプセル関連の世界シェアはカプセルコーポレーションに次いで世界第二位である。また、軍事部門では世界でトップシェアでありその得意先には中央政府の国王軍から反政府ゲリラまでに兵器を手広く厚く販売している。無論レッドリボン軍もWy社の最大の顧客であった。
そしてここにいるウォン・ユンファこそWYコーポレーションをわずか十年あまりで地方の財閥企業から世界最大の企業へと成長させたのがこの男だ。今だ実年齢30前のこの男はブラックと20歳近く年齢が離れているが侮ることはできないとブラックに初めて出会った時から感じさせていた。
そうこうするうちにしばらくしてレッド待つ部屋へとウォン一行はブラックの先導のもとレッドが待つ部屋へとたどり着いた。
「こちらです」
先導してきたブラックがノックをシて扉を開けるとそこには一人の男が座っていた。赤髪に眼帯の威厳のある顔を持つ背の低い男がいた。その名はレッド総帥、レッドリボン軍の支配者である。また、彼の膝の上には彼のペットの猫のように見える生き物がウォンを睨みつけていた。黒猫とコウモリを掛けあわしたようなその容姿はウォンの目から見てかわいさは感じられなかった。この生き物をレッドはかわいがっているらしい。
(相変わらず異色の組み合わせですね)
普段のビジネススマイルを崩さずウォンは思った。そんなウォンの心も知らずレッドはウォンに話しかけた。
「ミスターウォン、良くきてくれた。さあ座ってくれ。」
一見フレンドリーに対応するレッド総帥だが、内心この急にやってきた面倒な客人に早く帰ってもらいたい心境であった。ウォン・ユンファはレッドリボン軍にとって最も友好的で有益な人物であったが、一方でWY社やウォンの力や影響力は将来レッドリボン軍にとって脅威になるではないかと思うようになっていた。この点でレッドとブラックの考えは共通認識であった。
ウォンがレッドの対岸の席に座り一言二言の社交辞令を話した後、早速ウォンは話し始めた。
「それでは単刀直入ではありますが、レッド総帥、ドラゴンボールという物をご存じですか?」
ウォンは早速本題であるドラゴンボールの話をした。
「ドラゴンボール・・・ブラック貴様は知っているかドラゴンボールとやらを?」
レッドは少し自分の記憶の中を探すが知っていなかったため彼の知恵袋であるブラックにドラゴンボールのことを尋ねた。自分にない身長を持つ忌々しい(うらやましい)男であるが軍人や組織人として有能なことはさすがのレッドも理解していた。
「はい、確か・・・この世界のどこかに存在する七つのドラゴンボールを全て集めると龍が現れ、どんな願いも一つ叶えてくれるという不思議な球の話だったと思います。」
「ほうっそんな話があるのか」
ドラゴンボールの話に興味を持ち始めるレッド総帥。
「・・・しかし・・・。」
「しかし、何だ」
ブラックの態度に不審げにレッドは尋ねた。
「はい、ドラゴンボールとはあくまで昔話、出所が不明の伝承の域にすぎない話です。」
ブラックはあくまで伝説などの古い作り話と断言した。
「失礼ですが、ミスターウォンあなたはそんな荒唐無稽な話を信じておられるのか。」
ドラゴンボールのような与太話のためにレッドリボン軍総帥に会談しにきたのかと怒りが湧いてくるブラックが言った。しかし、そんなブラックの心を見透かしたようにウォンは話した。
「ブラック参謀、あなたが信じられないのも無理はない。それではいくつかドラゴンボールが存在する証拠をお教えいたしましょう。」
「証拠とは?」
この時点でレッド総帥もブラック参謀両者とも一ミリ信じていなかったがウォンの次の説明で場の流れが変わった。
「ええ、まず昨年、突如世界中が真っ暗になった日を覚えていますか。数分の出来事でしたがまるでその時だけまるで太陽がなくなったように。」
「ああ、覚えています。原因は不明だったと」
レッドとブラックは思い出しながら相槌をうつ。その出来事はレッドやブラックも体験した不思議な出来事だったが実害がなかったためこの二人にかかわらず世界中のほとんど人間が忘れかけている。レッドやブラックもウォン言われたことでようやくこの出来事を思い出した。
