転生憑依アイル君は南雲原に入学するようです 作:中谷真之
サッカーに関してはずぶのド素人ですので、試合描写は軽めに行きます。また、サッカーについて、ここおかしくね?とか間違ってるくね?みたいなところがあっても、そこは超次元ってことで堪忍してくだせぇ……
曇らせタグ追加しました。必要だと思ったタグは随時追加予定。
ジュニアリーグ大会の地区予選。グループ形式で各グループ4チームによる総当たり戦が行われる。
俺は今、その最終戦のピッチに立っている。この試合に勝てば、俺達のグループ1位通過が確定する。つまり重要な試合ということだ。
スコアが0-0のまま後半20分を迎え、フィールドには緊迫した空気が満ちていた。
「マイボ!」
「ほいっ」
呼び声がした方に、ボールを蹴る。俺の放ったボールは、敵選手の隙間を上手いこと縫ってチームメイトの元へと届く。うん、我ながらいいスルーパスだ。
このパスが通ったことにより、チームの前線は大きく上がる。相手選手をどんどんと抜き去り、ゴール前にまであっさりと到達、そのままシュートモーションに入ろうとするが……
「いただき」
「っ、いつのまに!」
選手の死角から、どこからともなく、ぬるりと現れ颯爽とボールを奪い去る相手選手の一人。気配を全く感じ取らせないプレーとは裏腹に、彼の放つオーラは周りを圧倒する。
そう、彼こそが俺の大親友、円堂ハルである。
彼のオフポジションを使った隠密なプレーは本当にすさまじい。素であれだけの存在感を放つプレイヤーが、完全に気配を消すなんて、一体どれだけ器用なんだこいつは……
「ま、俺もできるけどね」
俺の存在にミリとも気付いていないハルの背後を取り、ボールを奪取する。意趣返し大成功。
「なっ……へへっ、それでこそアイルだ」
一瞬あっけにとられるハルだったが、すぐにターンし、競り合いにくる。ボールを前に運びつつ、ハルからのアプローチを躱していく。間合いの取り方とかボールをかすめ取りに来るタイミングが絶妙に嫌で、なんというか、言葉を選ばずに言うならキモイ。競い事においてのキモイは褒め言葉である点については、留意が必要だ。
「ん、やっべ」
気付がつくと俺は、ボールを保持したまま相手ディフェンスに囲われてしまっていた。ハルとの小競り合いに夢中で完全に意識が逸れていた。これはチームゲームなんだ。いやでもハルと足元で勝負するとき、一瞬でも気ぃ抜いたら速攻で負けるからなぁ。どうしても視野が狭まってしまう。
さて、状況は結構まずい。俺を中心に完全なる包囲網が出来てしまっている。普通のプレイヤーならば、これはボールを奪われる他ないシチュエーションだ。が、しかし、俺は円堂ハルのライバルの園崎アイルだ。なんとかしてみせよう。
まず手始めに、このままではボールを奪われてしまうのでとりあえず上に蹴り上げてボールを逃がす。
「ほっ」
そんで、天高く上がったボールに向かって、俺も飛ぶ。そんで、ボールが最高到達点に達したタイミング、俺の足がいい感じの位置にあるので、そのまま振り下ろしてシュート。
「ふんっ!」
んー……俺はいったい何をしているんだろう?これは本当にサッカー?でも、すごく楽しいし……まぁいっか!!!
上空から放たれた俺のオーバーヘッドシュートは、重力を味方につけ、途轍もないスピードで相手ゴールへと突き刺さる、キーパーごと。怪我しないでね。
綺麗に着地を決め、余裕の表情でゴールパフォーマンスを披露しようとしたところ、駆け寄ってきたチームメイトたちにぶっ飛ばされて阻止された。
「アイルー!!お前やっべぇぇぇぇ!!!」
「天才かぁ!?天才だったわ!!!」
「ちょ、重いっす……」
ちょっと、重なってこないでください。重いです。あんたたち年上だから。純粋なウェイトに差がありすぎるから。
「やっぱアイルはすげぇなぁ……。よーっし、俺も負けてられないぞ!」
「ハル、感心してくれてるところ悪いんだけどちょっと助けて」
しつこいなこの先輩たち!
