「……」
黙祷、雨の中封鎖された中学校に不吉をまとった人間が、カラーコーンとポールに囲われだ場所に花束を置く。
「……」
中学校の名前は折寺中学校、本来緑谷出久と爆豪勝己という物語の中枢を担う、主人公とそのライバルの学び舎である。だが今はもう、主人公もそのライバルもここにはいないのだ。
「少しいいかね」
「…貴方もですか?」
「ああ、私は無個性でね、ニュースを見ていてもたってもいられなくなったんだ」
やせ細ったスーツを着た男。同じく花束を持って黙祷に来ている。
「……今でこそヒーロー飽和社会、けど私の時代はそうはいかない、そして珍しくも無個性は多かった。わた、オールマイトが日々駆け回り平和をもたらしても、小さな悪意は摘み取れない………ああ、すまない私は八木俊典というヒーローを補佐する仕事をしている」
「
「それは…何処かに相談したほうが……」
愚痴のように己に言い聞かせるように、この自殺を止められなかったことに対する言葉を紡ぐ八木俊典、そして本来いるはずのない人間、白黒表裏、この二人の出会いは緑谷出久という歯車が外れて、回らなかった歯車が、回ってはいけない歯車がまた新たな回り方を始めた。
「いや……発動自体はできる…けど制御はできない、そしてこの自殺はヒーロー社会の認識のズレからなるものだと思う、一個人のヒーローが止められることではない。なんせ精神の歯車はそれこそ時計のように簡単に歪み壊れていく。ヒーロー=強固性、これを払拭、またはヒーローがいらない世界が今必要なことだ」
「君はヒーローになりたいのかい?」
「いや、そういうわけではない、自殺する者は何かしらの大きな波に乗っていたりする、大きな機械を動かす小さな歯車だ。まぁ気になったんだよ」
表裏は存在自体が歪み、故に物語の本来の方向をなんとなくで見ることができる、逆に存在しない歪みを見つけることも得意である。緑谷出久の影響は生死問わずに大きな立ち位置である、それを知るから、八木俊典の影響がどれほどのものかも知っている。
「それに、僕はヒーローにはなれない、ヒーローではないが、ヒーローとして生きなければならない、そんな気がする」
「そうか、なら一つだけ否定しよう。君はヒーローになれる。受け取りなさい、ヒーロー社会で顔は聞く何かあれば連絡するといい」
「……ありがたく」
名刺を受け取り握手をする、歪みが、正常な登場人物を歪め、良い方向に回るきっかけになった。
「では…」