「はい、世間では現代の科学では解明できない超常現象と片付けられすでに人々の記憶から消えつつあります。一部の科学者たちの間では太陽の異常活動など人類滅亡などいろいろ説があるようですが我が社はその原因を解明することが出来ました。」
我々だけが真実を知っていると断言するウォン。
「それで、その原因とは」
食い入るようにレッドは次の言葉を急かした。
「こちらです。」
ウォンは自社製のタブレットをウルベに取り出させた。タブレットが起動されすぐにドラゴンボールから神龍が現れているシーンが映し出された。動画が始まり砂漠の中に場違いな巨大な城の前が立っていた。そしてそこには全長数百メートルもの巨大な龍が映し出されていた。これはウォンの所有する偵察衛星によって取られた映像や画像であった。
呆然と画面を見つめる二人、一瞬これはCGなどではないかと疑うが、ウォンがそこまでして我々をだます理由もないと思い実際に起きた出来事なのだろうと考えた。
「また、映像や画像だけでは不十分でしたのでこの映像に映っている城の主を調べてみました。何らかの形でドラゴンボールと関係していると思いましたので」
「そして、調査の結果この城の持ち主はこの地方の富豪のピラフという男でした。ピラフは我々の独自の調査の結果以前よりドラゴンボールについて研究しており昨年ドラゴンボールを探すために有効なドラゴンボールレーダーを自ら開発してドラゴンボール集めを始めたようです。」
淡々と話しをしていくウォン。それをじっと聞いているレッド総帥とブラック参謀。
「結果的にピラフはドラゴンボールの龍を呼び出すことはできたようですが、同じく同時期にドラゴンボールを集めていた集団に妨害され願いを叶えることができなかったようです。また今も再びドラゴンボールを探しをはじめたようです。」
動画とウォンの説明が終わり腕を組んで考えるレッド総帥。そして、ウォンはドラゴンボールについて書かれている資料や独自に開発してできたドラゴンレーダーの設計図をレッドたちに譲渡すると言った。これらの行為にRB側は疑問を持った。
「しかし、一つ疑問があるのですが」
ブラックはウォンに尋ねた。
「何ですか?」
ウォンはフランクな声で応えた。
「なぜわれわれにドラゴンボールの情報を教えたのですか。しかもそのドラゴンボールのレーダーの設計図まで無償提供まであなたは・・・」
ブラックの疑問も無理はなかった。巨万の富や権力、永遠の命などなんでも願いが叶えることができることができるといわれるドラゴンボールのことを今のところなんの見返りもなく
「ビジネスとしての貴軍への投資とでも思っていただければいいかと、あなたがたは我々にとって大切なお得意様ですからほんのささやかなプレゼントですよ。」
表向きの理由をウォンはブラックに言った。ウォンとしてもちろん本当の理由を話すはずはなかった。
「たったそれだけの理由とは思えませんが。」
ブラックはウォンの答えに納得が行かない様子でウォンの真意を探る。だが、
「それだけですよ。」
「ブラック、ミスターウォンにはミスターウォンの思惑があるのだろう。それくらいにしておけ」
レッドはブラックのウォンへの追求を制止した。
「・・・わかりました、総帥。」
頭を下げ一旦退くことにしたブラック。だが、いずれその目的を暴いてやると心に誓った。
「うむ、わかればよい。」
ブラックの反応にレッドにとってこの大男のブラックを自由に操ることができることは彼の自尊心を満たすのであった。
「それでは、ミスターウォン堅い話はこれくらいにして別室で一席設けてあるが、どうかな。」
レッドはウォンに誘いをかけるが、
「いえ、残念ですがこれから別の予定がありますのでこのあたりで帰らせていただきます。」
ウォンは丁重にお断りした。
「そうか、残念だ。」
とは言うものの面倒な男にはさっさとこの場から退場してもらいたいと思っていた。そのため、ウォンの返事は渡船であった。