◆
「いやぁ、勝った勝った。今日もアイルがバケモンだったなぁ」
「あの囲まれた状況からの天空オーバーヘッド、痺れたわ」
「どうもどうも」
試合後のミーティングが終わり、帰り道の方角が同じチームメイト数人と帰路につく。すると、 皆が寄ってたかって俺のことを褒めてくる。はー気分よ。
「流石、円堂ハルのライバルだな」
「このバケモンにタメ張ってくる円堂ハルって一体何者なの……」
「そりゃお前、生まれ持った身体能力と親譲りのサッカーセンス、日本最高峰のサッカープレイヤー円堂守やその仲間達が間近にいる環境で生まれ育ってきた正にサッカーモンスターそれが円堂ハルに決まってんだろ?」
「おお、すごい喋るじゃん。へぇ、円堂ハルってそんなに凄い人なんだ。じゃあ、そんな円堂ハルとやり合ってるアイル君って本当におかしいんだね」
「ああ、本当におかしい」
「本当におかしいっすよマジで」
「え、イジメですか?」
「褒めてるだろ」
「言い方ってもんがあるでしょうが」
この人達と話してると、なぜかイジられ役に回されがちだ。このチームで一番強いのは俺なのに、なんでなの?……しかし、俺のことをこんなにも雑に扱ってくれるチームメイトは正直ありがたい。雲の上の存在みたいに扱われて一枚壁を作ったような対応をされるよりかは全然マシだ。そういう点では、俺はチームに恵まれていると思う。
べらべらとくっちゃべりながら帰路を辿っているとその時、ズボンのポケットに入れていたスマホが振動した。このバイブレーションのパターンはメッセージアプリのものだ。誰からの連絡だろう、この時間帯であれば父さんか母さんのどちらかの可能性が高いが……。
スマホを取り出し、画面を点灯させる。ロック画面の一番上に表示されるウィジェットを確認すると……父さんからだ。えーっとなになに……『今日は、父さんも母さんも家に居ません。なので───え?
「ん、どうした?アイル」
「……ゲ、ゲン、どうしよう俺」
「えなに、なんかマズイことでも起きたか?」
「い、今から、円堂守に会うらしい……!」
「は?」
「ちょっと待ってどうしよう心の準備できてないんだけどえまって、え?どうすればいいのこれ?ねぇどうしよう」
「おう分かった一旦落ち着け。えーっと、つまり、どういうことだ?」
「今日おれんち両親が居なくてさ、で、うちの父さん母さん過保護だからさ、俺を家に一人にするわけにはいかないって言って、ここから近い人の家に泊めてもらるよう、保護者の方にお願いしたらしくて……」
「その泊めてもらう家って言うのが」
「円堂家だったってこと?」
「そう!そういうことですどうしましょうこれ。待って本当に理解が追いつかない。ん、なんで?もおおおお父さん!?なにしてんの!?」
「すっげぇな、ここまで慌ててるアイル初めて見たわ」
「おもろいっすよねー、こいつ」
緊急事態である。由々しき事態である。俺は円堂守ガチファンボーイなんだよ。落ち着いていられるかこんなの。
あー、やばいどうしよう既に緊張してきた。父さんのメールによると、この先の交差点でハルが待ってくれているらしいが……あ、居た。
ハルもこちらに気づいたようで、満面の笑みでこちらに手を振ってくる。俺も、なんとか笑顔を作って手を振り返すが、顔が引き攣っている自信しかない。
「アイル!今日うちに泊まってくって本当!?」
「あぁうん、多分ほんと」
「よっしゃー!じゃあさじゃあさ、家帰ったら一緒にビデオ見ない?アイルと一緒に見たい試合あるんだー!昔の日本代表のやつなんだけどさ……」
◆
「ただいまー!」
「お、おじゃまします……」
着てしまった……円堂宅。イナイレがド世代の俺からしてみればここは聖地。俺が足を踏み入れていいような場所じゃない気すらする。
靴を脱いで、揃えて置いて玄関からあがる。渡り廊下を少し歩いたところにある扉、あそこがリビングだろうか。扉越しに映る室内は明るく、電気がついていることが分かる。ということは、あそこに居るってことだよな……
「緊張してきた……」
「そんなに硬くなんないでよ。とっちゃん、別に怖くないよ?」
「そういう問題じゃないよぉ……」
「えー?……っと、ただいまー」
ハルが扉を開いた先には、思った通りの、見覚えのあるリビングが広がっていた。そして、見覚えがあるどころか懐かしさすら感じる顔立ちの男性が、リビングのソファに座っていた。
「おう、おかえりハル。そっちの子は……」
目が合った。あ、すごい、本物だ。本物だよこれ。なんか、すごい苦労を重ねてそうな老け方してるし、M字が広い気がしなくもないけど、円堂守だよこの人このお方!とりあえず、挨拶しないと。
「あっ、えっと、園崎アイルです!今日はお宅に泊まらせていただけるということで、父の仙次郎の方から連絡が行っていると思うのですが……」
「おお、君がアイル君か!ハルからいつも話は聞いてるよ。息子と仲良くしてくれて、どうもありがとう」
「そんなっ、とんでもないです!」
「はは、緊張すんなって」
無理言う……。心臓吐き出しそうなぐらい緊張してしまうのは、不可抗力であろう。だって、あの円堂守だぞ?俺たちの青春なんだぞ?