そして、ウォンは部下とともに部屋を退出した。
「行ったか。」
「はい。」
ウォンが立ち去ったドアを見てレッドは言った。ブラックからの返事を確認するとすぐさまブラックに指示を出した。
「ブラック、すぐに我が軍の最高幹部たちを本部に召集しろ。ドラゴンボール収集についての会議を行う。また、ウォンから受けとったドラゴンボール探知装置設計図を元に科学者共に早急に開発するように命じろ!」
レッドが慌ただしく部下たちに作業を始めていく中ウォンの乗ったジェット機はレッドリボン軍本部基地から飛び立っていった。
ウォン専用ジェット機内
ウォンが乗った自家用機はすでに速度を上げ上昇し高度一万メートルを飛行しており、窓からは美しい青い空のみが見えていた。そんな風景をウォンは眺めながら思考にふけっていた。そんな彼に対してウルベが話しかけた。
「今回もうまくいきました」
ウォンと対面の席に座っていたウルベが言った。
「そうですね」
答えながらウォンはウルベに彼の手元にあった一本の高級なウイスキーとグラスを手に取り適量を自らグラスに注ぎウルベのもとに手渡した。ウルベは一言礼と会釈をして一口くちに含み今日の成果について話し始めた。
「事前の性格調査通りあの小男はドラゴンボールの事にうまく食いつきました。」
今回のレッドリボン軍との会談はウォンだけでなくウルベから見ても満足の行く結果となった。レッド総帥は思惑通りドラゴンボール探しにこれから躍起になって探すことになるのだからだ。ある長年の願いを叶えるために。
「今頃、躍起になって全軍を動かし始めているでしょう。もしもですが彼の願いが叶えられた時の部下の皆さんの思いを考えると笑えてきますよ。」
純粋にこころから笑うウォン。レッド総帥の願いに。
「まったくですな。」
ウルベも追従し言った。レッド総帥の願いはウルベやウォン、ブラックなどレッドから恵まれている者にとってに理解できないものだから。
「後は収穫する時期を待つまでこちらで誘導するだけです、もちろん、それまでの監視は十分に必要ですが。」
「相変わらずあなたは恐ろしい人だ、ミスターウォン。私がレッドリボン軍の軍人ならあなたとは敵でも味方でも相手をしたくない相手です。」
ウォンの片腕として最も近いところで働いているウルベが一番この男の恐ろしさを理解していた。
「以前にも君に言ったかもしれませんが、私は味方や敵対するにしろ。主役になる気は毛頭ありませんよ、ずっと黒幕として人や世界を動かしていきたいと思いますね。」
ウォンの最終目的、野望を知る人物はこの時点で知っているものはウォン自身だけであった。今日の会談によってレッドリボン軍がどのような運命をたどるのか。
三日後 RB本部
「諸君、よく集まってくれた。」
レッド総帥の緊急召集の元に世界各地に展開していたレッドリボン軍の将軍や大佐たちが集まった。今や世界中に展開している最高幹部たちがレッドリボン軍本部の一室に集められた。会議室中央にレッド総帥がおり、その両サイドには、レッドリボン軍No.2ブラック参謀、実戦部隊の長ゴールド将軍が並んでいた。そして、次のようなメンバーが集まった。
レッドリボン軍最高幹部会議参加メンバー一覧
レッド総帥
ブラック参謀
ゴールド元帥
ホワイト将軍
ブルー将軍
シルバー大佐
イエロー大佐
カッパー大佐
バイオレット大佐
グレイ大佐
ブラウン大佐
科学者代表
ドクターゲロ
など以下数十名がレッドリボン軍の幹部たちがこの会議に集結した。
「諸君ら、レッドリボン軍の最高幹部を全員集めたのはドラゴンボールというボールを探してもらうためだ。」
ブラックは言った。ブラックが言い終わると兵士たちがウォンから渡されたボールの資料を幹部たち一同に配った。
また、ブラックの口からも先日ウォンから受けた説明をまとめた内容が話された。
ドラゴンボールの存在に一同驚愕した。
「これさえあれば、世界我らレッドリボン軍の物だ。」
シルバー大佐はレッドリボン軍への忠誠心から心から思った。
「ドラゴンボールこのようななものが実在するとは・・・」