心拍数がえげつない事になってる俺をよそにハルは、靴下を脱ぎながら今さっき俺たちが開いて閉じた渡り廊下へ繋がる扉のノブに手を掛けていた。
「俺、DVD探してくるよ」
「えっ」
「あ、おいハル、先に手洗えよー」
「わかってるよ、とっちゃん」
そう言って、ハルはリビングを出ていってしまった。
……えーっと?まさかの1on1マ?ただでさえ緊張して目も見れないのに?いきなりタイマンですか?いや冗談キツいっすよ……。
ハルはもう別の部屋に行ってしまったしすぐに戻ってくることなさそうなので、これは覚悟を決めて会話をするしかなさそうである。なんてこった。
「にしても、ハルの言ってた通りだ。随分としっかりした子だなぁ。うちのハルにも見習ってほしいよ」
「いやそんな、俺なんてまだまだですよ」
「敬語の次は謙虚と来るか!君、本当にハルと同い年なのか?」
同い年です(大嘘)いや、嘘なんてついていないですけど?ただ、前世の記憶含めたら成人男性並みの人生を生きているだけです。
リビングを見渡してみると、円堂世代の雷門サッカー部の集合写真や、FFの優勝トロフィーなんてものまで飾ってある。すげぇ……。
あてか、サイン貰わなきゃ(使命感)
「あ、あの!俺、本当に円堂さんのファンなんです!円堂さんが中学生の頃のFFとかFFIの試合からプロになった後の試合まで、映像に残ってるものは全部見るくらいマジで大ファンで、それで、あの……」
後ろに背負っていたカバンを前に回して、ガサゴソと音を立てながら漁る。たしかカバンの奥に突っ込んであったはず……
「えーっと……あった!これ、サインお願いしてもいいですか!」
俺が取り出したのは白黒の新品のサッカーボール。ちょうど都合よくリュックに入っていて助かった。
「あぁ、もちろん!」
「ペンはこれで」
「お、サンキュー。…………よし、書けたぞ」
「ありがとうございます!うぉぉ、すげぇ……家宝にします!」
「ははっ、大袈裟な奴だな。でも、そうだな、それくらい大事にしてくれるってんならこっちとしても嬉しい限りだ」
「っ、はい!超大事にします!」
円堂守の名がサインされた新品のボール、円堂さんからそれを受け取り、なるべく慎重にカバンの中にしまう。傷一つ付けないようにしなくては……。
園崎アイル:前世での最推しを目の当たりにし無事限界化。サインを貰ったボールは自室に神棚を作って祀っている。
円堂ハル:初めて友達とお泊りでウッキウキ。かわいいね。
円堂守:言わずとしれた初代主人公、ストーリーで初登場した時、いかにも苦労人って感じの顔付きをしていて作者は少し切なくなった。
ゲン:オリキャラ。アイルのチームメイト。1話でやけにませてた奴。名前は昔エタッたイナイレ二次創作の主人公から取ってきた。今後の出番はあるかもしれないしないかもしれない。
なんと2話目にしてお泊りデート回、後編へ続く……!
円堂親子のエミュがむず過ぎて筆が激止まり中です、今週中の更新を目指しますが、なかなか投稿されない場合でも、決してエタっているわけではないので、こいつ悩んでてワロタ、くらいの気軽なノリでお待ちいただけると幸いです。
また、作者は承認欲求モンスターのため、感想評価お気に入りに目がありません。いただけるとモチベに直結します。
追記:アンケートあります。よろしければお答えください。当方、恋愛大好きマンなのですが、この作品に限ってはヒロインっているのかなぁ……と迷ってしまったので、ぜひ皆様のご意見お聞かせください。
この作品にヒロイン居たらどう?
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うれしい
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うれしくない
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いらない