ホワイト将軍は資料を何度も読み返しては驚愕する。
(ふふっ、どんな願いも何でも叶えてくれる素敵なボールねぇ。私も機会があれば使ってみたいものね。それにしてもドラゴンボールの事を教えてくれたのがあのなかなかいい男のミスターウォンとは、何か裏がありそうね)
ブルー将軍はポーカーフェイスで資料に目を通し思った。
全員に資料が配られ五分ぐらいの時間が経った頃、ブラックは全員が内容を理解出来た思い続き話を始めた。
「諸君ひと通りドラゴンボールについてわかってもらえただろう。今回集まってもらったのはこのドラゴンボールを全軍をもって捜索してもらう。」
次にドラゴンボールの必要なレーダー開発について話となり代表者が呼ばれた。
「ドクターゲロ、研究部の現状報告を行ってくれ。」
科学者の代表者であるドクターゲロと呼ばれた男がすぐに立ち上がった。ドクターゲロ、多数の優秀な科学者団を有するレッドリボン軍中でも最高の科学者であり世界でも五本の指に入る天才科学者(ブリーフ博士、ライゾウ・カッシュ博士も同じく含まれる)であった。しかし、多くの科学者の間ではドクターゲロは天才的な才能は認めながらも陰湿でマッドサイエンティストなドクターゲロの事を嫌っていた。しかし、ブリーフ、カッシュ両博士が認めるほどの才能をレッド総帥がスカウトしたのであった。ゲロにとっても自由に膨大な資金や資材で研究に没頭できるレッドリボン軍は渡りの船であっため二つ返事で了承したのであった。
「はい、ドラゴンボールレーダーに関しましてはすでに開発をすべて終了し、一つ目の大型レーダーを組み立て作業を行っております。数日中には設置が完了し稼働させることができましょう。」
ドクターゲロは自信げに言った。
「よくやったぞドクターゲロ」
レッドが言った。
「そして、以前より私が主導で行ってきた戦闘用ロボット開発計画の第一段階であるメタリック軍曹の開発を成功いたしました。」
「「「おおーついに」」」
歓声が上がる。それも一人や二人ではないこの場にいた多く者がだ。
「本日ここにおられる皆様方にわかりやすく知ってもらうため次の映像でメタリック軍曹の強さをここにいる皆様に理解してもらうためのとある実験を行いました。」
「どのような実験なのだ。」
ホワイト将軍が身を乗り出すように発言した。ちなみにレッドリボン軍の人造人間部隊を推進しているのがこのホワイト将軍であった。そのためメタリック軍曹を始めとする人造人間計画に対しての情報をすでに知っていた。今回この人造人間軽買うを成功させることによって軍内部での地位を上げるための工作に必死であった。また、ホワイトの強い要望によりメタリック軍曹の試作壱号機の配備はホワイトの部隊となっている。これは研究開発をしたいドクターゲロと軍内部での発言権が欲しいホワイトの思惑が一致した結果によるものであった。
「はい、単純な実験です。メタリック軍曹の性能実験です。軍曹の性能を発揮させるために100人の人間とある島で戦わせました。」
「100対1だと。」
周囲から驚きの野次が飛ぶ。
「はい、しかもただ100人ではありません。格闘家、凶悪犯罪者、世界各国のテロリスト、我軍の軍機違反を行った兵士など戦闘能力が高い者達を集め彼らにそれぞれメタリック軍曹を倒したものには金や自由を与える条件戦わせました。無論、我軍の兵士たちが使用している武器も十分に与えました。」
「さすがにメタリック軍曹でも難しいのではないかな」
メタリック軍曹の性能に懐疑的な者が発言した。
「皆さんの疑問も最もです。それではこちらの映像を見ていただきましょう。」
ドクターゲロは手元に持っていた小型端末を操作した。すると会議室の中央にスクリーンが現れ、部屋の照明が消された。やがて、スクリーンに映像が映し出され始めた。映像の冒頭にレッドリボン軍のマークが現れた後、すぐに実験映像が流れ始めた。
そこに映された映像、時間にして数十分に過ぎない編集されたものであったがこの部屋にいた一同にとって想像以上のものであった。
メタリック軍曹の圧倒的なパワー、どんな攻撃にも耐えうるボディー、残酷に無残に死んでいく戦士たち。まさに阿鼻叫喚の地獄絵図であった。世界最強最悪の軍隊レッドリボン軍の幹部たちでさえ驚き恐怖を覚えるほどの内容であった。
「メタリック軍曹なんて強さだ。」
(強いのは確かだけど美しくないわね)
ブルーはメタリック軍曹の実力を認めつつも思わず思った。この映像を見て各々様々な反応を示した。レッドやブラックはドクターゲロの研究結果に満足そうな表情、バイオレットは興味が無いようで無表情、ホワイトやイエローなどは素直に驚いているなど様々であった。
「素晴らしい成果だ、ドクターゲロ。君のお陰で我レッドリボン軍が制する日も大きく近づいたことだろう。」
レッドはドクターゲロに賛辞を送った。レッドが話した後続いて他の幹部たちも呼応してドクターゲロの研究成果を賞賛し始めた。
「ありがとうございます、レッド総帥。」
うやうやしく頭を下げるドクターゲロ。
「引き続きメタリック軍曹の開発や例の人造人間開発計画に勤しんでくれ。」
「はい。」
ドクターゲロ深く礼をして自らの席へ戻り着席した。
その後数時間の時間をかけてドラゴンボールを手に入れるための作戦会議が行われた。
そして、最後に、
「諸君、ドラゴンボールを手に入れ世界のすべてを我らレッドリボン軍が手に入れるのだ。」
レッドは会議の最後の締めくくりとして鼓舞するように言い放った。
「「「レッドリボン軍万歳!レッド総帥万歳!」」」
この場にいる全員がレッドの言葉に呼応して起立して叫んだ。
(ドラゴンボールさえあれば私の長年の夢を、どんなに金や権力を持って手に入れられなかったあれが手に入る!)
部下や幹部たちが何度もレッドに対して敬礼や万歳をする中レッドの野望への欲望は膨らんでいった。
数週間後
大陸の東の某所、レッドリボン軍シルバー隊臨時司令部
北はホワイト将軍、南はブルー将軍、西はイエロー大佐、そして、東の方面でドラゴンボールが探知された場所にシルバーの部隊が派遣された。
数千、数万の兵士や数えきれないくらいの軍用車両や重機が一つのドラゴンボールを見つけるために人海戦術で探索していた。
ドラゴンボールがあると思われる場所、森や草木が焼かれ、人家を壊されていった。しかし、一向にドラゴンボールが見つかる気配や手がかりが見つからなかった。
「言い訳はいい。さっさとドラゴンボールを見つけろ。」
ガタッ、シルバーは無線機を叩きつける勢いで置いた。この日もシルバーの部隊は無作為に本部のドラゴンレーダーに表示された付近を探すが見つかる気配はなかった。
「まったく、時間も人員も足りん。」
簡易用の椅子に座るとシルバーは上着の懐からライターとタバコの箱から一本取り出し火をつけ吸った。じっくりと深く吸い込んだ後大きく煙を体外へと出した。
ふぅぅー
一本のタバコを吸い終わったところでシルバーの気分を少し和らげるが、すぐにシルバーを不愉快にさせる出来事が起きた。それは、
コンコンコン
シルバーが今いる司令室の扉を誰かが三回ノックした。
「入れ」
シルバーはドアの向こうにいる人物に向かって言った。
「失礼します、シルバー大佐」
扉を開けて入ってきたのは彼の副官の中佐であった。
「何のようだ」
ドラゴンボール捜索がなかなか進まないためシルバーは不機嫌さを隠さずに言った。広い世界から手のひらに収まるサイズのボールを探さなければならないことと本部からのドラゴンボール捜索への
「はい、大佐に面会したいと者が」
簡潔に副官は用件を言った。
「素性はわかっているんだろうな」
「はい、本部からの通行証を所持しております。また、本部にも確認済みであります。」
副官は片手で持っていたファイルをシルバーに手渡した。そこに入っていた一枚の書類には彼の尊敬するゴールド元帥やブラック参謀のサインもあり間違いなく本部からの本物の書類であった、
(ミケロチャリオット?聞いたことのない名だ、本部からの使者?俺への監視役か?ドラゴンボールを見つけられない俺へのあてつけのつもりか?)
シルバーは突然にやって来たこの男の事について思考する。そして、副官がミケロを呼びに行く前にミケロはシルバーの部屋に現れた。赤髪で長髪前髪が鶏の鶏冠のように逆立っているまた、青いジャケットに赤のトゲトゲがついたショルダーパッドが着用している派手な印象の男だ。それに、表情をシルバーに向かって不適の笑みで見ていた。
「貴様はいったい誰だ」
すでに書類を目を通して知っていたが改めて突然彼の前に現れたミケロに言った。
「もう知っているとは思うが、俺の名はミケロチャリオット。ウォンの旦那に頼まれてあんたの補佐をしにやってきたのさ。もちろんあんたのとこボスの許可もとっているよ」
荒っぽいが要点はしっかりおさえて話したミケロ。
「そうか」
ミケロの態度にどんどん苛ついていくシルバー大佐。
(まったく、こんなやつを俺の元に派遣してくるとは上層部はいったい何を考えているんだ。)
シルバー大佐のミケロに対する印象は最悪の評価であった。あのウォン・ユンファの使いであることからそれなりに有能な人物であることは思ったが、ミケロの末端の二等兵よりもだらけきった態度、もし、ミケロがシルバーの部下の一人であったのなら彼の愛用の拳銃の引き金をすぐに引いていただろう。
「ミケロといったな、いるのはいっこうにかまわんが俺の任務を邪魔することは許さん。例え、ミスターウォンの使いであってもな」
釘を刺すようにシルバーは言った。
「へへっ了解」
ミケロの言葉にはまったく敬意はなくのらりくらりとした感じであった。ミケロの態度はシルバーの不信感や悪印象をますます悪化させる一方であった。
「ふんっ」
その後、シルバーはミケロにシルバー隊内での身分証を手渡し、ミケロを司令室からすぐに退場させた。そして、しばらくしてドラゴンボールについて情報がシルバーの元に報告された。報告を受けたシルバーは副官に指示を出し大規模捜索の手配を始めた。
「総員に告ぐ、各自指定された配置につき出撃に備えよ。」
シルバーの号令のもと基地内にスピーカーとサイレンがなり瞬時にすべての兵士が慌ただしく動き始めた。
基地からサイレンとともに大勢の兵士、戦車、そして戦闘機の群れが出撃していった。
数千の兵士や戦車が地表を前進していくたびに地響きが起き、雲海の如くいる戦闘機の編隊が空を覆っている。
これらが目指すものそれはひとつのドラゴンボールであった、レッド総帥の命令の元彼らは前進していくのであった、次回に続く!
次回予告
みなさんおまちかね!
世界各地でドラゴンボールを探すレッドリボン軍!
一方、天下一武道会で戦った悟空とドモン達はドラゴンボール探しの旅に出たのであった!
次回ドラゴンボールGマスター武闘伝第八話『掴み取れ、七星球!』に
レディーゴー!
あとがき
更新が前回よりも時間が空いてしまって申し訳ありません。
今回は師匠や悟空達はいっさい登場しませんでしたが、次回から再び活躍することになります。
原作やアニメでは触れられなかったレッドリボン軍がドラゴンボールを探し始める理由を書いてみました。また、この世界ではメタリック軍曹はドクターゲロによって開発された物としました。そのため、原作より、強化される予定です。
RB軍メンバーにオリキャラが数人登場しましたが活躍させるかはまだ未定です。
第八話以降も頑張りたいと思います。